イーサネット

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TCP/IP群
アプリケーション層

BGP / DHCP / DNS / FTP / HTTP / IMAP / IRC / LDAP / MGCP / NNTP / NTP / POP / RIP / RPC / RTP / SIP / SMTP / SNMP / SSH / Telnet / TFTP / TLS/SSL / XMPP

カテゴリ
トランスポート層

TCP / UDP / DCCP / SCTP / RSVP / ECN

カテゴリ
ネットワーク層

IP (IPv4, IPv6) / ICMP / ICMPv6 / IGMP / IPsec

カテゴリ
リンク層

ARP/InARP / NDP / OSPF / トンネリング (L2TP) / PPP / MAC (イーサネット, IEEE 802.11, DSL, ISDN, FDDI)

カテゴリ

イーサネット (Ethernet) はコンピューターネットワークの規格の1つで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されているLAN (Local Area Network) で最も使用されている技術規格である。

現代のLANでは、主に物理的な規格である「イーサネット」と、通信内容の取り決めを決めた「TCP/IPプロトコル」の組み合わせが一般的である。

概要[編集]

イーサネット規格は技術の進歩に合わせて毎年のように新たな規格が登場している。初期の同軸ケーブルによるLANから発展を続け、今日では世界中のLANの多くがイーサネット規格を採用し、より広い範囲のネットワークであるMANWANでも一部の技術は「広域イーサネット」という名称でイーサネット規格を取り込み始めている。

イーサネット規格の基本仕様は、7層あるOSI基本参照モデルの下位2つの層、物理層データリンク層相当で規定されている。

イーサネットの発展 下の小さな箱は元ライバル達[1]

本項目の後半部で示すように、物理層は伝送速度の違いや物理的な仕様により多種の規格に分かれるが、データリンク層は、世代交代を重ねて来た新旧の規格同士の間にも互換性があり、新旧装置の混在環境でも部分的に低速なネットワークとして機能する。通信速度は、初期の10Mbps(ビット毎秒)の10BASE-Tから、その10倍の100Mbpsの伝送能力がある100BASE-TXが普及し、今日では1Gbpsの1000BASE-Tが普及しつつある。また、新たな規格として10GBASE-T(UTPによる10ギガビット・イーサネット《10GbE》)規格が決定された。さらなる高速規格として40ギガビット・イーサネット (40GbE) や100ギガビット・イーサネット (100GbE) などが国際的な通信規格について話し合う組織であるIEEEにおいて調整段階にある。

名称の「イーサ、ether」は、古典物理の時代に光の媒質として宇宙の隅々まで満たしているのではないかと考えられた仮想の物質、「エーテル」(Ether、Aether) から付けられた[2]

日本では、「Ethernet」、「イーサネット」は富士ゼロックス商標登録している。[3]

歴史[編集]

イーサネットの発想の原点はハワイ大学のノーマン・エブラムソン教授が開発した「ALOHAシステム」と言われている。ハワイ諸島の島々を4,800ビット/秒の無線によるネットワークで結ぶシステムであった[1]

最初のイーサネットはALOHAシステムのアイデアに基づいており、1972年 - 1973年にかけて、米ゼロックスパロアルト研究所 (PARC) においてロバート・メトカーフを中心に開発された。1973年5月22日特許として登録したため、この日がイーサネットの誕生日とされる。発明当初の伝送速度は2.94Mbpsで、これは当時開発中のコンピュータ XeroxのAltoのベース・クロック5.88MHzに合わせた為だとされている。ゼロックス社はその後、特許を開放してオープンな規格とし、インテルDECを開発に加えて、1979年、3社の頭文字をとってDIX仕様を制定する。伝送速度は10Mbpsだった。翌年の1980年には、この仕様をIEEE 802委員会に「Ethernet 1.0規格」として提出・公開した。このオープン規格に対して世界中の企業・技術者が技術の仕様策定と製品の開発に加わり、様々な商品が生み出されていった。メトカーフ自身もゼロックス社を退社して米3Com社を創設し、このネットワーク製品開発競争を主導していった。1980年代当時は、米IBM社が「トークンリング」を、米アップルコンピュータ社がAppleTalkという「ローカルトーク」をそれぞれネットワーク製品として強力に推進していたが、結局、規格を公開して多くの賛同者を得たイーサネットが勝ち残った[4]

