少年時代
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『少年時代』(しょうねんじだい)は、藤子不二雄Ⓐによる日本の漫画および、1990年に公開された映画。
概要[編集]
作家柏原兵三の小説『長い道』を漫画化した作品である。1978年(昭和53年)から1979年(昭和54年)まで『週刊少年マガジン』(講談社)に連載された。
漫画版の舞台は、藤子不二雄Ⓐが戦時中に疎開した富山県朝日町山崎をモデルにしている[1]。
『少年マガジン』連載当初は読者からの反響が全く無く、作者(藤子Ⓐ)自身戸惑っていた。しかし連載が終了してから読者からの手紙が殺到したという。
あらすじ[編集]
太平洋戦争末期、主人公の風間進一は東京から富山へ疎開する。そこで進一はタケシという少年と親友になるが、級長であり同級生の少年達の中の権力者であるタケシは、何故か学校内では進一を冷たくあしらう。やがてタケシと級友達との権力争いが始まり、進一は否応なくその争いに巻き込まれて行く。
登場人物[編集]
- 風間進一
- 本作品の主人公。東京から富山へ疎開した小学5年生。東京にいた時はクラスの副級長をしており、タケシには田舎ですぐ級長になれる地位だと思われている。東京育ちで気取っているという理由で、疎開先の学校の同級生にいじめられる。タケシの気まぐれな態度に戸惑いつつも、それに甘んじている。
- 進藤武(通称タケシ)
- 進一のクラスの級長で番長。頭がよく、体の弱い父の分まで働いており回りの大人から信頼されているが、学校では学級を支配し、自分の言う事に背いた者はすぐに暴力を振るうため、同級生からは不満をもたれている。進一に対しては優しい面もあるが、進一がしゃくに障ることをすると、集団で彼をいじめる。ある時、中学生の不良グループからリンチされ、それをきっかけにこれまでとは逆にいじめの標的になってしまう。
- 美那子
- 校長先生の親戚で、大阪から疎開してきた女の子。タケシは彼女の事が好きなのか、彼女が進一と一緒にいると、決まって進一を集団でいじめる。
- フトシ
- 進一の級友で、副番長の様な存在だが一匹狼的な存在。無口で大柄。唯一、進一のクラスでタケシの支配に従わないが、体が大きく力もあるためタケシも彼には暴力を振るわない。ノボル、キヨシ、コウジの3人をまとめて倒したり、タケシとのタイマンでは、タケシの用意した木刀を一瞬でへし折りタケシを苦戦させる等、ケンカは強い。「うるさくて縄がなえない」や「頭が痛くなる」などの名目で進一へのいじめを止めることもあり、進一に対して若干の好感を持っている様子である。多少の攻撃ではビクともしないが、タケシとは違って勉強は苦手。
- ケンスケ
- 進一の級友で、タケシのライバル。体が弱く、長い間入院しており学校を休んでいたが、進一たちが進級し6年生になった時に復学した。タケシには非常に大きな不満を持っており、クラスの皆と団結しタケシを倒そうとしている。タケシ自身も彼のことを妬み嫌っている。裕福な家庭に育ち、頭がよく幼稚園の時には東京にいた。タケシが中学生達にリンチされたのを知り、クラス全員でタケシに復讐の計画を立てた。
- 風間進二
- 進一の弟。東京にいた時は級長をしていた。進一とともに富山へ疎開した。なお、進一には他に兄もいる。
- マサル
- 進一の同級生で、太った男の子。おとなしく、進一には好意的に接している。
- キスケ
- 進一の同級生。彼もまたおとなしく、進一には好意的に接している。マサル曰く足が速くすばしっこい。進一はマサル、キスケと仲がよく、共に行動することが多い。
- ノボル
- 進一の同級生。マサルやキスケとは違い、進一に対して意地悪ばかりする。タケシのやり方には非常に不満を持っている。また、キヨシやコウジと仲が良く、タケシが進一のいじめに参加しない時はこの3人が中心になって進一をいじめる。
- 庵寿さん
- 進一が富山へ疎開した際に身を寄せた光禅庵の尼さん。明るくて優しい。
単行本[編集]
- 講談社コミックス『少年時代』(講談社) 全5巻 - 絶版
- 藤子不二雄ランド「少年時代』(中央公論社)全5巻 - 絶版
- 愛蔵版『少年時代』(中央公論社)全1巻
- 中公文庫コミック版『少年時代』(中央公論社)全3巻 - 絶版
- 藤子不二雄Ⓐランド『少年時代』(ブッキング)全5巻
映画[編集]
少年時代 | |
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監督 | 篠田正浩 |
脚本 | 山田太一 |
製作 | 藤子不二雄Ⓐ |
製作総指揮 | 小田久栄門 |
出演者 |
藤田哲也 堀岡裕二 岩下志麻 細川俊之 仙道敦子 |
音楽 | 池辺晋一郎 |
