グロック17

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グロック17
グロック17
グロック17
概要
種類 軍用・警察用自動拳銃
製造国 オーストリアの旗 オーストリア
設計・製造 グロック
性能
口径 9mm
銃身長 114mm
ライフリング 右回り
使用弾薬 9x19mmパラベラム弾
装弾数 10・17・19・33発
作動方式 セーフアクション(ダブルアクション
ティルトバレル式ショートリコイル
全長 186mm
重量 703g
銃口初速 379m/s
有効射程 50m

グロック17(Glock 17)は、オーストリア銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃口径は9mm(9x19mmパラベラム弾)装弾数は複列弾倉(ダブルカラム・マガジン)による17+1発。

概要[編集]

開発は1980年頃から進められ、1983年に「Pi80」の名前でオーストリア軍の制式拳銃として採用された。この民間用モデルとして、1985年アメリカで販売されたものがグロック17である。17とは、当時としては多かった17発の装弾数をアピールしたものだと言う説や、製作するにあたって獲得した17件の特許の数であるという説、また、グロック社の17番目の製品であるなどの説がある。

グロック社は元々銃器メーカーではないため、その機構や設計思想はそれまでの軍用拳銃のスタイルにとらわれないものであり、発表当時は特殊な機構や材質、デザインから敬遠されたが、現在では軍用、警察用として本国のオーストリア以外にも、フィンランドスウェーデンインドアメリカFBIなどの法執行機関に採用されている。

後の銃器開発にも影響を与え、樹脂素材の多用やストライカー方式によるダブルアクションなどこの銃のスタイルに近いCz100アランHS2000S&W シグマが開発されている。特に模倣が酷かったシグマでは、スミス&ウェッソンがグロックに提訴される事態も起きた。

歴史[編集]

グロック17(第1世代)
グロック17(第2世代)
グロック17C(第3世代)
後面から見たグロック17

グロック社は、ガストン・グロック1963年オーストリアウィーン近郊にあるヴァグラムに創設した企業で、元々機関銃ベルトリンクや軍用ナイフなどを生産していた。火器そのものの開発は行っていなかったが、1980年に始まったオーストリア軍新制式採用トライアルを受けて拳銃の開発を始めた。

特徴[編集]

グロックにはそれまでの軍用拳銃には見られなかった革新的機構が搭載されていた。

プラスチックの多用[編集]

フレームや、トリガーとその周辺機構、弾倉外側がプラスチック製となっている。他にも、強度上問題が無い部分にプラスチックが使われている。成型の容易さから生産性が向上し、軽量になったほか、寒冷地で使用する場合、冷えた金属に皮膚が張り付く事故を防ぐことができる。

グロックシリーズに使われているプラスチックはポリマー2と呼ばれる材質で、ガストン・グロックの発明品である。摂氏200℃から-60℃の環境下でもほとんど変質しないと言われている。一般的なプラスチックよりも柔らかく、相当な強度を誇る。しかし、成型に難があり、日用生活品などには向かない。なお、グロック社は独自の方法でフレームの成型をしている。

フレームが軽量な素材構成の場合、全体の重量が軽くなり反動は大きくなるが、グロックのフレームに採用されている素材は、ある程度の柔軟性を持たせることで衝撃を緩和している。また、銃口とグリップの距離(ボアライン)が近いため、他の同クラスの銃に比べ跳ね上がりは少なく、移動距離の短いトリガーとともに連射をしやすくしている。

ただ、発売されて30年がたっているため、古い個体ではプラスチックの経年劣化が現れているとの指摘もある[1]。さらに、アンダーレール付きの第3世代フレーム採用機種では、フラッシュライトレーザーサイトを過度な締め付けで取り付けた場合、フレームが歪み作動不良を起こす例があったことから、金属製フレームという、グロックの特徴を捨てたカスタムパーツも存在する。この問題はグロック社純正の第4世代フレームでは解消されている。

特殊な撃発機構とセーフティ[編集]

グロックの引き金の機構は、大別するとダブルアクションオンリー(DAO)に属するが、グロック社による「セーフアクション」と呼ばれる特殊なメカニズムを持つ。そのため一般的なDAOピストルと違い、連続して空打ちできず、空打ちするにはスライドを2-3cm引き、撃針をハーフコック(半後退)させる必要がある。

