たこ焼き

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たこ焼き
Takoyaki by yomi955.jpg

たこ焼き(たこ焼、蛸焼、たこやき)は、日本生まれの粉物料理の一種。小麦粉生地の中にタコ(主としてマダコミズダコ)を入れて直径 3-5cmほどの球形に焼き上げた、大阪発祥とされる料理である。

概要[編集]

明石焼き」・「ちょぼ焼き」・「ラジオ焼き(ラヂオ焼き)」をルーツとしており、基本的には、おやつ間食として食べられるが、ご飯のおかずとする地域もある。

歴史[編集]

大阪にあるたこ家道頓堀くくるの看板

たこ焼きの創始者は、西成区会津屋」の初代・遠藤留吉とされている[1][2]1933年(昭和8年)、遠藤はラジオ焼きを改良し、従来のこんにゃくの代わりに醤油味の牛肉を入れて肉焼きとして販売。1935年(昭和10年)、タコと鶏卵を入れる明石焼に影響を受け、牛肉ではなくタコ・鶏卵を入れるようになり、たこ焼きと名付けた[1][2]

会津屋のたこ焼きは、生地に味がついているため何もかけずに食べるが、戦前は会津屋以外のたこ焼き屋でもダシや醤油風味で何もかけずに食べるたこ焼きが大半だった。1948年にとんかつソースが発明されたことにより、これがお好み焼き屋やたこ焼きにも用いられるようになったが、大阪では現在でも古くから営まれているたこ焼き屋では、ダシや醤油風味のソースをかけないたこ焼きが売られている例がある。

第二次世界大戦前の大阪では、2個で1銭程度の価格で売られていた。戦後、たこ焼きを販売する者が増え、また週刊誌が大阪らしいものとして紹介したことで普及が加速し、1955年には大阪市内でたこ焼き店が5000軒はあるという説が出るほど一般化した。その頃は10円で4個から6個という価格であった[3]。当時はタコをかなり細かく刻んで入れていたため、「たこ燒きの たこらしいのが 齒にあたり」(梅柿)という川柳も残されている。

1960年代中頃には、関東地方でも屋台での販売が見られるようになる。 東京・銀座では生地にエビすり身を入れたたこ焼きの屋台が、独特の風味で人気を博した。

1990年代中盤から、「京たこ」をはじめとするたこ焼きのチェーン店が、渋谷センター街などの都内に数多く進出した。また、近畿地方以外にも展開するたこ焼きチェーン店が増加し、「築地銀だこ」のように全国展開するチェーンも現れている。

作り方[編集]

屋台で調理中のたこ焼き

水またはだし汁で溶いた小麦粉を、多数の半球状の窪みのある鉄板(製品によっては板・アルミ板)に流し込み、タコなどの具材を窪みにひとつひとつ入れて加熱していき、生地を窪みの中でひとつひとつ裏返して球形に焼き上げる。このうち裏返す作業については自動化されているたこ焼き機もある。なお「半自動型」と呼ばれる機種には、鉄板に反転用の取っ手が付いており、窪みの中で裏返すことはせず、このうち片面式の機種では窪みのある鉄板で焼き上げて対となっている平らな鉄板の上に裏返して調理される(形状は釣鐘状となる)[4]。また、両面式の機種では、窪みのある鉄板で半分ずつ焼き上げて、対となる窪みのある鉄板の上に裏返して合せることで調理される(形状は丸い球状となる)[4]

器具[編集]

家庭用[編集]

家庭用コンロに直接かけるタイプの専用調理器具
電気式たこ焼き器の例
  • たこ焼き鍋
直接家庭用コンロにかける専用の調理器具。
  • 電気式たこ焼き器
業務用同様自動回転機能付の製品もある。
  • ガス式たこ焼き器
カセットボンベを用いるたこ焼き器。まんべんなく加熱できるように、バーナーも特に工夫されている。

業務用[編集]

  • ガス式たこ焼き機
  • 電気式たこ焼き機
一定の時間が来ると鉄板が細かく振動したこ焼きが回転する自動回転式の製品もある。
  • 併用式たこ焼き機

本体は鉄の鋳物製が多いが銅製のものもある。銅製は熱伝導が良いため、より手早く焼き上げないと焦げ付きなどを生じる。 形状は写真のような角型や丸型がある。古いタイプの丸形のたこ焼き器は、火力に練炭火鉢を使用するため、大きさもこの大きさに合わせた物となっている。

