アメリカ軍

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アメリカ軍
United States Armed Forces
Joint Armed Forces Color Guard at Super Bowl XLVII.jpg
創設 1775年
派生組織
指揮官
最高司令官 第45代大統領 ドナルド・トランプ
国防大臣 第26代国防長官 ジェームズ・マティス
参謀長 第19代統合参謀本部議長 ジョセフ・ダンフォード海兵隊大将
総人員
徴兵制度
財政
予算 7,136億ドル[3]
軍費/GDP 4.6%(2012年)[3]
産業
国内供給者
関連項目
歴史
階級 アメリカ軍の階級
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アメリカ軍(アメリカぐん、英語: United States Armed Forces)は、アメリカ合衆国が有する軍隊アメリカ合衆国軍(アメリカがっしゅうこくぐん)、合衆国軍(がっしゅうこくぐん)とも呼ばれ、日本では米軍(べいぐん)と略される。

概要[編集]

アメリカ軍とはアメリカ合衆国が保有する軍隊の総称である。軍種では、陸海空軍及びアメリカ海兵隊常備軍ほか、平時は海上警備を主とした法執行機関でもあるアメリカ沿岸警備隊を含めた5軍からなる[4]。陸空軍については、普段から連邦政府の指揮下にある連邦軍と、州知事の指揮下にあり必要に応じて、連邦軍に編入される州兵がある。

戦力については、陸海空の通常戦力、核戦力双方において他国を圧倒しており、実戦経験が豊富なこと、全世界へ短時間で展開可能であり、現代では世界最強の軍隊と評されている。

アメリカにはボーイングロッキード・マーティンレイセオンなど世界の軍需産業をリードする大手企業が集まっているため、世界最高水準の性能を持つ装備品を陸海空問わず国内で調達可能である。

歴史[編集]

1775年2月6日アメリカ独立戦争に際し「大陸軍」として発足。これはアメリカ陸軍の前身でもある。

2011年9月20日、同性愛者であることを公言して軍務に就くことを禁じた軍務規定が撤廃された[5]


機構[編集]

アメリカ軍は文民統制の下に、アメリカ合衆国大統領が最高司令官であり[6]、同じく文民かつ大統領顧問団の閣僚である国防長官が大統領を補佐し、国防総省を統括する。部隊の作戦指揮は、大統領から国防長官を通じ、地域別及び機能別の各統合軍司令官に直接伝達される[7]統合参謀本部(JCS)は、作戦指揮命令系統に入っておらず、軍事的な助言や作戦計画の立案や兵站要求など参謀としての業務に携わっている。なお、陸海軍及び民兵団の編成権、軍律制定権、戦争宣言の権限は、合衆国議会が有している[8]

五軍[編集]

アメリカ軍(United States armed forces)は、次の5つの軍種からなる[4]。そのうち国土安全保障省に属する沿岸警備隊を除く四軍は国防総省の管轄下に属し、アメリカ合衆国大統領の指揮統制下にある。

各軍は、部隊の編成・維持・訓練が中心となっており、各統合軍に部隊を拠出するまでの責任を負っている。陸軍は陸軍省[9]、海軍・海兵隊は海軍省[10]、空軍は空軍省[11]軍政をつかさどる。ただし、指揮系統において、海軍と海兵隊の間に上下関係はない。有事においては、沿岸警備隊も海軍省の管轄となり、海軍に準じた扱いがなされる[12]。なお、四軍の部隊の作戦指揮は統合軍が管轄する。

七武官組織[編集]

連邦政府は、上記の五軍に加え、武官士官のみ)から構成される以下の2つの組織を併せ、7つの武官組織を有する[4]。これらには、将官佐官尉官階級が定められている

この2つの組織は、共に五軍と同様の階級(「中将 = Vice Admiral」など)および制服(冬服 = 黒色 / 夏服 = 白色)が定められ、五軍と同様、ジュネーヴ条約による(傷病者・捕虜としての)保護の対象となる。

統合軍[編集]

統合軍の地域管轄地図

2007年10月時において、アメリカ沿岸警備隊・合衆国公衆衛生局士官部隊・合衆国海洋大気局士官部隊を除く、陸海空軍及び海兵隊は6個の地域別、3個の機能別、計9個の統合軍 (Unified Combatant Commands, UCC, 旧略称COCOM)に編制されている。それぞれの統合軍に属する陸海空軍及び海兵隊部隊を1人の統合軍司令官が運用するという編制は統合作戦の円滑な遂行と軍事学的な指揮統一の原則を同時に達成するためである。

