A LONG VACATION
『A LONG VACATION』 | |||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | ||||
ジャンル | ポップス | ||||
時間 | |||||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY | ||||
プロデュース | 大瀧詠一 | ||||
チャート最高順位 | |||||
ゴールドディスク | |||||
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大滝詠一 アルバム 年表 | |||||
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『A LONG VACATION』収録のシングル | |||||
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ナイアガラ・レーベル 年表 | |||||
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『A LONG VACATION』(ア・ロング・バケイション)は、1981年3月21日大滝詠一のスタジオ・アルバム。
にリリースされた解説
[編集]LP及びCD帯のカナ表記は「ロング・バケイション」で、「ロンバケ」の愛称でも親しまれている大滝最大のヒット作。1982年のCD発売後、オリコン初のミリオンセールス作品でもある。1970年代まではまだ知名度が低かった大滝の名が世間にも広まり、音楽業界では「(ナイアガラでのソロ活動開始から)5年も売れなかったアーティストが突如売れるのは奇跡」と言われるほどの出来事だった。[要出典]以後も、アルバム収録曲にタイアップや、多くのアーティストにカバーされている。
大滝本人による「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」を除いて、作詞はすべて松本隆が担当している。2人がコンビを組むのは、はっぴいえんど『HAPPY END』収録曲「田舎道」「外はいい天気」以来。本作は当初、大滝の誕生日である7月28日リリースの予定だったが、松本が妹の看病[book 2]、そして死去により詞が書けなくなり、「作詞を降りる」と大滝に告げたが、彼は「発売を延ばす。待つよ」と返答し、9月に延長されたもののさらに伸び、結局3月の発売となった。これらの経緯について後年、松本は以下のようにコメントしている。
- 「(大滝から)連絡があったの。『頼みたいことがあるから松本の家に行っていいか』って言って。彼が言うには『今まで自分は売れないレコードをいっぱい作ったんだけれども、それは本意じゃなかった』『今回は、松本が売れて細野も売れて山下まで売れたから、俺も売れなくちゃいけないと思う』と言って。そりゃそうだろうねと思って。で、『手伝ってくれ』って言われて、いいよって言ってね」
- 「妹が、亡くなっちゃったの、突然。もう詞が書けるような精神状態じゃないから、困ったなと思って。(大滝に電話をかけて)今回はちょっと間に合わないと思うって言ってね。他の誰か作詞家の人に頼んでくれるかなと言ってね。言ったんだけど、大滝さんは『このアルバムは松本ありきで考えてるから、他の人じゃ駄目なんだ』って言ってね。『とにかく詞が書けるようになるまで待つから』って言って」
- 「半年ぐらい僕が遅れて、『カナリア諸島』と『君は天然色』っていうのを書いてね。『君は天然色』っていうのが…全く、妹が死んでショックがやっぱあって。渋谷を歩くと真っ白に見えるわけ。色がなくなっちゃってね。ああ何か目がおかしくなったなあって思って。その詞を書いたのが『君は天然色』でね。彼はその詞がすごい気に入って。あと『カナリア諸島』も気に入ってね。『ああ、こういうのを待ってた』と」[1]
販売延期については以前、ディストリビュート契約を結んでいた日本コロムビアが1980年 までナイアガラ・レーベルの販売権を持っていたことも影響していると推測される[注釈 1]。
大滝曰く、自分のボーカルにキーを合わせて作曲したのはファースト・ソロ・アルバム『大瀧詠一』以来という(その間は全て楽器に合わせて作曲していた)[2]。
制作過程
[編集]本作の制作過程について大滝は、雑誌のインタビューで「昨年(1980年)4月13日にレコーディングに入って、最初は(1980年)7、8月に出そうとの事で夏のイメージで初めて、A面の1、2、3をレコーディングしたけど、そのうちに11月、12月に発売させるということになってしまったので、それじゃ、冬っぽいものも入れようということでB面の最後の方が冬物になった。けれど、どうも発売が延びて、それじゃってことで発売が結果的に(1981年)3月21日になってしまい、冬物がちょっと合わなくなったけどね、いやーレコーディングは感動の連続でした」などと述べ[3]、制作の強い動機と自身の音楽性について以下の話をした。
