仮面ライダー対じごく大使

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仮面ライダー対じごく大使
Masker Rider Vs. Ambassador from Hell
監督 山田稔
脚本 伊上勝
原作 石森章太郎
出演者 藤岡弘
千葉治郎
小林昭二
潮健児
音楽 菊池俊輔
主題歌 「レッツゴー!ライダーキック」(藤浩一、メール・ハーモニー)
撮影 川崎龍治
編集 管野順吉
製作会社 東映
配給 東映
公開 日本の旗 1972年7月16日
上映時間 34分
製作国 日本の旗 日本
前作 仮面ライダー対ショッカー
次作 仮面ライダーV3
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仮面ライダー対じごく大使』(かめんライダー たい じごくたいし)は、1972年昭和47年)7月16日に「東映まんがまつり・へんしん大会」の一編として公開された東映の中編映画作品。

テレビ番組『仮面ライダー』の劇場オリジナル映画第2作目。カラー、シネスコ[注釈 1]、上映時間は34分。

概要[編集]

1972年の日本は「変身ブーム」の真っ只中にあり、テレビ各局こぞって「変身」を見せ場としたヒーロー番組を競作し、子供達が「ヘンシンごっこ」に熱中していた。「変身ブーム」の中、前作『仮面ライダー対ショッカー』が丸の内東映のアンケート調査で1位になったことを受け、東映は恒例の「東映まんがまつり」の夏休みプログラム興行を「へんしん大会」と銘打ち、そのメインとして本作が企画された[1]

ストーリーは、石森章太郎による『仮面ライダー』の原作漫画の最終章『仮面の世界(マスカーワールド)』をベースに、富士山麓における怪人軍団と仮面ライダーの攻防を描いている[2]。脚本時点でのタイトルは『仮面ライダー対ショッカー大要塞』[2]

公開当時のキャッチコピーは、「あっ! 新怪人カミキリキッドだ! ぼくらの仮面ライダーが、大型画面でおおあばれ!」。

一文字隼人(仮面ライダー2号)は本作では未登場。

藤岡弘の失踪と制作中断[編集]

本作は、撮影中に本郷猛役の藤岡弘(現・藤岡弘、)が失踪し、制作中断というアクシデントに見舞われている[1]

藤岡は1972年5月、同年10月にNHKで放映予定の時代劇ドラマ『赤ひげ』のオーディションに合格していた。事後報告となったこの一件が『仮面ライダー』制作者である東映・毎日放送とトラブルとなり、一時期行方をくらませてしまったのである。

主演俳優の不在という事態にまずテレビ本編の制作現場が大混乱となり、第66話としてスペシャル番組のような内容の「ショッカー墓場 よみがえる怪人たち」(7月1日放映)が急遽、制作された。その結果、本作の目玉となるはずの新怪人カミキリキッドが、テレビに先行登場することとなってしまった[2][1]

また、本作では大幹部・地獄大使をタイトルに据えてその対決を打ち出している。その一方で、東映・毎日放送側では本作公開日である7月16日以前に、もう1人の大幹部・死神博士との決着をテレビ本編で付けるはずだった。ところが、それも藤岡の失踪によって大きく狂うこととなり、主役不在のまま決着話を撮るわけにもいかないために死神博士との決着が繰り下げられ、制作話が前後することで本来は死神博士の正体として用意された怪人だったノコギリザメスが、第67話「ショッカー首領出現! ライダー危うし」に一般怪人ギリザメスとして登場することになってしまった。この混乱の中、本作の撮影は本郷がエミとトッコを救出するシーンを残して中断し、ようやく藤岡が現場復帰したのは第68話「死神博士 恐怖の正体!」(7月15日放映)撮影時のことで、死神博士は第68話でイカデビルを正体とし、映画公開ギリギリに仮面ライダー1号に倒され、新サイクロン号とともに公開に間に合わせることに成功した。このため、第68話のイカデビルとの決戦は、上記の撮り残しシーンと同じく奥多摩の採石場で行われている。また、中盤の山場である朝霧高原でのロケは梅雨時にずれ込み、湿気のためにピントが合わず、撮影に苦労したという。