現在、普及しているイーサネットは、1982年に提案された「Ethernet 2.0規格」を基に、1983年にIEEE 802.3 CSMA/CDとして策定された仕様である。

イーサネット初期の10BASE2/5/-Tの時代は、OS側でのネットワーク・サポートは限定的であり、PCではNovell社のNetWareマイクロソフトLAN Managerといった専用ソフトを購入しないとファイル共有といった基本的な機能すら得られなかった。

1980年代のPCではネットワーク・インターフェース・カード (NIC) やイーサネット・カードと呼ばれるマザーボードに差し込むISA/EISA/NESA形式のドーターカードがオプションで販売されていることが多かったが、1990年代初めにはPCI形式でのカードが用意されるようになり、1990年代後半にはCPUの専用周辺回路であるチップセットに最初から回路の一部が含まれるのが普通になったため、マザーボード上にイーサネットのジャックであるRJ-45が装備されるようになった。この頃にはイーサネットによるLAN機能の実装が当たり前になるとともに、イーサネットという用語そのものを使うことがまれになった。2007年現在では、マザーボードによっては2つのネットワーク・ポートを持つものも珍しくない。

通信技術[編集]

イーサネットは、OSI参照モデルにおける物理層及びデータリンク層を規定するものであり、IEEEによりIEEE 802.3及びその拡張版として仕様が公開されている[5]歴史欄で記したように、1970年に原型が開発され、1980年にIEEEに提出・公開され、1983年にIEEE 802.3として規定されたイーサネットは、50Ω同軸一芯ケーブルを利用し、バス型のトポロジーを持ったネットワークであり、半二重通信で10Mbpsを達成したものである。追って、10BASE2のThin Ethernetケーブル、10BROAD36の75Ω同軸ケーブル、FOIRLでマルチモード光ケーブルが使われるようになり、さらに1BASE5、追って10BASE-TでUTPケーブルが使われるようになり、物理的構成でもスター型構成が採られるようになった。その一方でデータリンク層は、後述するジャンボフレームVLANによる拡張はあるものの、基本的には信号的な互換性があり、メディアコンバータ等を用いて各規格を繋ぎ合わせることで、相互にフレームをやりとりすることができる。

物理層[編集]

OSI参照モデルにおけるレイヤー1(物理層)は、50Ω同軸ケーブルによるバス型接続を基本としている。物理的にはスター型構成をとる場合も、論理的にはバス型構成である。現在はIEEE 802.3の拡張により、UTPケーブルや光ケーブルなど、様々なインフラを利用することができるようになっている。

イーサネットでは、信号を伝送するにあたり変調が行われる。ベースバンド変調を行うものは名称にBASEを、ブロードバンド変調を行うものは名称にBROADをつける決まりとなっている。

マンチェスターコード.PNG

ベースバンド変調では、10BASExではマンチェスターコードが用いられた。マンチェスターコードは、各ビットを示す信号の中央で常に Lo\toHi や Hi\toLo に信号レベルが変化することで伝送の基準となるクロック信号をデータ信号に重ねて送ることができた。他に、100BASE-TXでは8B-6T、1000BASE-Tでは8B/1Q4 (4D-PAM5) など、それぞれ適した変調が用いられる。

初期のイーサネットは論理的、物理的ともにバス型構成であり、複数の端末が1本の同軸ケーブルに接続されていた。多数の端末が繋がっている場合には、任意の端末AとBとの「1対1」の排他的な通信は不可能であり、端末Aから送出されたデータは、同じイーサネットの配線に繋がっている全端末へ届けられる「1対全」の通信方式である。「1対全」の通信である為、既に端末AとBが通信している時に端末Cが新たに送信したい場合は、伝送路の空きを待つ必要がある。複数の端末が接続されている時に、ほぼ同時に送信が行われた場合、衝突することがあり、その場合データが損失する。これを衝突(コリジョン)と呼び、その対策が後に述べるCSMA/CD (Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection) である。CSMA/CDは、ギガビットイーサネット(IEEE 802.3ab等)までサポートされている。

