ヒーロー

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ヒーロー(英:hero)とは、英雄のことと、神話物語などの男性主人公のこと。

ヒーローの多くは、普通の人を超える力・知識・技術を持ち、それらを用いて一般社会にとって有益とされる行為、いわゆる救世主としての行為を行う。多くの物語では、これを阻止しようとする悪役・敵役が共演することになる。また、突出した能力を持っていない場合でも、何らかの形で英雄的行為をすることがある。

物語などで女性が主人公の場合は「ヒロイン」と称される。また、主人公でなくても、男性主人公の恋人の女性もヒロインと称されることがある(女性主人公の恋人になる男性は(特にロマンス小説などにおいて)ヒーローと呼ばれる。)。

英雄的な活躍をする女性キャラクターにあえて「ヒーロー」という呼称を使うことがある(ディズニー映画ムーラン』など)。これは日本だけでなく、英語圏の米国でも同様である。厳密な男性形・女性形よりも、単語のイメージやニュアンスが優先されたためと考えられる。

概説[編集]

一般的に誰かがヒーローになるには、人々に賞賛される素晴らしい行為を行う必要がある。伝統的なヒーローは怪物を倒したり、人の命を救ったりするなど、そのヒーローが属する文化で高潔な正義の振る舞いをし、幸福な結婚や出世をすることになるが、悲劇では性格や弱点などを持ち、それを突かれて悲劇的な結末を迎えることになる場合もある。

実在する人物が、伝承や噂の中でその行為が膨らみ、ヒーローとして人々の中で一人歩きを始めることがある。この場合は、いつの間にか超人的な行為を行ったことになっていることが多い(→聖人伝説、英雄伝説)。

研究者の中には、社会情勢が不安定になったり、国家の行く先が不安になったときに、模範的人物としてヒーローが求められるようになると主張している。特に若い人の中でこの傾向は顕著であるとしている。ユング深層心理学に置ける集合的無意識の顕在化であるとする説もある。

文化[編集]

多くの文化では、有名なヒーローは神と同じように扱われる(エウヘメリズム)。ヒーローという言葉は古代ギリシア文化と神話から来ている。多くのギリシア神話のヒーローは、神の子孫である都市、国家、領土の名祖である。必ずしも模範的な人物であったり、英雄的な素質をもっているわけではなかったが、多くは半神の存在であった。神話と歴史が未分化であったこの時代を「英雄時代」と呼ぶ。この時代はトロイア戦争と共に終わり、ヒーローたちは家に帰り余生を過ごすか、当ても無くさまようことになる。ヒーローは叙事詩ギリシア悲劇の主人公として扱われ、このため西欧語では英雄を意味する語は「主人公」をも意味する。よく知られた英雄にアキレウスオデュッセウスオイディプスがある。

キリスト教以前のほとんどのヨーロッパ宗教が、ヒーローをその神話の中に抱えている。これらのヒーローは、その功績や崇拝方式が正教会カトリック教会の教義の中に吸収・習合され、現在の聖人崇敬の元となっている。

悲劇性を帯びたヒーローとして日本では日本武尊源義経などが知られるが、後には戦死を含め不慮の死が悲劇として捉えられ、御霊信仰に繋がった。祟りを恐れて平将門らが神として祀られたのがその一例である。戦時中では決死の攻撃をした者が軍神として英雄視される事もあった。その一方で徳川家康を祀る東照宮のように悲劇とは無縁の例もある。

最近の映画漫画アニメでは、ヒーローは特別な力を持たない普通の人物であるが、社会から迫害されており、最後にそれに打ち勝つというような例も多い。さらに、近年顕著な傾向だが、ヒーローはすべてを救えないときもある。そのとき描かれる人間性の輝きが人の心を惹きつけるために使われる。

ヒーローと敵役[編集]

ヒーローと敵役(ライバル)は密接な関係にあり、ある文化でヒーローであっても、その文化に隣接している別の文化では逆に描かれることが多い。この場合、反社会的とされる行為でもその人物を打ち倒したために賞賛されることが多いが、必ずしも一般的にその行為が社会的に受け入れられているわけではない。たとえ同じ行為であっても、その文化内で行われた場合は非難することが多い。しかし、そのために敵役を事実に反し、文化外の人物に設定することでヒーローの権威を高めることも行われる。

関連項目[編集]