当事者である藤岡は後年のインタビューで、この件については嫌な思い出であったため、記憶から消していたと述べている[3]。プロデューサーの平山亨や阿部征司は、藤岡のオーディション参加やその後の失踪は彼の所属事務所社長の命令であったのではないかという見解を示している[3]。藤岡はテレビシリーズ終了後に大河ドラマ『勝海舟』に出演しているが、これは本件の際に平山がNHKの知人を通じてテレビシリーズ終了後に藤岡を起用する確約を取り付けていたことによる[3]

あらすじ[編集]

ショッカーアジトとして使用された「お化けマンション」。劇中では屋上にヘリを着地させている
ロケが行われた朝霧高原と富士山

本郷猛と滝和也は東日本ロードレースに出場した。その頃、ショッカーは富士山頂の大要塞にスーパー破壊光線砲を設置し、日本全土を焼き払う作戦を進めていた。

ショッカーの罠でコースを外され、ヘリコプターの爆撃を受けた本郷と滝はヘリを奪って戦闘員に化け、ショッカーのアジトに潜入するが、これもショッカーの罠だった。待ち受けていた怪人カブトロングを倒したものの、アジトは地獄大使によって仮面ライダー1号と滝もろとも、爆破されてしまう。

富士山麓までスーパー破壊光線砲の輸送を開始した地獄大使は、万一のことを考えてカミキリキッドに立花レーシングクラブを襲わせ、立花藤兵衛らを拉致する。エミとトッコを乗せた車を追う本郷をカミキリキッド率いる怪人軍団が襲い、それを撃退した1号はエミとトッコを救出すると、滝の報告を受けて地獄大使らの陸送車両隊を追う。

朝霧高原に差しかかった1号は、ジャガーマンとサイギャング率いる戦闘員オートバイ部隊や、セミミンガ率いる戦闘員騎馬部隊と戦う。十字架にかけられた藤兵衛とユリを人質にされて1号は手出しできなくなるが、滝が藤兵衛とユリを救出したことで形勢は逆転し、勝利した本郷と滝は富士山中の大要塞に向かう。

登場怪人[編集]

カミキリキッド
  • 身長:205センチメートル[4]
  • 体重:71キログラム[4]
  • 出身地:富士樹海[5]
本作の新怪人。角から破壊光線[6]、口から白い粉末状の痺れガス[注釈 2]や火炎を放出する。
立花レーシングクラブの床を破って現れ、痺れガスで立花藤兵衛らを眠らせて誘拐する。その後、大要塞に潜入した新1号と滝を迎え撃つが動力室を破壊され、角をライダーパンチで折られた後、ライダーキックを受けて爆発する。
子供達の人気は高く、同年8月発売の『テレビマガジン』9月号の「ショッカー怪人・人気コンテスト」では、総合1位に入賞している。
仮面ライダー
制作上の都合で、本作に先駆けてテレビシリーズ第66話に登場[7]。資料によっては別個体と記述している[8]
海岸で男を捕らえ悪魔祭りの生け贄にし、ショッカー墓場に眠る全怪人を蘇らせるため仮面ライダー1号とその仲間たちを生け贄にしようとする。ショッカー脱走者の加藤に扮して滝和也に近づく。1号に悪魔祭りが妨害されると、他の怪人とともに1号と戦うがライダーきりもみシュートで倒される。
ゲーム『仮面ライダー 正義の系譜
邪眼によって再生怪人として登場。地獄大使の配下として仮面ライダーアギトと対決する。
再生怪人軍団
序盤でカブトロングが登場。
その後、戦闘員を指揮するハリネズラスとカミキリキッドに率いられたセミミンガ・ゴキブリ男・ギリーラが登場。
朝霧高原ではオートバイ部隊を率いるジャガーマン・サイギャングと騎馬部隊を率いるセミミンガが登場。
富士山五合目では、ザンジオーに率いられ海蛇男・ミミズ男・エイキング・ゴースター・プラノドン・キノコモルグ・ドクモンド・ムササビードル・ザンブロンゾ・毒トカゲ男(名乗り順)の10体が登場。
キノコモルグとムササビードルは初代と異なり、ブーツを履いている。エイキングはテレビ版では巻いていなかったショッカーベルトを腰に巻いている。ミミズ男はテレビ版ではミミズ状の触手だった左手が右手と同じ形状の手袋に差し替えられている[9]。ザンブロンゾ、毒トカゲ男、ミミズ男はライダーに倒されたが、ザンジオーをはじめ残りの8怪人とは決着を付けずに終わっている。
脚本ではザンジオーではなくフクロウ男がリーダー格として予定されていた[7]

