国盗り物語 (NHK大河ドラマ)

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国盗り物語
ジャンル ドラマ
放送時間 日曜20:00-20:45(45分)
放送期間 1973年1月7日-12月23日(全51回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 日本放送協会
製作総指揮 遠藤利男
演出 斎藤暁 他
原作 司馬遼太郎
脚本 大野靖子
出演者 平幹二朗
池内淳子
松坂慶子
三田佳子
宍戸錠
山本陽子
火野正平
樫山文枝
金田龍之介
山田吾一
松原智恵子
米倉斉加年
江守徹
杉良太郎
竹脇無我
林隆三
伊吹吾郎
露口茂
佐藤友美
伊丹十三
千秋実
中野良子
西村晃
大友柳太朗
近藤正臣
高橋英樹
ナレーター 中西龍
オープニング 林光
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国盗り物語』(くにとりものがたり)は、1973年1月7日から12月23日に放送されたNHK大河ドラマ第11作。全51回。

概説[編集]

司馬遼太郎の同名小説『国盗り物語』を核に、司馬の『新史太閤記』『功名が辻』『尻啖え孫市』『梟の城』などを合わせて大野靖子が脚色した。

美濃一国を「盗る」ことに生涯を賭けた斎藤道三と、彼に後継者と目され共に天下統一に邁進しながらも、最期には本能寺で激突する織田信長明智光秀の生き様を描いていく。司馬作品をテレビドラマ化したもの。

前作『新・平家物語』がベテラン俳優を中心としたドラマであったのにくらべ、『国盗り物語』は、高橋英樹(信長)、近藤正臣(光秀)、火野正平(秀吉)、松坂慶子(濃姫)など20代中心の布陣であった。これは、当時のプロデューサーが放送前年に颯爽と首相に就任した田中角栄に織田信長の姿を見出し、そのあふれるエネルギーをドラマで表現したかったからだという。原作は道三と信長の二人がリレー形式で主人公になっているが、ドラマはこの形式を踏襲しつつも実際の主役は信長となっている。

第1回は信長と濃姫の婚儀から始まり、その後道三の回想で京都御所に通う若き日の道三の場面に移る。その後道三を中心に美濃一国簒奪の話が続き、第14回で再び婚儀の席に戻ってくるという構成。ドラマはこの後、第18回で道三の死、第19回で信長の尾張統一、第20回で桶狭間の戦いへと移っていく。

信長役には当初藤岡弘が決っていたが、東映の『仮面ライダー』と重なったため高橋に役がまわった[1]。主役の高橋はこの信長役で一躍スターダムにのしあがる[2]。道三役の平幹二朗は、あまりの高橋信長の人気に「高橋英樹君の若さが羨ましかった」と述懐している。

二枚目俳優として女性に大きな人気があった近藤正臣は、本作の光秀で初の敵役を演じた。また火野正平も初のシリアスなドラマ、そして初の準主役級で秀吉を演じた。

本作は合戦シーンの撮影や舞台となった地域の放送当時の様子を撮影するためにフィルムを使用している。前年の『新・平家物語』ではフィルム映像や放送当時の映像を入れていなかったので、この点でも前作との違いを際立たせている。なお、物語の最後では岐阜城や信長の墓、そして観光客が天守閣にいる大坂城を映し、時代の変化を感じさせる終わり方となっている。

初回視聴率27.5%、最高視聴率29.9%、平均視聴率22.4%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)[3]

登場人物[編集]

登場人物に関する記述は総集編を基にした。太字の出演者は総集編に登場。

主人公[編集]

元は妙覚寺の学僧。学識・知恵・計略に長けており、京の油問屋・奈良屋の女主人お万阿をたらし込み、その身代を我が物とし新たに山崎屋を興す。更にそこから身を起こし、美濃国内の乱れに乗じて、一代で美濃の主となった。「美濃の蝮(まむし)」の異名をとる。娘婿の信長が普段着で兵を従えながら、鉄砲で武装している様子、および面会の際に正装に改めている姿を見て信長が後継者としてふさわしいと確信した。
うつけ」と言われていたが実際には道三にも劣らぬ天才。道三のことをライバル視しながらも尊敬しており「まむし」と呼んでいた。また、比叡山延暦寺焼き討ちの際のナレーションでは「果断すぎる性格」と紹介されており、このことが光秀との対立につながったとする見解で物語は進行している。
道三に才能を見出された武士の一人。初めは信長の家臣になってしばらくは信長の行動に一定の理解を示していたが、叡山焼き討ちに際して行った信長の行動を「魔神」と評するなど次第に信長に批判的になっていく。その一方で信長から異例の抜擢を受けた際には、「幼い頃より夢見てきた城への想いが一つ一つ形になっていく。作り上げるというのは楽しいことじゃ」と述べるなど、感謝の想いが全く無かったわけではないこともうかがえる。武田勝頼を滅ぼした直後の陣中で、信長から理不尽な暴行を受けたことと、旧領を実質上召し上げられたことが信長への殺意の決定打となり、本能寺で信長に反旗を翻す。しかしそのわずか10日後に、名も無い農民の手に掛かって竹藪の中で命を落とす。

