若者言葉

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若者言葉(わかものことば)は、主として20代前後(10代後半~30代前半)の青少年日常的に用いる俗語スラングなどで、それ以外の世代ではあまり用いない言葉のことである。若者言葉には最近になって使われ始めたものと、古くからあって代々若者に受け継がれるもの(例:体育会系に多い「っす」など)があるので、共時的だけでなく通時的に見る必要がある。本項では特に明記しない限り、昭和後期以降から2000年代にかけての日本語の事情を先に述べた2つの観点から記述する。

目次

[編集] 概要

若者言葉は現代に始まったことではなく、古くは清少納言の『枕草子』にも当時の若者の言葉の乱れに関する記述がある。新語誤用の定着によって言語が変化することは往々にしてあるが、その変化の過程を共時的に捉えた際、既存の社会一般の言語規範(標準語・共通語)に反するために、しばしば社会的な批判を受ける(日本語の乱れも参照)。

井上史雄は、「数十年後の使用がどうなるか」に着目して、若者言葉を次のように4分類した。「一時的流行語」は「アジャパー」や「チカレタビー」といった流行り廃りの早い流行語や、「グリーンカード」や「E電」といった時事的な言葉が当てはまる。「コーホート語」は後の若者には受け継がれないものの、特定の世代で使われ続けてその世代・年代の象徴となる言葉で、「月光仮面」や「シェー」や「ナウい」などが当てはまる。また「ぜいたくは敵だ」や「竹の子族」といった各時代の世相や風俗を表す言葉もコーホート語になりうる。「若者世代語」は若者文化の象徴として代々受け継がれ、年を重ねると使う機会が失われる言葉で、「代返」や「学食」などが当てはまる。最後の「言語変化」は死語にならずに一般化していく言葉で、「頭に来る」や「ら抜き言葉」、「新幹線」などが当てはまる(俗語も参照)[1]

若者が老いて不使用 若者が老いて使用
後の若者不使用 一時的流行語
新語、時事用語、はやりことば
コーホート語(同世代語)
生き残った流行語、世相語
後の若者使用 若者世代語
キャンパス言葉、学生用語
言語変化
新方言、確立した新語

若者言葉は、性別、地域(新方言も参照)、年齢、所属する集団の違いによって変化する。例えば、「ウザい」「キショい」「キモい」を侮蔑語と捉え、相手を傷つけたり不快にさせたりするという理由で安易に用いない若者もいる。また「ハズい」などを使うと自らの品格を問われる可能性があるというような理由で「(知らないということはないだろうが、敢えて)知らない」「使わない、使いたくない」という意見もある[2]

若者言葉は30代を境に使われなくなる傾向にあるとのデータがある。これは新しく出てきた言葉ほど顕著で、「ウザい」「キモい・キショい」「(危ない、という本来の意味からかけ離れた)ヤバい」「ハズい」などは使わなくなる人の方が多いというものである[3]。また金田一秀穂は、「チョベリバ」を例に、若者言葉というものに関して「隠語的な要素が含まれているため、公に周知されると使用が控えられる」という傾向を指摘している[4]

若者言葉には、テレビCMドラマの台詞などから流行語となって日常化した物が多くみられる。特徴としては言葉を逆に言ったり、言葉をローマ字化してその頭文字のアルファベットを並べたり(チョーMM、MK5、KYなど)、誇張した表現(「超」の濫用など)といったことが挙げられる。また、日本各地の方言が首都圏の若者に取り入れられ、マスメディアによって日本全国に再発信され、方言色の薄い全国一般の若者言葉となることも少なくない(首都圏方言も参照)。例として、中部地方由来の「じゃん(か)」、大阪由来の「むかつく」や「めっちゃ」、栃木・福島由来の「ちがかった」、多摩由来の「うざったい」などが挙げられる。2005年頃には、首都圏の女子高生を中心に、各地の方言を意図的に会話や電子メールに織り交ぜることが流行したこともある。

