M110狙撃銃

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M110 SASS
M110 ECP Left.jpg
M110 Semi Automatic Sniper System
M110 SASS
種類 狙撃銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 ナイツアーマメント
仕様
種別 セミオートマチックライフル
口径 7.62mm
銃身長 20インチ(508mm)
ライフリング 5条右回り 1:11
使用弾薬 7.62x51mm NATO弾
装弾数 10/20発箱形弾倉
作動方式 作動:ダイレクト・インピンジメント方式
閉鎖:ロータリーボルト式
(マイクロロッキングラグ型)
全長 46.5インチ(1,118mm)※床尾板最大伸長時
40.5インチ(1,029mm)※床尾板収納時
重量 15.3ポンド(6.94kg)※光学照準器および二脚、20連弾倉装着時
銃口初速 2,570フィート/秒(783m/秒)※M118LR弾(175グレイン)使用時
有効射程 800m
歴史
設計年 2007年
製造期間 2007年-
配備期間 2008年-
配備先 アメリカ陸軍
関連戦争・紛争 アフガニスタン紛争 (2001年-)
イラク戦争
2006年東ティモール危機
第二次インティファーダ
製造数 4,400
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M110 SASS(M110 Semi Automatic Sniper System)は、アメリカナイツアーマメント社によって開発されたセミオート式スナイパーライフルである。

2016年には後継のM110Aが採用されているが、M110AはM110とは異なるメーカーが開発した別の銃であり、直接的な関連はない(後述#M110A参照)。

概要[編集]

アメリカ陸軍によりM24 SWSの代替として導入された狙撃銃で、イラク戦争において市街戦が多発した結果、従来のボルトアクション方式の単発狙撃銃では命中精度は高くとも交戦距離の短い近接戦闘が多発する事態においては連射速度の遅さから、イスラム過激派や反米勢力の用いる半自動式狙撃銃ドラグノフに対し不利である、とされたことから、半自動(セミオート)式の高精度自動小銃が狙撃銃として必要であるとの前線部隊からの要望により、SASS(Semi-Automatic Sniper System:半自動狙撃銃システム)の計画名で半自動方式の狙撃銃の選定が行われた。

この計画に応募するために、AR-10およびAR-15自動小銃を設計したユージン・ストーナーによって設立されたナイツアーマメント社では、自社開発のSR-25自動小銃を用に改修したMk.11狙撃銃を更に改修したものを開発した。XM110 SASSの仮制式番号が与えられたこのMk.11改は、作動機構はAR-10およびAR-15のものを踏襲しており、ガスピストンを用いないダイレクトインピンジメント方式ガス圧作動方式を用い、使用弾薬もAR-10と同様の7.62x51mm NATO弾を用いる。ただし、設計の過程としてはAR-10の改良型ではなく、AR-15(M16)の使用弾薬を変更して大口径化したもので、M16と60%の部品互換性がある一方、AR-10とは部品互換性がない。

XM110は2005年9月28日には最終的選考に合格し、2007年5月-6月にかけてニューヨーク州フォートドラムにおいて第10山岳師団によって最終的な実用試験を受け、2007年にはアメリカ陸軍の「U.S. Army award as one of the "Best 10 Inventions"」を受賞している[1]2008年M110 SASSとして正式に採用され、同年4月にはアフガニスタンにおいて初めて実戦で使用された。以後、2009年までに約4,400丁が導入された。

M110は米陸軍のみが採用しているが、原型であるSR-25の改良モデルであるMk.11 Mod.0アメリカ海軍特殊部隊SEALsアメリカ海兵隊が運用している。Mk.11とM110の相違点は、Mk.11はサプレッサーサイレンサー)システムを装着して運用することが基本となっているためにサプレッサーが一体型となっていること、オプション装備を装着するためのレイルシステムの形状が異なること、銃床が調整機能のない完全固定式であること、バックアップ用のアイアンサイト(固定式サイト)のうちフロントサイトの装備位置といった点が異なる。

M110の採用を受けて、米海軍と海兵隊では既存のMk.11のアッパーアセンブリ(銃身部および機関部)のみをM110のものに入れ替えたものをMk.11 Mod1、M110と同一仕様のものをMk.11 Mod2の名称で導入し、既存のMk.11の改修/更新用として使用している[2]