たこ焼きを裏返すための串は、ピック、千枚通し、錐などと呼ばれ、手元が熱いため長めの専用のものがある。店によっては、たこ焼き器が傷つかないように竹製の菜箸(ただし1本)を使うことも多い。油引き用の刷毛は凹みにちょうど入る形状をしている。

材料[編集]

生地[編集]

器具と生地と具材

小麦粉を水または出汁(かつお出汁・昆布出汁・化学調味料)で溶いて、鶏卵を加え、よくかき混ぜ、生地とする。隠し味に少量の「醤油牛乳や、砂糖もしくは味醂」を加えることもある。

近年は小麦粉に隠し味的な調味料ベーキングパウダーなど、場合によっては細かい乾燥紅しょうがなどの具がブレンドされた「たこ焼き粉(たこ焼きミックス)」という専用の粉も発売されている。

[編集]

たこ焼きに用いられるタコは、日本で昔から流通量の安定していて吸盤の食感まで日本人が大いに好むところのマダコか、もしくは、それに代わって遜色ないミズダコであることがほとんど(マダコが生息しない地域においては、伝統的にはミズダコが一般的[5]) であるが、イイダコを使うなど、例外がないわけではない。タコは極小さな個体を丸ごと入れる場合 もあるが、多くの場合はブロック状に切り刻んだものであり、専用の冷凍品も販売されている。市販品は通常、重さ5グラム前後であるが、より大きなものもある。基本的な材料として、タコ以外に、ネギのみじん切り、紅しょうがのみじん切り、天かすや赤えびなどが使用される。

京都府兵庫県北部など一部関西地方や、中部関東地方では、刻みキャベツを入れるものもある。キャベツ無しのたこ焼きの生地はお好み焼きに比べると非常に生地の濃度が薄く、焼くと柔らかく中はトロトロ(その代わりに焼き上がりまで時間がかかる)、キャベツ入りのたこ焼きは生地の濃度が濃く、焼くと中まで固め(その代わりにすぐに焼き上がる)である。

大阪府奈良県和歌山県兵庫県南部などの関西人、特に大阪人は、キャベツ入りのたこ焼きを「丸いお好み焼き」として邪道とし、頑なに「たこ焼き」とは認めない。これは明石焼きラヂオ焼きに起源を持つ関西風たこ焼き(関西人的には本物の正統なたこ焼き)と、もんじゃ焼きお好み焼きと共通材料を使う中部・関東風たこ焼きの、粉物文化の違いとも言える。近年では中部・関東地方でもキャベツ無しの関西風たこやきが広がりつつある。

日本国外に進出したたこ焼き店も見られるが、タコを食べる習慣がある文化圏は、朝鮮半島地中海沿岸地域南ヨーロッパ等)の一部、アフリカ東岸地域、メキシコなどの例外があるにしても比較的少ないため、現地で受け入れられるような食材を代わりに入れるか、あるいは、具を入れないで焼き上げたものが売られている場合がある。

冷凍食品も多い。チーズを具にしたものがチーズボールという名で大阪では販売されている。お好み焼き風に何でも好きな物を入れて家庭で食べるボール焼きパーティなどが流行りはじめている。韓国やシンガポールの店では出汁を入れないで主にスィート類を入れて販売している店がある。[要出典]

味付け[編集]

屋台に並ぶ専門店用たこ焼きソース

完成したたこ焼きに掛ける調味料は、醤油や多くの場合はウスターソース類が使用されるが、中濃ソースやとんかつソースを使用したり、「たこ焼きソース」と称するソースも使用される。

通常は青海苔削り節を上から散らす。好みによっては、刻みをのせたり、マヨネーズをかける。なお、たこ焼きにマヨネーズがかけられだしたのは、1990年以降である。

名古屋地方では、ソースではなく醤油を使用することが多い。

たこ焼きにソースがかけられていない場合は、たこ焼きの生地自体に味が付けられているため、なにも調味料をつけないで食べる。好みによっては、食べる際にソース、醤油、ポン酢食塩柚子胡椒で味付けして食べることもある。また、塩味を付けた澄まし汁のような出汁(主としてかつおだし)に浸した状態で供されるものが神戸市西部から姫路市あたりにみられる。明石焼きに強く影響を受けたものである。出汁には、刻み三つ葉やおろし生姜柚子の皮が入っていることがある。

