逆流 (アルバム)

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逆流
長渕剛スタジオ・アルバム
リリース
録音 一口坂 STUDIO
伊豆 POLYDOR STUDIO
EPICURUS STUDIO
ジャンル ポピュラー
フォークソング
時間
レーベル 東芝EMI/エキスプレス
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • 第22回日本レコード大賞
    ベスト・アルバム賞
  • 長渕剛 年表
    風は南から
    (1979年)
    逆流
    (1979年)
    乾杯
    1980年
    『逆流』収録のシングル
    1. 祈り
      リリース: 1979年7月5日
    2. 順子/涙のセレナーデ
      リリース: 1980年6月5日
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    逆流』(ぎゃくりゅう)は、日本ミュージシャンである長渕剛の2枚目のオリジナルアルバム、およびアルバムの10曲目に収録されている楽曲である。

    アルバムは1979年11月5日東芝EMI/エキスプレスよりリリースされた。

    前作に引き続き、フォークソングを基調としたアルバムであるが、シングルカットされ大ヒットした「順子」を収録している。

    「順子/涙のセレナーデ」のヒットにより、一躍注目を集めた時期の作品であり、後に売上が伸びていき、オリコンチャートで1位を獲得した。

    背景[編集]

    前作『風は南から』(1979年)リリース後、単独ライブを4月2日に東京日仏会館、4月17日に博多大ホールにて開催し、7月5日に先行シングル「祈り」(1979年)をリリース、さらに7月25日にはシングル「春待気流」(1979年)をリリースしたが、同曲はアルバムには未収録となった。

    そんな折、ユイ音楽工房に所属していた縁で、1979年7月26に愛知県篠島において開催された吉田拓郎の「アイランドコンサート イン 篠島」に参加する事が決定した[1]。その数日前に西武球場にて開催された「80'sジャム」にて2万人の前で演奏した長渕は自信を覚えていたが、いざ当日になると聴衆の熱狂ぶりが伝わり、不安を抱えながら出番を待つこととなった[1]。出番が来ると吉田は紹介のないままステージに上がるよう長渕を促し、スリッパを脱いで裸足でステージ上へと上がった長渕であったが、緊張のあまり上手くトークが出来ず、曲の演奏に入ったものの聴衆の反応は鈍く、次第に客席から「帰れ!」という声が聞こえ始めた。さらに追い打ちをかけるように数曲目でギターの弦が切れてしまい、スタッフが対応を協議しているため間が開いた事に端を発し、客席から大きな声で「帰れ! 帰れ!」とシュプレヒコールが始まった[1]。始めはうろたえていた長渕だったが、次第に怒りがこみ上げ逆上し、客席に向かって「バカヤロー! 俺は帰らんぞ! 俺は拓郎に時間をもらってここに出てきたんだ。昔のやつら"帰れ"っていわれたら"ハイ、そうですか"って帰ったかもしれんけど、俺は帰らんぞ! 俺のファンだって来ているんだからな。"帰れ"っていうのなら、テメエが帰れ!」と怒号を発し、演奏を続ける事となった[1]。また、この体験から自分の作品やライブに対する考え方を見つめ直した結果、「逆流」という曲が製作される事となった[1]

    なお、この時期に『南こうせつのオールナイトニッポン』(1978年 - 1979年)にて1コーナーのDJを担当していた長渕は、ディレクターに依頼して後に結婚する事となる石野真子をゲストとして呼ぶ事となった[2]

    8月23日には新潟県民会館にて単独ライブを行い、その後、前作が予想を上回る売り上げを記録した事から、本作のレコーディングが開始される事となった[3]

    録音[編集]

    同年7月26日の「アイランドコンサート イン 篠島」に参加した際に、観客から「帰れコール」をされた事が影響しており、二週間ほど伊豆のスタジオにカンヅメ状態になるほど入れ込んでレコーディングを行った。その際、伊豆スタジオの別荘が火事で使用不能になったため、借り物の二部屋しかない別荘に泊まることになり、スタッフ三、四人で雑魚寝をすることになった[3]

    後々アレンジャーやサウンドプロデューサーとして名を馳せる瀬尾一三笛吹利明の参加もこのアルバムからである。

    ツアー[編集]

    本作リリース後、1979年11月12日の横須賀市民会館を皮切りに、「長渕剛コンサートツアー'79」と題した初の全国ツアーが開始されている[3]。 同ツアーでは全国49か所、およそ8万人を動員した[3]

    さらにその後、1980年1月17日の長岡市立劇場を皮切りに、「長渕剛コンサートツアー'80」と題した全国ツアーが敢行された[3]。2月12日の松戸市民会館において、最後の演奏曲である「逆流」の演奏中にギターの弦が次々と切れ、まともな演奏が出来なくなってしまったが、聴衆が伴奏代わりの手拍子を行い事なきを得た[3]。また、このツアーの最中の6月末より次作『乾杯』(1980年)のレコーディングが開始されている[3]