MACフレームの形式 イーサネットの基本的なMACフレームの形式には米デジタル・イクイップメント、米インテル、米ゼロックスが開発した「DIX規格」とIEEE 802.3グループで国際標準化された「IEEE 802.3規格」の2つの形式が存在する。「DIX規格」ではタイプとなっているところが「IEEE 802.3規格」では長さ/タイプとなっているだけが違う。「DIX規格」のほうが広く使用されている。「IEEE 802.3規格」でも「DIX規格」と同じようにタイプを指定できる。

イーサネットでは元の送信すべき通信データをまず一定の長さ以下に分割して、決められた形式による情報の固まりを作り上げる。この情報の固まりをMACフレーム (Media Access Control Frame)、または単にフレームと呼ぶ。イーサネットでは常にMACフレームの形で情報が伝送路を流れている。元の情報が分割されているために、ネットワーク機器は一定の長さ以下の情報を扱うだけで済むため、情報転送に関わるあらゆる処理が非常に単純な作業の繰り返しで済む。

物理的構成[編集]

イーサネットの物理的構成は、PCやルータ等のネットワーク機器(ノード)及びケーブルで組み立てられる。イーサネットは論理的にバス型構成であるため、一つの論理的バスの固まりをコリジョン・セグメント(または単にセグメント、コリジョンドメイン等)と呼ぶ。コリジョンセグメント内のノードは各々電気的に等価であり、全てのフレームが全ノードのネットワークインターフェイスに受け取られる。各ノードのネットワークインターフェイスはMACアドレスを持ち、自分宛でないフレームは廃棄する。また、スイッチングハブ等、レイヤー2以上のネットワークをサポートする機器を利用した場合全二重通信を行うことができる。

セグメント
同じデータが到達するネットワークを「コリジョン・セグメント」または単に「セグメント」と呼び、コリジョン検出の物理的な制約によって最長伝送路長が存在し、物理層のイーサネット規格として規定されている。
一つのコリジョン・セグメント内に多すぎるノードが存在する場合は、後述するコリジョンの発生頻度が加速度的に高まり、閾値を越えたところで帯域が飽和する。
また、機器間の距離が規定より長い場合、データリンクを確立できない可能性がある。
規定された以上の長さの伝送路が必要な場合はリピータまたはリピータが多ポート化したリピータハブにより延長することが可能である。さらにブリッジや、ブリッジが多ポート化したスイッチング・ハブを用いてセグメントを拡張することができる。
全二重通信と半二重通信
「全二重通信」とは、1つの伝送路上の端末間で、常時、送信と受信が可能な通信技術のこと。
「半二重通信」は、各端末は送信か受信のどちらか片方向の通信を、必要に応じて切り替えながらでしか行えない通信技術である。半二重通信では送信・受信の切り替え時に無駄が発生することがある。電話は全二重通信であり、CSMA/CDは半二重通信である。
端末が自分の発した信号さえ把握していれば、受信した信号から送信されてきた信号(とノイズ)だけを得ることは可能であり、伝送路を伝わったエコー成分を消し去るエコーキャンセラ技術によって全二重通信は可能となった。
一般に、PC等の機器間をクロスケーブルで接続する場合や、スイッチングハブ等、データリンク層以上をサポートする機器を介在することで、全二重通信を行うことができる。多くのスイッチングハブは、全二重/半二重を自動で検知し、切り替えることができる機能を持つ(オートネゴシエーション)。
MACアドレス
イーサネット上の各端末を区別するために、製造段階で割り振られる世界中でただ1つ固有の48ビットのMACアドレスを持っている。先頭2ビットはアドレスの種類(ユニキャスト/マルチキャスト、グローバル/ローカル)、続く上位の22ビットはベンダーの固有値(グローバルアドレスの場合。なお、先頭2ビットとあわせて24ビットで表現されることが多い)、下位の24ビットはベンダーが自由に割り振る通し番号。イーサネットの上位に位置する通信規格であるIPプロトコル (IPv4) の32ビットのIPアドレスとは別である。

CSMA/CD[編集]

