深海 (アルバム)
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『深海』 | ||||
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Mr.Children の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
WATERFRONTED STUDIOS TOKYUFUN HITOKUCHIZAKA STUDIOS TOKYO HILTON HOTEL | |||
ジャンル | J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | トイズファクトリー | |||
プロデュース |
小林武史 Mr.Children | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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Mr.Children アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
EAN 4988061880778 (TFCC-88077) | ||||
『深海』収録のシングル | ||||
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ミュージックビデオ | ||||
「花 -Mémento-Mori-」 - YouTube |
『深海』(しんかい)は、日本のロックバンド・Mr.Childrenの5枚目のオリジナルアルバム。1996年6月24日にトイズファクトリーより発売された。
背景とリリース[編集]
前作『Atomic Heart』から約1年10ヶ月ぶりのアルバムであり、初のコンセプト・アルバム[注 1]。通常盤のみの発売で、発売の際に大量の初回ロットの不良[注 2]が発生した。
ジャケットは桜井がアンディー・ウォーホルの「電気椅子」のようなものを、とリクエストしたことによる[1]。アートディレクターは信藤三雄。
レコーディングは大半がニューヨークのウォーター・フロント・スタジオで[2]、1995年12月下旬から1996年3月にかけて行われた。60-70年代のビンテージ機材を使用したアナログレコーディング。
本アルバム発売時にすでにリリースしていた、6thシングル『Tomorrow never knows』・7thシングル『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』・8thシングル『【es】 〜Theme of es〜』・9thシングル『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』は本作のテーマにそぐわないという理由で未収録となっている。
本作の収録曲でミュージック・ビデオが制作されたのは「花 -Mémento-Mori-」の1曲のみである。
発売前の雑誌には「青盤(『深海』)」と「赤盤(『BOLERO』)」による2枚組という情報も流れていた。桜井は「『深海』は『BOLERO』の中の1曲として捉えている」と語っており、曲ごとにトラックで分けず全体で1トラックにすることも考えていた。そのため全曲にはほぼ曲間がなく、いくつかの曲はノンストップで繋いでいる[3]。当初桜井はアルバムタイトルを『シーラカンス』にしようと考えその旨をメンバーに話したところ「深海?」と聞き返され、それが非常に強く印象に残ったため最終的に『深海』をタイトルに採用した。
本作を引っ提げて、ツアー『Mr.Children TOUR "REGRESS OR PROGRESS" '96-'97』追加公演である『Mr.Children TOUR "REGRESS OR PROGRESS" '96-'97 FINAL』が開催された。コンセプトは「OUT OF DEEP SEA(深海からの脱出)」で、セットリストの中盤で本作の楽曲を曲順通り演奏。Mr.Childrenの他のライブツアーと比べると異質な雰囲気を漂わせており、その様子は映像作品『regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME』で観ることができる。
制作当時は桜井が精神的に疲弊していた時期であり、当時のインタビューで「ほんとにもう、いつも『死にたい、死にたい』っつう感じでしたからね」と自殺願望について発言したり[4]、制作当時に「要は、すごくピュアなラヴソングはもう書けないじゃないですか。『そんなの嘘、不倫[注 3]してんじゃん!』って。そのつっこまれる前に、このぐちゃぐちゃを吐き出してやろうっていう。」といった思いがあったことを明らかにした[5]。発売前には「深海が売れなかったら大衆のせい」[6]、発売後には「音楽の力だけでは売上につながらないから」と突き放した発言もしていた[4]。
チャート成績[編集]
累計売上は274.5万枚(オリコン調べ)で、前作より減少したが当時のアルバムチャートでは歴代1位の初週売り上げ153.6万枚を記録した。
収録内容[編集]
全作詞・作曲: 桜井和寿、全編曲: 小林武史 & Mr.Children。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「Dive」 | |
2. | 「シーラカンス」 | |
3. | 「手紙」 | |
4. | 「ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~」 | |
5. | 「Mirror」 | |
6. | 「Making Songs」 | |
7. | 「名もなき詩」 | |
8. | 「So Let's Get Truth」 | |
9. | 「臨時ニュース」 | |
10. | 「マシンガンをぶっ放せ」 | |
11. | 「ゆりかごのある丘から」 | |
12. | 「虜」 | |
13. | 「花 -Mémento-Mori-」 | |
14. | 「深海」 |
楽曲解説[編集]
- Dive
- インストゥルメンタル。水へ飛び込むSEの後チェロの演奏が入り、そのまま次曲へ繋がる。
- シーラカンス
- 手紙
- ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~
- Mirror
- 桜井が休みを利用して山形の海へサーフィンに出かけた際、「さぁ作るぞ」ではなくギターをポロンと弾いたと共に浮かんだメロディがこの曲のモチーフ。その海は、10代の頃の桜井が誰に聴いてもらうでもなくよくギターを弾いて自作曲を歌っていた因縁の場所でもあった[3]。
- 歌詞は某しゃぶしゃぶレストランにて食事中に、ふと浮かんでそのまま箸袋の裏にメモとして残したものを元に膨らませた[3]。
- 楽曲中のグロッケンを演奏しているのは田原。
- 後にベスト・アルバム『Mr.Children 1996-2000』にも収録。
- Making Songs