スライドを操作し初弾を装填すると、撃鉄兼撃針であるストライカーが半分程後退した位置でシアによってロックされる。このポジションでは、ストライカーは、シア及びファイアリングピン・セイフティにロックされているので暴発の危険性はない。ストライカーが前進している場合は引き金は後退しており、引き金が引けないようになっている。スライドを引いて撃発可能なハーフコックの状態では引き金は前進位置になるため、これでストライカーの位置が確認できる。

引き金を引くと、それに連動してシアがストライカーをフルコックの位置まで後退させた後、解放して撃発する。発射に伴う作動を終えると、ストライカーはシアによりフルコックの位置で保持される。この状態では引き金をほんの少し戻すだけで、シングルアクション並みの短いストロークで連射することができる。引き金を完全に戻すと、ストライカーはシアとともにレストポジションまで前進し、安全に保管可能となる。

また、通常のDAOより引金の引き代が短いため、安全のためトリガーセーフティが設けられている。これは引き金の中央部分にもう一つの引き金が挟み込まれたような構造で、安全装置は引き金を引く方向とは違う角度で解除されるため、射手の指以外の物体が誤って引っかかっても容易に引き金が動かないようになっている。他の銃と比較してトリガーガード内のスペースが狭くデザインされ、手袋などをした場合には障害となる場合があるが、異物が入り難い構造にもなっている。この安全機構は弾薬を装填した状態で安全に携行できる反面、弾薬の装填を確認しないで操作しようとしたり、発射の意思がないのに不用意にトリガーに触るような扱いは想定していない。

当時回転式拳銃を使用していたニューヨーク市警の装備改変の際に制式採用されたが、ダブルアクションの重い引き金に慣れた現場の警官たちの暴発事故が増えているという意見により、スプリングを交換して引き金の重さを強めたNY市警向けのモデルが開発された。グロックを採用した警察などの公用機関の一部では、このような対応は取らずに、従来型のマニュアルセーフティを備え価格も手ごろなS&WM39系やM59系の自動式拳銃に装備を改めた例もある。

設計・デザイン[編集]

銃全体のレイアウトでは、ストライカー方式を採用して銃身の位置を下げ、グリップの角度を大きく取ることで反動を受ける位置を銃身に近くし、発砲時の銃口の跳ね上がりが抑えられる設計となっているが、握り方によっては銃口が上を向きやすいとの批判もある。突起物や凹凸の少ないデザインとすることで衣服への引っ掛かりや異物の侵入を防いでいる。内部構造ではラウンド形状のライフリングを採用することで、銃身の耐摩耗性を向上させた。

金属部には同社の軍用ナイフのノウハウを活かした熱処理がされた硬度の高い鋼材を採用することで耐久性を向上し、同ナイフでも採用されている強力な防錆処理によって耐食性を高めているので、ステンレスモデルは存在しない。

弾倉[編集]

金属製の本体の上にプラスチックの外装を被せているため、寒冷地などで冷えた弾倉を掴んで凍傷を負う危険がなくなった。

購入時の付属品である通常の弾倉の他、マガジンエクステンションを付ける事で装弾数を二発増やす事が可能。また、幾つかの口径に対応するロングマガジンがあり、9mmは33発、.45ACPが25発、.40S&W.357SIGでは共用可能でどちらも29発となっている。素材の性質上、全弾装填すると膨張し、その状態でキャッチボタンを押しても自然に滑り落ちてこないが、最新のモデルではグリップ前に切り欠きがあり、弾倉をつまんで引き降ろすことができる。

グロックに関する誤解[編集]

  • グロック17が発売されて間もない頃、その特徴的な素材構成と機能のため「手荷物検査で発見できない、高価なハイジャック犯御用達の拳銃」という流説が一時的にあったといわれているが、実際はスライドや銃身、弾薬などが金属製のため容易に発見できる。後にグロック社はフレーム材にX線造影剤を添加し、銃の全体像がX線に映るよう対策をとっている。
  • プラスチック素材を使った最初の銃」として認知されることが多いグロックだが、フレーム前半にプラスチック材を用いたH&K P9の方が先発であり、鋼材フレームの上に樹脂製ボディを被せたH&K VP70も存在した。順番の誤解は、これらの銃器が知名度に劣ることによる。「プラスチック素材使用の銃で商業的成功を収め」また、「フレーム全体がプラスチック素材となっている銃」はグロックが最初ということになる。

