120mm迫撃砲 RT

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
射撃を行う120mm迫撃砲

120mm迫撃砲 RTフランス語: Mortier 120mm Rayé Tracté Modèle F1,MO-120-RT-61)は、フランストムソン-ブラーント社が開発した迫撃砲口径120mmで、従来の軽榴弾砲に匹敵する射程を備えることで知られている。射程約10数Km。

来歴と設計[編集]

陸上自衛隊が運用する、牽引状態の120mm迫撃砲RT

開発は、トムソン-ブラーント社によって行なわれた。なお、同社はタレス・グループEADS合弁事業であったが、のちにTDA社と改名し、2005年以降はタレス・グループの100パーセント子会社となっている。

107mm迫撃砲と同様にライフル砲身であるが、107mm迫撃砲と異なり牽引用のタイヤを装備しており、移動・展開が容易である。このタイヤは、射撃の際に取り外す必要はない。牽引時は専用のフックを砲口に取り付けて使用するが、通常の砲より軽量であるため、必ずしも砲兵トラクターを使用する必要はなく、陸上自衛隊では高機動車を改造した重迫牽引車、アメリカ海兵隊ではグロウラーITVが使用されている。

砲身後部の撃針は可動式で、切換位置によって射撃方法を選択できる。撃針を突出させておけば墜発式(砲口から装填された砲弾がすぐに発射される)、逆に後退させておけば拉縄式(装填された砲弾は砲身後端にとどまり、砲手が任意のタイミングで撃発用のロープを引っ張り発射させる)となる。

運用[編集]

本砲は、1980年代後半よりフランス陸軍において採用されている。フランス陸軍においては、VAB装甲車から派生したVTM-120(Véhicule Tracte Mortier de 120 mm)牽引車によって牽引されており、1個射撃は、車両の乗員2名と砲員4名の合計6名より構成される。平時は砲兵連隊に8門ずつ配置されて、榴弾砲MLRSを補完しているが、戦時の際は本来の所属である歩兵連隊に配備されて運用される。

アメリカ海兵隊[編集]

アメリカ海兵隊で運用される120mm迫撃砲RT。手前の砲手が撃発ロープを引っ張っているのに注意されたい。

HIMARSM777 155mm榴弾砲を補完する小型・軽量な間接照準火力として本砲に着目し、M327 EFSS(Expeditionary Fire Support System)として、2009年3月より運用を開始した。

また、LAV-Mの後継となる自走迫撃砲としてLAV-EFSSも開発されている。これは、LAVシリーズの車体をベースに、自動装填装置を搭載して発射速度を向上させたXM326 ドラゴンファイア-II迫撃砲を搭載したものである。

陸上自衛隊[編集]

普通科教導連隊保有の120mm迫撃砲RT
高機動車で120mm迫撃砲を牽引する陸上自衛官

M2 107mm迫撃砲の後継として1992年(平成4年)度から採用しており、豊和工業ライセンス生産している。陸上自衛隊では、牽引車両として高機動車を改造した重迫牽引車を使用するほか、自走型として、96式自走120mm迫撃砲も開発・配備されている。現在も調達を続けており、24年度は3門調達予定である[1]。調達価格は約3,400万円である。

普通科の中では最大の火砲で、普通科連隊重迫撃砲中隊に配備されているほか、その機動性から第1空挺団空挺特科大隊が装備している。空輸の際は、重迫牽引車ごとCH-47Jによりつりさげされて空輸される。また、水陸機動団の特科部隊にも装備が予定されている[2]

一般公募で付けられた愛称は「ヘヴィハンマー」だが、他の装備と同様に愛称は部隊内では使われず、隊員達からは「120モーター」「120迫(ひゃくにじゅっぱく)」などと呼ばれている。

陸上自衛隊の120mm迫撃砲 RT調達数[3]
予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数
平成4年度(1992年) 47門 平成14年度(2002年) 11門 平成24年度(2012年) 3門
平成5年度(1993年) 55門 平成15年度(2003年) 6門 平成25年度(2013年) 2門
平成6年度(1994年) 53門 平成16年度(2004年) 6門 平成26年度(2014年) 1門
平成7年度(1995年) 52門 平成17年度(2005年) 6門 平成27年度(2015年) 2門
平成8年度(1996年) 38門 平成18年度(2006年) 4門 平成28年度(2016年) 5門
平成9年度(1997年) 42門 平成19年度(2007年) 4門 平成29年度(2017年) 6門
平成10年度(1998年) 27門 平成20年度(2008年) 4門  
平成11年度(1999年) 27門 平成21年度(2009年) 4門
平成12年度(2000年) 22門 平成22年度(2010年) 4門
平成13年度(2001年) 11門 平成23年度(2011年) 1門 合計 443門

諸元・性能[編集]

諸元

性能

  • 俯仰角: 30-85度
  • 旋回角: 左右14度
  • 最大射程: 約8,100m(通常弾), 約13,000m(RAP弾:ロケット補助推進弾)
  • 発射速度: 通常時6発/分、最大20発/分[4]

砲弾・装薬



採用国[編集]


登場作品[編集]

アニメ・漫画[編集]

ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
特地に持ち込まれた自衛隊武器として登場、新生龍を倒すために使用される。

小説[編集]

『日本北朝鮮戦争 自衛隊武装蜂起』
車両に牽引され、総理大臣官邸前に展開する。
また、小説内では「一二〇ミリ榴弾砲」と表記されているが、これは誤りである。

脚注[編集]

  1. ^ 当初の計画での配備により充足完了していた部隊の砲は新編部隊(1連隊重迫中隊の再編及び新編部隊である50連隊-52連隊)への管理替えなどで現在のところ各部隊共に完全充足しておらず、現在は引き続き必要数の調達が主体の他、52連隊の重迫小隊が中隊編成(16門による完全編成へ準備中)への拡充や水陸機動団特科部隊への配備予定である事から引き続き調達は行われる予定
  2. ^ 駐屯地機関紙「湯布院」第29号(pdf) - 陸上自衛隊湯布院駐屯地
  3. ^ 防衛白書の検索
  4. ^ MO 120mm RTF1(フランス陸軍)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]