バトル・ロワイアル (映画)

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バトル・ロワイアル
監督 深作欣二
脚本 深作健太
原作 高見広春
製作 片岡公生
深作健太
製作総指揮 高野育郎
出演者 藤原竜也
前田亜季
山本太郎
栗山千明
柴咲コウ
安藤政信
ビートたけし
音楽 天野正道
主題歌 劇場公開版 / 特別篇
Dragon Ash
静かな日々の階段を
3D版
土屋アンナ
「CHECKMATE mash up ANTY the 紅乃壱, VOLTA MASTERS」
撮影 柳島克己
編集 阿部浩英
配給 東映
公開 日本の旗 2000年12月16日(劇場公開版)
日本の旗 2001年4月7日(特別篇)
日本の旗 2010年11月20日(3D映画)
上映時間 114分(劇場公開版)
122分(特別篇)
119分(3D版)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 31.1億円[1]
次作 バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】
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バトル・ロワイアル』は高見広春の同名小説『バトル・ロワイアル』を原作として、2000年に公開された日本映画。キャッチコピーは『ねえ、友達殺したことある?』。「R15+指定」により主人公と同じ中学生が観賞できない問題作であったが、興行収入30億円を超えるヒット作品となり、以後、シリーズ製作された。

概要[編集]

監督に深作欣二、出演に藤原竜也前田亜季山本太郎安藤政信ビートたけしらを迎えて制作された。第43回ブルーリボン賞作品賞を受賞し、同新人賞を藤原が受賞した。

深作は本作品を制作するに至ったきっかけを問われ、太平洋戦争中に学徒動員によりひたちなか市の軍需工場で従事していた中学3年生当時(旧制中学校の教育課程制度下であるが、学齢は現制度での中学3年生と同じ)、米軍の艦砲射撃により友人が犠牲になり、散乱した死体の一部をかき集めていた際に生じた「国家への不信」や「大人への憎しみ」が人格形成の根底にあったこと、今日の少年犯罪の加害者少年の心情を思うと他人事でないという感情を抱いてきたことから、いつか「中学三年生」を映画の主題に取り上げたいと考えていたところに、深作の長男で助監督だった深作健太がすすめた原作本の帯にあった「中学生42人皆殺し」のキャッチコピーを見て、「あ、こりゃいけるわ」と思い立ったと答えている[2]

中学生同士が殺し合うという原作の内容から、青少年への悪影響を危惧され、また上映開始年となった2000年は西鉄バスジャック事件を初めとする少年犯罪が社会的注目を集めている時期でもあったことから、当時の衆議院議員石井紘基が中心となりこの映画の規制を求める運動が行われ、石井は2000年11月17日、国会(第150回国会文教委員会)で大島理森文部大臣にこの映画に対する政府の見解を求める質疑を行った[3]。これがマスコミに取り上げられることになり社会の関心を集めた。報道によって逆に話題を呼び、興行収入31.1億円の大ヒット作となった(2001年度の邦画興行収入ランキング第3位)。

R-15指定は中学生による鑑賞をほぼ全て制限するため、劇中の主人公らと同世代の中学生が劇場では見ることができないという状況も作り出した。ここに商機をみた東映はオリジナルの作品にシーンの追加やCG処理などを行った再編集版を製作し、翌2001年4月7日に“当時中学生で観られなかった諸君にこの一篇を贈る”と銘打ち『バトル・ロワイアル【特別篇】』として公開。こちらもヒットさせた。また、卒業証書を劇場に持参すれば料金が1000円となるキャンペーンも実施された。

2003年7月5日には続編にあたる『バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】』が公開された。

2004年6月1日、小学6年生(当時11歳)の少女が小学校内で同級生を殺すという佐世保小6女児同級生殺害事件があったが、この児童は小学3年生からこの小説のファンであり、事件の前にはこの映画(R15+)のDVDを姉のレンタルカードを利用して借りたり、この作品の同人小説の創作をしていた。この事件のために、再編集版『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌 REVENGE』の発売が延期となったという。

2010年11月20日、『特別篇』をベースとした3D映画版が『バトル・ロワイアル3D』の題名で公開された[4]。オリジナル作品同様R15+指定作品である。また、オリジナル版公開当時は諸般の事情で成し得なかった全米公開を2011年に実施予定[4]