初回の衝突後では#0と#1の2つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。2回目の衝突後は#0・#1・#2・#3の4つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。3回目の衝突後は#0・#1・#2・#3・#4・#5・#6・#7の8つの待ち時間候補からランダムに選ばれる。同様に10回目の衝突後は#0・#1・#2・#3 - #1022・#1023の1024個の待ち時間候補からランダムに選ばれる。10回目以上の衝突回数後は全て1024個の待ち時間候補からランダムに選ばれる。こうすることで、混み合った場合に各端末が短時間で何度も送信を試みて衝突を繰り返すことを出来るだけ避けるように工夫されている。また各候補は512ビット時間(後述)分の1スロット時間ずつ間隔が空けてある。なお同一セグメント内での端末数の上限数「1024」はこの「1024個の待ち時間候補」から定められた数であり、もし1024の端末全てが再送待ちを行えば必ず衝突が発生することから決められた。

イーサネットを特徴づけるものがCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection ; キャリア検知多重アクセス/コリジョン検出)であり、通信経路上での信号の発送手段を規定している。物理的に類似した他方式、トークンリングの場合は、経路上のノード間でトークンと呼ばれる特殊なパケットを回し、受け取ったノードのみがフレームを送信することができるが、イーサネットでは、各ノードは自由に信号を発信することができる。その一方で信号の衝突が発生するため、通信路上を常に監視し(キャリア・センス)、衝突が検出(コリジョン・ディテクション)された場合は、若干の時間待機した後、フレームを再送する。待機時間はTBEBアルゴリズムで決定する。短所として、たとえ混雑して送信待ちの端末が多数あっても常に通信路に空きが生じるため帯域に無駄が生じる。また、他の通信方式でも同様だが、規格で表されている伝送速度は通信路に流せる全ての情報に対する通信容量であり、フレームの頭に付くヘッダーやプリアンブル、フレーム間ギャップも通信容量を消費するため、ユーザーデータの伝送速度は常に規格の速度をある程度下回る。TCPやIPを使用すればその分のヘッダなどがさらに通信容量を消費する。

キャリア・センス
全ての端末は常に通信路上の信号を受信し、監視している。この機能を「キャリア・センス」(Carrier Sense) と呼ぶ。
フレーム送信後、他のどの端末からもフレームが送り出されていない場合、最後のフレームの末尾から96ビット時間[6]以上待ち、次のフレームを通信路に送出することが許される。この待ち時間をフレーム間ギャップと呼び、このように複数の端末が1つの伝送路を共同で使用する機能を「マルチプル・アクセス」(Multiple Access) と呼ぶ。
コリジョン・ディテクション
たまたまほぼ同時に複数の端末がフレームを送り出した場合は「コリジョン」、つまり衝突が発生してしまう。コリジョンによる信号の乱れを検出した場合は受信中のフレームは破棄され、ジャム信号という特殊な信号を伝送路に送信する。送出中の端末はコリジョンによる自身の信号の乱れを検出するかジャム信号を検出すれば、直ちに送出を停止し送信中だったフレームは送信前の状態に戻される。この機能を「コリジョン・ディテクション」(Collision Detection) と呼ぶ。
コリジョンは、送信側がフレーム送出を終了する前に検出される必要がある。そのため、同一ネットワーク上に接続された2つの端末をつなぐ通信路の総延長とフレームの最小サイズが限定される。つまり、リピータなどを介したケーブルの総延長が最小サイズのフレームを送り終える前に2台の端末間を往復できるだけの長さより短い必要がある。基本的にイーサネットにおける最小フレーム長は512ビット=64バイトであり、送出するデータが小さく、フレーム長が64バイトに満たない場合は、足りない分を0で埋めて64バイトとする。これをパディングと呼ぶ。1000Mbit/s (1Gbps) 以上の通信の場合は、最小フレーム長は4096ビット=512バイトとなり、足りない分を補うダミーデータをキャリア・エクステンションと呼ぶ(後述)。
再送時間の決定
フレームの送出を中止した端末は、擬似乱数によるランダムな時間だけ待った後、通信路が空いていれば、自分のフレームを送出することができる。その際にもし再度衝突が発生した場合は、2n個の待ち時間候補の中からランダムに決定される。この方法は「TBEBアルゴリズム」(Truncated binary exponential backoff algorithm) と呼ばれる。

データリンク層[編集]