斎藤家[編集]

道三の娘で、織田信長の正室。政略結婚であった。ドラマでは明智光秀のいとこという設定になっている。ドラマの最終回に本能寺の変の直後に亡くなった濃姫の顔を光秀が神妙かつ複雑な表情で見つめる場面があった。
京の豪商・奈良屋(後の山崎屋)の未亡人。若き日の道三(庄九郎)と結婚し、道三が天下を目指す足掛かりとなる。美濃へ向かって大名にまで上り詰めた道三の帰りを山崎屋で待ち続ける。なお、ドラマのほぼ中頃に信長が上洛した時、同行した光秀がお万阿と会い亡き道三を懐かしんで会話する場面があった。
道三の側室。一色義幸の娘で土岐頼芸の愛妾だったが、計略を用いた道三によって下げ渡される。その時には既に頼芸の子(後の義龍)を宿しており、道三に対して愛憎入り交じった感情を持つ。
道三の正室。明智光安・光綱の妹で、明智一族が道三に協力する証として道三の人質となる。幼い頃から道三に懐き、成人後はその妻となり濃姫を産む。道三が義龍と対立する直前に、道三に看取られながら病没する。
  • 吉祥丸→新九郎高政→斎藤義龍沢村正一(現:沢村翔一)→若林豪 道三の子。道三の元で成長するが、自分の出生の秘密を知り道三と急速に不仲になり、美濃国内を二分するまで対立。長良川の戦いで道三に大勝する。ドラマでは織田信長が道三に援軍を木曽川近くまで出したことなどで、道三死後の主人公は信長であることを暗示している。
  • 斎藤龍興大石悟郎(現・大石吾朗)道三の孫。家臣の離反などで織田信長に稲葉山城を奪われ、ついに美濃を追われる。
  • 斎藤喜平次曽我一貴
  • 斎藤孫四郎:青沼一彦

斎藤家臣[編集]

元妙覚寺の寺男で、道三が浪人だった頃から付き従う最古参の腹心。
道三の間諜。
山崎屋の手代、お万阿の従者として道三を助ける。
斎藤・織田家臣。濃姫の輿入れに付き従い信長に仕える。
濃姫の侍女。
道三の側近、道三と信長の会見に同伴する。
尾張出身だが道三にその才能を認められ、彼の城を多数建設。後に信長に仕える。
可児才蔵の父。
道三の近侍。道三の隠居後は義龍に仕える。長良川合戦では道三に一番槍をつける。

土岐・長井家[編集]

  • 土岐頼芸金田龍之介 書画の名人で特に鷹の絵が得意であった。道三らの手助けで兄に代わり、美濃の国主になる。道三を重用するが、後に道三から美濃国内が乱れているという理由で隠居を勧められ美濃を追われてしまう。
  • 土岐政頼仲谷昇 頼芸の兄。酒色におぼれて道三を含む美濃の地侍から謀反を起され、美濃の国主の座を追われる。
  • 鷲津六郎上田耕一
頼芸の弟。道三を排除しようとするが敗れる。
頼芸の側室、後柏原天皇の庶子。
頼芸家臣。道三が政頼を追放して頼芸を土岐家当主に据えると、道三に家督を譲り隠居する。
藤左衛門の子、斎藤利三の父。
利隆の弟。道三の学友で、道三の土岐家仕官を仲立ちする。

織田家[編集]

織田家臣[編集]

明智家・明智家臣[編集]

羽柴家・羽柴家臣[編集]