[編集] 歴史

近代から現在に至るまで、若者言葉は時代ごとに異なる特徴が見られる。各年代の学生を中心とする若者言葉の大まかな流れを記述する[5]

[編集] 近代

明治前期の旧制高等学校・大学に在籍する男子学生は「書生言葉」と呼ばれる特徴的な仲間内言葉を用いた。当時、高等教育機関に通える男子は限られたエリートであり、書生言葉には自分達のエリート意識と教養を誇示する意味合いがあった。書生言葉では外国語(原義そのままで使用)や漢語(「僕」「君」「失敬」など)、「〜したまえ」などが多用され、のちに堅く気取った男性語の原型となった。高等教育の門戸が広がっていく明治後期には、寮生の間で隠語的なくだけた若者言葉も生まれるようになった。大正時代からはドイツ語由来の言葉が流行し、戦後まもなくまで男子学生の間で広く用いられた。

一方、女学生の間では、良妻賢母教育が主流で「女性らしさ」に束縛された世の中への反発もあってか、盛んに若者言葉を作り出し、時には書生言葉を取り入れることもあった。明治後期には、芸妓や下町の子どもの言葉を元に「てよだわ言葉」と呼ばれる言葉遣いが広まった。当初は知識人などから「異様なる言葉づかひ」(尾崎紅葉)のように度々非難されたが、徐々に一般化し、上品な女性語の原型となった(#てよだわ言葉の終焉を参照)。大正ごろには、女学校の増加で下町からの通学者が多くなったこと、女学生の間でも学生スポーツが盛んになったことから、ぞんざいな言葉遣いが流行した。

[編集] 戦後

太平洋戦争直後は、混乱の時代を反映して、犯罪者や不良の隠語が一般学生の言葉に取り入れられた。しかし、概して男子学生の若者言葉は、麻雀やパチンコ用語の使用のほかは戦前とほとんど変わらず、新鮮味のないものであった。対して女子学生の間では、「女性らしさ」の規範から解放されたことにより、ユーモアに富んだ自由な若者言葉が多く生み出された。

1960年代に入ると、学生運動が盛んになり、アジビラで多用されたような、観念的な表現や荒々しい言葉遣いが学生の間で流行した。

学生運動が失敗に終わった1970年代以降は、女子学生を中心に、消費文化を反映した表現、「ノリ」を重視したことば遊び的な表現が増加していく。特に1980年代後半はバブル景気の世相を背景に、テンポのよい省略語やウケ狙いの奇抜な表現が多用され、会話が伝達の手段から娯楽の手段へと移っていった。1990年代には東京の一部の女子高生が使う「ギャル語」が世間の注目を集めた。

