ウェイモ
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種類 | 子会社 |
---|---|
業種 | 自動運転車 |
前身 | Googleセルフドライビングカープロジェクト |
設立 |
2009年 (Googleセルフドライビングカープロジェクトとして) 2016年12月13日 (Waymo LLCとして) |
本社 | 、 |
主要人物 |
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従業員数 |
2,500 (2023年) ![]() |
親会社 |
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ウェブサイト |
waymo |
ウェイモ(英: Waymo)とは、Alphabet傘下の自動運転車開発企業。2016年12月13日にGoogleの自動運転車開発部門が分社化して誕生した[1]。
沿革[編集]
ウェイモの前身となる自動運転プロジェクトは、2009 年1月17日にGoogle Xラボで開始された。このプロジェクトは、スタンフォード人工知能研究所で元ディレクターのGoogleエンジニアであるセバスチアン・スランと、Googleストリートビューの発明者が共同で主導していた。
かつて在籍していた人々として、DARPAグランド・チャレンジで働いていたクリス・アームソン(後にAurora創業)、マイク・モンテメロー、アンソニー・レヴァンダウスキー (後にUberへ移籍)らがいる[2]。
自動運転車の「スタンレー(英語版)」を製作したスタンフォード大学のスランのチームは、2005 DARPA グランド·チャレンジ(ロボットカーレース)で優勝して、米国防総省からの賞金200万ドルを獲得した沿革がある[3]。
Googleは公道での自動運転の実験走行を法律で受け入れてもらうために、米国のネバダ州でロビー活動を行った。その後、ネバダ州は自動運転車の運転を可能にする法律を2011年6月29日に可決、2012年3月1日から施行された[4][5]。そしてネバダ州のDMV(陸運局)は、 Googleが自動運転車に改造したトヨタ・プリウス[6]に、2012年5月8日、自動運転車専用のライセンスを米国内で初めて発行した[7]。
2012年4月にフロリダ州でも受け入れられ、公道での自動運転車の実験走行を許可した第二の州になった。[8]、そしてカリフォルニア州ではジェリー・ブラウン知事がGoogle本社で法案に署名をし、事実上で第三の州になった[9]。
2010年のプロジェクト開始時点では、8年~10年程度で、2020年までに完全自動運転が実現できると想定していた[10][11]。
2016年12月13日、Googleから分社化しWaymoと改称され、Googleの持株会社Alphabetの子会社となった。Waymoという名称は "a new way forward in mobility."(モビリティの新たな進むべき道) に由来するという[12]。
2018年12月、ウェイモはアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの全米初の商用運用を開始した。ただし、運行地域および利用可能なユーザーは限定されていた。これにはフェニックス大都市圏の公共交通機関を運営するバレーメトロ(Valley Metro)が協力している。[13][14]
2021年4月2日、5年以上に渡りウェイモのトップを務めてきたジョン・クラフチックがCEOを退任すると発表し、ウェイモのCOOのテケドラ・マワカナとCTOのディミトリ・ドルゴフの2人がともに共同CEOに昇格する[15]。
2021年8月には、サンフランシスコ市街地の公道で一般ユーザーを乗車させるテストを開始した。ただし、無人車両ではなく運行を監視するオペレーターが同乗する。当初の予定では3年以内の一般向けサービスを開始することを望んでいた [16]。
技術[編集]

セルフドライビングカー (自動運転車)は、自動運転に必要となる情報を収集し、それをコンピュータで解析した後に運転操作命令が出力される。自動運転を制御するソフトウェアは、グーグル ショーファー (英: Google Chauffeur)と呼ばれている[17]。走行中は、GPS(全地球測位システム)を使い、現在地と目的地をリアルタイムで比較しながら、コンピュータが自動でハンドルを回す。またレーザーカメラやレーザースキャナを搭載しており、これは様々な道路情報(周辺の車両、歩行者、信号、障害物)を識別する。これらの装置で収集した情報は、コンピュータが総合的に解析し、ステアリングホイール (ハンドル)・アクセル・ブレーキなどの運転に必要となる動作の最終決定を行うために使われる[18]。