- 「昔は拓郎と陽水とこうせつしかいなかったっていう歴史にしたくないんだよ。彼らはオーバー・グラウンドでやっていたからそれはそれでいいんだけど、その横で一生懸命やっていた人がいたってことで、それがアッコちゃんにしろ佳孝にしろ、最近ボカーンと出て来たじゃない、やっぱり間違っていなかったんだよ。それと僕が最終的に出したいものは音だとかさ、歌だとかそういった細かいもんじゃなく全体的な雰囲気なんですよ。だから音が悪いとかミックスが悪いとかよく言われたけど、そんなものはどうでもいいわけ、雰囲気がだめになったらおしまいなんですよ僕の音楽は。で、いつもここを重視して考えてるわけ。しかし、まあ、売れて気持ちいいですね、ある程度これが売れないと日本の音楽もおしまいだって脅迫したから」[3]
アートワーク、パッケージ
[編集]BREEZEが心の中を通り抜ける
アルバム・ジャケットのアートワークは大滝の他作品も手がけている永井博による。元々は永井が1979年に発表した『A LONG VACATION artbook』から大滝が「こんなテイストにしたい」と決めている。松本隆によると、描かれている白いパラソルからインスピレーションを得て作られたのが松田聖子の「白いパラソル」だという[4]。
CD発売促進のカタログの表紙にある同盤のジャケットには、コンパクトディスク・マークがデザインされていないのが確認される。
チャート成績
[編集]オリコン1位は獲得できなかったものの最高2位まで上がり、発売1年で100万枚を突破した。発売から20年を経た2001年[book 3]。さらに2020年時点での累計売上は200万枚以上に達する[5]。
時点での再発盤を含めた累計売上は約170万枚評価
[編集]本作は、雑誌『レコード・コレクターズ』2010年9月 号の特集「日本のロック・アルバム・ベスト100(1980年代編)」にて、第1位に選ばれた。
収録曲
[編集]SIDE A
[編集]- 君は天然色 – (5:02)
- 作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一
- 元々大滝が「あなただけI LOVE YOU」に続く第二弾として川端薫ディレクターから依頼されて須藤薫に書いた曲だったが「これは女性向きではない。男性が歌うべきだ」として不採用となり、大滝が自分用にアレンジして歌った楽曲である。後に「須藤薫は残念がっていたが、この曲を返してくれた事に感謝している。」と語っている。間奏部分は元々クレイジー・パーティーの「がんばれば愛」(アニメ映画『がんばれ!!タブチくん!!』シリーズエンディングテーマ)の間奏に使われる予定であったとされる。イントロのカウントをカットしたバージョンでアルバムと同日にシングル・カットされた。
- 後年ロート製薬「新・Vロート」(1982年 )、キリンビバレッジ「生茶」(2004年 )、アサヒビール「すらっと」(2010年 )、サントリー「金麦糖質75%オフ」(2012年 )、ダイハツ「ムーヴ キャンバス」(2020年) のCMソングに使用された。2020年にはテレビアニメ『かくしごと』のエンディングテーマに、そして映画『私をくいとめて』の挿入歌&エンディングテーマに採用された。
- 基本トラックは2チャンネルの一発録音。
- Velvet Motel – (3:42)
- カナリア諸島にて – (3:58)
- Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語(ストーリー) – (3:14)
- 作詞・作曲:大瀧詠一[注釈 2][book 4]
- もともとはCM用に制作された「大きいのが好き」[注釈 3]を『ロンバケ』用に発展させたもの。CM曲ではシャネルズがドゥーワップの定番フレーズ“ダー・ビ・ドゥ・ビ・ドゥ・バ”を挿入しているが、本曲ではシンセサイザーによる打ち込み。
- 大滝によれば「パッ・ピ・ドゥ・ビ・ドゥ・バは松武君にシンセで作ってもらったのだけど、2つ問題があって、1つは鍵盤を押して“パッ!”って音が出るまで若干遅れちゃうのです。なのでキーボーディストにはわずかに先読みして弾いてもらうハメになってしまいました。もう1つは、当時はアナログ・シンセなのでパッ・ピ・ドゥ・ビ・ドゥ・バを1音ずつ作って録るのです。1つ言葉を作っちゃ、食い気味に弾いたものを録音していって、最後に1本につなげるという大変面倒なことをしました。なっかなか一連で言葉に聴こえるようにならなくて、何度もやりましたよ。だからよく聴くと完全にジャストにはなっていないはずです。そのバラバラ感をわざと残しつつ良い案配になるまでトライし続けました」[book 5]という。
- また、鈴木茂が弾いているギター・フレーズは大滝が指定したものだという。大滝は「ハニカムズでおなじみの高音ギターってことで軽く口三味線をしたらすぐにあのイントロのフレーズを出してくれました。というわけで、この曲はセカンド・ラインとボ・ディドリー・スタイルを煮込んでハニカムズ・ギターで味を整えた上にドゥーワップ・ソースを振りかけたというのが1つの解釈になるわけだけど、さらにソースにもう一味欲しいかなってことでシンセ・ドゥーワップという史上初のジャンルを提示してみた、ってことでいかがでしょうか」[book 5]と答えている。
