デマンド型交通

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デマンド型交通(デマンドがたこうつう)とは、利用者の事前予約に応じる形で運行経路や運行スケジュールをそれに合わせて運行する地域公共交通のこと[1]英語ではDRT(Demand Responsive Transport)といい、日本語ではデマンド型交通またはデマンド応答型輸送サービスと訳される[1]

形態[編集]

アイシン精機(現・アイシン)が開発した会員制デマンド型交通サービス「チョイソコ[2]
公共が主体となって導入した完全デマンド型の例、三条市デマンド交通「ひめさゆり」

デマンド型交通の形態には次のようなものがある。

  • 簡易型
    • 路線固定型 - 起点と終点が固定されており予約が入ったときにのみ運行する形態[1]
    • 迂回型 - 通常は固定された起点と終点との間を運行し、迂回経路上にある停留所には予約が入ったときにのみ運行する形態[1]
  • エリア型
    • 起終点固定デマンド型 - 起点と終点及びその出発時刻と到着時刻のみ固定されており、起点出発前に予約を受けた地点を経由して運行する形態[1]
    • 完全デマンド型 - 路線・経路(起点と終点)や到着時刻も固定されておらず任意の時刻での予約が可能な形態[1]

世界のデマンド型交通[編集]

日本のデマンド型交通[編集]

簡易型[編集]

京急ポニー号
初代車両5台中の1台 (C4546)

日本では、1972年6月27日に阪急バス富士通いすゞ自動車との共同開発で大阪府豊能郡能勢町に初めて導入した[3][4]1997年10月に廃止[5])。

コール・モービル・システムを導入したデマンドバスも阪急バスが最初であり、東京芝浦電気三菱自動車工業と共同開発で、大阪府箕面市1975年5月10日に運行を開始した[6][7]。1985年7月3日に廃止[5]、一般路線化された。運行は阪急バス茨木営業所が担当。

1975年12月24日には、東京急行電鉄(現:東急バス)が同社初のデマンドバスとして「東急コーチ」自由が丘線を運行開始。三菱自動車工業(現:三菱ふそうトラック・バス)製の中型貸切車を使用し、三菱グループとデマンドシステムを共同開発した。以降、コーチ路線は各地に追加されたが、2001年前後にデマンドルートを廃止し一般路線化された(「東急コーチ」の名称は引き続き使用)。

1999年10月15日には、京浜急行電鉄(現:京浜急行バス)が「京急ポニー号」を運行開始。京急では初のデマンドバス路線で、運行開始にあたり「東急コーチ」を運行していた東急バスの協力を仰いでいる。

エリア型[編集]

高度道路交通システム (ITS) を導入したデマンドバスは、2000年運行開始の中村まちバスが最初とされる[8]

東京大学2007年9月にデマンドバスサービス「コンビニクル」を開発し、大阪府堺市(実験終了)、千葉県柏市山梨県北杜市などで実証実験を行っている。WebをベースとしたASPサービスとしてオンデマンドバスを提供する。システム導入・更新時のコスト低減が期待され、デマンドバスの運行コスト低減の面で期待される。

問題点[編集]

利用者のいない停留所を経由しないことから運行の効率化に結びつく利点があるが、目的地までの所要時間が他の利用者の都合によって変わることがあり、利用者からすると乗ってみるまで目的地到着時間が分からないという欠点がある。また、事前にバス迂回運行を申し込むシステムでは、予約の連絡に必要な施設や場合によってはオペレーターの人件費が掛かるため、一般の路線バスに比べて運行経費は高くなると考えられる。[要出典]

日本での採用例[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f 地域公共交通と連携した包括的な生活保障のしくみづくりに関する研究報告書 (Report). 国際交通安全学会. (2011-03). p. 112. http://www.iatss.or.jp/common/pdf/research/h2298.pdf 2018年4月7日閲覧。. 
  2. ^ 元田光一 (2021年3月1日). “第17回 デマンド型交通サービス「チョイソコ」、全国13地区に拡大した理由”. 日経BP. https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/052500076/021800026/ 2021年6月7日閲覧。 
  3. ^ 谷沢保 (1972). “バス経営における決断と実行-ディマンド・バスの意味をきく―”. 運輸と経済 32(9): 42-47. 
  4. ^ 辻 弌朗 (1972). “能勢町デマンドバスシステムについて”. トランスポート 22(9): 32-36. 
  5. ^ a b 『ハートフルネットワーク : 阪急バスこの15年 : 阪急バス株式会社創立75周年記念誌』阪急バス株式会社、2002年。
  6. ^ 谷沢 保 (1975). “デマンドバスの新方式―阪急間谷団地バス―”. 高速道路と自動車 13(10): 53-58. 
  7. ^ 辻 弌朗 (1976). “バス最前線からの報告―能勢町デマンドバス・箕面市間谷コールモビルシステ ム―”. 運輸と経済 36(6): 39-45. 
  8. ^ 砂田洋志「高知県四万十市の地域公共交通システムの調査報告 : 中村まちバスの調査報告」『山形大学紀要. 社会科学』第46巻第1号、山形大学、2015年7月、 121-138頁、 ISSN 0513-4684NAID 120005713169

関連項目[編集]

外部リンク[編集]