ヒア・カムズ・ザ・サン

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ヒア・カムズ・ザ・サン
ビートルズ楽曲
収録アルバム アビイ・ロード
英語名 Here Comes The Sun
リリース
  • 1969年9月26日 (1969-09-26) (Album)
  • 1970年6月5日 (1970-06-05) (Japan single)
録音
ジャンル ポップ・フォーク[2]
時間 3分05秒
レーベル アップル・レコード
作詞者 ジョージ・ハリスン
作曲者 ジョージ・ハリスン
プロデュース ジョージ・マーティン
チャート順位

下記を参照

ビートルズ シングル 日本 年表
アビイ・ロード 収録曲
アイ・ウォント・ユー
(A-6)
ヒア・カムズ・ザ・サン
(B-1)
ビコーズ
(B-2)
ミュージックビデオ
「Here Comes The Sun (2019 Mix)」 - YouTube
音源
「Here Comes The Sun (Take 9)」 - YouTube

ヒア・カムズ・ザ・サン」(英語: Here Comes The Sun)は、ビートルズの楽曲。ジョージ・ハリスンが作詞作曲を手がけた。1969年に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。ハリスンは、1969年初頭にアップル・レコードの打ち合わせをキャンセルして、友人のエリック・クラプトンの自宅に訪れた際に本作を書いた。歌詞の中では春の到来による安堵などが反映されている。

1969年夏にEMIスタジオでレコーディングが行われた。アコースティック・ギターを主体とした本作では、当時は珍しかったモーグ・シンセサイザーが導入されているほか、インドの伝統音楽の影響がいくつか見られる。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、音楽評論家から肯定的な評価を得ており、「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」や「サムシング」と共に、ハリスンがレノン=マッカートニーの作品と同等の評価を得た楽曲となっている。楽曲の発表後、多数のアーティストによってカバー・バージョンが発売された。

背景・曲の構成[編集]

1969年4月、アップル・レコードでの打ち合わせに疲れていたハリスンは、打ち合わせをキャンセルしてロンドンにある親友のエリック・クラプトンの家へ遊びに出掛けていた[1]。当時についてハリスンは「会議に出てあのまぬけな会計士たちの顔を見なくてすむと思うとホッとした。銀行家や弁護士と契約やら株式やらで、会議のオンパレードだったから。あれは本当に最悪だったから」と振り返っている[1]

ハリスンは、クラプトンのアコースティック・ギターを借りて庭を歩きまわっている中で、その年初めての春らしい日差しを感じて本作の歌詞とメロディが頭に浮かんだとし[3][1]、6月に歌詞を完成させた[4]。このことについて、ハリスンは「ただ単にこれまで僕の中で高まっていた緊張をほぐしただけ。ギターを弾くのも2週間ぶりで、とにかく忙しかったから。ごく自然に曲が降りてきて、サルデーニャで休暇を取ったときに仕上げた」と語っている[1]

歌詞はレコーディング時に、ヴァースの順番が入れ替えられており、ハリスンの手書きの歌詞では2番のヴァース「the smiles returning to their faces(みんなの顔に戻っていく微笑み)」が、3番のヴァースとされていた。ミドル・セクションには、下降するリフが含まれており、ジョン・レノンは1969年9月のインタビューで「ジョージはありとあらゆるタイプの曲を書いていて、一度扉が開いたら、もう止めどなくなってしまう」「この曲はただ単にジョージが進歩している証拠だろう。僕はある意味バディ・ホリーを思い出したよ」と語っている[1]

ハリスンは「恋をするなら」と同様に、ギターの7フレットにカポタストを付け、Dのポジションで演奏している[1]。コーラス部分が終わった後に入るインストゥルメンタルのセクションには、インドの伝統音楽の影響が見られ、スターは「『7拍子半みたいな感じの新曲がある』と言われて、僕はなんとかそれを毎回ちゃんと演奏できるように、あらゆる手を考えた。あれはインド音楽のわざのひとつだ」と語り[1]、ジョージ・ハリスンの息子であるダーニ・ハリスンも「ほとんどティハイのようだ」と評している[1]

レコーディング[編集]