[編集] 主な表現

[編集] 強調として用いるもの

「超特急」などと同じ意味の「超」であり、「かなり」「本当に」などの強意を表すのに使用される接頭語である。通常は漢字で表記する。一般的には「超気持ちいい」「超面白い(面白え)」などの形容詞、「超感動した」「超寝た」のような「超+(動詞)」との組み合わせで使用される。「超最悪」のように、悪い意味の強調にも使われる。この用法では本来の「○○を超える」という意味合いはほとんどない。例えば、この用法で「超平凡」と言ったら「非凡」という意味ではなく、「極めて平凡である」の意味である。「バリ」「鬼」等の言い回しもある。
めっちゃ
めちゃくちゃ(滅茶苦茶・滅茶滅茶)の転で、「めっちゃかわいいやん」のように使用される副詞。転じて「めっさ」や「もっさ」、また「無茶苦茶」の転で「むっちゃ」や「むちゃ」ともいう。もとは大阪の若年層から広まった関西地方の若者言葉である。しかし、関西出身芸人のメディアでの使用などによって全国的に知られる表現となり、全国放送のテレビ番組名に使用されたり(「めちゃ×2イケてるッ!」)、2000年に神奈川県出身の田島寧子が「めっちゃ悔しい!!」と発言して流行語になったりした。
普通に
強調の意味合いで用いる。もう1つの用法として、「普通に大きい」や「普通に凄い」などのように使う。特別な意味づけや解釈、見方をするには及ばず、常識的に、「普通に」考えてという意味合いである。「いや、普通にそうですよ」(あなたにとってはそれは普通とは思えないかもしれませんが)など。
パネェ
「半端じゃない」→「半端じゃねぇ」→「半端ねぇ」→「パネェ」と変化した、強意を表すのに使用される語である。「パネェくらい好き」といえば「ものすごく好き」という意味である。
宗教としての意味合いはない。常識や想定を超える感動を与えるカリスマという意味で使われる。ネットスラングから転用されたもの。
ドカ食い
ある機会に普段以上に大量に食べること。大食いと類似するが、大食いは日常的にたくさん食べることをいう。古くから「どか雪」と一度に極めて多い積雪を表現し、「多い」や「大きい」に代わる強調のことば。「どかべん」とも通じる。
ガン見
視線を外さずにある程度の時間、じっと見ること。「がんを飛ばす」とはまた違ったニュアンスの言葉。どちらかと言うと「凝視」の意味に似ている。これとは逆に、意識をしているかどうかにかかわらず、一瞬チラッと見ることをその名の通りチラ見という。愛犬が餌を待つ時など、じっと見る、赤ちゃんがお母さんを、じっと見る等、見つめる様を言う。

[編集] 情緒的な表現

キモい
「気持ち悪い」が短縮されたもの。「キモい」や「キモイ」と表記される。直接的に対象を「気持ち悪い」と言うよりも若干軽いニュアンスで用いられる。「きめぇ」や「キモス」とも。ヘンタイよいこ新聞1980年11月号では、投稿者が「これは方言ですか?それとも、我が家だけで通用している言葉ですか?」と「キモい」という言葉を使用している。
類義語に「きしょい」があるが、これは「気色悪い」が転じたものである。「キモい」や「キモイ」とほぼ同義。
マジ 
「真面目」の転であるが、一般的に「本当に〜」や「本気で〜」と、強調または真実性の表現として用いられる。古くは、江戸時代洒落本にやんの事だ』(1781年)「気の毒そふなかほ付にてまじになり」にみられる。この例は名詞であるが、現在は真実性・厳密性を表現する:副詞としての用法が多い。漢字として「本気」の字を当てることもある。例としては「マジビビった」「マジムカついた」「それマジで?」など。最後の例のマジは名詞で、「それは本当(真実)?」の意である。近年はガチンコを略した「ガチ」も同意語で使われる。
漫画家の立原あゆみは「本気」と書いて“マジ”と読ませる作品を執筆している。
ばっくれる
しらばっくれる、の略[6]。あるいは"back less"が語源[要出典]。転じて、当然行かなければならない場所に行かないこと。
ありえない(ありえねぇ)
そんなことが真実であるはずがない。自分がとても困った状況に陥ったときにも用いる。「今日、中国語の試験があったよ」「ありえねー」。この場合、中国語の試験があったはずはないという意味ではなく、自分が試験を受けなかったことで大いに困った状況に陥ったという意味である。単純に「ない」と表現することもある。
ぱくる
取る、盗む。「教科書をぱくられた」など。2000年前後から。
〜げ
「〜な様子である」の意。「あの人ヤバげじゃない?」なら「あの人ヤバそうじゃない?」で、「あの人変じゃないかな」という意味。「良さげ」などは若者以外にも用いられる。
なお、形容詞の語幹に「〜げ」を付ける用法は、新しいものではなく、古くは平安時代文学にも多用された。「清げ」などである。
たりぃ
「かったるい」の転「かったりぃ」からきた、「面倒くさい」「煩わしい」という意味。
はずい
「恥ずかしい」の転である。「恥ずい」「ハズい」「ハズイ」と表記されることもある。
ハブる
1人を仲間はずれにすること。語源は省くの転化という説と、村八分の略という説の2つがある。「お前、ハブるよ」など冗談で使ったり「ハブられてるでしょあいつ」などのように陰口として使われた。
広まった過程で「村八分」の説明が通用しなくなり「省く」が音的に近いことから「ハブる⇒ハブく」と転訛していった。
H/K
話変わる(けど)の略。主にメールなどで使用されている。同じ意味で S/C(Speak-Change ないし Story Changeの略)も使われる。
M,S
他人を過度にからかうのを好む人をS、からかわれるのを好む人をMという。