- 我が心のピンボール – (4:24)
SIDE B
[編集]- 雨のウェンズデイ – (4:24)
- 作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一
- 当初は「恋するカレン」のB面としてシングル・カットされたが、後にA面とB面を逆にしたシングルが初回プレスはクリア・ヴィニール仕様で、セカンドプレスは通常仕様で発売されている。
- スピーチ・バルーン – (3:55)
- 作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一
- 1980年スラップスティックへ提供した「デッキ・チェア」(作詞:森雪之丞)の改作で、スピーチ・バルーンとは漫画のフキダシのこと。後に、自身のラジオ番組のタイトルにも使用された。 に
- 曲中、ドラムがリムからスネア打ちになるたびにユニゾンで鳴る音は、大滝が矢野誠から借りたタブラをパーカッショニストが叩いているのだという[book 5]。さらに大滝によれば「この曲はソロで歌っていますが、マルチには4回それぞれ録音したものがあるのです。例えば、エルヴィス・プレスリーのアウト・テイクを聴けば分かるのですが、毎回違うわけです。あれは“さっきはこうだったから今度はこうしよう”って意識してやってるんじゃなくて、毎回気分をリフレッシュして歌っている気がする。エルヴィスは同録だから演奏も毎回少しずつ変わり、そうなれば歌も引っ張られる。だから僕も気分を変えて歌いたかったわけですが、ここで出てくるのがモニター・バランスなのです。ちょっとスネアを上げてみるとか、ギター上げめでやってみたりすると飽きない。もしモニターを2ミックスでやっちゃうとバランス調整ができないから全然リフレッシュできないのですね。僕がスタジオに1人こもって歌録りするのは、そういうモニターをいちいち指図してやってもらうんじゃなくて、自分で調整しながら気兼ねなくやれるからというのも理由の1つなんです。ぼくはパンチ・インはしないで通してうたうんですが、それでも1つのトラックの頭から終わりまで流すと、どうも単調というか、引っ掛かりが出ないんですよ」ということで、ミックスでは4テイクのいたるところが切り換えられているという[book 5]。
- 2004年ソニー「デジタルハンディカム」のCMソングに使用された。 に
- 恋するカレン – (3:21)
- FUN×4 – (3:26)
- 作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一[注釈 2][book 4]
- タイトルの正式な読み方は存在せず、「フォー・タイムス・ファン」や「ファン・タイムス・フォー」、「ファン・かける・よん」でも問題なく、いかなる自由な読み方をしても良いという珍しい歌謡曲である、と大瀧本人が解説している[注釈 4]。曲中のコーラスのうち、「Kiss」はオシャマンベ・キャッツ、「散歩しない?」は太田裕美、月に吠える男は五十嵐浩晃、「Church Bells May Ring」はシャネルズがそれぞれ参加。最後の「アンコール」は大滝自身[book 5][注釈 5]。基本トラックは2チャンネルの一発録音。後に大滝自身のプロデュースにより、植木等にカバーされた。2016年 には三井不動産商業マネジメントの大型商業施設「三井ショッピングパークららぽーと」[6]、2022年 にはキリンビール「麒麟 発酵レモンサワー」のCMソングに使用された[7]。なお、1987年 頃にキーコーヒーのCMソングでオンエアされた曲は、大滝のサウンドを真似たCM用のオリジナル曲。2020年の松田聖子のアルバム『SEIKO MATSUDA 2020』には、この曲と松田の楽曲「いちご畑でつかまえて」を大瀧自身がミックスして掛け合わせた「いちご畑でFUN×4」が収録されている。元々は、『風立ちぬ』A面のサウンドプロデュースを務めた大滝によるお遊びとして、1981年に自身がパーソナリティを務めたラジオ番組『ゴー・ゴー・ナイアガラ』内で1度だけ流されたレア音源である。
- なお、マスター音源は21世紀に入って再度編集し直した最新バージョンが採用されている。
- さらばシベリア鉄道 – (4:33)
- 作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一
- ジョン・レイトン「霧の中のジョニー(Johnny Remember Me)」からの引用で、太田裕美への提供曲のセルフ・カバー。本人も「この曲は、(「霧の中のジョニー」をプロデュースした)ジョー・ミークへのトリビュート・ソング」と語っており[8]、ミークがプロデュースしていたバンド、トルネイドースの「Ridin' the Wind(空を飛ぶ恋:ミークではなくリズムギターのジョージ・ベラミーの作曲)」を連想させるアレンジとなっている。ナイアガラ・トライアングル(佐野元春、杉真理、大滝詠一)「A面で恋をして」との両A面シングルでリリースされた(アルバムとはミックス違い)。