あらすじ[編集]

新世紀の初め、ひとつの国が壊れた。経済的危機により完全失業率15%、失業者1,000万人を突破。大人を頼れない世界に子供達は暴走し、学級崩壊や家庭崩壊が各地で発生。少年犯罪は増加の一途をたどり、不登校児童・生徒は80万人。校内暴力による教師の殉職者は1,200人を突破した。自信を失くし子供達を恐れた大人たちは、やがてある法案を可決し、施行する。それが、新世紀教育改革法、通称「BR法」だ。誰もが恐れる「死」を利用して、恐怖による支配によって大人の威厳を取り戻す目的で施行されたこの法律は、年に一度全国の中学校3年生の中から選ばれた1クラスに、コンピュータ管理された脱出不可能な無人島で、制限時間の3日の間に最後の一人になるまで殺し合いを強いるという法律である。

今回BR法に選ばれたのは、岩城学園中学3年B組の生徒たちだった。修学旅行のためにバスに乗ったはずが催眠ガスで眠らされ、無人島に連れてこられた生徒達に元担任・キタノの指導の下、食料と武器がそれぞれに渡されゲームが開始。極限状態に追い込まれた生徒たちは、様々な行動に出る。昨日までの友人を殺害する者、諦めて愛する人と死を選ぶ者、力を合わせて事態を回避しようとする者。自分から志願してゲームに参加する転校生の桐山和雄に殺戮される者……。

そんな中、生徒のひとりである七原秋也は、同じ孤児院で育った親友・国信慶時がほのかな想いを寄せていた中川典子を守るため、武器を取ることを決意。当て馬としてゲームに参加した転校生の川田章吾と共に島から脱出しようとする。

キャスト[編集]

生徒役は皆、応募総数約6,000名の中からオーディションで選ばれた42名。最終的に800名に絞られ、本読みや体力テストに半年を費やし次々とキャストが選ばれていった(小栗旬も同オーディションを受けていた)。

主役である七原秋也と中川典子役は藤原竜也前田亜季。当初中川典子役には岩村愛がキャスティングされていたが、怪我で交代となり、岩村は前回優勝者の少女役として出演した。そして物語上重要な役割を担う転校生の川田章吾と桐山和雄役は山本太郎安藤政信が、その他の主要生徒は柴咲コウ栗山千明塚本高史高岡蒼甫小谷幸弘石川絵里がそれぞれ演じている。プロデューサーの深作は、ゲームの担当教官役に『金八先生』シリーズで坂本金八を演じていた武田鉄矢などを考えていたが、監督の「たけしとやりたい」という言葉によってビートたけしに決定した。ビートたけしは自身と同名の教師「キタノ」役にキャスティングされている。

川田章吾役は当初安藤政信が演じる予定であったが、台本を読んだ安藤が桐山和雄を気に入ったため彼が桐山を演じることとなった。ちなみに映画の桐山には一切の台詞が無い。元々の台本では「道ばたの石ころをどかしただけだ…。命は平等に価値は無い…。俺は俺を肯定する。」といった台詞が書かれていたが、安藤の希望を監督が快諾し、無くなった。

また、千草貴子役は柴咲コウ、相馬光子役は栗山千明が演じる予定であった。それぞれ柴咲は千草貴子、栗山は相馬光子のオーディションを勝ち進んでいたが、撮影前になって深作監督の判断で配役が変更された。プロデューサーの深作はじめスタッフたちは配役変更に反対していた。当時を振り返りプロデューサー陣は「まさか柴咲が光子を演るとは思わなかった(彼女の本質と光子がかけ離れていたため)」と語っている。しかし、出来上がった作品を観てその判断に納得したという。

栗山千明は本作を鑑賞したクエンティン・タランティーノに認められたことから『キル・ビル Vol.1』に出演し、バトル・ロワイアルの出演シーンをオマージュしたシーンを自ら演じた。

城岩学園中学校3年B組生徒役の俳優42名のうち、撮影・公開が行われた2000年当時に実際に中学三年生(1985年度生まれ)だったのは前田亜季、小谷幸弘、三村恭代の3名のみで、残りの39名は全員が高校生以上の年齢であった。なお、回想シーンで神戸の中学三年生役を演じた美波は当時中学二年生(1986年9月22日生まれ)であった。生徒役の最高齢は主要キャストでもある山本太郎と安藤政信で、どちらも撮影時25歳であった。