食べ方[編集]

たこ焼きを盛り付けるか入れる使い捨て容器は、平底の容器が一般的で「舟皿」(舟)と呼ばれる。容器の材質には薄く削いだ製(経木製)の「経木舟皿」や発泡スチロール製の「発泡舟皿」、そのほか薄いプラスチックの容器や紙製の容器などがある。持ち帰りでは「舟」を包装紙で包むか、「舟」をさらに薄いプラスチックの容器に入れる。なお、楊枝は大抵2本付属しており、2本で一人分である。理由は回転することを防ぐためとも言われる[6]

一般的に爪楊枝またはを用いて食べるが、3個ほどに刺したものが供されるところもあり、スーパーマーケットでも販売されている。専門店のたこ焼きは、表面の皮状の部分が薄くやや堅い状態に焼け、内部がもんじゃ焼きのようにとろみのあるものが人気がある。

大阪のたこ焼き[編集]

大阪にはたこ焼き店が多い。たこ焼きと同時にお好み焼きを扱う店舗も多く、初詣祭り等では屋台も多く現れる。店内飲食のテーブル席を設けた店舗も多くあるが、ほとんどの店舗は持ち帰りができ、持ち帰り専門の店舗も少なくない。また最近では大型商業施設テナントとして、たこ焼き専門の店も多く進出し、入り口付近に店を構え、買い物ついでの客を集めている。この他、昭和時代から子供が多く集まる駄菓子店などでも焼かれていることがあるが、そのような店は減少傾向にある。大阪出身の家庭では、たこ焼き用の鉄板道具の所持率が多いともされている[要出典]。この為、たこ焼きには欠かせない小さく角形に刻んだ紅生姜などは、近畿圏では昭和の中頃から詰めにして多くの店で販売されていた。

大阪では外側のクリスピーなカリッとした食感は好まれず、表面の皮状の部分も柔らかく、成形した形を保てる限度の焼き加減が好まれる[要出典]。表面がカリッとしたたこ焼きは、作り置きされて時間の経過したたこ焼きであるため、昔から敬遠されている理由である[要出典]。また、極々一部の店舗ではあるが、明石焼きの様にスープうどんなどに入れて販売することもある。

日本国外におけるたこ焼き[編集]

朝鮮文化圏[編集]

韓国では日本語名をそのまま音写して「タコヤキ」と呼ばれている。2003年に遊戯施設のロッテワールド内で販売が始まり、「たこ焼きのうた」と共に人気を博し、韓国語カバーが出た。この曲のヒットと共にたこ焼きの人気が上がり、ソウル市内各地に屋台が広がった。

華人文化圏[編集]

台湾

台湾では1990年代に「日船」というチェーン店ができ、そこでは「章魚小丸子」の名で売られている[7]。他に「章魚燒」などの名前でも台湾各地の夜市の定番軽食として売られている。ソースが自家製の場合、甘めの味が多く、日船においてはソースのほか練乳による味付けもなされる。

香港

香港では1990年代に台湾の「日船」チェーン店の「章魚小丸子」が香港島でも営業を開始している。2004年12月15日には日本の「築地銀だこ UNY香港店」がオープンしている。

中国本土

中国本土の場合、日本式居酒屋のメニューにはあったが、2001年にやはり台湾の日船「章魚小丸子」が現地法人を設立し、複数の大都市チェーン展開を進めている。

2010年上海市で開催された上海万国博覧会では、白ハト食品工業日本産業館に出店して50万食以上を販売し、追って同年12月24日には上海市内に「たこ家道頓堀くくる(中国語名:酷酷璐)」の中国1号店を出店した。

東南アジア[編集]

近年はインドネシアマレーシアシンガポールでは屋台で「takoyaki」の名前で売られている。メインの具はタコに限らず、チーズなどいくつもの種類がある。特にインドネシアでは、自国のPR活動のための来日を重ねるうちにたこ焼きの味と手軽さにほれ込んだジョグジャカルタスルタン家の第1王女が、2006年、ジョグジャカルタに第1号店を誘致した。

関連事項[編集]

たこやきマントマン(1990年初出)は、たこ焼きをモチーフとしたヒーロー型の擬人化キャラクターであり、同名の絵本アニメ化もされている)の主人公である。また、大阪にある民放テレビ局「テレビ大阪」の公式マスコットは、たこ焼きをモチーフとした擬人化キャラクター・たこるくん(2002年初出)である。