- 後に小林旭によってカバーされたが、大瀧の意向で曲名に「アキラの」が追加された。
クレジット
[編集]- Musicians
- Guitars: 安田“同年代”裕美, 三畑卓次, 笛吹利明, 福山享夫, 川村栄二, 松下誠, 松宮幹彦, 吉川“二日酔ドンマイ”忠英, 徳武弘文, 村松“カワイ・ギター教師”邦男, 鈴木“Hoseam-O”茂
- L.Perc: 鳴島“クワイアットマン”英治, 加藤賀行, 横山達治, 川瀬正人, 福生福生太郎[注釈 6], ラリー須永, 高杉登, 片山茂光, 川原正美, キムチ木村
- Keyboards: 山田“笑い上戸”英俊, 山中直子, 鈴木宏二, 井上鑑, エルトン永田, 中西康晴, 安西史孝, 大浜“練習熱心”和史, 井川賀幸, 遊眠亭主
- Drums: 上原“ユカリ”裕, 林“バラード”立夫
- Bass: 金田一昌吾, 長岡“ミッチ”道夫, 細野“エレキ・ベース”晴臣, 小泉僖美雄, 荒川康男
- Chorus, Voices of Each:
- Flute: Jake
- Trumpet: 吉岡孝時
- Marimba & Timpany: 金山功
- Strings: 前田憲男, 松任谷正隆
- ナガナガバカンスかもねむ会員
- 松本隆, 石川光 (Luna City), 川端薫, 白川隆三 (CBS/SONY), Kagamimochi 伊東, Kusomajime 深田, Kimuko 佐々木, Packman 芳川, アトム富士, GH助川, Hentai Papilapapa 大野, ショーガ焼き吉田 (Studio Staff), 笹島武, 川本晴義, 寺川知紀 (P.M.P), 前島洋児, 大細鈴松, 高木美和子 (Niagara Office)
- Re-Design: 佐藤徹 (Shumisome)
- Illustration: 永井博 (Penguin)
- Pattern: 湯村輝彦 (Terry)
- Obi-Design: 中山泰 (Richie young Studio)
- Recorded & Mixed at CBS/SONY Roppongi & Shinanomachi
- Engineer: 吉田保
- Arranger: 多羅尾伴内
- Executive Producer: 朝妻一郎
- Producer: 大瀧詠一
35DH 1, Master Sound DM
[編集]『A LONG VACATION』 | |||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | ||||
ジャンル | ポップス | ||||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY | ||||
プロデュース | 大瀧詠一 | ||||
大滝詠一 アルバム 年表 | |||||
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ナイアガラ・レーベル 年表 | |||||
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解説
[編集]発売から1年半後の1982年10月1日[注釈 7]。大滝によれば「とにかくアナログ2,700円の時代に3,500円のCDしかもCDの最初期だから、リスナーはCDプレイヤーも購入しないとならないわけです。だから誰も買いませんでしたね。ホントですよ」[book 6]とし、実際最初の3年間はCDの印税はゼロだったという。さらに「まあとにかく、品番35DH 1が『ロンバケ』で、35DH 2が『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』[注釈 8]だったわけですが、肝心の音が“なんでこんなに音が悪いんだ?”という。こうして僕のデジタル研究の旅も始まってしまうんですよ」[book 6]という。大滝にとってもCDについてはわからないことばかりだったがアナログ・カッティングでの経験から当時、マスタリング・レベルのピークが-20dBに設定されていたため音量が小さい部分に問題があるのではないかと考えたという。そこで、レベル・ピークを-0dBまで入れた2ndプレスが35DH 1のまま1983年 に発売された。結果としてこのアルバムは世界初のCDリマスタリングが行われたタイトルになってしまったという[book 6]。しかし、2ndプレスに対して周囲から“音がひずんでいる”と指摘されたのを受け、今度はピーク・レベルを-16dB辺りに設定した3rdプレスが制作され、最終的には3種類の35DH 1が存在している[注釈 9][注釈 10][注釈 11]。“マスターサウンド盤シリーズ”の高音質盤には、35DH 1ファーストプレスのデジタルマスターが使われている[注釈 12]。