管轄地域別
機能別

駐留国[編集]

アメリカ軍の駐留兵力 (2007年)
  1000以上の部隊
  100以上の部隊
  施設の使用

アメリカは米ソ冷戦における安全保障政策を受けて、多くの国家(国防総省が公表しているだけで150ヶ国以上、内大規模基地を置くのは約60ヶ国)に現在も軍部隊を駐留させている。防衛条約並びに協定によってアメリカ軍が常時駐留している国家は以下の通り(2017年6月30日現在)。〔〕内数値は駐留兵力[13]を示す。

あくまでも施設の維持や連絡要員・駐在武官として常駐している人数である為、特殊部隊や作戦行動中の数を含むと実数はこれよりも多い可能性がある。近年は大規模な恒久基地ではなく特殊任務に特化した小規模基地を中心に展開している為、駐留人数は少数(数十~数百人、一桁の場合も)傾向にある(通称:リリー・パッド戦略)。

基地の兵士が地元商店街の客層となり、また地元住民が基地の従業員として雇用されるなど、経済的に重要な存在になっている場合も多い。

欧州・北米[編集]

アメリカの同盟関係
  UKUSAAUSCANNZUKUS、ABCA)
  同盟国
北大西洋条約機構(NATO)加盟国
その他

太平洋・アジア[編集]

来日したロバート・ゲーツ国防長官と握手を交わす石破茂防衛大臣(2007年11月8日)
トモダチ作戦で津波による瓦礫を撤去する在日米海軍の水兵ら(2011年、東日本大震災
日米安全保障条約
  • 日本の旗 日本〔39,623人〕(在日米軍):相互防衛援助協定、資金提供協定(思いやり予算)、非NATO主要同盟国(MNNA
    第二次世界大戦後の占領軍から駐留が続いている。自衛隊の創設と発展を含め、日本の国防に深く関与してきた。GSOMIA及びMOUは2007年に締結。海軍の第7艦隊をはじめ、空・海兵隊が拠点を置くが、陸軍は比較的少ない。米軍再編の一環として、兵力の一部削減・移転が決定している。特殊な関係から、特に日米同盟と呼ばれる。
米韓相互防衛条約
日本の敗戦より駐留し、占領軍政を敷いた。朝鮮戦争によって大幅に増強される。朝鮮民主主義人民共和国と直接対峙するため、兵力の大半が陸軍である。長く韓国軍の指揮権を有してきたが、冷戦後に平時作戦指揮権は移譲され、戦時作戦統制権も移譲予定。米軍再編の一環により、段階的に兵力が削減されることが決定している。特殊な関係から、特に米韓同盟と呼ばれる。
米比相互防衛条約
  • フィリピンの旗 フィリピン〔600人〕:MNNA
    植民地時代より駐留し、空・海軍の一大拠点であったが、1994年に一度完全撤収した(なお、クラーク空軍基地は自然災害がきっかけとなり閉鎖となった)。2002年より対テロ戦争の一環として、特殊部隊が駐留している。常駐人数は〔37人〕。南シナ海をめぐる紛争により、海空軍の再駐留が合意されている。
太平洋安全保障条約(ANZUS)
  • オーストラリアの旗 オーストラリア〔1500人〕:相互防衛援助協定、通信傍受協定、GSOMIA、MOU、MNNA。新基地建設などが決まっていて今後増員が予想される。常駐人数は〔189人〕
自由連合盟約

アメリカ軍が国防を担う各国

その他

中東[編集]

アメリカ中央軍(USCENTCOM)

中南米[編集]

米州相互援助条約(Rio Pact、TIAR)加盟国

アフリカ[編集]

アメリカアフリカ軍(USAFRICOM)

その他[編集]

  • この他にナイジェリアの旗 ナイジェリア〔15人〕や香港の旗 香港〔27人〕などに(主として米国製装備の)教官やパイロットとして、あるいは通信要員などとして少数(数十〜数百人)が派遣されている。

戦歴[編集]

各軍記念日[編集]

1950年以降各軍独自の公式記念日は廃止され、5月の第3土曜日の軍隊記念日 (Armed Forces Day) に統合された。

その他[編集]