類似の料理[編集]

粉物料理[編集]

明石市に近い姫路市加古川市高砂市神戸市長田区などでは、玉子焼にソースを塗って出汁につける食べ方で提供している店もあり、神戸たこ焼きと呼ばれている。
卵の比率が多いたこ焼きと同様の食品をまな板状の木皿に並べて、澄まし汁状の出汁に浸しながら食べるもの。薬味にはみつばが用いられることが多い。兵庫県南部に多く見られる。明石市では「明石焼き」と言わず、「玉子焼」と呼ぶ。明石市周辺では、明石焼きを定食として提供する店も多く、ご飯のおかずとしても用いられる。
明石焼きの影響を受けてラジオ焼きにタコを入れたことがたこ焼きのルーツであり、すなわち、たこ焼きの原型である。現在においてはラジオ焼きのみの店はなく、たいていはたこ焼き屋のサブメニューとして関西圏を中心に食されている。
タコ以外を使う変り種で、出汁を入れないで焼き、ソースや海苔もかけない。タコの代わりにピザトッピングお好み焼きの具、あるいは、クレープ今川焼きパンに挟む具を使う。例えば、チーズ、肉類、エビ、イカ、カレー、また、スイーツ系にはジャムやチョコレート、小豆、マシュマロ、フルーツを入れる。トッピングにもサルサソース、塩、醤油、クリームなど具に合った物を使う。

その他の料理[編集]

  • ちょこ焼き
長崎県の野母崎(旧・野母崎町、現・長崎市野母崎地区)にておよそ百年前(2012年時点)からハレの日等のご馳走として食べられてきた郷土料理である。魚のすり身と溶き卵に砂糖・塩を練り合わせたものを、たこ焼き器と同じような鉄板調理器具(現在ではたこ焼き鍋やたこ焼き器)で球形に焼いたもので、焼いた形が「猪口(ちょく、ちょこ)」に似ていることから「ちょく焼き」「ちょこ焼き」と呼ばれるようになり、比較的新しい読みの「猪口(ちょこ)」が一般的となるに連れて「ちょこ焼き」という呼称が主流となった。材料こそ全く違うが、焼き方や仕上がりの見た目などはたこ焼きと極めてよく似ている[8]

菓子[編集]

タイで作られる甘い菓子。生地に米粉を使用し、青のり・ねぎ・塩・砂糖を混ぜて焼き、魚醤・砂糖・ココナッツジュースを混ぜ合わせたシロップに浸して食べる。

脚注・出典[編集]

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  1. ^ a b 編集委員会著 『暮らしと物価大阪百話』 財団法人大阪都市協会1992年5月、130頁。ISBN 4-900558-05-2 ISBN-13 978-4-900558-05-2。
  2. ^ a b 熊谷真菜日本コナモン協会会長) 『「粉もん」庶民の食文化』065、朝日新聞社朝日新書〉、2007年9月13日ISBN 4-02-273165-6 ISBN-13 978-4-02-273165-4。
  3. ^ 牧村史陽、大阪ことばの会 『大阪方言事典』 杉本書店、大阪府、1955年、400-401頁。
  4. ^ a b 半自動たこ焼き器”. 山下金物. 2012年9月4日閲覧。
  5. ^ 流通網の高度に発達している現代ではその限りではない。
  6. ^ たこ焼き:爪楊枝か、割りばしか…食べ方いかに?毎日新聞(インターネットアーカイブ、2010年5月11日版、2012年8月13日閲覧)
  7. ^ 日船章魚小丸子美食連鎖店網站”. (公式ウェブサイト). 日船餐飲管理有限公司. 2012年5月19日閲覧。
  8. ^ 『食彩の王国』”. tv asahi (ウェブサイト). テレビ朝日 (2012年2月). 2012年5月19日閲覧。:『食彩の王国』 第426回「アジ」 5月19日放送回(紹介記事は「食材のリスト」経由で閲覧可能)。

参考文献[編集]

  • 熊谷真菜『たこやき―大阪発おいしい粉物大研究』講談社文庫 1998年
  • 熊谷真菜『たこやきの正しい食べ方』ごま書房 1996年
  • 熊谷真菜『楽しくつくろう たこ焼きいろいろレシピ』雄鶏社 2008年

関連項目[編集]