スタッフ[編集]

※ 映画クレジット順

主題歌・挿入歌[編集]

レッツゴー!! ライダーキック
作詞:石森章太郎 / 作曲:菊池俊輔 / 歌:藤浩一[注釈 4]、メール・ハーモニー
オープニングおよび挿入歌として使用。
「たたかえ! サイクロン」
作詞:島田真之 / 作曲:菊池俊輔 / 歌:子門真人
「仮面ライダーのうた」
作詞:八手三郎 / 作曲:菊池俊輔 / 歌:藤浩一、メール・ハーモニー
エンディングとして使用。

キャスト[編集]

※ 映画クレジット順

映像ソフト化 [編集]

いずれも東映ビデオより発売。

  • VHS(セル、レンタル)共通。LD(セルのみ)
    • 2000年5月21日にVHSが発売された[10]
  • DVD:「仮面ライダー THE MOVIE BOX 1972-1988」(2003年12月5日発売)、単巻.VOL.1(2006年3月21日発売)
  • Blu-ray:「仮面ライダー THE MOVIE Blu-ray BOX 1972-1988」(2011年5月21日発売)に収録。

併映作品[編集]

エピソード[編集]

空撮シーンでは元特攻隊員がヘリコプターのパイロットを務め、超低空飛行で送電線の下をくぐるなど当時の航空法に違反すると思われる操縦をしていた[11]。同乗した撮影の川崎龍治は高所恐怖症であったことに加え、眼前に爆発が迫ることに恐怖を感じ、撮影助手は失禁していたという[11]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 35mmフィルムの上下を省いた簡便な「擬似シネスコ」である。
  2. ^ 書籍『仮面ライダー怪人大全集』では、麻痺粉と記述している[6]
  3. ^ エンディングクレジットで「八木」と誤表記。
  4. ^ エンディングクレジットで「藤浩」と誤表記。
  5. ^ オープニングクレジットに表記されているが未出演。
  6. ^ オープニングクレジットは「池田力弥」
  7. ^ オープニングクレジットは「峰恵憲」
  8. ^ オープニングクレジットは「八津勲」

出典[編集]

  1. ^ a b c 仮面ライダー1971-1984 2014, pp. 402-403, 「COLUMN 映画の世界に進出したライダー オリジナル劇場用作品初期4作」
  2. ^ a b c 大全集 1986, pp. 224-225, 「仮面ライダー劇場用作品製作メモ」
  3. ^ a b c 仮面ライダー1971-1984 2015, pp. 62-65, 「INTERVIEW 藤岡弘、」
  4. ^ a b 画報 2001, p. 45.
  5. ^ 語れ 2013, pp. 102-103.
  6. ^ a b c 怪人大全集 1986, p. 135, 「仮面ライダー劇場用怪人大全」
  7. ^ a b OFM10 2004, pp. 23-29, 「特集 よみがえる怪人たち ショッカーからバダンまで 再生怪人軍団の系譜」
  8. ^ 怪人列伝 2011, pp. 116-118, 「怪人 カミキリキッド」.
  9. ^ 『宇宙船別冊・仮面ライダー怪人大画報』(ホビージャパン・2007年 ISBN 978-4-894256385)26頁。
  10. ^ 「2000TV・映画 特撮DVD・LD・ビデオ&CD」『宇宙船YEAR BOOK 2001』 朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、2001年4月30日、67頁。雑誌コード:01844-04。
  11. ^ a b OFM4 2004, p. 33, 杉田篤彦「匠たちの肖像 『仮面ライダー』を支えたスタッフたち 第6回 川崎龍治」

参考文献[編集]

関連項目[編集]