バリエーション[編集]

多くのバリエーションが展開されており、各サイズそれぞれに各口径のモデルが用意されている。製品名は口径やサイズに関係なく、最初のモデルであるグロック17から発売順に「グロック17、グロック18、グロック19…」と命名されている。 また、シリーズ全体を通したマイナーチェンジもたびたび行われている。

  • 第2世代
グリップに滑り止めのチェッカリングが追加された。
  • 第3世代
アンダーマウントレイルと、握った際に指を正しいポジションへ誘導するためのフィンガーチャンネルが追加されている。
  • 第4世代
滑り止めがチェッカリングからドットパターンに変更され、マガジンおよびマガジンキャッチが左右入れ替え対応になり、リコイルスプリングの二重スプリング化に伴いダストカバーが薄くなった。また、グリップを従来より細くし、厚さの異なる2種類のバックストラップ(付属)を装着することで、グリップサイズを3段階に変更可能となった。それに加えてバックストラップの種類によってはビーバーテイルのある物もある。

小さいモデルはより大きなモデルで使えた弾倉をそのまま使う事ができ、グロック26に17のマガジンを使った場合、通常+7発のロングマガジンとして扱える。また、ほとんどのモデルに反動軽減用のコンペンセイター内蔵モデルが存在し、搭載モデルはグロック17Cのように型番の後にCが付く。

グロック20 / 21 / 22 / 31 / 37[編集]

グロック21

グロック17直系の別口径モデル。使用弾薬は次の通りになっている。()内はノーマルマガジンの装弾数。

20/21は大口径モデルであり、全長が193mmに伸びている。

グロック17L / 24[編集]

グロック17を競技用にするために長銃身にしたモデル。全長225mm、重量748g、装弾数17発。G34の発売を受け、生産は終了している。 軽量化などのため、スライド上部に肉抜き加工が施されている。命中精度のよさなどから、FBIにも愛用者が居る。24は17Lの.40S&Wモデル。全長225mm、重量757g、装弾数15+1発。

グロック18 / 18C[編集]

グロック17にフルオート機構を搭載したモデル。オーストリア国家憲兵隊に属する精鋭の対テロ部隊GEK COBRAの要請によって開発された。小型である上にポリマーフレームが軽量なため連射時の反動は大きく、集弾性は低い。そのためカスタムパーツとして折りたたみストックが存在する。外観はグロック17と殆ど変わらないが、スライドの左後方にセミ/フルオートの切り替えレバーがある。グロック18Cは、グロック18でスライドから吐出した銃口部に装備されていたコンペンセイターをスライド内の銃身上部に開口する形状に改めるなどした改良型で、グロック18で問題視された反動もやや抑えてある。犯罪に利用されないよう一般への販売が禁止された公的機関限定モデルであるが、特殊な許可(クラスIIIウェポンディーラー)を取った上でグロック17にフルオート機能を追加したスライドと銃本体を別々に登録する事によって、民間人でも同じ機能の銃を所持することは可能(あくまでも同じ機能であり、登録上はグロック17の改造銃になり、グロック18としての登録ではない)全長186mm、重量703g、装弾数17/19/31/33発、発射速度1,200発/分。

グロック19 / 23 / 25 /32 /38[編集]

グロック19

グロック17直系のコンパクトモデル。

ベースとなる19では全長174mm、重量595g、装弾数15+1発。19は日本警察SATで採用されているとされる。

グロック26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 33 / 39[編集]

グロック30のマズルフラッシュ

グロック19をさらに小型化した超コンパクトモデル。米国でAWB(連邦攻撃武器規制)のあおりを受け、装弾数11発以上の新規生産された銃が規制されることになったため、逆に装填数を10発以下に抑えた上で自然なサイズになるよう小型化したモデル。AWB失効後は通常サイズ用のダブルカラムマガジンも使用できるため超コンパクトモデルにロングマガジンということも可能になった。なおオリジナルマガジンはかなり小型な為フィンガーチャンネルが下部に装着してある(これが無いと小指が握り締められない)