また、前田亜季の実姉である前田愛や声優の宮村優子カメオ的に出演している。

城岩学園中学校3年B組 男子[編集]

  1. 赤松義生 - 日下慎
  2. 飯島敬太 - 松沢蓮
  3. 大木立道 - 西村豪起(現・豪起
  4. 織田敏憲 - 山口森広
  5. 川田章吾 - 山本太郎
  6. 桐山和雄 - 安藤政信
  7. 国信慶時 - 小谷幸弘
  8. 倉元洋二 - 大西修
  9. 黒長博 - 増田裕生
  10. 笹川竜平 - 郷志郎
  11. 杉村弘樹 - 高岡蒼佑
  12. 瀬戸豊 - 島田豊
  13. 滝口優一郎 - 内藤淳一
  14. 月岡彰 - 広川茂樹
  15. 七原秋也 - 藤原竜也
  16. 新井田和志 - 本田博仁
  17. 沼井充 - 柴田陽亮
  18. 旗上忠勝 - 横道智
  19. 三村信史 - 塚本高史
  20. 元渕恭一 - 新田亮
  21. 山本和彦 - 佐野泰臣

城岩学園中学校3年B組 女子[編集]

  1. 稲田瑞穂 - 木下統耶子
  2. 内海幸枝 - 石川絵里
  3. 江藤恵 - 池田早矢加
  4. 小川さくら - 嶋木智実
  5. 金井泉 - 三原珠紀
  6. 北野雪子 - 金澤祐香利
  7. 日下友美子 - 加藤操
  8. 琴弾加代子 - 三村恭代
  9. 榊祐子 - 日向瞳
  10. 清水比呂乃 - 永田杏奈
  11. 相馬光子 - 柴咲コウ
  12. 谷沢はるか - 石井里弥
  13. 千草貴子 - 栗山千明
  14. 天堂真弓 - 野見山晴可
  15. 中川典子 - 前田亜季
  16. 中川有香 - 花村怜美
  17. 野田聡美 - 神谷涼
  18. 藤吉文世 - 井上亜紀
  19. 松井知里 - 金井愛砂美
  20. 南佳織 - 関口まい
  21. 矢作好美 - 馬場喬子

その他[編集]

特別篇追加キャスト[編集]

スタッフ[編集]

ソフト化[編集]

  • バトル・ロワイアル外伝(2000年12月1日発売、メイキングDVD)
  • バトル・ロワイアル(DVD1枚組、2001年9月21日発売)
    • 本編には幻のエンディング「レクイエム」を収録
    • 映像特典
      • 初日舞台挨拶
      • ビートたけし
      • データファイル
      • ビデオのお姉さん完全版
      • ワルシャワオーケストラ収録風景
      • BR法完全紹介
      • トレーラー集(劇場予告編、WOWOW版スポット、IT版スポット、渋谷QFRONT版スポット、角川版スポット、TVスポット集、『バトル・ロワイアル 特別篇』劇場予告編)
    • 初回限定特典
      • 「バトル・ロワイアル」オリジナル・シール
  • バトル・ロワイアル 特別篇 SPECIAL VERSION(DVD1枚組、2002年5月21日発売)
    • 劇場公開版に追加撮影シーン、未公開シーンを加え、CG修正を施した本編を収録
    • 映像特典「BRメモリアル」
      • プロローグ バトル・ロワイアル<WOWOW特番>
      • 未公開秘蔵メイキング映像 オーディション篇
      • 未公開秘蔵メイキング映像 撮影篇
      • ビデオのお姉さん監督誕生日バージョン
      • メモリアルフォトアルバム
      • 合成シーンの正しい作り方
      • ワルシャワオーケストラ収録風景 ver.2
      • 第13回東京国際映画祭舞台挨拶
      • BR騒動
      • アートギャラリー
      • 未公開秘蔵メイキング映像 特別篇
      • 劇場予告編
      • TVスポット集
      • WOWOWタランティーノ スポット
      • 『バトル・ロワイアル』DVD・ビデオリリース予告
      • 『映画は戦場だ』予告
  • バトル・ロワイアル 3D(Blu-ray3D1枚組、2011年7月22日発売)[7]
    • 3D版本編を収録、2D再生にも対応
    • 映像特典
      • 3夜連続特集! 映画『バトル・ロワイアル 3D』いよいよ公開!
      • 海外用3Dプロモ
      • トレーラー