[編集] 接頭辞・接頭語

#強調として用いるもの参考。
てゆうか
「と言うか」が崩れたもの。本来なら文中の接続詞としての役割で使われるが、この場合は“今から話すのでしっかり聞いていてください”という注意喚起の意味合いや、「なんか」と同じく言葉に詰まった際のつなぎとして使われる。現在ではさらにぶっきらぼうに「つーかさぁ〜」(てか)と用いられることがある。

[編集] 接尾辞・接尾語

「〜の部類に属する人」の意(「癒し系」「和み系」「励まし系」など)、「〜発祥の文化(あるいは流行)」の意(「渋谷系」(音楽・ファッション)、「アキバ系オタク)」、「マターリ破壊系(哲学・思想)」)など。また、「〜っぽい」の意。「こっち系?」などと、意味もなく付ける若者もいる。
上記「-系」の内、「〜の部類に属する人」の意。「(六本木ヒルズ族」など。また、単に暴走族の意。
「〜(だ)し!」
強調表現として用いられることが多い。「ありえねーし!」「マジパねぇし!(あまりにもすごすぎてかなわない)」「意味ねーし!」「うちら最強だし!」など感嘆や怒りの感情にアクセントを付けることができる。
「〜な人」
「あたしって、お酒飲めない人じゃないですかぁ!」「○○君って、ポテトサラダのみかんとか酢豚のパイナップルとか許せない人?」といったように、性格や嗜好の個性を、属性に当てはめて表現させる。

[編集] 形容詞・感動詞

ここでは、一般動詞であるものの、形容詞的・副詞的に使われる言葉も含む。

ウザい・うぜえ・うざったい(てえ)
「鬱陶しい」の意味を表す。
本来は、多摩地域周辺で使われている多摩方言の、不快・(生理的に)気持ち悪い・(草木などが多い茂っていて)鬱陶しいなどという意味の「うざったい」が短縮されたり、言葉の意味が広がった形である。2000年頃から浸透している。古くは「うざっかしい」「うざっこい」という形容詞や、「うざつく」という動詞があった。
類義語として関西を中心に使われる「うっとい」があるが、これは「鬱陶しい」の変形である。
〜入ってる
あるものや人に似ている、それに近いという意味で「〜の要素が入ってる」と表現したものを略した言葉。また他の語とともに用いて様々な状態を表す。「ブルー入ってる」というと「憂鬱な気分だ」の意。また格闘ゲーム等でも「パターンに入った」等と使用する。これは、特定の状態に陥ったままの状態を指す。
やばい・ヤバい・ヤベえ やばす まじやばす!
「良くない」「非常にまずい状態に陥っている」の意。近年では意味が拡大しており、「予想に反して驚き、衝撃を受けてしまった」という際にも使用されるようになってきている。さらには、「衝撃を受けるほどすばらしい」と言う意味でも使われる。マスコミで採り上げられる例としては、「ラーメン店などで頼んだものを口にした途端、『やばい、これほど美味しいとは思っていなかった』」。要は予想外のことを体験してしまい、その衝撃でどうにかなってしまいそうなほど凄い、といった意味である。ヤバす("やばいです"の省略)というのもあり、これは2ちゃんねるを始めとしたネットスラングから。タレント中川翔子が自身のブログでもよく利用している。
起源は「矢場」(江戸時代的屋が営んでいた射的遊技の的場を指す関東方言)とされる。表向きは遊技場だが、実際には売春の場所だったので「矢場」が危険な場所を表す隠語となり、さらに危険な状況を表す形容詞として「矢場い」が生まれたという。
『隠語輯覧(1915年)』によれば、泥棒が刑事のことを「やば」と呼んだ。それの形容詞形が「やばい」である[7]。(弓矢#公家と庶民の遊興も参照)
ざけんな(よ)
「ふざけるな」が縮まってできた語。
やりぃ、っしゃ、ヤッピー
歓喜の「やった」の意。「っしゃ」は「よっしゃ」の転である。「やっぴー」はのりピー語から。
ピンクい、みどりい
「ピンク色だ」「緑色だ」という言葉を言いやすく強引に形容詞終止形の「~い」に変換させて用いる。
二(に)けつ
自転車の2人乗り。(成年者が幼児を乗せるので無ければ、道路交通法違反)