、世界初のCD化タイトル50枚の中に選出された1989年PCM-1630のU-Maticに落としました。その際、“アナログ・マスターが危険な状態にある”という話を聞かされたんです。1980年 から83年までの3Mのテープは全体的に不具合があるという通達が来たのですよ。磁性体がボロボロ落ちて音が出なくなると。普通アナログは経年変化で最後はダメになるのだけど、この時期のテープはそれより早くダメになるという。それで『もう1回、何とかお願い!』ってU-Maticに入れたのがアナログを回した最後でした」[book 6]という。
に初の『公式』リマスター盤が発売されたが、大滝によれば「まだ世間的にはリマスタリングなんて言葉も無かったころですが、実は我々にしてみればこの時点で4回目のマスタリングだったんです。で、この時はアナログ・マスターから1989年
盤は、ケース本体に「1989 RE-MASTER」のステッカーが貼られ、「さらばシベリア鉄道」がカットされ全9曲となった。収録曲
[編集]- 君は天然色 – (5:06)
- Velvet Motel – (3:44)
- カナリア諸島にて – (4:00)
- Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語(ストーリー) – (3:15)
- 我が心のピンボール – (4:26)
- 雨のウェンズデイ – (4:25)
- スピーチ・バルーン – (3:56)
- 恋するカレン – (3:23)
- FUN×4 – (3:27)
- さらばシベリア鉄道 – (4:35)
CD選書シリーズ
[編集]『A LONG VACATION』 | ||||
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大滝詠一 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi | |||
ジャンル | ポップス | |||
レーベル | NIAGARA ⁄ CBS/SONY RECORDS | |||
プロデュース | 大瀧詠一 | |||
大滝詠一 アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
JAN 4988009166124, ASIN B00005G3F6 (CD) JAN 4988009732060, ASIN B01GS1K06I (MD) |
解説
[編集]「CD選書シリーズ」の一枚として廉価盤でのリリース。1991年 リマスターを使用、全10曲のオリジナルに戻された。レコード会社からは1990年 発売を打診されていたが、10周年に合わせて1991年 発売となった。
大滝によれば諸事情により、この選書盤のマスタリングに関与していなかった。後に30周年リマスタリングをする際、どの盤がどのマスターを使っているのか検証したところ、選書盤で使われたマスターはオリジナル・マスターではないことが判明したという。『EACH TIME』[注釈 13]リリース時に12インチ・シングル・ボックスが発売されたのに併せて『ロンバケ』のシングル・ボックスが企画され、そのためにオリジナル・アナログ・マスターから1/4インチ・アナログ・マスター・テープのコピーが1984年当時に作られ、「君は天然色」「カナリア諸島にて」「恋するカレン」「雨のウェンズデイ」とシングルのカップリング順に入っていた。最終的にシングル・ボックスの企画はなくなり、テープはそのまま保管されていた。ナイアガラ原盤リストに入っていなかったため、オリジナル・マスターからのコピー第一世代ではあるものの、全然再生されていないマスターが選書盤のマスターに使われていたことを、1991年 の時点で大滝は知らなかったという[book 6][book 7]。
CD選書盤はオリコン集計では最高56位で6.9万枚の売上だが、実売では10年間で45万枚を売り上げたという[book 8]。
収録曲
[編集]- 君は天然色 – (5:04)
- Velvet Motel – (3:43)
- カナリア諸島にて – (3:59)
- Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語(ストーリー) – (3:15)
- 我が心のピンボール – (4:24)
- 雨のウェンズデイ – (4:23)
- スピーチ・バルーン – (3:55)
- 恋するカレン – (3:22)
- FUN×4 – (3:25)
- さらばシベリア鉄道 – (4:35)
クレジット
[編集]- Musicians
- Guitars: 安田“同年代”裕美、三畑卓次、笛吹利明、福山享夫、川村栄二、松下誠、松宮幹彦、吉川“二日酔ドンマイ”忠英、徳武弘文、村松“カワイ・ギター教師”邦男、鈴木“Hoseam-O”茂