メイキング[編集]

  • 映画は戦場だ 深作欣二in「バトル・ロワイアル」


評価[編集]

批評家の反応[編集]

映画『バトル・ロワイアル』は、西洋の批評家から高い評価を受けた。Rotten Tomatoesでは43件のレビューに基づき、86%の評価を得た。同サイトのコンセンサスは、「バトル・ロワイアルは思春期の論争で暴走的な寓話であり、十代のメロドラマを生死の賭けにより高めている」と述べている[8] 。『バラエティ』のロバート・ケーラーは、「最も基本的なキャラクターもいれば、大部分の10代のキャストが恐ろしい欲求を持って攻撃する。藤原は、忠実に内面的な道徳的葛藤の声を喚起している。プロデュースは非常にハンサムで活発。深作が減速しているという兆候はない。」とコメント。更に彼は、「日本の暴力映画の巨匠としての地位に復帰した深作欣二は、彼の最も凶悪でタイムリーな映画のひとつを「青年の暴力に対する怒り」と比較している」と述べ、1970年代前半にイギリスで生まれたスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』の「70年代の血で乱れた暴力映画の最も驚くべき場面」をフィーチャーした」としている[9]BBCニュースのジェイソン・コルスナーは5つ星中4つ星を与え、「私たちに規律、チームワーク、決断という価値ある教訓を教えてくれるが、故意に挑発的で驚くほど暴力的なパッケージを包み込んでいる。」とコメント。BBCのユーザーは5つ星中5つ星を与えた[10]。BBCのアルマー・ハフリーダソンも5つ星を与えた.[11]。映画批評家のキム・ニューマンは『エンパイア』のレビューの中で、5つ星中4つ星を与えた。彼は映画を「同じ状況で何をするだろう」と観客に考えさせる『蠅の王』の手法と比較したが、『バトル・ロワイアル』は「学校制服のキャラクターにとって更に厳しい選択肢」を与えられているとコメント。続けて「何人かは不快感を覚えるが、ユーモアと恐怖の混在は不安だが、これは簡単に忘れる映画ではない。真剣に、あなたは何をしますか?」と問いかけている[12]

ガーディアン』の批評家ピーター・ブラッドショーは2001年9月にこの映画に4つ星を与え、今週の最高の映画に選出。彼は教師役の北野武の演技と「幻想と恐怖の世界に私たちを突き刺す、驚くほど堪能な演出映画作品」と称賛した。彼は、「弾丸と血の吐き気の声」の中で、憧れと悲しみの悩ましい物語が繰り広げられていると指摘している。加えて、『バトル・ロワイアル』の暴力は、全く社会の風刺ではなく、思春期の苦悩で、「この映画は暴力をはっきりと見出す」ものの、著しい自信と才能を持つ映画であり、その強烈な正気と奇妙で情熱的な緊急性は、それを説得力のあるものにしていると結論付けている[13]。イギリスの批評家ジョナサン・ロスは、「もしあたなが、アメリカ人がリメイクして台無しにする前に、オリジナルで超クールなエンターテインメントを見つけたいと思ったら、それを見逃さないように努力することをお勧めする。」「これはティーン映画で何が出来るかという、とても想像力のある例だ」と評価した[14] 。2009年、映画監督のクエンティン・タランティーノは、『バトル・ロワイアル』を過去20年間で見た中で最高の映画として高く評価している[15]