イーサネット規格のレイヤー2、つまりデータリンク層では、送信するMACフレームの作成や受け取ったMACフレームの解釈に関する作業を規定している。

レイヤー2(データリンク層)ではLANスイッチ(L2スイッチング・ハブ)がMACフレームを中継する。

送信の場合を考える。ネットワーク端末であるイーサネット通信装置はホストであるコンピュータからの情報を通信路に送出するためには、まず受け取った元データが長ければいくつかの固まりに分割する。このデータの固まりは46 - 1500バイトの大きさである。これに以下の付加情報を加えてMACフレームを完成させる。

  • MACフレームの構成
    • 宛先MACアドレス:6バイト
    • 送信元MACアドレス:6バイト
    • (VLAN:4バイト)
    • 長さ(長さ/タイプ):2バイト
    • データ本体:46 - 1500バイト(VLANの4バイトを含む場合は42 - 1500バイト)
    • エラー検出のためのフレーム・チェック・シーケンス (Frame check sequence、FCS) 4バイト

宛先MACアドレスの前にプリアンブルの8バイトがあるが、これは96ビット時間以上のフレーム間ギャップと同様にレイヤー1層「物理層」で自動的に挿入されるためにレイヤー2層「データリンク層」であるMACフレームの規格には含めない。

DIX規格でのプリアンブルの8バイトは実際は10101010で構成された7バイト分のプリアンブルと1バイト分のスタート・フレーム・デリミター (Start frame delimiter、SFD) で構成されている。

宛先MACアドレスと送信元MACアドレスの6バイトは全く同一の構成をとり、最初の2ビットで通信種別を表し、マルチキャスト、ブロードキャスト、ユニキャストなどを指定する。続く22ビットでMACアドレスを使用するネットワーク機器のベンダーがIEEEから購入したベンダー固有の番号が入る。最後の24ビットでベンダーが自由に割り振る番号が入り通常は通し番号が使われる。MACアドレスは全世界でただ1つのユニークな番号である。

IEEE 802.1q規格でオプションのVLAN使用時には「長さ/タイプ」の前に4バイトが付加され、フレーム全体も4バイト分長くなる。このVLANという仮想LANのための4バイトが付加された場合は、最長フレーム長が1518バイトから1522バイトへと変わるがネットワーク装置は正しく処理を行う必要がある。初期のネットワーク装置には1518バイトを超えるフレームを正しく処理できないものがあったが、最近のネットワーク装置はほとんど1522バイトまでのフレームを正しく処理できる。

DIX規格でのタイプとIEEE 802.3規格での長さ/タイプは混在していても構わない。この2バイト分のフィールドの値が46から1500であればそれはIEEE 802.3規格での長さを表しており、1501以上であればそれはDIX規格でのタイプを表している。

FCSによって、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、データの4つの領域の情報が正しいかを判定する。判定のためのエラー検出方法はCRC (Cyclic redundancy check) 法を使う。

フレームの終了を示す信号は存在せず、最後のFCSの信号が途絶えた時点で受信側はフレームの終了を判断する。荒っぽい方法であるが、このことによってデータやFCSには完全に自由な2進情報を含めることが可能となり、フレームの簡素化やネットワーク装置の処理の単純化が得られている。

フレームの繋がり
フレーム間ギャップ
各フレーム同士の間には96ビット時間以上の間、信号の無いフレーム間ギャップを確保する。
このMACフレームをレイヤー1、つまり物理層に渡して伝送路の空きで送出する。
受信はこの逆で、受信データをレイヤー1・物理層を通じて受け取り、自分のMACアドレスが「送信先MACアドレス」に無ければそのまま破棄する。自分宛であれば「長さ」が有効であればその「長さ」を、有効でなければMACフレーム全体の長さから逆算して長さを求める。その長さによって「データ本体」と「FCS」を切り出してこれら2つから伝送誤りが無いかを確認して、誤りがあれば普通は上位レイヤーである、レイヤー3・ネットワーク層とレイヤー4・トランスポート層に報告し、レイヤー4からの指示でレイヤー3-2-1と下りて来て再送要求を送る、または再送されずに情報は失われる。伝送誤りが無ければ切り出されたデータをレイヤー3へ渡し1つ分のMACフレームの受信作業は終わる。ここで述べたレイヤー3と4はイーサネット規格の外部であり、多くのネットワークではTCP/IP規格が使用されている領域である。つまり、イーサネット規格では、再送処理や宛先の指定は含まれていない。