- L.Perc: 鳴島“クワイアットマン”英治、加藤賀行、横山達治、川瀬正人、福生福生太郎、ラリー須永、高杉登、片山茂光、川原正美、キムチ木村
- Keyboards: 山田“笑い上戸”英俊、山中直子、鈴木宏二、井上鑑、エルトン永田、中西康晴、安西史孝、大浜“練習熱心”和史、井川賀幸、遊眠亭主
- Drums: 上原“ユカリ”裕、林“バラード”立夫
- Bass: 金田一昌吾、長岡“ミッチ”道夫、細野“エレキ・ベース”晴臣、小泉僖美雄、荒川康男
- Chorus: Voices of Each
- Flute: Jake
- Trumpet: 吉岡孝時
- Marimba & Timpany: 金山功
- Strings: 前田憲男、松任谷正隆
- ナガナガバカンスかもねむ会員
- 松本隆、石川光 (Luna City)
- 川端薫、白川隆三 (CBS/SONY)
- Kagamimochi 伊東、Kusomajime 深田、Kimuko 佐々木、Packman 芳川、アトム富士、GH助川、Hentai Papilapapa 大野、ショーガ焼き吉田 (Studio Staff)
- 笹島武、川本晴義、寺川知紀 (P.M.P)
- 前島洋児、大細鈴松、高木美和子 (Niagara Office)
- Re-Design: 佐藤徹 (Shumisome)
- Illustration: 永井博 (Penguin)
- Pattern: 湯村輝彦 (Terry)
- Recorded & Mixed at CBS/SONY Roppongi & Shinanomachi
- Engineer: 吉田保
- Arranger: 多羅尾伴内
- Executive Producer: 朝妻一郎
- Producer: 大瀧詠一
- Remasterd on Dec. 1990 & Jan. 1991
- Engineer: Teppei Kasai
リリース履歴
[編集]# | 発売日 | リリース | 規格 | 品番 | 備考 |
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1 | 1981年3月21日 | ナイアガラ ⁄ CBSソニー | LP |
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アンケートハガキ封入。季節によりヴィニール・カバーを付けて発売されたものもある(1981年 | 冬期キャンペーン & 1982年 春期キャンペーン)。プレス時期によりレーベル・クレジットが異なる(1stプレス & 見本盤“All music & arrangement by 大瀧詠一”、2ndプレス以降“All music & arrangement by 多羅尾伴内”)。1983年 以降、ナイアガラ・レーベルからリリースされたシングル及びアルバムのジャケットを印刷したインナースリーブを封入。
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3 | 1981年7月21日 | LP |
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4 | 1982年10月1日 | CD |
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プレス時期によりマスタリング違いが3種類存在する。初回プレスは、盤の表面がゴールド仕様(但し初回プレスの後期にはシルバーの盤面も存在する)。セカンド・プレスは盤の表面がシルヴァー仕様で1983年 | 流通。サード・プレスは盤の表面がシルヴァー仕様でNGCD-7-OT表記有。1983年 流通。|
5 | 1983年8月1日 | LP |
30AH 1616 | マスターサウンド・シリーズでリリースされたアナログ盤。ジャケットには帯に加え外袋に“デラックス仕様レコード”のステッカーが貼られる。レーベル・クレジットはオリジナル・アナログ盤2ndプレス以降と同じ(“All music & arrangement by 多羅尾伴内”)。 | |
6 | CT |
33KH 1050 | マスターサウンド・シリーズでリリースされたメタル・カセット。 | ||
7 | 1989年6月1日 | CD |
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1989年 | リマスター、「さらばシベリア鉄道」をカットした全9曲。|
8 | CT |
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9 | 1991年3月21日 | CD |
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CD選書シリーズの一枚。全10曲のオリジナルに戻る。 | |
10 | 1997年10月22日 | ナイアガラ ⁄ ソニー |