2012年にアメリカでBlu-rayの発売が決まると、映画に新たな関心が集まった。エンターテインメント・ウィークリーのクリス・ナシャワティは映画に「A」グレードの評価を与えた。プログラムの生存または転覆の為に、生徒の様々な動機を調べるのは「最高に楽しい時間」とコメント[16]。『ニューヨーク・タイムズ』のA・O・スコットは、映画に肯定的評価を与えた。「巧みに演出された暴力シーンはまるで滑稽でぞっとする。そして、(深作の)若いキャストは、印象的な信念を持って映画のメロドラマ風の末端を包み込んでいる。」とコメント。また、『バトル・ロワイアル』は「多くの点で、『ハンガー・ゲーム』より優れた映画であり、いずれにしても並行した文化的宇宙から引き出された魅惑的な仲間であることは間違いない。それはとても醜く、更にずっと楽しいものだ。」と付け加えた[17]。『マイアミ・ヘラルド』のエンターテインメント評論家ケアリー・ダーリンは、「緊張した悲劇的かつタイムリーな現代の恐怖物語」と表現している。ボストン・フェニックスのアレクサンドラ・カヴァッロは、「若い観客の為に薄められていない『ハンガー・ゲーム』」とコメント[18] 。コンブスティビレ・セルロイドのジェフリー・M・アンダーソンは4つ星中4つ星を与え、「輝かしい格好良さと捻りのある物語」と表現し、それが「果てしなく面白く、血生臭くて陽気で、不穏で刺激的。」だと主張した[19]シカゴ・サンタイムズのオーストラリア特派員マイケル・ミラソルは、「全ての学生に魅了された」「思慮深い特徴付け」だと映画を称賛し、「若い聴衆を対象とした激しい寓話だが、感情、知性、そして尊敬を払っている」とコメントした[20]サフォーク・ヴォイスのジェイク・マリガンは、5つ星中5つ星を与え、『キル・ビル』や『ハンガー・ゲーム』には、『バトル・ロワイアル』の影響があると指摘。『バトル・ロワイアル』は、「挑発的で、面白く、暴力的で、大部分の生徒に同じように注意を払いながら、よく考えられた物語の裏側の細部を表示する脚本によって支持された」と説明している[21]

IGNのR・L・シファーは、10点満点中8点を与え、「『バトル・ロワイアル』が本当にどれほど素晴らしいかを思い出させる為に、『ハンガー・ゲーム』に感謝の気持ちを持つ」「『バトル・ロワイアル』は騒乱、暴力、そして自由な10代メロドラマの傑作」と評価した[22]。ツイッチ映画のJ・ウルダトは、「批評の多くは暴力に焦点を当てているが、これは確かに極端であり、映画の人間性はあまりない」と述べている。また、「これらの生徒を実際の生死に関わる条件に投げ入れることによって、既に高められたホルモンレベルの感情的ヒステリーを作り上げることは信じられないほど効果的であり」、そして、「『バトル・ロワイアル』の物語は、それら10代の若者の話であり、私たちみんなの感情的な混乱にどれほど悪かったか」とコメントした[23]。DVDトークはオリジナル劇場カットに5つ星中4.5、ディレクターズ・カットに5星中4を与えた。「彼らのような社会のルールが、それが誰のものであっても自分自身の為に崩壊するなら、非常に上手くいくかも知れないものを垣間見ることが出来る。ここには十分なブラックユーモアと十分な緊迫したアクションがあり、映画を殺風景または憂鬱な感じにさせない(それに近づくけれども) - しかし、最も重要なのはそれをあなたに考えさせること。」とコメントした[24]。クレイブオンラインのデボン・アシュビーは、「日本の伝説・深作欣二による思春期の銃撃戦」と「思いやりのある、技術的に成果を上げた傑作」として、10点満点中8.5点を付けた[25]。ポップマターズのブレント・マックナイは、「野蛮で、鋭く風刺的で、残忍な面白さ」「人類社会の悲劇的な解釈書」と評価し、10点満点中9点を与えた[26]

社会的・政治的解釈[編集]

批評家は、映画が20世紀の終わりの日本社会の問題を反映した社会的主張であるという意見をしばしば発表した。一部の視聴者は、『バトル・ロワイアル』を日本経済失われた10年への風刺であるとみなしている。他の人は、日本の景気減速の結果として、エリート主義に非常に有利な非常に競争的な日本の雇用市場の為の学生の準備の失敗など、日本の教育制度への批判と見なしている。他に校内暴力や若者と老人との社会的、政治的、経済的分裂を生み出している日本のジェネレーションギャップの問題が含まれている、といった解釈もなされている[27]

受賞[編集]