黒田家[編集]
  • 黒田官兵衛江守徹 秀吉のもう一人の軍師。荒木村重が信長に反旗をあげたという噂を聞き、村重を説得に行ったが、逆に1年余り幽閉されてしまう。そのため、脚を悪くしてしまう。
  • 松寿丸いろは
黒田官兵衛の子。
黒田官兵衛の家臣。
黒田官兵衛の家臣。
山内家[編集]
信長の家臣。金ヶ崎の戦いで重傷を負うも、秀吉たちに助けられる。戦いの後200石を賜り、家来を抱えることにする。
本作での読みは「やまのうちかずとよ」
『功名が辻』の主人公。一豊の妻。:夫を陰から支えており、6〜7人の家来を持とうと考えている一豊に「10人になさいませ」と言うなど政策決定に深くかかわろうとする節もみられる。一豊曰く「わしは良い女房を持った」。
2006年『功名が辻』の大河ドラマ版で描かれたような平和主義者としてではなく、原作の描写に忠実な戦国を夫とともに激しく生きようとする人物として描かれた。
山内一豊の家臣。
山内一豊の家臣。

徳川家・徳川家臣[編集]

桶狭間の戦いで今川家の勢力が急速に衰退し始めた時に、織田信長と同盟を結ぶ。姉川の戦いでは織田・徳川の連合軍で、浅井・朝倉連合軍に勝利するなど、信長の天下取りに大きく貢献する。武田信玄の大軍に三方ヶ原の戦いで大敗したときは命からがら浜松城に逃げ帰った。信長からは<三河殿>と丁重に呼ばれて、信長の家臣が信長から厳しく叱責されたのとは対照的に描かれた。

室町幕府[編集]

  • 足利義輝竹脇無我 室町幕府の13代将軍。松永久秀や三次三人衆らと対立し、御所で襲われて暗殺される。剣の名手で襲われた時も名刀で最期まで戦った。
  • 一乗院覚慶→足利義昭伊丹十三 義輝の弟。兄の暗殺で興福寺に身を寄せていたが、細川藤孝らに助けられ幕府再興を目指し、越前の朝倉義景を頼る。しかし朝倉義景は上洛の気がなかったため、尾張の織田信長を頼ることになる。この時に義昭の家臣であった明智光秀が信長に仕えることになる。信長が大軍を率いて上洛するとともに15代将軍に就任する。しかし、自分をないがしろにする信長と対立をし始め、しだいに反信長勢力と陰で手を結ぶようになる。
  • 細川藤孝伊吹吾郎 明智光秀とともに義昭を将軍職に付けることに東奔西走する。
  • 細川与一郎→細川忠興矢崎知紀石田信之
  • 一色藤長長島寛
  • 米田求政久松保夫
  • 和田惟政奥野匡
  • 上野清信→上野中務少輔:北見治一
  • 宮部善祥房小松方正
  • お慶:木内みどり
義昭の愛妾。

浅井家[編集]

一向宗[編集]

『尻啖え孫市』の主人公。
秀吉からお市を自分の妻にするという条件で、金ヶ崎の戦いでは秀吉の殿に協力。しかし約束を反故にされたため、反信長包囲網に加わり、秀吉を苦戦させて撃退した。
雑賀一向宗の盟主。

戦国大名・武将[編集]

その他[編集]

『梟の城』の主人公。
下拓植次郎左衛門や妹・小雪の仇である信長の命を付け狙う。本能寺の変で信長が死ぬと、自らの手で倒すことが出来なくなった事を嘆いた。
重蔵の忍びの師匠。斎藤龍興の命令で信長暗殺を目論むが及ばず、捕らえられる前に自爆して果てた。重蔵と同様に、原作と人物設定がやや異なる。
下拓植次郎左衛門の娘。重蔵を兄のように慕い、父亡き後は重蔵と共に信長の命を狙う。
信長暗殺を企てる重蔵を支援する。
連歌師。連歌の会で明智光秀が「時は今 天(雨)がしたしる 五月かな」と詠んだことを聞き、謀反を察知する。

スタッフ[編集]

放送[編集]