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MD選書シリーズの一枚。全10曲。 | |
11 | 2001年3月21日 | CD |
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12 | 2011年3月21日 | 2CD |
SRCL 8000~1 |
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13 | 2014年3月19日 | – |
通常音質(全11曲:AAC 128/320kbps)[9][10][11][12][13] | ||
2014年4月1日 | |||||
14 | 2015年3月21日 | ナイアガラ ⁄ ソニー・ミュージックレーベルズ | CD |
SRCL 8700 |
|
15 | 2021年3月21日 | 4CD+BD+2LP+CT+GOODS | SRCL 12000~8 |
| |
16 | 2CD |
SRCL 12010~11 |
| ||
17 | LP |
SRJL 1234 |
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関連作品
[編集]- 夏歌2 - 夏がテーマの曲を集めたコンピレーション・アルバム、「カナリア諸島にて」収録。
- 風街図鑑〜松本隆 作詞活動30周年記念 - 松本隆の作詞家活動30周年記念CD-BOX、「カナリア諸島にて」「雨のウェンズデイ」収録。
- A LONG VACATION from Ladies (2009年11月4日井上鑑による「Epilogue Instrumental〜Blue Niagara」を収録[注釈 14]。 )CD:UMCK-1333【通常盤】, CD+DVD:UMCK-9304【初回生産限定盤】 - 女性アーティストによるトリビュート・アルバム。ボーナス・トラックとして、アレンジを手がけた
- A LONG VACATION 南国アンドロイド・カバー (2011年3月21日本秀康。マスタリングは本作の20周年記念盤と30周年盤を手掛けた内藤哲也。 )CD:DOCB-12342 - CHiP SHOP BOYZ WiTH ANDROiD SiNGERS ORCHESTRAによるトリビュート・アルバム。ジャケット・デザインは
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 契約自体は1978年に終了していたが、契約では「終了後2年間は日本コロムビアが販売権を持つ」とあったという。また、CBSソニーとの契約時、コロムビアとの契約がまだ1枚分残っていたが、非公認盤『TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA』で枚数契約が消化された。
- ^ a b 大滝『あれ(「Pap-Pi-doo-bi-doo-ba物語」)も3分の1くらいは松本が作ってるんです。同じアルバムの「FUNx4」のところどころにボクの詞が入っていて、めんどくさいからクレジットは片一方ずつにしましたけどね。』
- ^ 『NIAGARA CM SPECIAL Vol.2』(1982年10月1日 発売 NIAGARA ⁄ CBS/SONY LP:15AH 1515)収録
- ^ 作詞の松本は『坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT』(フジテレビNEXT)(2017年12月27日 放送)にて「フォー・タイムス・ファン」として作詞したと述べている。
- ^ 太田裕美と五十嵐浩晃はアルバム発売記念のライヴにゲスト参加。
- ^ 福生で丁稚をしていた、P.M.P社員としてもクレジットされている寺川知紀の変名。福生45スタジオ閉鎖に伴い、パーカッションの一部を引き取り、参加。
- ^ 1982年10月1日 発売 CD:35DH1
- ^ 『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』 1982年10月21日 発売 NIAGARA ⁄ CBS/SONY CD:35DH 2
- ^ 1stプレスは表面がゴールド(但し初回プレスの後期にはシルバーの盤面も存在する)、2ndプレスは表面がシルバー、3rdプレスは表面がシルバーでアーティスト・ナンバー入り(NGCD-7-OT)。
- ^ レーベルデザインは3rdプレスと同一だが、35DH 1 141と刻印された4種類目の盤も存在する。131,141ともにプリエンファシスが施されているが、141がTOCとサブコードにプリエンファシスフラグが立っているのに対し、131のプリエンファシスフラグはTOCに立っておらずサブコードのみ。このためTOCのフラグのみ認識するリッピングソフト/プレーヤーでは、ディエンファシスが効かずに高域が尖って聴こえる。この不具合を解消するため、141が生産された。