5.56x45mm NATO弾を使用するM16がベースとなっているため、7.62x51mm NATO弾を使用するには剛性が不足しており、寿命が短いとの評価もあり、後述のM110A開発の理由の1つとなった。

特徴[編集]

サプレッサー装着状態

M110は基本的に原型のSR-25と同一だが、セレクター、マガジンキャッチおよびボルトリリースボタンは左右両面から操作できるものに変更されている。

銃腔内にクロムメッキの施された20インチ(508mm)長のマッチグレード(競技用規格)肉厚銃身を用い、銃身は根元の薬室接続部以外はどの部品にも接続されていないフリーフローティング方式になっており、ハンドガードもレシーバーの前部とのみ結合していてバレルとは接続されておらず、銃身に外部からの力が掛からない構造になっている。これらの特徴により、射撃精度は0.75MOA(100ヤードの距離で約0.75インチの円内に集弾)という、半自動式小銃としては極めて優秀な精度を持つ。

レシーバートップやハンドガード部にMIL-STD-1913規格の20mm ピカティニー・レールが搭載されており、各種オプションパーツがマウント可能である。原形のSR-25やMk.11 Mod0とは異なり、レールはハンドガードをアッパーレシーバーに固定するバレルナット部で分断されず、ハンドガード先端からアッパーレシーバー後端まで繋がった一体型になっており、ハンドガード最先端部には折畳式のフロントサイトが格納されている。銃床は一体型の固定式だが、バットプレート(床尾板)が調節可能になっている(調節ダイヤルは銃床右側面後部にある)。この他、ハリス社製折畳式二脚を装備する。

光学照準器は標準でLeupold 3.5-10倍可変スコープを搭載し、夜間戦闘用にはAN/PVS-26もしくはAN/PVS-10暗視装置付き光学照準器を使用する。Mk.11ではスコープマウントはマウントリングが2つある分割式だが、M110では一体型となっている。サプレッサーは直接装着式のものが用意されており、銃口部のフラッシュハイダーを取り外すことなくそのまま装着して使用できる。

なお、イラク戦争で用いるために導入されたこともあり、M110はタンカラー(ダークアース)が標準仕様となっており、タンカラー以外のカラーバリエーションはない。

M110A[編集]

2011年4月、アメリカ陸軍はM110についての運用部隊の不満点を纏めたレポートと要求される改善点のリストを作成し、ナイツアーマメント社を筆頭とした各社に提示した。これによれば、現在使用中のM110はその大半に大規模なオーバーホールが必要であり、また、その修繕点はM110の構造的な問題、構成部品の耐久性や寿命が低い点に起因しており、更に、市街戦で使用するには全長と重量が過大である、とされた。

2012年7月より、米陸軍はM110の更新を図るためにCSASS(Compact Semi-Automatic Sniper System:コンパクト半自動狙撃銃システム)計画を開始し、2014年にはドイツH&K社により開発されたマークスマンライフルG28の改修型がG28Eの名称でCASSSの採用試験に参加するために開発され[3]、選考の結果、2016年4月1日、採用が決定し最大3,643丁の導入が決定した[4]

H&K社では2016年-2017年にかけて、まず15丁を納入し、試験的な実戦配備を行った上で、米陸軍の要求に応じてハンドガード、銃床、銃把、およびサプレッサートリガーシステムに改良を加えてゆく予定で、最終的にM110Aとして制式採用される段階では現行のG28Eとは大きく異なったものになる可能性がある、としている[5]

脚注・出典[編集]

  1. ^ KNIGHT'S ARMAMENT M-110 SASS(2017年1月13日閲覧)
  2. ^ Mod1/2の導入に伴い、それまで単に「Mk.11」とのみ呼称されていたモデルは、Mk.11 Mod0となった
  3. ^ SOLDIER SYSTEMS>SHOT Show – H&K G28E(2017年1月13日閲覧)
  4. ^ MILITARY BLOG>H&K 社が米陸軍の M110 からのリプレイスを図るセミオート式狙撃銃 (CSASS) コンペに勝利(2017年1月13日閲覧)
  5. ^ MILITARY BLOG>米陸軍の「CSASS」納品に向けて G28 を鋭意改良中のヘッケラー&コッホ社(2017年1月13日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]