その他[編集]

  • 原作ではパラレルワールド「大東亜共和国」が舞台であるが、映画版では深作の意向により再軍備した後の近未来の日本(ただし劇中に国名は一切出ず、プロモーションでも「東京」を「首都」と表記するなどしていた)を舞台としている。また、ゲームの法的根拠は「戦闘実験第六十八番プログラム」ではなく「新世紀教育改革法」(通称:BR法)によって実施される。冒頭部でその立法の所以が出てくるが、本編中では特に社会的な背景などは説明されない。
    最後の場面は小説の大阪の梅田、JR大阪駅周辺ではなく東京の渋谷になっている。この撮影でも、「渋谷センター街」「JR渋谷駅」など、はっきりと地名が見えるシーンでは、ある程度のぼかしがかけられている。また、バスのナンバープレートの地名は、「広能」となっている[31]
  • 制服がブレザーに変更された理由には、黒い学ランやセーラー服では血が分かりづらい、女子生徒のアクション(灯台のシーンなど)でスカートの中が見えないようにプリーツの多いスカートとなった、などがある。
  • 三村達が腹腹時計をテキストに肥料等で火薬を作る際、製造過程で配合する時に木製のしゃもじを使って混ぜているのは、混ぜる時に道具(ヘラ・器)が金属同士だと誤爆の恐れがある事を踏まえて設定してあるという(考証協力の薬試寺教授のコメントより)。なお、前述の腹腹時計は小道具としてのレプリカとみられるが、現在は出所が解らない所から流出したとみられる実際の腹腹時計は「爆発物の製造法」が削除されているという。
また、三村が高速でキーボードをタイピングする手は、コンピュータ・ハッキング考証に携わったハッカーの一人「BEAMZ」の手である[32]三村役の塚本はインタビューの中で、早打ちの練習はしていたが、結局は早打ちのシーンはやってもらうことになったという趣旨のコメントをしている[33]
  • 当作品(および続編)では、現実の自衛隊(防衛庁、現防衛省)にあたる防衛軍が登場しているが、他の映画作品での協力要請には積極的に協力する一方、当作品の性格上、一切協力していない。その為、作品中に登場する隊員はすべて役者であり、隊員の衣装(装備)はレプリカで輸送車等の車両の殆どがその分野のマニアが所有している車両を一部借りたり、既存の車両を改造しているという。
  • クライマックスに登場する教師キタノが披露した絵画(ゲームを揶揄した絵)は、実際にビートたけしがこの作品で使用するために撮影の合間に描いたものである。
  • 教師キタノが本部である廃校で一人ラジオ体操(作中の名称ではBR体操)を行うシーンがあり、曲はラジオ体操とよく似た曲調であるが体操自体は実際のものと同じである。
  • この映画を作るために、深作親子は個人事務所「有限会社深作組」を設立した。
  • 2008年に英エンパイア誌が発表した「歴代最高の映画ランキング500(The 500 Greatest Movies of All Time)」では235位に選出されている[34]。近年の邦画実写作品では唯一のランクインである。また、2010年6月に同誌は「史上最高の外国語映画100本」[35]で82位に選出している。2014年6月に同誌が行った「史上最高の外国語映画100本」[36]でも前回と同列の82位に選出された。
  • 作品中に生徒達にゲームの説明をするビデオが登場するが、深作監督の誕生日を祝って製作されたセルフパロディ版が存在する(いずれも宮村優子が出演。パロディ版は特別編DVDの特典映像に収録。なお、パロディ版の合いの手役は息子の健太。)。
  • 教師キタノの役名は当初、ビートたけしの本名そのままの「北野武」となっていたが、たけしは苦笑し、監督に頼み「キタノ」として採用された。また、中川典子役の前田によれば、撮影の際に生徒役達の緊張をほぐす目的からか、コマネチ!等のギャグを披露していたという[37]
  • 当初は2000年11月25日公開を予定し、初期の宣伝素材にもクレジットされていたが、正月映画に予定されていた『ホタル』(高倉健主演)の制作遅れにより正月映画に変更となった(当初の公開時期には『新・仁義なき戦い』が拡大公開に昇格となっている)。
  • 米国で劇場上映が実現したのは2011年、DVD等の発売が実現したのは2012年となったが、DVD版は北米Amazon.comの売上ランキングで一時、外国映画部門1位にまで上昇する好調なセールスを記録した。これは、原作との類似性が指摘されている米国の小説『ハンガー・ゲーム』の映画公開時期に合わせて発売されたためである[38][39]
  • クエンティン・タランティーノによる映画ランキングの1つ「1992〜2009年のベスト20」において1位を獲得し、「1位は別格」と絶賛した。
  • クールでかつ毒舌だが恋愛にピュアな一面があり、死ぬ間際に神様に祈る千草貴子を演じた栗山千明は、2010年に『バトル・ロワイアル3D』が公開される際のインタビューで、「千草の過激なセリフには抵抗はなく、むしろ『オリャアー!』と叫ぶのが快感だった」と述懐している。さらに栗山はこの映画で共演した高岡蒼佑や柴咲コウとは「2年前に会ったとき、『いつかバトル・ロワイアルの同窓会をやりたい』と話したことがある」と同窓会の開催に意欲を示してる[40]