- ^ ソニー・ミュージックに在席していたエンジニア、馬場哲夫・富田哲郎によれば、2ndプレス、3rdプレスのマスターはニーヴの卓から抜き取ったEq、フェアチャイルドのコンプを経由しており、単なる収録レベルの違いでだけではなかった(柿崎景二著「デジタル・オーディオの全知識」<増補改訂新版> ISBN 978-4-88073-389-0 P233.)。
- ^ LP:30AH 1616, METAL CT:33KH 1050
- ^ 『EACH TIME』 1984年3月21日 発売 NIAGARA ⁄ CBS/SONY LP:28AH 1555(NGLP-539,540-OT), CT:28KH-1460
- ^ 太田裕美「FUN×4」での大滝の“散歩しない?”は、今回新たにレコーディングされたと思われる、大滝の声を収録。
出典
[編集]書籍
[編集]- ^ 『オリコン・チャートブック LP編 昭和45年 - 平成1年』オリジナル・コンフィデンス、1990年、98頁。ISBN 4871310256。
- ^ 新友・旧交「待ってくれた大滝」朝日新聞 1985年12月18日夕刊
- ^ 「色あせぬ20年 大滝詠一のCDアルバム『ロンバケ』再登場」『朝日新聞』2001年3月30日付夕刊、19頁。
- ^ a b FM STATION 1984年No.8 スーパーインタビュー『THE大滝詠一』19頁
- ^ a b c d e 「Sound & Recording Magazine」2011年6月号(リットーミュージック)P50 - 53
- ^ a b c d e 「Sound & Recording Magazine」2011年4月号(リットーミュージック)P50 - 53
- ^ 萩原健太、湯浅学「大滝詠一インタヴュー」『レコード・コレクターズ』第30巻第4号、株式会社ミュージック・マガジン、2011年4月1日、34-79頁、JANコード 4910196370411。
- ^ オリジナルコンフィデンス 2001年8月20日号
その他
[編集]- ^ NHK-BS『わが心の大滝詠一』(2021年4月24日 )
- ^ 『レコード・コレクターズ増刊 「大滝詠一 Talks About Niagara Complete Edition」』株式会社ミュージック・マガジン、2014年4月1日、371頁頁。
- ^ a b REY SHINODA「追っかけインタビュー 大瀧詠一 アルバム『ロング・バケーション』が好調な大瀧詠一お父さんの痛快な一言」『シティロード』1981年6月号、エコー企画、9頁。
- ^ 作詞は松本隆、松田聖子の「白いパラソル」って「君は天然色」の兄妹ソング?
- ^ 大滝詠一『A LONG VACATION』発売40周年記念し、全音楽記録媒体で発売、BARKS、2020年10月12日。
- ^ 【三井ショッピングパーク 】ららぽーとがTVCM新シリーズを公開!!女優・波瑠さんが「女子のたしなみ」を披露!,三井不動産商業マネジメント,2016年4月22日
- ^ “ナイアガラ・トライアングル40周年記念ボックス開封動画公開、大滝詠一「FUN×4」がキリンCMソングに”. 音楽ナタリー (2022年3月9日). 2022年3月9日閲覧。
- ^ 『元春レイディオ・ショー』(NHK-FM)2011年3月22日放送
- ^ “"大滝 詠一「A LONG VACATION」” (日本語). www.apple.com. Apple. (2014年3月19日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ “大滝 詠一「A LONG VACATION」”. music.jp. 株式会社エムティーアイ (2014年3月19日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ “A LONG VACATION” (日本語). Amazon.co.jp.. Amazon.com, Inc. (2014年3月19日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ “A LONG VACATION/大滝 詠一”. mora. 株式会社レーベルゲート (2014年3月19日). 2020年1月5日閲覧。
- ^ “『A LONG VACATION』大滝 詠一”. レコチョク. 株式会社レコチョク (2014年4月1日). 2020年1月5日閲覧。
外部リンク
[編集]- SonyMusic
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- A LONG VACATION – ディスコグラフィ
- その他
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- Eiichi-Ohtaki-A-Long-Vacation - Discogs (発売一覧)