レイヤー2の情報は「行き先MACアドレス」が要求すればLAN上のスイッチング・ハブによってセグメントを越えて伝送される。つまりレイヤー1だけではセグメントの境界にスイッチング・ハブが位置しており、送出された信号はセグメントを越えることは無いが、スイッチング・ハブの内部では一度レイヤー2まで階層を登って解釈され行き先MACアドレスを読み取って、隣のセグメントやその先のセグメントであれば、別のセグメントへと転送されるため、セグメントを越えることが出来る。このため、スイッチング・ハブの内部ではそれぞれ接続されたセグメントごとに所属する端末のMACアドレスを一覧リストとして保持しており、MACフレームを受信する度に高速で比較して転送先を決定している。こういったレイヤー2スイッチング・ハブの動作は全ての速度・形式のイーサネット規格で同一である。

フレーム長の規定について
イーサネットでは、最短フレームサイズ64バイト、最長フレームサイズは1518バイトである。
CSMA/CDでのコリジョンを正しく検出するには、送信された信号が送信を終える前に、伝送路上で衝突して信号が乱れた結果を送信側が受信できなければならない。このためには送信される信号はある程度の長さを持たねばならず、その長さは、コリジョン検出に最も時間が掛かる場合を想定して計算されなければならない。伝送路の片方の端から送信された信号がもう一方の端に着いた瞬間に別の送信が開始される場合が最も時間が掛かるので、この場合の時間は最初の信号が端から端まで伝播するのに掛かった時間と、コリジョンが発生した信号が同じ道を戻る時間の合計となり、これは単純に伝送路の2倍の距離を信号が伝播する時間となる。
CSMA/CDのコリジョンの検出のための往復電波遅延時間の計算は往復分2,500m × 2の5,000mに対するケーブルでの遅延時間 約26μSecと、リピータやトランシーバーの遅延時間分 約20μSecの合計で46.38μSecと計算される。この長さは10BASE-xでは464ビット時間に相当する。
これらの計算から最初の本格的なイーサネットの規格である10メガビット・イーサネットでは、最短のフレームサイズを余裕をもって512ビット(64バイト)時間とした。
最長フレームサイズが1518バイトに決まった明確な理由はなく、あまり長ければ中間で処理を行う伝送装置のメモリーを大きな容量にしなければならず、あまり短ければネットワーク上を流れるのはフレームヘッダばかりになってしまうため、当時のハードウェア環境から最も長いデータ長1,500バイトと決められた。これにフレームヘッダを合わせて、最長フレームサイズが1518バイトに決まった。VLANを使う場合には、VLANのタグ(4バイト)が追加され、合計で1522バイトになる。

個別のイーサネット規格名[編集]

同軸ツイストペア光ファイバーなどの通信路の違いや、10M/100M/1G/10Gbps等の伝送速度の違いにより多種の規格が規定されている。イーサネットの規格名の大体の付け方を以下に示す。


\left(
\begin{align}&10\\&100\\&1000\\&10\mathrm{G}\end{align}
\right)

\left(
\begin{align}&\mathrm{BASE}\\&\mathrm{BROAD}\end{align}
\right)

\left(
\begin{align}&2\\&5\\&\mathrm{-T}\\&\mathrm{-TX}\\&\mathrm{-FX}\\&\mathrm{etc}\end{align}
\right)

「10BASE-T」では「10」は10Mbpsの転送速度、「BASE」は変調を行わないベースバンド転送を、「T」は通信路にアンシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブル (Twisted pair cable) を使用する事を意味している。もちろん上記の全ての組み合わせがある訳ではない。

機器及びケーブル[編集]

イーサネットを構成するための機器及びケーブルについて説明する。

機器[編集]

イーサネットの物理層に対して給電を行い、信号を中継し、MACフレームを構成し、CSMA/CDに従ってフレームを送受信する。ここでは、イーサネットが規定する物理層、データリンク層をサポートする機器について解説する。

リピータ、ブリッジ[編集]

リピータ
リピータは、ネットワーク間の電気信号を中継、再生し、ネットワークを延長するための機器。物理層をサポートする。現在は、多インターフェイスのリピータとしてハブが多く利用される。
ブリッジ
ブリッジは、データリンク層でサポートされる機能を持つ。