脚注[編集]

  1. ^ 日本映画製作者連盟2001統計
  2. ^ 深作欣二. 新年特大号の宮崎学 深作欣二 対談「生の血煙の匂いがするよラなドラマをつくりたい」. (インタビュー). 宮崎学オフィシャルサイト.. http://miyazakimanabu.com/zorro-me/2001-1/titele200101-2.htm 2016年1月12日閲覧。 
  3. ^ “会議録 第150回国会 文教委員会 第4号(平成12年11月17日(金曜日))”. 文教委員会. 衆議院. (2000-11-17). http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000715020001117004.htm 2011年1月16日閲覧。 
  4. ^ a b 故・深作欣二監督の悲願『バトル・ロワイアル 3D』全米公開決定”. ORICON STYLE (2010年11月11日). 2016年1月12日閲覧。
  5. ^ 静かな日々の階段を”. レコチョク. 2016年1月12日閲覧。
  6. ^ 土屋アンナ、映画『バトル・ロワイアル3D』主題歌を過激に歌う”. ORICON STYLE (2010年9月10日). 2016年1月12日閲覧。
  7. ^ バトル・ロワイアル 3D”. アミューズソフトエンタテインメント. 2016年1月12日閲覧。
  8. ^ Battle Royale”. Rotten Tomatoes. 2012年3月27日閲覧。
  9. ^ Koehler, Robert (2001年1月22日). “Battle Royale”. Variety. http://www.variety.com/review/VE1117797143/ 2012年3月27日閲覧。 
  10. ^ Korsner, Jason (2001年9月13日). “Battle Royale (2001)”. BBC. 2012年3月24日閲覧。
  11. ^ Haflidason, Almar (2002年). “Reviewer's Rating 5 out of 5 User Rating 5 out of 5 Battle Royale Special Edition DVD (2001)”. BBC. 2012年3月27日閲覧。
  12. ^ Newman, Kim (2006年12月30日). “Battle Royale”. Empire. 2012年3月27日閲覧。
  13. ^ Bradshaw, Peter (2001年9月14日). “A time to kill – Ironically, this week's best film deals with violence – and how the state reacts to it. Peter Bradshaw applauds its honesty”. The Guardian (London). https://www.theguardian.com/culture/2001/sep/14/artsfeatures3?INTCMP=SRCH 2012年3月25日閲覧。 
  14. ^ Ross, Jonathan (2001年). “Film new releases”. MGN. 2012年3月27日閲覧。
  15. ^ 'Battle Royale'”. Quentin Tarantino's Top 20 Favorite Films. Xfinity. 2012年3月24日閲覧。
  16. ^ “Movie Review: Battle Royale (DVD)”. Entertainment Weekly. (2012年3月7日). http://www.ew.com/ew/article/0,,20576667,00.html 
  17. ^ Scott, A. O. (2012年5月24日). “‘Battle Royale,' Directed by Kinji Fukasaku”. The New York Times. http://movies.nytimes.com/2012/05/25/movies/battle-royale-directed-by-kinji-fukasaku.html?partner=rss&emc=rss 
  18. ^ Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 title は必須です。{{{title}}}”. 2012年3月28日閲覧。[リンク切れ]
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]