[編集] 意味の誤用

意味がまったく誤って捉えられている語に、下記のような事例がある。

須(すべから)く
「全て」の意味で使われることがあるが誤用である。正しくは「すべからく〜べし」であり、「当然〜すべきだ」という意味。
あたし的には〜
接尾語の助詞である「」の誤用。(詳細はの項目を参考のこと。)

[編集] 曖昧な表現

[編集] 遠回し・どっちつかずな表現

微妙(ビミョー)
良いか悪いか判断がつかないときに使う。「良い」「悪い」の中間というよりは、良いとも悪いともいえない場合、良いとも悪いともいえる場合、または、人によって判断が分かれそうな場合に使われる表現。時に、否定するのが憚られる場合、婉曲な表現として用いる。本来は、「言葉で表現できないほど素晴らしいもの(仏教用語)」という意味でも使われる。
普通(ふつう・フテゥ)
「好きでも嫌いでもない」、「良いとも悪いとも思わない」。

[編集] ぼかし表現

物事をはっきりさせなかったり、自分の所在を明確にせず、第三者に見立てたりした表現。

一応(いちおう)
例:「一応、学生やってます」    
かも(知れない);
例:いいかも(知れない)、食べたいかも(知れない)。
無理
「嫌」「やりたくない」の意。例:「手伝って」「無理!!」。
〜くね?
「〜だよね?」と同調を促す。「違うよね?」は、「ちがくね?」と言う若者も増加している。
例:「アムロちゃん超かわいくね?」
とか
例:「うどんとかを食べたい」("うどんを食べたい"をぼかした表現)
みたいな
例:「虫みたいなのを見た」("虫を見た"をぼかした表現)、「素晴らしい、みたいな」("素晴らしい"をぼかした表現)
〜的な
「みたいな」とほぼ同。
例:「たとえば・・・、「カオス」的な?」
例2:「うどん的なものを食べたい。」、「ポテトのS的なものが欲しい」(〜とかとほぼ同)
なんか〜
「なんだか」と同じく、感嘆とし、的確な言葉がはっきりと浮かんでこない際、言葉を濁らせた際のつなぎの語彙。
例:「なんかマジありえないんすけど。」
~な感じ
ら抜き言葉+ん
不可能を表す。
例「今日は寝れん」→寝られない。「食べれん→食べられない」。1990年代から。
しん 見ん せん
例 今日はしん→しない。勉強しん。見ん→見ない。今日勉強せん→勉強しない 1990年代から。