ハブ[編集]

ハブ(ダムハブ、リピータハブ、カスケードハブ等)
ハブは、スター型構成の中心になる機器であり、複数の端末を接続し、リピータとして信号の中継、再生を行う。OSI参照モデルの第1層(物理層)での信号の伝送を行う装置。
スイッチングハブ
スイッチングハブはレイヤー2スイッチとも呼ばれ、その名前の通り、OSI参照モデルの第2層「データリンク層」での情報転送を行う装置であり、インターネットのMACフレームをMACアドレスによって転送先を決める。「レイヤー2スイッチ」(L2スイッチ)は「LANスイッチ」や「スイッチング・ハブ」とも呼ばれる最も代表的なイーサネットのネットワーク機器である。元々イーサネットの登場初期にリピーター・ハブと呼ばれる伝送路の中継アンプがあり、その機能を大幅に発展させたものがスイッチング・ハブつまりレイヤー2スイッチである。

ケーブル[編集]

同軸ケーブル[編集]

10BASE2・10BASE5は共に50Ωの同軸ケーブルを使用する。10BASE5では直径12mmの、通称Thickケーブル(またはイエローケーブル)を使用する。また10BASE2では10BASE5のケーブルの約半分、直径5mmの、通称Thinケーブルを使用する。

光ファイバーケーブル[編集]

光ケーブル参照。10BASE-F・100BASE-FX・1000BASE-SX/LX等で使用する。一般にマルチモードファイバー (MMF) とシングルモードファイバー (SMF) を使用する。一般にMMFは芯線が太く、曲げに強く扱いやすいが、通信距離が短く速度が遅い。屋内配線等に向く。SMFは芯線が細く、曲げに弱く高価であるが伝送損失が小さく、遠距離通信に向く。

ツイステッド・ペア・ケーブル[編集]

ツイステッド・ペア・ケーブル

イーサネットに使用するケーブルの内、最も多く使用されているのはツイステッド・ペア・ケーブル (Twisted Pair Cable) である。ツイステッド・ペア・ケーブルは大別すれば「UTP」「STP」に分けられる。

  • UTPはアンシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブル (Unshielded twisted pair cable) の略であり、シールドがない、より対線(よりついせん)のケーブルである。カテゴリー6以下のグレードがUTPである。
  • STPはシールデット・ツイステッド・ペア・ケーブル (Shielded twisted pair cable) の略であり、シールドの施された、より対線のケーブルである。Augmentedカテゴリー6以上のグレードがSTPである[要検証 ]

これらの各転送速度に応じた周波数特性を満たすケーブルが「LANケーブル」や「イーサネット・ケーブル」と呼ばれて販売されている。それぞれの上限周波数によってケーブルのグレードがカテゴリー数で分類されている。多くが両端のRJ-45プラグが接続済みであるが、専用工具を使えば容易に自分で希望する長さのケーブルにプラグを接続することも出来る。ケーブルに付くプラグは両端ともオスであり、ネットワーク装置側は常にメスのソケットである。通常使うケーブルは「ストレート・ケーブル」と呼ばれる、両端のRJ-45プラグの同じピン番号同士がストレートに接続されているものを使うが、旧型のハブを複数台カスケード接続する場合や、PCのイーサネット・ポート同士を1対1で接続する場合にはピン番号が1-3、2-6、4-7、5-8で交差接続されている「クロス・ケーブル」を使用する。現在販売されている多くのスイッチング・ハブ製品のカスケード・ポートを含む全ての接続ポートはAutoMDI/MDI-Xと呼ばれるMDIとMDI-Xの自動判別機能が備わっている為に、クロス・ケーブルは必要がない場合がほとんどである。

以下にカテゴリー数と適用転送速度規格を示す。STPはシールドやその他の工夫によって高い周波数特性を持っている。

  • UTP
    • カテゴリー3:10BASE-T
    • カテゴリー5:100BASE-TX
    • エンハンストカテゴリー5:100BASE-TX、1000BASE-T
    • カテゴリー6:1000BASE-TX
    • エンハンストカテゴリー6:10GBASE-T[要検証 ]
  • STP
    • Augmentedカテゴリー6:10GBASE-T等[要検証 ]
    • カテゴリー7:10GBASE-T等