  • 志願できるのは社会保障番号認識番号となる)と高等学校卒業程度の学力、規定の基準以上の身体能力を有する18歳以上の男女である。なお『卒業程度の学力』であるため中退者でもよい。従来は卒業証明書の提出が必要だった。
  • 全てのアメリカ合衆国に『居住』する18〜26歳までの男性(米国籍や永住権者に限らず、違法移民や一時就労ビザなども含む。外交官ビザ、特殊ビザ、ビジタービザ、学生ビザなどは除外[14])は、有事の際など軍を臨時に増強する必要があると大統領と議会が承認した場合に徴兵される「Selective Service System(SSS)」のリストに登録することが義務付けられている。18〜26歳までの男性永住権保持者がSSSに登録しなかった場合は在留期間の条件を満たしても市民権申請を拒否される場合がある。逆に永住権保持者が志願・入営すると、忠誠を誓ったと看做されて、最低居住期間条件が免除になり、居住期間に関わらず入隊時(申請時)に市民権申請が可能になる(受理されるだけで認められるか却下されるかは別問題)。既に入隊済みで1年以上経過した者も居住期間に関係なく市民権申請資格があるが、入隊後1年未満あるいは除隊後6ヶ月を経過した者は特例条件を満たさず、通常の5年ルールが適用される。
  • 軍人とその家族にはアメリカ国防厚生管理本部が提供する公的医療保険「TRICARE」が適用される。
  • 退役軍人にはアメリカ合衆国退役軍人省から勤務した期間や階級に応じた額の恩給年金が支給される。また一定期間以上勤務した場合はTRICAREに継続して加入できる。
  • 大学生ではあるが、同時に軍事訓練を積み軍人教育を受ける予備役将校訓練課程が存在する。卒業後数年間は軍役に就く事を誓約し、大学在学中も非常事態時には召集される可能性がある。在学中は学費全額支給に加え奨学金数百ドルを受け取り、卒業後は最低でも少尉で入隊出来る。米国の大学の学費は日本に比較すると高額であり学費はローンでまかなっている場合が多い。経済的な理由で進学を断念する者が多い為、軍費補助による学位取得制度への競争率は高い[15]
  • 2012年度の軍事費(歳出推定額)は、7,163 億ドルGDP比は4.6%、政府歳出比は18.8%[3]
  • 同性愛者ではない男性の兵士による下級の男性兵士へのレイプが最近明るみに出た。性交渉が目的ではなく、脅しや支配欲を満たす為に行われている。2009年に、110人以上の男性兵士が男性の同僚から性暴力を受けたと報告した(ニューズウィーク日本版2011 4/20号)。また上官の命令は絶対であることを悪用する上官による性的暴行の被害にあった女性将兵が多数存在する。レイプなど性的暴行は、2011年だけで3192件が報告されているが、被害が届けられないケースが多いとされ、アメリカ国防総省では、実態は年間約1万9000件とみている[16]

脚注[編集]

  1. ^ Persons 17 years of age, with parental permission, can join the U.S. armed services
  2. ^ http://siadapp.dmdc.osd.mil/personnel/MILITARY/ms0.pdf
  3. ^ a b c Whitehouse>OMB>Historical Tables>Fiscal year 2013
  4. ^ a b c 合衆国法典第10編第101条 10 U.S.C. § 101
  5. ^ “米軍の同性愛者入隊規制、撤廃される”. (2011年9月21日). http://www.afpbb.com/article/politics/2829520/7808219 2013年1月24日閲覧。 
  6. ^ アメリカ合衆国憲法第2章第32条
  7. ^ 合衆国法典第10編第162条 10 U.S.C. § 162
  8. ^ アメリカ合衆国憲法第1章第8条
  9. ^ 合衆国法典第10編第3013– 3014条 10 U.S.C. §§ 30133014
  10. ^ 合衆国法典第10編第5013– 5014条 10 U.S.C. §§ 50135014
  11. ^ 合衆国法典第10編第8013– 8014条 10 U.S.C. §§ 80138014
  12. ^ 合衆国法典第10編第5013a条 10 U.S.C. § 5013a合衆国法典第14編第3条 14 U.S.C. § 3
  13. ^ 『The Military Balance 2003』
  14. ^ 観光などの滞在は『居住』とはみなされない
  15. ^ 基本的に大卒は士官から高卒は兵からのスタートであるので、ROTC出身者が初任階級上で特に優遇されているわけではない。なお入隊前に学費補助で大学へ通うROTC制度の他に、軍役中に大学(日本で言う二部もしくは基地内にある大学分校)へ通える制度や退役後の大学資金積み立て制度などもある。
  16. ^ “【今、何が問題なのか】「上官の命令は絶対」で沈黙…日常的に性的暴行受ける米軍新兵女性”. 産経新聞. (2012年7月4日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/120704/amr12070411010004-n1.htm 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]