ベースの26は全長160mm、重量560g、装弾数10+1発。大型弾を使用する29、30は全長が172mmに伸びる。

グロック36[編集]

上記グロック30の改良型。元々30は大口径のため、ダブルカラムのマガジンではグリップが太くなり、比較的握りにくく、携帯にも不便だった。そこでグロック社はあえてシングルカラムにして装弾数を少なくしながら、握りやすく、携帯性を高めた36を販売した。

全長172mm、重量638g、装弾数は6+1。フルサイズの21とマガジンの共有は出来ない。

グロック34 / 35[編集]

グロック17LをIDPA競技会の基準に合うよう小型化し、改良を加えた競技用モデル。ダストカバーの先端がカットされ、ガイドロッドカバーが露出している。全長207mm、重量728g、装弾数17+1発。

35は24同様の.40S&Wモデル。

モデルの一覧[編集]

弾薬 標準 小型 超小型 携帯用 長銃身 競技用 連射
9mmパラベラム 17 19 26 - 17L 34 18
10mm Auto 20 - 29 - - - -
.45ACP 21 - 30 36 - - -
.40S&W 22 23 27 - 24 35 -
.380ACP - 25 28 - - - -
.357SIG 31 32 33 - - - -
.45GAP 37 38 39 - - - -

コンペンセイター内蔵モデル[編集]

弾薬 標準 小型 連射
9mmパラベラム 17c 19c 18c
.40S&W 22c 23c -
10mm Auto 20c - -
.45ACP 21c - -
.357SIG 31c 32c -

登場作品[編集]

グロック17の遊戯銃[編集]

グロック17のモデルガン(タナカワークス製)
タナカのグロックロゴのモデファイ。矢印部分が違う

日本で初めて商品化されたのはMGC製ブローバックガスガンで、エアソフトガンでは初めて発射とブローバックを一工程で行う機構を採用した。

その後、東京マルイタナカワークスKSCなど様々なメーカーから発売されており、特にKSCは、2014年現在で最も多くのバリエーションを展開している。過去には国際産業啓平社からも発売されていた。商標上の問題からか、メーカーによっては、スライドやフレームの「GLOCK」ロゴがアレンジされたものとなっている。例えば、KSC製品は初期や現在製造されている物は「GLOCK」であるが一時的に「G」のみとなっていた。タナカワークス及びマルシン工業製品は、ロゴをよく見ると「CLOCK」になっている。

実物のグロックは反動吸収の為に質感の柔らかいプラスチック素材を用いているが、これは遊戯銃の主要な材質であるABS樹脂やヘビーウェイト樹脂よりも柔らかいため、ほとんどの遊戯銃はフレームが実物よりも硬い。

実物のグロックは、エアソフトガンの自主規制上必要となる能動的なマニュアルセーフティを持っていない為、実物どおりの通常分解を再現せずにテイクダウンレバーをセーフティとする(各社エアコッキングガン)、トリガーセーフティにマニュアルセーフティとしての機能を設ける(KSC製品)、フレームのシリアルナンバープレートをスイッチとする(東京マルイ製ブローバックガスガン)などの対策が取られている。独特な引き金機構であるセーフ・アクションに関しても、エアソフトガン、特にエアコッキングガンとブローバックガスガンでは構造上再現が困難なため、トリガーをシングルアクションとして内蔵ハンマー式に変更するなど、内部構造でのアレンジが行われている。モデルガンでは発射機構の大幅な変更を必要としないため、タナカワークス製モデルガンではセーフ・アクションが再現されている。

また、東京マルイが発売しているガスガンのグロック26は、ロングバレル・コンペンセイター・グリップエクステンションを追加したオリジナルカスタムの「グロック26アドヴァンス」も発売している。

.45ACPを使用する大型フレーム採用機種の遊戯銃化はマルシン工業のグロック21のみであるが、KSCはクリス ヴェクターをラインナップ内に持つ関係上、グロック21を弾倉のみ商品化している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 素材開発元のデュポン社は、引っ張り・引き裂き・捩れといった強度に関する特性は金属に劣らず、可塑成分の揮発や紫外線の影響などによる強度の低下の少なさは従来の合成樹脂を大きく越えると主張している