放送回 放送日 演出[5]
第1回 1973年1月7日 美濃の蝶 斎藤暁
第2回 1973年1月14日 廃城に立つ 村上佑二
第3回 1973年1月21日 有馬狐 斎藤暁
第4回 1973年1月28日 歓喜天 村上佑二
第5回 1973年2月4日 美濃へ 斎藤暁
第6回 1973年2月11日 京の夢 伊予田静弘
第7回 1973年2月18日 虎の目 村上佑二
第8回 1973年2月25日 府城乗っ取り 斎藤暁
第9回 1973年3月4日 嵯峨野の恋 伊予田静弘
第10回 1973年3月11日 乞食道三 村上佑二
第11回 1973年3月18日 美濃の嵐 斎藤暁
第12回 1973年3月25日 妖怪 伊予田静弘
第13回 1973年4月1日 蝮と虎 重光亨彦
第14回 1973年4月8日 華燭 斎藤暁
第15回 1973年4月15日 会見 伊予田静弘
第16回 1973年4月22日 暗雲 村上佑二
第17回 1973年4月29日 崩るる日 斎藤暁
第18回 1973年5月6日 道三逝く 斎藤暁
第19回 1973年5月13日 出発 山本誠
第20回 1973年5月20日 田楽狭間 村上佑二
第21回 1973年5月27日 遥かなる野望 伊予田静弘
第22回 1973年6月3日 二条館炎上 斎藤暁
第23回 1973年6月10日 修羅の道 村上佑二
第24回 1973年6月17日 嵐を衝く 伊予田静弘
第25回 1973年6月24日 信長と光秀 重光亨彦
第26回 1973年7月1日 上洛 斎藤暁
第27回 1973年7月8日 陰謀将軍 伊予田静弘
第28回 1973年7月15日 孫市見参 村上佑二
第29回 1973年7月22日 越前攻め 斎藤暁
第30回 1973年7月29日 幻の姫 山本誠
第31回 1973年8月5日 鉄砲守護神 村上佑二
第32回 1973年8月12日 巨大なる城 斎藤暁
第33回 1973年8月19日 四面楚歌 伊予田静弘
第34回 1973年8月26日 叡山焼打ち 田代勝四郎
第35回 1973年9月2日 信玄動く 斎藤暁
第36回 1973年9月9日 信長を討て 伊予田静弘
第37回 1973年9月16日 将軍追放 村上佑二
第38回 1973年9月23日 小谷落城 斎藤暁
第39回 1973年9月30日 長篠合戦 伊予田静弘
第40回 1973年10月7日 安土へ 上岡耕三
第41回 1973年10月14日 雑賀川の決戦 斎藤暁
第42回 1973年10月21日 生か死か 村上佑二
第43回 1973年10月28日 波紋 山本誠
第44回 1973年11月4日 村重謀叛 斎藤暁
第45回 1973年11月11日 伊賀圧殺 伊予田静弘
第46回 1973年11月18日 亀裂 村上佑二
第47回 1973年11月25日 殺意 斎藤暁
第48回 1973年12月2日 光秀無禄 重光亨彦
第49回 1973年12月9日 本能寺前夜 斎藤暁
第50回 1973年12月16日 本能寺の変 斎藤暁
最終回 1973年12月23日 夢と幻と 斎藤暁

総集編[編集]

  • 前編・後編(サブタイトルは無し)

逸話[編集]

昭和天皇は本作の大ファンでスタジオ収録の訪問を希望し、桶狭間出陣前夜のシーンを直接観覧した。高橋英樹、松坂慶子、林隆三などに「見てるよ、見てるよ」と親しく声をかけて歓談している。また、スタジオセットの木々を見て「よく育つね」「ここで馬も走らすの」と楽しく過ごしたという。後日原作者の司馬遼太郎と会った天皇は「あれはテレビと原作では違うの?」などと質問をして興味が尽きない様子だった。

映像の現存状況[編集]

総集編のマスターテープは現存しておりNHKアーカイブスでも視聴可能でDVDなどの映像ソフトも発売されているが、通常放送回の映像はマスターテープ(2インチVTR)の上書き再利用などによって全て失われていた。2015年、本作の出演者のひとりである杉良太郎が個人的に録画、所有していた第37回「将軍追放」と第38回「小谷落城」のビデオテープが発掘され、NHKに提供された[6]

NHKはマスターテープが失われた過去の放送番組の収集(制作関係者や一般視聴者らへのビデオテープ提供の呼びかけなど)を進めている[7]

脚注[編集]

  1. ^ 藤岡はその後『おんな太閤記』(1981年)、『春日局』(1989年)と、大河ドラマ2作品で信長役を演じることになる。
  2. ^ 高橋はこの時の強烈な信長のイメージ払拭のため、信長役のオファーはすべて断っていたが、1994年にテレビ東京12時間超ワイドドラマ織田信長』で再び信長役を演じ、その後は「自分は信長の生まれ変わり」とコメントするなど、その後のキャリアを方向付けた重要な役柄だった事を認めている。
  3. ^ ビデオリサーチ NHK大河ドラマ 過去の視聴率データ
  4. ^ 軍師官兵衛』(2014年)でも家康を演じている。
  5. ^ NHKクロニクル番組表検索結果詳細より
  6. ^ NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト 発掘ニュースNo.82
  7. ^ NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト

外部リンク[編集]

NHK 大河ドラマ
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