「ヒア・カムズ・ザ・サン」のレコーディングは、1969年7月7日に開始された[5]。本作のレコーディングの開始時、ジョン・レノンは自動車事故で負傷していたため欠席しており[6][7]、ハリスンとポール・マッカートニーリンゴ・スターの3人でセッションが行われた[5]。リズム・トラックが13テイク録音され[8]、リズム・トラックの8トラック・レコーダーのトラック1にマッカートニーのベース、トラック2にスターのドラムス、トラック3にハリスンのアコースティック・ギター、トラック8にハリスンのガイド・ボーカルが録音された[5]ジョージ・マーティンはテイク9がオーバー・ダビング用に使用できると判断したが、3人は作業が続けられて最終テイクとなるテイク13が採用された[5]。この日のセッションの終盤で、ハリスンはアコースティック・ギターのパートの再録音に1時間を要した。

7月8日、トラック5にハリスンのレスリースピーカーを通したエレクトリック・ギターとスターの追加のドラム・フィル[5]、トラック6にハリスンのリード・ボーカル、トラック7と8にハリスンとマッカートニーのバッキング・ボーカルが録音され[9][5]、前日のガイド・ボーカルを消去[5]。これによりトラック数がいっぱいになったため、2種類のリダクション・ミックスが別のテープに移し替えられた[5]。この作業を経て、アコースティック・ギターとエレクトリック・ギター、ドラム・フィルをトラック3にまとめたテイク15がベストとされた[5]

7月16日にグリン・ジョンズのプロデュースのもとで[5]、トラック5にハーモニウム、トラック8にハンドクラップがオーバー・ダビングされ[10][5]、8月6日と11日にギター、8月15日にオーケストラ[注釈 1][9]、8月19日にモーグ・シンセサイザーがオーバー・ダビングされて完成となった[11][12][5]

なお、本作の最終ミックスにおいて使用されなかったギターソロが後に発見されている[13][14]

リリース[編集]

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、1969年9月26日にリリースされた11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』のB面1曲目に収録された。アルバムからシングル・カットされた「サムシング」と共に、ハリスンがレノン=マッカートニーと肩を並べる作曲家とさせた作品となっている[15][16][17]。10年後の1979年に発売されたハリスンのソロ・アルバム『慈愛の輝き』には、本作の続編である「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」が収録されている。

1970年に日本・ポルトガル・アンゴラでシングル『オー!ダーリン』のB面曲としてシングル・カットされた[18]

イギリスではシングル・カットされたことはないが、2007年に全英シングルチャートのルールが改訂され、ダウンロード販売された楽曲もチャート・インするようになった。2010年にiTunes Storeにおいてビートルズの全楽曲がダウンロードできるようになり、本作を含めたビートルズの数曲がチャートインを果たし、本作は2010年11月27日付の全英シングルチャートで64位を獲得し[19]、2012年4月15日付の同チャートで最高位58位を獲得した[20]。アメリカでも2017年9月9日付のBillboard Hot Rock Songにて最高14位を獲得した[21]

2006年にシルク・ドゥ・ソレイユの公演のサウンドトラック盤として制作された『LOVE』には[22]、「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」のタブラ[23]、「オー!ダーリン」のコーラス、「アイ・ウォント・ユー」のベース、終盤に「ジ・インナー・ライト」がコラージュされた音源が、「ヒア・カムズ・ザ・サン/ジ・インナー・ライトHere Cemes The Sun/The Inner Light (Transition))」というタイトルで収録されている。

2019年に発売された『アビイ・ロード (50周年記念エディション)』の「2CD」及び「スーパー・デラックス・エディション」のDISC2には、本作の第9テイクが収録された[24]。また、『アビイ・ロード』発売50周年を記念したミュージック・ビデオが公開された。映像は、曲名の示すとおりにEMIスタジオの第2スタジオを朝日が照らすところからスタートし、アップル・コアが所有していたアーカイブ映像やマッカートニーによって提供された写真(元妻のリンダ・マッカートニーが撮影)などが使用されている。音源は、2019年最新ステレオ・ミックスが使用された[25]

演奏[編集]

※出典[6][1]

ビートルズ
外部ミュージシャン

カバー・バージョン[編集]

チャート成績・認定[編集]

ビートルズ版[編集]

リッチー・ヘブン版[編集]

