街道をゆく
『街道をゆく』(かいどうをゆく)は、司馬遼太郎による紀行文集。1971年(昭和46年)、作者47歳の時に「週刊朝日」にて読み切りによる連載を開始。1996年(平成8年)2月の作者逝去により、43冊目の「濃尾参州記」を最後に中絶(未完)した。
特徴[編集]
表題の通り街道・みち、すなわち交通に着目し、著者独自の視点でその国の歴史・地理・人物について考察している。
単行本・文庫版は朝日新聞出版で刊行。題字は棟方志功(版画家)が、初期の装丁は芹沢銈介が担当した(各・民藝運動で著名な工芸作家)。また『司馬遼太郎全集』(文藝春秋)では全14巻分(生前の刊は第47・48・49巻、没後の刊は第55 - 65巻)である。
司馬は四半世紀で、日本のみならず、アイルランド・オランダ・アメリカ・モンゴル・中国・韓国・台湾なども歴訪した。
1984年刊の「南蛮のみちI」で第16回日本文学大賞を受賞。1994年刊の「台湾紀行」では、台湾問題に対し直截的な意見を述べた。当時の総統李登輝(司馬作品の愛読者でもある)とも対談(「場所の悲哀」、巻末に掲載)し、李が総統就任後初めて台湾の本土化政策に言及した際、司馬は両岸問題に対する中国の姿勢を批判した。のちに対談の内容が明らかになると、中国及び台湾、日本、アメリカで大きな波紋を巻き起こした。
挿画は須田剋太(1971年1月から1990年2月)が、須田の没後は、1990年9月から1991年7月まで桑野博利(画家、1913-2008年)が、次いで1991年8月から1996年3月まで安野光雅が担当した。「オランダ紀行」では、須田が病気のため同行できなかったが、画家の病状に響くという配慮から代役を立てず、司馬自身によるスケッチが掲載されている。
作品リスト[編集]
単行本・文庫
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朝日ビジュアルシリーズ
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NHKスペシャル 街道をゆく | |
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ジャンル | ドキュメンタリー |
原作 | 司馬遼太郎 |
音楽 | 冨田勲 |
製作 | |
制作 | NHK |
放送 | |
放送国・地域 |
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第1シリーズ | |
放送期間 | 1997年10月12日 - 1998年3月8日 |
放送時間 | 日曜 21:00 - 21:50 |
放送分 | 50分 |
回数 | 6 |
第2シリーズ | |
放送期間 | 1998年10月4日 - 1999年3月7日 |
放送時間 | 日曜 21:00 - 21:50 |
放送分 | 50分 |
回数 | 6 |
第3シリーズ | |
放送分 | 30分 |
放送番組[編集]
『街道をゆく』は、「台湾紀行」を除く作品の大部分がNHKで映像化されている。
1997年10月から映像ドキュメンタリー「街道をゆく」の放送開始。全シリーズいずれもビデオカセット、のちDVDセットが出された。ナレーションは田村高廣による朗読を除き、全てNHKアナウンサーが務めている。
NHK総合テレビジョンのNHKスペシャルで毎月1回放送(1回50分)された。 なお、第1シリーズに先立ちプロローグ編として『時空の旅人 司馬遼太郎』が放送されている。
放送日程[編集]
第1シリーズ | 放送日 | タイトル |
---|---|---|
第1話 | 1997年10月12日 | 湖西のみち・韓のくに紀行 |
第2話 | 1997年11月9日 | モンゴル紀行 |
第3話 | 1997年12月7日 | 北のまほろば |
第4話 | 1998年1月11日 | 南蛮のみち |
第5話 | 1998年2月15日 | 長州路・肥薩のみち |
第6話 | 1998年3月8日 | 本郷界隈 |
第2シリーズ | 放送日 | タイトル |
第1話 | 1998年10月4日 | オランダ紀行 |
第2話 | 1998年11月1日 | 沖縄・先島への道 |
第3話 | 1998年12月6日 | 奥州白河・会津のみち |
第4話 | 1999年1月2日 | オホーツク街道 |
第5話 | 1999年2月7日 | 十津川街道 |
第6話 | 1999年3月7日 | 愛蘭土紀行 |
1999年4月-2000年3月、NHK教育テレビジョンで毎週放送(1回30分)
関連出版[編集]
- 『司馬遼太郎の遺産 「街道をゆく」』 朝日文庫、1996年
- 『司馬遼太郎からの手紙』 週刊朝日編集部編、朝日文庫(上下)、2004年
- 司馬遼太郎 『街道をゆく夜話』 朝日文庫、2007年 - 松本健一解説
- 『司馬遼太郎 旅のことば』 朝日新聞社編、朝日選書、2002年/朝日文庫、2012年 - ※以上は別巻著作
- 『「司馬遼太郎・街道をゆく」エッセンス&インデックス』 朝日新聞社、2001年 - 単行本・文庫判の両用対応
- 人名・地名など約1万項目の総索引。旧版は『司馬遼太郎「街道をゆく」人名・地名録』(1989年、第31巻まで)
- 松本健一 『司馬遼太郎が発見した日本 「街道をゆく」を読み解く』 朝日新聞社、2006年/朝日文庫、2009年。司馬論をいくつか著した。
- 村井重俊 『街道をついてゆく 司馬遼太郎番の6年間』 朝日新聞出版、2008年/朝日文庫、2011年。担当編集者の回想
- 北山章之助 『司馬遼太郎 旅路の鈴』 日本放送出版協会、2006年。番組担当者の回想
- 『司馬遼太郎の風景』全11巻 〈NHK「街道をゆく」プロジェクト〉日本放送出版協会、1997 - 2000年
- 『司馬遼太郎の街道』 週刊朝日MOOK 全4巻、朝日新聞出版、2015 - 2016年/朝日文庫 全3巻、2020年
- 須田剋太『街道をゆく 原画集』朝日新聞社、1981年。各・挿画の一部
- 安野光雅『街道をゆく スケッチ集』同、1997年
- 『台湾小景 街道をゆく スケッチ集』同、1995年
- 『ニューヨークの落葉 街道をゆく スケッチ集』同、1996年
- 『小林修写真集 司馬遼太郎「街道をゆく」の視点 歩いた風土、見抜いた時代』 朝日新聞出版、2019年
外部リンク[編集]
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