Googleのロボットカーには、約15万ドルに相当する機器を搭載し、この内7万ドルに相当するLIDAR(レーザーレーダー)が搭載されている[19]。
上部に装備された距離計(レンジファインダー)は、「ベロディン(英: Velodyne)」と呼ばれ、64個のビームレーザーを備える。この装置からレーザービームを照射し、車両周辺の詳細な3Dマップを生成する。生成された3Dマップをセルフドライビングカーが読み取り、Googleの高解像度マップと照合し、これを応用して自動運転車が自動で運転制御する仕組みとなっている[18]。
人工知能[編集]
Google セルフドライビングカーに搭載されているソフトウェア(人工知能)は、グーグル ショーファーである。ハンドルやアクセル、ブレーキをはじめとした自動運転の制御は、全てここで処理されている。 事故予測能力に関しては、テスト走行中にさまざまな周辺情報を収集し、それをビッグデータ化して事故を防ぐ人工知能の開発を進めている。例えば、親子で一緒に歩いてる子供と、子供が一人で歩いてる場合では、次に取る行動の危険性に差が出る傾向がある。そういった個人ごとの動きの特徴を人工知能に学習させて、人間の行動を予測する能力を強化し、事故率を下げることを目指している[20]。 他にも、状況によっては道路の規制速度を超えるようにプログラムされている。これは周辺の車が自車よりも速いスピードを出している中で制限速度に固執すると、かえって事故のリスクが高くなるためである。Googleの車両の場合は、プラス10マイル毎時(mph, 時速16km)の範囲まで速度オーバー出来るようインプットされている[21]。
実験走行[編集]
プロジェクトチームは、トヨタ自動車のプリウスが6台と、アウディ1台、および3台のトヨタレクサスの計10台を、自動運転車に改造した[23]。実験走行では、熟練したドライバーが運転席に座り、助手席にGoogleのエンジニアが座って、走行状況を監視する[2]。ゴールデンゲートブリッジ、ハリウッド通り (Hollywood Street)、カリフォルニア州で、およそ20万キロメートル (km)を走行した。また勾配やカーブが多いサンフランシスコのロンバードストリートも問題なく走行に成功した[24]。
2012年3月28日には、視覚障害者をセルフドライビングカーに乗車させて、実験走行に成功した旨の動画がYouTubeに公開された。Googleは車両の性能をテストするために、視覚障害者を乗車させ、30万km (=300 Mm)にわたる走行に成功した。このテスト走行に参加した視覚障害者は、カリフォルニア州に住むスティーブ・マハンである。彼は視力の9割以上を失っている事を述べた。彼は自動運転車に乗り、タコベルやコインランドリーなど、生活に必要な場所に行くことに不便を感じない事を示した。スティーブ・マハンは、「自動運転車のおかげで、自分で行きたい所へ行く事ができて、進むべき所へ移動できるというのは、私の人生を変えるだろう」と述べた[25]。
- 2012年8月 - プロトタイプの車両「フリート (fleet)」が48万kmを走行した[26][27]。
- 2014年4月 - Googleの自動運転車の総走行距離が、100万km (=1 Gm)を突破した事を発表した[28]。
- 2015年11月 - 公道での総走行距離が190万kmを突破。出典元記事の通り警察に止められていたが、この時点でも無事故無違反となっている[29]。
- 2017年10月 - アリゾナ州チャンドラーにて、ミニバンで運転手なしの完全無人自動運転のテスト走行開始した。
- 2018年3月 - ウェイモの実験走行距離が800万km (=8 Gm)達成。コンピュータシミュレーション走行では、約80億キロ (=800 Gm)突破した。
- 2019年3月 - 自社開発のLIDARセンサ (Laser Bear Honeycomb)の外販を開始。なお同業他社には販売しない模様[30]。 同年9月に公道上にて1000万マイル (1610万km=16.1 Gm)の走行を達成[31]。
問題点[編集]
2014年9月2日にはマサチューセッツ工科大学が、「大雨や雪の降る日は走行できない」とする分析結果を科学雑誌に公表した。Google自動運転カーの上部に取り付けられているセンサーは、雨粒や雪粒を障害物と認識し、走行できなくなる問題がある。また道路上に落ちている石とシワだらけの紙の区別が出来ないほか、歩行者を電柱と誤認識する事もある。日差しが強い状況下ではセンサーの解像度が下がり、信号が読み取れない場合もある。