チャート(1971年) 最高位
カナダ (MLS Singles)[39] 6
カナダ (RPM 100 Singles)[40] 12
US Billboard Hot 100[26] 16
US Cash Box Top 100[41] 15
US Record World Singles Chart[42] 14

スティーヴ・ハーレイ&コックニー・レベル版[編集]

チャート(1976年) 最高位
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[43] 49
オランダ (Single Top 100)[44] 21
アイルランド (IRMA)[45] 7
UK Singles (Official Charts Company)[27] 10

文化的影響やメディアでの使用[編集]

文化的影響[編集]

1977年に発売された『ボイジャーのゴールデンレコード』に収録される予定であったが、EMIが許可を出さなかったことにより未収録となった[46]

ハリスンが死去した翌日にあたる2001年11月30日に、ニューヨークのセントラル・パーク内にあるストロベリー・フィールズに集まったビートルズのファンが本作を合唱し[47]、12月に行われた『Act Against Aids2001 桑田佳祐・クワガタムシVSカブトムシ』では、開催直前にハリスンが死去したため、桑田が「天国のジョージに黙祷」と言った後にこの曲をワンフレーズ流して黙祷を捧げた。

2012年ロンドンオリンピックの閉会式のパフォーマンスで使用された[48][49]

2015年にNME誌が発表した「The 50 Greatest Ever Beatles Songs」で4位にランクインした[50]

2016年7月に行われた共和党全国大会で本作が使用された。これに対してハリスンの遺産管理団体は「無断使用されたことは不快であり、遺産管理団体の意に反する」と抗議し.[51]、「「ビウェア・オブ・ダークネス」だったら許可したかも知れない」と皮肉を込めたコメントを残した[52][53]