    チャート成績[編集]

    リリース後ほどなくしてオリコンチャート10位以内に入り、半年間ほど同じ状態で売れ続けた結果、最高位では1位を獲得し売り上げは約40万枚となった[4]。また、収録曲の1つである「順子」が有線放送で連続1位を獲得し、後にシングルカットされた際にミリオンセラーを達成するなど、長渕の名が世間に知れ渡ることとなった。その影響で、ライブ・ツアーの本数が120カ所と一気に増え、本格的な音楽活動が開始することとなった[3]

    本作品は第22回日本レコード大賞にてベスト・アルバム賞を受賞している。

    収録曲[編集]

    A面
    全作詞・作曲: 長渕剛(注記を除く)。
    #タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
    1.風は南から長渕剛(注記を除く)長渕剛(注記を除く)瀬尾一三
    2.友への手紙長渕剛(注記を除く)長渕剛(注記を除く)石川鷹彦
    3.順子長渕剛(注記を除く)長渕剛(注記を除く)瀬尾一三
    4.素顔長渕剛(注記を除く)長渕剛(注記を除く)石川鷹彦
    5.男は女が必要さ長渕剛(注記を除く)長渕剛(注記を除く)石川鷹彦
    B面
    #タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
    6.あんたとあたいは数え唄  瀬尾一三
    7.ひざまくら  石川鷹彦、長渕剛
    8.祈り  佐藤準
    9.酔待草(よいまちぐさ)(作詞:松本隆)  瀬尾一三
    10.逆流  瀬尾一三
    合計時間:

    曲解説[編集]

    A面[編集]

    1. 風は南から
      前アルバムのタイトルであるが、何故か同名の曲がこのアルバムに収録されている。桜島オールナイトコンサートのDVDに、リハーサルで別テイクを演奏している模様が収録されている。
    2. 友への手紙
    3. 順子
      詳細は「順子/涙のセレナーデ」の項を参照。
    4. 素顔
      一時期のライブでは定番だった曲。
    5. 男は女が必要さ
      歌詞中に登場する「ニール」とは、ニール・ヤングの事である。彼のアルバム「ハーヴェスト」には、「男は女が必要」というタイトルの楽曲が実際に存在する。福岡市内のスポット大濠公園、長渕剛がよくライブをしていた喫茶店照和も歌詞に登場する。

    B面[編集]

    1. あんたとあたいは数え唄
    2. ひざまくら
      主に初期のライブでしか演奏されなかった曲だが、1990年代中盤以降のライブで度々演奏されるようになった。
    3. 祈り
      詳細は「祈り」の項を参照。
    4. 酔待草(よいまちぐさ)
    5. 逆流
      1988年にリリースされたセルフカヴァーアルバム『NEVER CHANGE』で再度レコーディングされている。
      2004年8月の桜島オールナイトライブでは、初期のこのバージョンの方を演奏している。

    スタッフ・クレジット[編集]

    参加ミュージシャン[編集]

    どの曲で、誰がどの楽器を演奏しているかの詳細な記述はされていない。

    スタッフ[編集]

    • 石塚良一 - レコーディング・エンジニア
    • 秋野賢一 - レコーディング・エンジニア
    • 高橋隆宝 - レコーディング・エンジニア
    • 陣山俊一 (Yui) - ディレクター
    • 山里剛 (YAMAHA) - ディレクター
    • 米田恵一 (TOSHIBA-EMI) - ディレクター
    • 糟谷銑司 - マネージメント
    • 田村仁 - 写真撮影
    • 荒井博文 - デザイン

    リリース履歴[編集]

    No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
    1 1979年11月5日 東芝EMI/エキスプレス LP
    CT
    ETP-80109
    ZT25-479
    1位
    2 1985年11月1日 東芝EMI/エキスプレス CD CA32-1183 -
    3 2006年2月8日 東芝EMI/エキスプレス CD TOCT-25944 210位 24ビット・デジタルリマスター紙ジャケット仕様

    脚注・参照[編集]

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    1. ^ a b c d e 長渕剛 「総括「篠島帰れ帰れ事件」」『俺らの旅はハイウェイ』 八曜社、1981年、185 - 199頁。ISBN 9784827000573
    2. ^ 長渕剛 「愛そして結婚」『俺らの旅はハイウェイ』 八曜社、1981年、214 - 223頁。ISBN 9784827000573
    3. ^ a b c d e f g h 長渕剛 「レコードとコンサート・・・・・・日本中を走り続けた日々」『俺らの旅はハイウェイ』 八曜社、1981年、233 - 251頁。ISBN 9784827000573
    4. ^ 矢吹光 「第2章 対決! 両雄黄金の経歴」『長渕剛 VS 桑田佳祐』 三一書房1995年3月31日、53 - 126頁。ISBN 9784380952227

    外部リンク[編集]