ティム・バーナーズ=リー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ティム・バーナーズ=リー
ティム・バーナーズ=リー(2005年)
生まれ 1955年6月8日(54歳)
イギリス ロンドン
職業 計算機科学者
ウェブサイト
Tim Berners-Lee

ティモシー・ジョン・バーナーズ=リーSir Timothy John Berners-Lee, OM, KBE, FRS, FREng, FRSA, 1955年6月8日 - )は、イギリス計算機科学者ロバート・カイリューとともに、World Wide Web(WWW)のハイパーテキストシステムを考案・開発した人物である。URLHTTPHTML の最初の設計は彼によるもの。

目次

[編集] 経歴

黎明期の電子計算機の一つである Manchester Mark Iの開発チームに参加していた数学者夫妻コンウェイ・バーナーズ=リーとメアリー・リー・ウッズの許、ロンドンに生まれる。

1973年にロンドンのエマニュエル校を卒業後、オックスフォード大学クイーンズ・カレッジに進学し物理学を専攻。在学時には自身最初のコンピュータをはんだごてTTLゲート、M6800プロセッサ、中古のテレビ受像機を使って組み立てたこともあり[1]、大学のコンピュータで友人とハッキングをして使用禁止にされたりもしたという[2]1976年に卒業後、英プレッセイ電信電話会社に2年間勤務。分散トランザクションシステムやメッセージ転送、バーコード技術などを担当した。1978年に英 D・G・ナッシュ社に転職し、インテリジェントプリンタ用のソフトウェアやマルチタスクOS などを開発した。

その後会社を辞めて個人でコンサルタントを営み、1980年6月にスイスジュネーヴ欧州原子核研究機構(CERN)にソフトウェア技術のコンサルタントとして6ヶ月間在籍した。バーナーズ=リーは数千人に上る研究者や参加者に効率よく情報を行き渡らせるためのシステム開発を命じられるが、折しもバーナーズ=リーは個人的開発作業の一環として、ランダムに他の文書と連結できる仕組みを持ったENQUIREを開発していた。公表はされなかったものの、WWW の概念の基礎となるものであった。

バーナーズ=リーが CERN で使用したNeXTcube。初のWebサーバとなった。

1981年から4年間英イメージ・コンピュータ・システムズ社の技術デザインの責任者を務めた後、1984年にCERNへ復帰すると科学データ閲覧のための分散リアルタイムシステムに関する業績でフェローシップを贈呈される。1989年3月、後にWWWへ発展することになる、CERN内の情報にアクセスするためのグローバルハイパーテキストプロジェクトの提案を公式に行う[3]。上司Mike Sendallや同僚ロバート・カイリューの支援も受け、1990年11月にはより具体化した提案書 "WorldWideWeb: Proposal for a HyperText Project" を提出[4]。同年12月にNEXTSTEP上で世界初のWebサーバであるhttpdと世界初のウェブブラウザHTMLエディタであるWorldWideWebを構築する[5]

1991年8月6日には「World Wide Web プロジェクトに関する簡単な要約」をalt.hypertext ニュースグループに投稿[6]。この日、WWWはインターネット上で利用可能なサービスとしてデビューした。同日、世界最初のウェブサイト http://info.cern.ch/ が設立されている。公開に際しては社会全体への貢献を第一に考え、特許を一切取得せず使用料も徴収しなかった。CERNは1993年4月30日、WWW を誰に対しても無償で開放することを発表した[7]

1994年マサチューセッツ工科大学に着任した直後 World Wide Web Consortium(W3C)を設立。WWWの仕様や指針、標準技術を策定・開発することで、WWWの可能性を最大限に導くことを目的としている。1999年MITコンピュータ科学研究所内の 3Com 創業者会会長に就任。2004年12月にはサウサンプトン大学電子コンピュータ科学部の学部長兼教授に就任し、次世代のWeb技術として、Semantic Web技術の標準化を進めている。

2007年現在マサチューセッツ州レキシントンに在住し、W3CのディレクターとしてWWWに使用される各種技術の標準化を進める傍ら、MITコンピュータ科学・人工知能研究所の上級研究科学者を兼務し分散情報グループ(Decentralized Information Group, DIG)の指揮を取っている。

2009年 World Wide Web Foundationを設立する予定。[8]

[編集] 栄誉

[編集] 著書

  • Tim Berners-Lee, Mark Fischetti, Weaving the Web: The Original Design and Ultimate Destiny of the World Wide Web by Its Inventor, HarperSanFrancisco, 1999, ISBN 0-06-251586-1
  • Tim Berners-Lee, Wendy Hall, James A. Hendler, A Framework for Web Science, Now Publishers, 2006, ISBN 1-933019-33-6

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ Berners-Lee, Tim. "Longer Bio for Tim Berners-Lee" (英語). World Wide Web Consortium. 2007年7月20日 閲覧。
  2. ^ "Tim Berners-Lee / Great British Design Quest : Software Engineer (1955-) - Design/Designer Information" (英語). Design Museum. 2007年7月20日 閲覧。
  3. ^ Berners-Lee, Tim (1989-03). "The original proposal of the WWW, HTMLized" (英語). World Wide Web Consortium. 2007年7月20日 閲覧。
  4. ^ Berners-Lee, Tim; Robert Cailliau (1990-11-12). "WorldWideWeb: Proposal for a HyperText Project" (英語). World Wide Web Consortium. 2007年7月20日 閲覧。
  5. ^ Berners-Lee, Tim. "Tim Berners-Lee: WorldWideWeb, the first Web client" (英語). World Wide Web Consortium. 2007年7月20日 閲覧。
  6. ^ WorldWideWeb: Summary - alt.hypertext, Googleグループ
  7. ^ "10 Years Public Domain" (英語). 欧州原子核研究機構. 2007年7月20日 閲覧。
  8. ^ http://www.webfoundation.org/
  9. ^ "1996年「C&C賞」(平成8年度)受賞者の決定について". C&C財団 (1996-09-20). 2007年7月15日 閲覧。
  10. ^ "MIT scientist Timothy Berners-Lee with $270,000 MacArthur Fellowship" (英語). マサチューセッツ工科大学 (1998-06-02). 2007年7月15日 閲覧。
  11. ^ "WWW発明のバーナーズ・リー氏、Millennium Technology Prize受賞". ITmedia (2004-04-16). 2007年6月14日 閲覧。
  12. ^ "WWW発明のバーナーズ・リー氏にナイトの称号". ITmedia (2004-07-16). 2007年6月14日 閲覧。
  13. ^ Sturgeon, Will (2005-02-01). "T・バーナース・リー、「Greatest Briton 2004」を受賞". CNET Japan. 2007年6月14日 閲覧。
  14. ^ Schorow, Stephanie (2007-01-05). "Tim Berners-Lee receives Draper Prize" (英語). マサチューセッツ工科大学. 2007年6月14日 閲覧。
  15. ^ "Web inventor gets Queen's honour" (英語). BBCニュース (2007-06-13). 2007年6月14日 閲覧。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