メディアでの使用[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k Abbey Road 2019, p. 9.
  2. ^ 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone. Penske Media Corporation (2012年5月31日). 2020年8月30日閲覧。
  3. ^ Harrison 2002, p. 144.
  4. ^ Spizer 2003, p. 168.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l Abbey Road 2019, p. 10.
  6. ^ a b MacDonald 2005, p. 356.
  7. ^ Miles 2001, p. 347.
  8. ^ Lewisohn 2005, p. 178.
  9. ^ a b Everett 1999, p. 258.
  10. ^ Lewisohn 2005, p. 180.
  11. ^ Lewisohn 2005, p. 190.
  12. ^ a b Winn 2009, p. 317.
  13. ^ The Beatles 'Here Comes The Sun': Lost Solo Discovered”. andpop.com (2012年). 2012年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月1日閲覧。
  14. ^ Michaels, Sean (2012年3月28日). “New George Harrison guitar solo uncovered”. The Guardian. オリジナルの2014年2月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140223005157/http://www.theguardian.com/music/2012/mar/28/new-george-harrison-guitar-solo 2019年10月1日閲覧。 
  15. ^ Hertsgaard 1996, p. 297,300.
  16. ^ Woffinden 1981, p. 26.
  17. ^ Miles 2001, p. 355-356.
  18. ^ Womack 2014, p. 385, 690.
  19. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月30日閲覧。
  20. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月30日閲覧。
  21. ^ The Beatles Chart History”. Billboard. 2018年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月1日閲覧。
  22. ^ Willman, Chris (17 November 2006). “Love: Music Review”. Entertainment Weekly. オリジナルの2008-12-04時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081204224125/http://www.ew.com/ew/article/review/music/0,6115,1560886_4_0_,00.html 2020年8月30日閲覧。. 
  23. ^ Book, John (2007年3月9日). “The Beatles Love”. Okayplayer. 2007年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月27日閲覧。
  24. ^ “ザ・ビートルズ、『アビイ・ロード』50周年記念エディション登場”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2019年8月9日). https://www.barks.jp/news/?id=1000170470 2019年10月2日閲覧。 
  25. ^ “ビートルズ、『アビイ・ロード』の50周年を祝して“Here Comes The Sun”の新たなビデオが公開”. NME Japan (BandLab UK Limited). (2019年9月27日). https://nme-jp.com/news/79238/ 2020年8月30日閲覧。 
  26. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1971年5月22日). 2020年8月30日閲覧。
  27. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年8月30日閲覧。
  28. ^ Wawzenek, Bryan (2016年11月20日). “40 Years Ago: George Harrison Tries to Collect from Lorne Michaels on 'SNL'”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2020年8月30日閲覧。
  29. ^ Gary Barlow & The Commonwealth Band - Sing”. Discogs. Zink Media. 2020年8月30日閲覧。
  30. ^ Official Singles Chart Top 100”. Official Charts Company (2012年4月15日). 2020年8月30日閲覧。
  31. ^ Yesterday [Original Motion Picture Soundtrack] - Original Motion Picture Soundtrack | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月29日閲覧。
  32. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Here Comes the Sun" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月30日閲覧。
  33. ^ "Portuguesecharts.com – The Beatles – Here Comes the Sun". AFP Top 100 Singles. 2020年8月30日閲覧。
  34. ^ "Swedishcharts.com – The Beatles – Here Comes the Sun". Singles Top 100. 2020年8月30日閲覧。
  35. ^ The Beatles, Hot Rock Songs Chart History”. ビルボード. 2020年8月30日閲覧。
  36. ^ The Beatles, Hot 100 Chart History”. Billboard. 2020年8月30日閲覧。
  37. ^ "Danish single certifications – The Beatles – Here Comes the Sun". IFPI Denmark. 2020年8月30日閲覧 Click on næste to go to page 7671 if certification from official website
  38. ^ "British single certifications – The Beatles – Here Comes the Sun". British Phonographic Industry. 2020年8月30日閲覧 Enter Here Comes the Sun in the field Keywords. Select Title in the field Search by. Select single in the field By Format. Select Platinum in the field By Award. Click Search
  39. ^ Tomko, Andy (charts dir.) (5 June 1971). “Billboard Hits of the World”. Billboard: 52. https://books.google.com.au/books?id=1wgEAAAAMBAJ&pg=PA29&dq=Richie+Havens&hl=en&sa=X&ved=0CDQQ6AEwBjiOAmoVChMI7d_QvM_SyAIVI9qmCh2hzgAx#v=onepage&q=Maple%20Leaf&f=false 2020年8月30日閲覧。. 
  40. ^ RPM 100 Singles, for June 5, 1971”. RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月30日閲覧。
  41. ^ “Cash Box Top 100”. Cash Box: 4. (29 May 1971). 
  42. ^ Goodman, Fred (charts ed.) (29 May 1971). “The Singles Chart”. Record World: 29. 
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  44. ^ "Dutchcharts.nl – Steve Harley and Cockney Rebel – Here Comes the Sun" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月30日閲覧。
  45. ^ "The Irish Charts – Search Results – Here Comes the Sun". Irish Singles Chart. 2019年11月9日閲覧。
  46. ^ Klosterman, Chuck (2016-05-23). “Which Rock Star Will Historians of the Future Remember?”. The New York Times Magazine (The New York Times Company). https://www.nytimes.com/2016/05/29/magazine/which-rock-star-will-historians-of-the-future-remember.html 2018年10月14日閲覧。. 
  47. ^ Tillery 2011, p. 148.
  48. ^ Renshaw, David (2012年8月13日). “Olympic Games Closing Ceremony – The Full Set List”. Gigwise. 2020年8月30日閲覧。
  49. ^ Tzanelli 2013.
  50. ^ Barker, Emily (2015年12月23日). “The 50 Greatest Ever Beatles Songs - Picked By Johnny Marr, Royal Blood, Brian Wilson And More”. NME. BandLab UK Limited. 2020年8月30日閲覧。
  51. ^ Owen, Paul; Bixby, Scott (2016年7月23日). “'The greatest asset Trump has': Ivanka gets rave reviews for Cleveland speech”. The Guardian (Guardian Media Group). https://www.theguardian.com/us-news/2016/jul/22/ivanka-trump-republican-national-convention-speech 2020年8月30日閲覧。 
  52. ^ “ジョージ・ハリスンの遺産管理団体、ドナルド・トランプ氏の曲使用に「不快」”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2016年7月23日). https://www.barks.jp/news/?id=1000129238 2020年8月30日閲覧。 
  53. ^ DeVille, Chris (2016年7月23日). “George Harrison Estate Addresses RNC's Use Of 'Here Comes The Sun' To Introduce Ivanka Trump”. Stereogum. Scott Lapatine. 2020年8月30日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]