春の坂道

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大河ドラマ
通番 題名 放映期間
第8作 樅ノ木は残った 1970年1月
- 1970年12月
第9作 春の坂道 1971年1月
- 1971年12月
第10作 新・平家物語 1972年1月
- 1972年12月
春の坂道
ジャンル ドラマ
原作 山岡荘八『春の坂道』(後に『柳生宗矩』と改題)
脚本 杉山義法
演出 深町幸男 他
出演者 中村錦之助
小林千登勢
長門勇
原田芳雄
松本留美
京塚昌子
田村亮
清水綋治
倍賞美津子
土屋嘉男
中村敦夫
加藤嘉
若林豪
舟木一夫
奈良岡朋子
島田正吾
高橋英樹
岸田今日子
中村芝鶴
芥川比呂志
市川海老蔵
司葉子
山村聡
ナレーター 福島俊夫
オープニング 三善晃
製作
製作総指揮 硲光臣
制作 日本放送協会
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1971年1月3日-12月26日
放送時間日曜20:00-20:45
放送枠大河ドラマ
放送分45分
回数全52
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春の坂道』(はるのさかみち)は、1971年1月3日から12月26日まで放送されたNHK大河ドラマ第9作。全52回。初回視聴率19.1%、最高視聴率27.5%、平均視聴率21.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)[1]

山岡荘八の書き下ろし小説『春の坂道』(後に『柳生宗矩』と改題)、および小説『徳川家康』を原作として杉山義法が脚色。泰平の世を築くために遠くて険しい「春の坂道」を歩んでいく剣術家・柳生但馬守宗矩の生涯を、家康秀忠家光の徳川三代の時代を背景に、「一紙半銭も私せず」の剣禅一如の精神とともに描いた作品[2]

企画・制作[編集]

三姉妹』に続く大河ドラマオリジナル企画の第2弾であるが、実際に原作小説が書き下ろされたのは、この『春の坂道』が最初である[注釈 1]。書き下ろしが再び俎上に載ったのは、大河ドラマの原作小説の多くが売れ行きを伸ばしており、その収益を関連団体の日本放送出版協会(現・NHK出版)にもたらすことができないかという意見によるものだった[4]。江戸幕府初期の将軍三代の時代を築いた人物に着目したプロデューサーの吉岡利夫が、山岡が柳生一族を調査していることを知って企画を持ち込み、山岡の快諾を得てスタートする[4]。山岡は柳生宗矩を「陰にいた人間」「人間教育もした。それでいて平和思想者」と位置づけ、ドラマもそれに沿って作られた[4]。山岡の執筆速度は速く、『三姉妹』のような混乱はなかった[4]

主役の中村錦之助(後・萬屋錦之介)の起用は「本人からの売り込み[5]」を初め、複数の説がある。プロデューサーの吉岡利夫は「他にも候補がいたが、NHK内部の事情もあって決まらなかったところに、錦之助からの売り込みがあった」と述べている[5]

後に錦之助は「萬屋錦之介」に改名した後も、映画『柳生一族の陰謀』(1978年東映)で宗矩役として主演した他、テレビドラマ『柳生新陰流』(1982年、テレビ東京)、『柳生武芸帳』(1990年 - 1992年、日本テレビ山村聰が演じた第2作目の「十兵衛五十人斬り」(1990年10月1日放送)を除く)でも宗矩を演じるなど、宗矩を生涯の当たり役とした。

登場人物[編集]

太字は現存する最終話に登場

柳生家[編集]

主人公柳生新陰流を継承する当代随一の剣客。徳川将軍家兵法指南役であり、江戸幕府初代惣目付(大目付)。三代将軍家光からは「(じい)」と呼ばれ深く信頼されている。への出兵を画策する家光を新陰流の奥義である「無刀取り」を用いて厳しく諌める。江戸の自邸にて没する。
本作のメインヒロイン。公家の娘。生涯にわたって宗矩を支える。
宗矩の長男。「隻眼の剣豪」というイメージの強い人物だが、本作では史実に則り隻眼ではない。父との折り合いが悪く、「父上は鬼じゃ」と言い放つ。
宗矩の三男。廃嫡された十兵衛に代わって柳生家の嫡男となる。

徳川家[編集]

徳川三代将軍。明の遺臣たちの要請を受け中国大陸への出兵を画策するが、宗矩の「無刀取り」を用いての厳しい諫言を受け、出兵を断念する。宗矩が病に倒れると自ら親しく宗矩邸を訪れ見舞う。その場にて宗矩から新陰流の奥義を伝授される。

譜代大名[編集]

幕府老中
幕府老中。
家光の側近。

豊臣家[編集]

豊臣家家臣[編集]

外様大名[編集]

その他[編集]

宗矩に仕える従僕にして密偵。柳生の里出身。武芸と変装術に優れ、影から宗矩を支える。

スタッフ[編集]

放送[編集]

