新幹線955形電車
新幹線955形電車 300X | |
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![]() 日中走行試験中の955形 (300X) (1999年7月14日 米原駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 東海旅客鉄道 |
製造所 | 三菱重工業、日本車輌製造、川崎重工業、日立製作所 |
製造年 | 1994年 |
製造数 | 1編成6両 |
運用終了 | 2002年1月 |
廃車 | 2002年2月1日 |
主要諸元 | |
編成 | 6両編成(全電動車) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 | 交流25,000 V・60 Hz |
最高速度 | 350 km/h以上 |
自重 |
36 t (955-4を除く) 32 t (955-4) |
編成重量 | 212 t |
全長 | 25,000 mm |
全幅 | 3,100 mm |
全高 | 3,300 mm |
台車 | ボルスタレス台車 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 |
405 kW (連続定格) 500 kW (15分間) |
歯車比 | 2.265 |
編成出力 |
9,720 kW (連続) 12,000 kW(15分間) |
制御方式 | GTO-VVVFインバータ制御 |
新幹線955形電車(しんかんせん955がたでんしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)が300系に続く次世代の新幹線関連の技術を実験するために1995年(平成7年)に製作した高速試験用電車である。通称は、300X。編成記号はA。
背景
国鉄分割民営化から間もない1992年(平成4年)3月に東海道新幹線で最高速度を270 km/hに向上させた300系が「のぞみ」として営業運転を開始し、翌年には営業区間を山陽新幹線博多駅まで延伸させた。この300系の開発の源流は国鉄時代から行われていたボルスタレス台車やVVVFインバータ制御の開発にまでさかのぼることができ、新しい車両の開発には膨大な時間が必要となる[1]。
そこで300系試作車が落成したばかりである1990年(平成2年)に、より良い鉄道サービスを提供する上で間断のない技術開発が必要であるとの考えから、レール・車輪方式による理想的な高速鉄道の開発を行うために製作されたのが本形式である[1]。
営業運転に供することは当初から考えられていない、純然たる試験車(JR東海では唯一)として設計され、曲線や勾配で高速試験走行に向いていない東海道新幹線区間で高速走行試験を行うことから、加速力を増加させている[1]。
構造
車体はアルミニウム合金製のボディーマウント構造を採用しているが、次世代の車両製造時のデータ収集のため車両ごとに製造方法を変えて製作された。また、先頭車形状が東京方と博多方で異なり、それぞれラウンドウエッジ型、カスプ型と呼ばれ、比較のため入れ替えることができるようになっていた。
力行主回路はVVVFインバータ制御で、素子はGTOサイリスタを採用し連続定格出力405 kWの主電動機を駆動する。主変圧器は軽量化のためアルミニウム製のコイルを使用。6両編成で全車両電動車である。
台車はセミアクティブサスペンション付きのボルスタレス台車を採用する。3・6号車の台車には鉄道総合技術研究所(鉄道総研)によって開発された油圧シリンダ式の車体傾斜装置(最大傾斜:3度)を搭載する[2]。なお、台車支持位置が高い(空気ばね支持高さ:レール面上1,700 mm)ため車内床の一部が盛り上がっていた[1]。軸距は300系比500 mm延長である3,000 mmとした[1]。これは、鉄道総研による台上試験の結果、蛇行動限界速度が大幅に拡大されたことを確認できたためである[1]。
なお、パンタグラフから発生する騒音を低減するため、ワイングラス型の大型のパンタグラフカバーが装着されていた。このタイプのパンタグラフカバーは、700系9000番台で、「300X」で試作されたタイプから脚部を省いたタイプのカバーを採用したが、カバーが逆に騒音源となっていたことが試験の過程で判明し、量産車では不採用となった。955形の試験走行の過程ではシングルアームパンタグラフなども試され、その他様々な形状のカバーが試されている。
仕様
- 955-1
- 1号車。博多方の制御電動車。空気抵抗を減少させるため、風洞実験とCFDによって先頭形状はカスプ型とされた[3]。車体は航空機の技術をベースとし、ジュラルミンをリベット結合で製作した[3]。製造は三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所が担当した[3]。
- 955-2
- 2号車。中間電動車でパンタグラフを搭載。車体はアルミ中空大型押出形材を使用(後に700系に採用)。ダブルスキン構造。4号車955-4とともに日本車輌製造が製造を担当。窓が他の号車よりも大きいのが特徴
- 955-3
- 3号車。中間電動車。車体はアルミ大型押出形材をスポット溶接で製作(=300系と同じ)。シングルスキン構造。製造担当は川崎重工業。
- 955-4
- 4号車。中間電動車。車体はアルミ中空大型押出形材を使用。ダブルスキン構造。(後年にパンタグラフを搭載)
- 955-5
- 5号車。中間電動車でパンタグラフを搭載。車体はアルミハニカムパネルを使用(=500系と同じ)。955-6とともに日立製作所が製造。(後年に新型パンタグラフを2回にわたって搭載)
- 955-6
- 6号車。東京方の制御電動車。先頭形状はラウンドウェッジ型。車体はろう付けアルミハニカムパネルを使用。
運用実績
1996年(平成8年)7月26日未明、東海道新幹線米原駅 - 京都駅間で日本国内最速記録(超電導リニアを除く)443.0 km/hを記録している[4][5](速度試験当時、東京方955-6形ラウンドウェッジ型が先頭だった)。その後廃車予定だったが、700系やN700系関連の技術開発、デジタルATCの試験などに使用され2002年(平成14年)1月に運用を終了し、同年2月1日付で廃車となった。
スラブ軌道の走行試験を行うため、山陽新幹線に乗り入れたことがある。また分岐器通過時の評価試験を主目的として、新横浜 - 東京間の往復運行や、営業時間中に静岡駅で折り返す特殊な運用を実施したこともあった。
保存状況
中間車はすべて解体され現存しないが、先頭車2両が以下で静態保存されている。
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鉄道総合技術研究所に静態保存されているカスプ型先頭車
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リニア・鉄道館に静態保存されているラウンドウェッジ型先頭車
脚注
参考文献
- 専門記事
- ^ “地球環境保全への貢献”. 東海旅客鉄道. 2023年11月29日閲覧。