[編集] 複合語・造語

それぞれの項も参照されたい。

否定的な言葉と肯定的な言葉の組み合わせ
キモかわいい」「ダサかっこいい」「ブスかわいい」など、いっけん侮辱または軽蔑に聞こえるが、「かわいい」「かっこいい」を組み合わせることで、親しみの意を持たせる。しかし、いわれた側が「キモい」「ダサい」「ブス」という言葉に引っ掛かりを感じて不快にならないという保証はなく、遠回しに軽蔑しているように伝わる場合がある。
意味の異なる言葉との組み合わせ
キレカワ(綺麗で、なおかつかわいいの意)」「エロかわいいエロかっこいい(ここでの「エロ」はスケベではなくセクシーな、の意)」「カッコかわいい」「ゴツかわいい(CMより)」など、上記とはまた違ってアンビバレント(異質の意)な言葉を組み合わせることで、「〜だけれど、〜でもある」といった二面性を表す。ただし、得てしてどっちつかずとか中途半端と捉えられがちな部分もある。
控えめの美学
ちょいわるおやじ」「ちょいモテオヤジ」。

[編集] 若者流の敬語表現

バイト敬語体育会系(敬)語など、規範主義者の主張する「敬語」ではない待遇表現が見られる。

  1. ×じゃ博士は、どこへ行かれるのですか(昭和14年、海野十三『火星兵団』)→いらっしゃるのですか
  2. ×そうじゃないですよ(昭和3年、平林初之輔『人造人間』)→そうではありません
  3. ×私ってコーヒー好きじゃないですぁ。→私はコーヒーが好き(なの)ですが。
  4. ×昨日先輩がタクシーに財布を忘れてきちゃったんですぉ。→昨日先輩がタクシーに財布を忘れてしまったのですよ。

(1)と(2)については、若者に限らず戦前から広く用いられてきた表現であり、誤用と見なさないことも多く、昭和27年には国語審議会によって「(「れる」について)すべての動詞に規則的につき、かつ簡単でもあるので、むしろ将来性があると認められる」「(「形容詞+です」について)平明・簡素な形として認めてよい」とされている[8]。(3)と(4)については、元来なら感嘆を意味する終助詞の「か」や「よ」のアクセントをわざと強調させることで、目上の相手に理解を強引に促す表現。 特に(3)においては、例えば「私って女じゃないですかぁ」は客観的にも、衆目の認めることであるが、「私ってコーヒー好きじゃないですかぁ」には客観性はなく、既知情報のように扱われることに不快感を持つ者もいる[9]。またこの表現は芸能人のトーク番組でも日常的に使われた。

「ですか」や「です」などを短縮し「っスか?」「スよ」と表現する場合もある。その他、「先輩も召し上がりますか」→×「先輩も食べるんっすか?」。「アザッス」(ありがとうございます)「サーセン」(△すいません、○すみません・済みません)などは、敬意や親しみがあり、以前から中高大学生を中心に見られ、その後社会人となってもそれらを使用している者が少なからずいる。

[編集] アクセントの変形

[編集] 名詞アクセントの平板化

主に関東の若者に多い発音の仕方が、名詞の平板化である。1990年代ごろから広められ、倦怠感を表したり、下記の「クラブ」のように発音によって区別する意図を含む場合に用いられる。

  • 彼氏 - れし→かれし
  • クラブ - ラブ→クラブ

左は標準語・共通語に基づいた表現で特に用法は限定されていないが、右は旧称「ディスコ」にのみ用いられる。

[編集] じゃね?

発音によって賛同を半ば強引に促す表現であり、従来「きれいだよね」といわれていたものならば、「きれいじゃね?」となる。この場合センテンスの最初の一音(この場合なら”き”)のみ低く、それ以外の音(この場合”れいじゃ”)を同じトーンで高く発音し、最後の「ね」は更に高い。ギャル(コギャル)カルチャーが発生してから派生した。