特記がない限りウェブサイト「NHKクロニクル」の「NHK番組表ヒストリー」で確認[6]

通常放送時間[編集]

放送日程[編集]

放送回 放送日
第1話 1971年1月3日 大和の蛙 その一
第2話 1971年1月10日 大和の蛙 その二
第3話 1971年1月17日 大和の蛙 その三
第4話 1971年1月24日 寺子屋大納言 その一
第5話 1971年1月31日 寺子屋大納言 その二
第6話 1971年2月7日 寺子屋大納言 その三
第7話 1971年2月14日 寺子屋大納言 その四
第8話 1971年2月21日 孤独太閤 その一
第9話 1971年2月28日 孤独太閤 その二
第10話 1971年3月7日 孤独太閤 その三
第11話 1971年3月14日 孤独太閤 その四
第12話 1971年3月21日 歴史は移る その一
第13話 1971年3月28日 歴史は移る その二
第14話 1971年4月4日 歴史は移る その三
第15話 1971年4月11日 歴史は移る その四
第16話 1971年4月18日 関ヶ原前夜 その一
第17話 1971年4月25日 関ヶ原前夜 その二
第18話 1971年5月2日 人間戦争 その一
第19話 1971年5月9日 人間戦争 その二
第20話 1971年5月16日 人間戦争 その三
第21話 1971年5月23日 人間戦争 その四
第22話 1971年5月30日 柳生の風 その一
第23話 1971年6月6日 柳生の風 その二
第24話 1971年6月13日 柳生の風 その三
第25話 1971年6月20日 次なる坂 その一
第26話 1971年6月27日 次なる坂 その二
第27話 1971年7月4日 大坂の陣 その一
第28話 1971年7月11日 大坂の陣 その二
第29話 1971年7月18日 大坂の陣 その三
第30話 1971年7月25日 人間曼陀羅 その一
第31話 1971年8月1日 人間曼陀羅 その二
第32話 1971年8月8日 人間曼陀羅 その三
第33話 1971年8月15日 人間曼陀羅 その四
第34話 1971年8月22日 人間曼陀羅 その五
第35話 1971年8月29日 元和の星辰 その一
第36話 1971年9月5日 元和の星辰 その二
第37話 1971年9月12日 子の陰、父の陰 その一
第38話 1971年9月19日 子の陰、父の陰 その二
第39話 1971年9月26日 子の陰、父の陰 その三
第40話 1971年10月3日 忠長卿始末 その一
第41話 1971年10月10日 忠長卿始末 その二
第42話 1971年10月17日 寛永武士道 その一
第43話 1971年10月24日 寛永武士道 その二
第44話 1971年10月31日 寛永武士道 その三
第45話 1971年11月7日 寛永武士道 その四
第46話 1971年11月14日 柳生月影抄 その一
第47話 1971年11月21日 柳生月影抄 その二
第48話 1971年11月28日 柳生月影抄 その三
第49話 1971年12月5日 柳生月影抄 その四
第50話 1971年12月12日 かくれんぼ その一
第51話 1971年12月19日 かくれんぼ その二
最終話 1971年12月26日 かくれんぼ その三

総集編[編集]

  • 前編:1971年12月30日 19時20分から21時00分
  • 後編:1971年12月31日 19時20分から20時50分

映像の現存状況[編集]

当時、マスターテープに使用されていた2インチVTRの保存が一般的ではなく、この時期の他の大河ドラマは総集編や一部の回のみ映像が現存している例が多いが、本作は総集編含め1話もNHKに保存されていなかった。その後、本来はカラー作品であるがモノクロで録画された最終回「かくれんぼ その三」のVTRがNHKに寄贈され、現在では同話のみNHKアーカイブスで視聴が可能となっている。2017年2月24日には最終回をリマスター化したDVDが発売された[7]

その他の映像はNHKにも保存が無いため、NHKでは制作関係者や一般視聴者らによって録画された同ドラマのビデオテープ提供の呼びかけを進めている[8]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 『三姉妹』は原作を担当した大佛次郎の執筆が遅延したため、途中からオリジナルの脚本となった[3]
  2. ^ 一部放送日時の変更あり。

出典[編集]

  1. ^ ビデオリサーチ NHK大河ドラマ 過去の視聴率データ
  2. ^ 『劇と評論』第15巻第3号、「劇と評論」の会、1970年12月25日、 12頁。NDLJP:2223242/10
  3. ^ 春日太一 2021, pp. 57–59.
  4. ^ a b c d 春日太一 2021, pp. 92–94.
  5. ^ a b 春日太一, pp. 95–96.
  6. ^ NHK番組表ヒストリー - NHKクロニクル
  7. ^ 大河ドラマ 春の坂道NHKスクエア公式サイト
  8. ^ NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト

参考文献[編集]

  • 春日太一 『大河ドラマの黄金時代』NHK出版〈NHK出版新書〉、2021年2月10日。ISBN 978-4-14-088647-2 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

NHK 大河ドラマ
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