カテゴリー6以下のUTPでは、上位互換性があり周波数特性に優れたグレードの高いケーブルを下位の伝送速度での接続に使用しても問題がない。販売されているケーブルにはカテゴリー数の略称が「Cat5」や「Cat5-e」などと表示されている。

イーサネット仕様[編集]

規格名 別名 通信速度 標準化規格 使用ケーブル 距離
1BASE5 1Mbps IEEE 802.3e UTP(2対) 250m
10BASE2 Thin Ethernet 10Mbps IEEE 802.3a 50Ω同軸 (5mm) 185m
10BASE5 Thick Ethernet IEEE 802.3 50Ω同軸 (12mm) 500m
10BASE-T IEEE 802.3i UTP/STP (Cat3) 100m
10BROAD36 IEEE 802.3b 75Ω同軸 3600m
10BASE-F 10BASE-FB IEEE 802.3j 光マルチモード 2000m
10BASE-FP 光マルチモード 1000m
10BASE-FL 光マルチモード 2000m
100BASE-T 100BASE-TX Fast Ethernet 100Mbps IEEE 802.3u UTP (Cat5) 100m
100BASE-T4 UTP(4対Cat3) 100m
100BASE-T2 IEEE 802.3y UTP(2対Cat3) 100m
100BASE-F 100BASE-FX IEEE 802.3u 光マルチモード/シングルモード 2000m/20km
1000BASE-T 1000BASE-T Gigabit Ethernet 1000Mbps IEEE 802.3ab UTP(4対Cat5e) 100m
1000BASE-TX TIA-EIA/-854 UTP(4対Cat6) 100m
1000BASE-X 1000BASE-SX IEEE 802.3z 光マルチモード 550m
1000BASE-LX 光マルチモード/シングルモード 550m/5000m
1000BASE-CX 同軸ケーブル(2芯並行) 25m
10GBASE-T 10Gbps IEEE 802.3an UTP(4対Cat6) 100m
10GBASE-R 10GBASE-SR IEEE 802.3ae 光マルチモード 300m
10GBASE-LR 光シングルモード 10km
10GBASE-ER 光シングルモード 40km
10GBASE-ZR 光シングルモード 40km以上を想定
10GBASE-W 10GBASE-SW 光マルチモード 300m
10GBASE-LW 光シングルモード 10km
10GBASE-EW 光シングルモード 40km
10GBASE-X 10GBASE-LX4 光シングルモード 10km
10GBASE-CX IEEE 802.3ak 4対2芯銅線 (CX4) 同軸 15m
40GBASE-R 40GBASE-KR4 40Gbps IEEE 802.3ba
40GBASE-CR4
40GBASE-SR4
40GBASE-LR4
100GBASE-R 100GBASE-CR4 100Gbps IEEE 802.3bj
100GBASE-CR10 IEEE 802.3ba
100GBASE-SR10
100GBASE-LR4
100GBASE-ER4

出典[編集]

  • 日経ネットワーク2002年2月号「初めてのギガビット・イーサネット」
  • 日経ネットワーク2003年7月号「レイヤーで知る通信のしくみ」
  • 日経ネットワーク2005年11月号「発展過程で明らかになったイーサネットの本質」
  • 日経ネットワーク2005年12月号「CSMA/CDの意味と意義」
  • ネットワークマガジン編集部 『ゼロからはじめるスイッチ&ルータ増補・新装版』 アスキー、2007年9月ISBN 978-4-7561-5004-2
  1. ^ a b 日経ネットワーク2005年10月号「継承されるもの,生み出されたもの」
  2. ^ イーサネット40年の技術 - ITpro(2013年12月9日).2013年12月12日閲覧。
  3. ^ 日本の商標は特許電子図書館で検索できる。なお、「Ethernet」を含む商標には他社が登録しているものも存在する。
  4. ^ 日経ネットワーク2005年10月号「イーサネット技術読本」p131
  5. ^ IEEE 802.3 ETHERNET (英語)
  6. ^ イーサネット上で1ビットの情報をやり取りする時間を示す。例えば10Mbpsでは1ビット時間は10M分の1の100ナノ秒となり1Gbpsでは1G分の1の1ナノ秒になる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]