目的地までの自動走行は、地図データへの依存度が高いため、開発には詳細かつ膨大な地図データをインプットする必要がある。しかし米国の大半の地域では、安全に走行できるほどのデータはインプットされておらず、走行可能なのは一部地域のみに留まっている。
Google側はこれらの問題を認めており、雪粒への対応など、改善に着手していると明かした。
脚注[編集]
- ^ 米グーグル、自動運転車部門を分社 新会社「ウェイモ」開発加速へ
- ^ a b What we’re driving at
- ^ Google Cars Drive Themselves, in Traffic
- ^ Nevada Passes Law Authorizing Driverless Cars
- ^ Google Lobbies Nevada to Allow Self-Driving Cars
- ^ 2011年
- ^ Google gets first self-driven car license in Nevada
- ^ Florida embraces self-driving cars, as engineers and lawmakers prepare for the new technology
- ^ Governor Brown Signs California Driverless Car Law at Google HQ
- ^ “Google Cars Drive Themselves, in Traffic” (英語). New York Times (2010年10月10日). 2022年10月17日閲覧。
- ^ “How Google's self-driving car project rose from a crazy idea to a top contender in the race toward a driverless future” (英語). Insider (2016年10月23日). 2022年10月17日閲覧。
- ^ “Google's self-driving car unit becomes Waymo” (英語). 2022年10月17日閲覧。
- ^ Waymo partners with Phoenix Valley Metro for better last-mile mobility (CNET, 2018)
- ^ Waymo One self-driving taxi service launches in Phoenix ()New Atlas, 2018)
- ^ “自動運転「ウェイモ」の創業CEOが退任、今後の収益化が課題に”. Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2021年4月5日). 2021年7月21日閲覧。
- ^ “ウェイモ、サンフランシスコで一部の市民向けロボタクシー実験開始”. Reuters JAPAN(ロイター ジャパン) (2021年8月24日). 2021年7月21日閲覧。
- ^ Inside Google's Quest To Popularize Self-Driving Cars
- ^ a b How Google's Self-Driving Car Works
- ^ Google discloses costs of its driverless car tests
- ^ 21世紀の産業革命「自動運転革命」の衝撃 NHKスペシャル
- ^ Googleの自動運転カーは速度制限をオーバーする能力も備える見込み
- ^ “The Test Driven Google Car” (2011年4月30日). 2012年11月19日閲覧。
- ^ [글로벌 이노베이션 DNA]구글X의 첫 프로젝트 `무인 자동차`
- ^ 구글카, 22만km 무사고 경력 … 대도시 시내주행 가능하지만 20억 넘어 (朝鮮語)
- ^ 이것이 구글 '무인 자동차'…동영상 공개 (朝鮮語)
- ^ 영국, 무인자동차 시험 운행 ‘청신호’ (朝鮮語)
- ^ 구글 무인자동차 48만km 주행 '지구 12바퀴 돌았다' (朝鮮語)
- ^ The latest chapter for the self-driving car: mastering city street driving
- ^ Googleのセルフドライビングカーが「遅すぎる」として警察に止められていた事が判明
- ^ Team, Waymo (2019年3月21日). “Bringing 3D perimeter lidar to partners” (英語). Medium. 2019年7月29日閲覧。
- ^ “ウェイモ、自律自動車の運転データを研究者と一部共有へ”. Medium (2019年8月26日). 2020年8月14日閲覧。