コスタリカの軍事

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本項では、コスタリカ軍事組織について述べる。

軍隊[編集]

1949年、コスタリカは憲法で常備軍を廃止し、以後は集団警備力として準軍事組織に頼ってきた[1]。ただし憲法上で放棄されたのは常備軍であり、必要に応じて軍を臨時に設置することは法的に認められている[2]。国家の非常事態の際には、国会議員の3分の2の賛成投票により、大統領に徴兵制実施及び軍隊の編成権限が与えられる[3]

公安部隊[編集]

立法議会警備にあたる警察部隊

公安部隊Fuerza Pública)は、公安省の管理下で、警邏生活安全警察および警備警察を所掌する。コスタリカは軍隊を持たないことから、憲法において、公安部隊に対して「国の自主性を守る」「公安・秩序を守る」「住民の安全を守る」という3つの役割を付与している[4]。1994年から1996年にかけて、既存の治安警備隊(Guardia Civil)、地方支援警察(Guardia de Asistencia Rural)、外勤警察(Policía de Proximidad)および国境警備隊Guardia de Fronteras)を順次に統合再編して編成された[5]。なお公安部隊以外の法執行機関として、刑事警察として司法捜査局(OIJ[6]公安警察として国家治安情報局(DIS)、また財務省には財務警察(Policía de Control Fiscal)、運輸省には交通警察Policia de Transito)が設置されている[4]

公安部隊は、公安現役部隊担当副大臣(Viceministerio Unidades Regulares de la Fuerza Pública)の指揮下にある。内部部局として警務局(Dirección de Operaciones)、特殊部隊局(Dirección de Unidades Especializadas)、法務支援局(Dirección Policial de Apoyo Legal)、地域局(Direcciones Regionales)、行旅保安局(Dirección de Seguridad Turística)、防犯企画局(Dirección de Programas Policiales Preventivos)が設置されている[7]。また地方支分部局として11個の州部局、その下部組織として93個の警察署が設置されている[4]。公安部隊は合計で12,600名の人員を擁するが[8]国際戦略研究所では、このうち9,000名を準軍事的要員として数えている。これらの準軍事的要員は、国内の治安維持や麻薬戦争、犯罪対策だけでなく、地域の平和維持活動にも投入されている[1]

特殊部隊として、特殊部隊局には警察介入部隊(Unidad de Intervención Policial, UIP)および特殊支援部隊(Unidad Especial de Apoyo, UEA)が設置されている[7]。なお公安部隊以外の法執行機関でも、大統領府には特殊介入部隊(Unidad Especial de Intervención, UEI)、司法捜査局(OIJ)には戦術対応部隊(Servicio de Respuesta Táctica, SERT)が設置されている[9]。これらの特殊部隊は、アメリカ合衆国など域外からの軍事訓練を受けており[1]、500名以上の警察官がアメリカ陸軍米州学校で訓練を受けた[10]

上記の通りに複数の組織を統合して編成されたこともあり、小火器は極めて多彩である。常備軍廃止直後、アメリカ合衆国からM1911A1拳銃およびスミス&ウェッソン .38口径拳銃、M3サブマシンガンM1カービンM1小銃およびブローニングM1919重機関銃が供与された。またその後、様々なルートから、H&K MP5M16A165式歩槍IMI ガリルFN FALスプリングフィールドM14ドラグノフ狙撃銃M203 グレネードランチャーM60機関銃が入手された[11]重火器として、少数の60mmおよび81mm迫撃砲を保有する。サンディニスタによる航空攻撃に対処するため20mm対空砲を保有していたが、これは2017年現在退役状態にある。またM3装甲車M113装甲兵員輸送車UR-416装甲兵員輸送車も保有していたが、30年来、活動実態が確認されていない[12]

沿岸警備隊[編集]

沿岸警備隊Servicio Nacional de Guardacostas)は、治安警備隊海上部隊(Guardia Civil Sección Maritimo)を改称して設置された[13]。特種部隊担当副大臣(Viceministerio Unidades Especiales)の指揮下にあり、2018年現在、人員400名、巡視艇8隻を擁している[1]。最有力の「イスラ・デル・ココ」は1978年にアメリカ合衆国製の民間向けクルーザーを購入したもので、満載排水量118トン、全長31.73メートルで、最大速力33ノット、ブローニングM2重機関銃および60mm迫撃砲を搭載している[13]。またアメリカ沿岸警備隊の退役船艇の取得も計画されている[1]

航空部隊[編集]

航空部隊(Servicio de Vigilancia Aérea de Costa Rica)は、特種部隊担当副大臣(Viceministerio Unidades Especiales)の指揮下にあり、2018年現在、人員400名、航空機20機(小型輸送機3機、軽飛行機14機とヘリコプター3機)を擁している。保有機材は下記の通りである[1]

このうち、MD 500とMD 600は、2008年過去には、簡易式攻撃ヘリ(Light attack helicopter)として運用されていた。

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f IISS 2018, p. 400.
  2. ^ 山岡 2012.
  3. ^ わかる!国際情勢 Vol.84 豊かな自然と平和を愛する国 コスタリカ” (2012年2月22日). 2018年4月30日閲覧。
  4. ^ a b c 独立行政法人国際協力機構 & システム科学コンサルタンツ株式会社 2013, pp. 115-123.
  5. ^ Rial 2014, p. 50.
  6. ^ ORGANIZACIÓN Y ESTRUCTURA”. 2018年4月29日閲覧。
  7. ^ a b Ministerio de Seguridad Pública (2015年). “Direcciones de la Fuerza pública”. 2018年4月29日閲覧。
  8. ^ Ministerio de Seguridad Pública (2015年). “Fuerza pública”. 2018年4月29日閲覧。
  9. ^ Manuel Estrada (2015年8月17日). “Agentes de la UEI entre los mejores de América”. 2018年4月29日閲覧。
  10. ^ Holden 2006, p. 221.
  11. ^ Montes 2000.
  12. ^ Badri-Maharaj 2017.
  13. ^ a b Wertheim 2013, pp. 145-146.

参考文献[編集]

関連項目[編集]