- インストゥルメンタル。数曲のデモ音源を断片的に繋いだトラック。当時、桜井が持ち歩いていたテープレコーダーに収録されたデモ音源を再現したとのこと。
- 最後に「名もなき詩」の弾き語りが入り、次曲に繋がる。
- 中には「タイムマシーンに乗って」と酷似したデモ音源も入っているが、桜井は「偶然似ただけで別の曲」と述べている。
- 名もなき詩
- 10thシングル表題曲。
- So Let's Get Truth
- アコースティック・ギターとハーモニカによる弾き語りがメインだが、演奏前に足音やドアを閉める音が入り、曲が終わるとサイレンの音と共に次曲へ移る。
- 道端でギターを演奏しているというシチュエーションでレコーディングされた。
- 桜井曰く「作曲中に長渕剛さんが降りてきました」。
- 臨時ニュース
- インストゥルメンタル。国内外のニュースの音声などのテレビの音と、チャンネルを変える音から構成されているザッピングを模したトラックであり、その中に10thシングル『名もなき詩』のカップリング曲「また会えるかな」が数秒のみ聴こえる。
- Mr.Childrenの全楽曲の中で最も収録時間が短い。
- マシンガンをぶっ放せ
- 後に12thシングル『マシンガンをぶっ放せ -Mr.Children Bootleg-』としてシングルカットされた。
- ゆりかごのある丘から
- 演奏時間が本作最長の楽曲。
- アマチュア時代から存在する曲だがスローテンポにアレンジされ、和音がマイナーになっている。
- 元の歌詞やメロディーと異なる箇所が多く、当初の歌詞は「戦争」というワードが入っていたが、「もっと多くの人たちが自分にリアルなこととしてこの曲を捉えてくれるんじゃないかな」という思いから「戦場」という歌詞に変更された。
- 曲の冒頭と終盤にヘリコプターのプロペラのSEが入り、前後の楽曲と繋がっている。
- 虜
- Mr.Childrenでは数少ない、一人称が「俺」の楽曲の1つ。
- 後に『Mr.Children / Split The Difference』にも収録され、Salyuがコーラスに参加している。
- 花 -Mémento-Mori-
- 11thシングル表題曲。シングルと同一音源だが、次曲とシームレスに繋がっている。
- 深海
- 今作の表題曲。
- インストゥルメンタルの予定だったが、小林武史の発案で歌詞がつけられた。
- アウトロは深海から浮き上がってくるようにも、さらに深くまで沈もうとするようにも聴こえる水の音が入って終わる。
参加ミュージシャン[編集]
- Mr.Children
- 小林武史:Keyboards
- 高安錬太郎:Computer Programming
- 松本賢:Computer Programming
- Dive
-
- Jesse Levy:Cello
- 手紙
-
- Jane Scarpantoni:Cello
- ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~
-
- Jesse Levy:Cello
- マシンガンをぶっ放せ
-
- Jesse Levy:Cello
- ゆりかごのある丘から
-
- 小幡英之:Sax
- 虜
-
- B.J:Chorus
- 吉井ふみ子:Chorus
- 深海
-
- Jesse Levy:Cello
テレビ出演[編集]
番組名 | 日付 | 放送局 | 演奏曲 |
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FAN | 1996年6月21日 | 日本テレビ | 虹の彼方へ COLD TURKEY 名もなき詩 Mirror |
1996年6月28日 | ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~ So Let's Get Truth マシンガンをぶっ放せ 花 -Mémento-Mori- |
ライブ映像作品[編集]
曲名 | 作品名 |
---|---|
シーラカンス | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001 | |
Mr.Children TOUR 2011 "SENSE" | |
手紙 | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001 | |
ありふれたLove Story ~男女問題はいつも面倒だ~ | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mirror | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mr.Children Tour 2004 シフクノオト | |
Mr.Children STADIUM TOUR 2011 SENSE -in the field- | |
名もなき詩 | 「名もなき詩#ライブ映像作品」を参照
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So Let's Get Truth | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
マシンガンをぶっ放せ | |
ゆりかごのある丘から | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
虜 | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mr.Children / Split The Difference[注 4] | |
花 -Mémento-Mori- | |
深海 | regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME |
Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001 | |
Mr.Children TOUR 2011 "SENSE"[注 5] |
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ コンセプト・アルバムは本作のみ。
- ^ ケース中央の爪の破損。
- ^ 週刊誌に報じられたのは本作発売の翌年となる。詳細は桜井和寿#経歴を参照。
- ^ ドキュメンタリー映画作品。Salyuがゲストボーカルとして参加。
- ^ 一部のみ演奏された。
出典[編集]
外部リンク[編集]
- 歌詞
- 「シーラカンス」 - 歌ネット
- 「手紙」 - 歌ネット
- 「ありふれた Love Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜」 - 歌ネット
- 「Mirror」 - 歌ネット
- 「名もなき詩」 - 歌ネット
- 「So Let's Get Truth」 - 歌ネット
- 「マシンガンをぶっ放せ」 - 歌ネット
- 「ゆりかごのある丘から」 - 歌ネット
- 「虜」 - 歌ネット
- 「花 -Mémento-Mori-」 - 歌ネット
- 「深海」 - 歌ネット