主題歌 | 井上陽水「少年時代」 |
撮影 | 鈴木達夫 |
編集 | 長田千鶴子 |
配給 | 東宝 |
公開 |
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上映時間 | 117分 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
配給収入 | 3億円[2] |
1990年、篠田正浩監督で映画化され、東宝系にて公開された。一部漫画版と設定が異なるが、主人公が3人兄弟の末っ子で、一人で富山の親戚宅に疎開することなどは原作小説『長い道』と同じ設定である。
公開当時、興行的には大ヒットに至らなかったが、その後日本アカデミー賞をはじめとした様々な映画賞を30部門以上受賞し、評価された[3]。
井上陽水の大ヒット曲「少年時代」はこの映画の主題歌である。原作者である藤子不二雄Ⓐが、友人である井上陽水に曲を依頼したという。
出演者はプロの俳優だけでなく、現地の人々も起用している。
キャスト[編集]
- 風間進二:藤田哲也
- 大原武:堀岡裕二
- 須藤健介:小日向範威
- 田辺太:山崎勝久
- 佐伯美那子:小山篤子
- 登(浜見集落):工藤彰吾
- 勝(浜見集落):細池孝二
- 清(浜見集落):岩渕健
- 喜助(浜見集落):中島賢太郎
- 滋(浜見集落):高鉾龍
- 秀(浜見集落):沢田博志
- 五年男組:黒田垂歩(野沢)、加藤隆司(河村)、長谷川靖夫(光夫)
- 風間修作(進二の父):細川俊之
- 風間静江(進二の母):岩下志麻
- 風間秀一(進二の兄):鈴木武次郎
- 風間まさ(進二の祖母):鈴木光枝
- 風間辰男(進二の伯父):河原崎長一郎
- 風間しげ(進二の伯母):三田和代
- 武の祖父:伊達三郎
- 武の弟:古川秀二
- 太の父:益富信孝
- 太の母:絵沢萌子
- 太の姉(昭子):仙道敦子
- 美那子の母:高畑淳子
- 修作の運転手:田村錦人
- 校長先生:芦田伸介
- 増田先生:津村鷹志
- 女先生:谷口朋子
- 風泊の駅長:大滝秀治
- 銭湯の老人:浜村純
- 本田清二:渡浩行
- 在郷軍人:井上博一
- アナウンサーの声:天野脩次郎
- 写真館の主人:大橋巨泉
- 写真館の妻:三好美智子
- 鳥舞の高等科:鈴木健
- 鳥舞の六年生:加藤岳史
- 鳥舞の五年生:森岩健太郎、川畑健一郎
- その他の児童たち:
- 大家庄小学校(朝日町)のみなさん
- 五箇庄小学校(朝日町)のみなさん
- 泊小学校(朝日町)のみなさん
- 笹川小学校(朝日町)のみなさん
- 山崎小学校(朝日町)のみなさん
- 横山小学校(入善町)のみなさん
- 椚山小学校(入善町)のみなさん
- 城端小学校(城端町)のみなさん
スタッフ[編集]
- 監督:篠田正浩
- 原作:柏原兵三、藤子不二雄Ⓐ
- 企画・製作者:藤子不二雄Ⓐ
- 脚本:山田太一
- 音楽:池辺晋一郎
- 主題歌:井上陽水「少年時代」
- 撮影:鈴木達夫
- 照明:水野研一
- 録音:西原英雄
- 美術:木村威夫
- 編集:長田千鶴子
- 装飾:神田明良
- 記録:天池芳美
- 製作担当:上原英和、森顕正
- 助監督:須藤公三、桑原昌英
- 音響効果:川崎努
- 殺陣:二家本辰己
- 企画協力:高倉三郎
- ロケ協力:富山県、富山市、高岡市、氷見市、入善町、朝日町、城端町、立山町、トナミ運輸、大井川鐵道、富山地方鉄道、西日本旅客鉄道 ほか
- 資料協力:小学館、講談社、砺波郷土資料館、銀座かぶきや
- MA:アオイスタジオ
- 現像:IMAGICA
- 特別協賛:学生援護会
- プロデュース:永井正夫
- プロデューサー補:鯉渕優
- 製作プロダクション:表現社
- 製作総指揮:小田久栄門
- 製作:「少年時代」製作委員会(藤子スタジオ、小学館、中央公論社、テレビ朝日、旭通信社、シンエイ動画)
出典[編集]
- ^ ロカルちゃvol5(アニメ漫画編)4ページ下部
- ^ 「邦画フリーブッキング配収ベスト作品」『キネマ旬報』1991年(平成3年)2月下旬号、キネマ旬報社、1991年、 143頁。
- ^ 読売新聞社文化部『この歌この歌手―運命のドラマ120〈下〉』現代教養文庫、1997年、299頁。ISBN 4390116029
外部リンク[編集]
- 少年時代 - 日本映画データベース
- 少年時代 - allcinema
- 少年時代 - KINENOTE
- 少年時代 - オールムービー(英語)
- 少年時代 - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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