[編集] てよだわ言葉の流行の終焉

明治時代以降女性の間で流行していた「よろしくっよ」「そうなの」「そうだわ」といった「てよだわ言葉」は、1980年代以降廃れ始め、現代の若者の間では使われなくなりつつある。現在の若者世代では男女を問わず「〜だよ」「だね」「〜かな」、これに加えて「〜じゃん」「〜(で)さぁ」「〜なんだよね」のようなユニセックスな言葉遣いが主流になった。しかし、バラエティ番組などで登場する外国人女性や、洋画、日本国外のテレビドラマなどで登場する女性の台詞日本語字幕吹き替えでは、現在でもてよだわ言葉が広く使われている。

てよだわ言葉はそれほど歴史のあるものではない。明治時代の女学生の間で流行し、その後共通語の一部として全国に広まったものである。そのため方言ではあまり使われないし、江戸時代を舞台にした落語時代劇には、現代では廃れた郭言葉のような特殊な女性語を使う女性が現れることはあっても、てよだわ言葉を使う女性は登場しない。昭和4年に出版された落語の速記録によれば、下記のような言葉を使う女性が登場する。

  • 「呆れ返っちまうね」「馬鹿々々しいじゃないか」(柳家小さん富八』)
  • 「ワン/\吠(ほ)え出したじゃァないか」「それから私が行って見ると大変なんだよ」(桂文治夢分限』)

てよだわ言葉は、流行し出した当初、耳障りで下品な言葉遣いとして非難・排斥されたものである[10]。昨今は衰退の途にあるが、これは「良い」とか「悪い」とか評価できる問題ではない[11]

なお、普遍的な女性語が失われた現在でも、一人称においては今なお男女差がはっきりしており、女性が「僕」「俺」などという言葉を使うことには根強い抵抗感がある(ボク少女を参考)。

[編集] メディアが流行らせた言葉

流行語も参照されたい。

KY
「空気が読めない」の略。他者への精神的配慮に欠け、周囲をしらけさせる者を非難する言葉。渋谷の女子高校生が広めた説、朝日新聞珊瑚記事捏造事件または危険予知活動が起因となった説など根拠は確定されていない。2007年流行語大賞にノミネート。

[編集] 海外での若者言葉

[編集] 中国

中国では、ローマ字に置き換えて表現することが流行っているという。Record Chinaでは一例として「MMは妹妹(メイメイ)で女子や彼女の意味、GGは哥哥(クークー)で男子や彼氏の意味で使われる。」[12]と紹介されている。

[編集] 脚注

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  1. ^ 井上史雄『方言学の新地平』明治書院、1994年、3-14頁。
  2. ^ 北原保雄・編著『問題な日本語』大修館書店
  3. ^ 読売新聞(2007年1月31日朝刊・社会面)
  4. ^ 金田一秀穂『適当な日本語』アスキー・メディアワークス、2008、27頁。
  5. ^ 米川 (1997)。
  6. ^ 広辞苑 第六版「ばっくれる」
  7. ^ 言葉「やばい」の使用は古くからあり、1955年(昭和30年)5月発行の『広辞苑』第一版2144形容詞「危険である」の隠語とされ、さらに1969年(昭和44年)5月発行第二版2227頁では「やば」は不都合、けしからぬ、奇怪として『東海道中膝栗毛』の使用例を引用し、「危険」の使用例も示している。1915年(大正4年)5月発行京都府警察部出版、警視富田愛次郎監修『隠語輯覧』二類、三類でも同様の意味合いで載っていると復刻版の『隠語辞典集成』第2巻1996年(平成8年)12月大空社(ISBN:4-7568-0333-4/-0337-7)は記載している。
  8. ^ 第1期国語審議会記録
  9. ^ 滝浦真人「“継ぎ穂”としてのことば」『言語』大修館書店、1998.6。
  10. ^ 金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店、2003年、146頁。
  11. ^ 金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店、2003年、172頁。
  12. ^ 『GG?MM?ネット隠語「新世代言語」だらけ!小中学生の作文、大人には「意味不明」―中国』2007年12月13日付配信 Record China

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス