JR東海キハ85系気動車

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JR東海キハ85系気動車
キハ85形0番台(2007年7月8日 桑名駅)
キハ85形0番台(2007年7月8日 桑名駅)
保安装置 ATS-ST
キハ85形1100番台(2004年9月4日 美濃太田駅)

キハ85系気動車(キハ85けいきどうしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)の特急形気動車。同社発足後の新形式第1号であり、同社が運行する特急列車に掲げる「ワイドビュー」を最初に冠した車両である。

目次

[編集] 概要

同社が保有するキハ80系の置き換え および 所要時間短縮[1]のために開発され、1989年平成元年)から製造された。1989年平成元年)2月から高山本線の特急「ひだ」に使用され、1992年(平成4年)からは紀勢本線の特急「南紀」にも使用されている。

1989年の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定され、1990年(平成2年)にはブルーリボン賞東日本旅客鉄道(JR東日本)651系電車と争ったが、次点となった。外観デザインは手銭 正道, 戸谷 毅史, 木村 一男, 松本 哲夫, 福田 哲夫による。

[編集] 仕様・構造

車体

車両軽量化とメンテナンスフリーのため、車体はステンレスを用いた軽量構体を採用する。外部塗色は、側窓上部にダークグレー、側窓下部にはJR東海のコーポレートカラーであるオレンジの帯を巻く以外は無塗装である。ステンレスでの加工が難しい、曲線を多用する先頭部は普通鋼製とし、腐食防止のために白色塗装を行っている。本系列の意匠をはじめとする基本構成は、JR東海で以降新製される在来線用車両の多くに基本仕様として踏襲されている。

観光路線である高山本線や紀勢本線への投入が前提であったことから、展望性を高める配慮がなされた。前面展望のために、先頭車は傾斜をつけ、運転席後部を全面ガラス張りとしている。

室内設備

側窓からの展望のために、通路と座席の間に 20 cm の段差を設け、窓の縦寸法は 95 cm に拡大された。一部の車両ではバリアフリー対応として段差をなくし、車両番号を1000番台として区分する。普通車座席の前後間隔(シートピッチ)はキハ80系の 91 cm から 100 cm に拡大した。

冷房装置駆動機関直結式で、従来の特急気動車のように編成中の特定車両に搭載されたディーゼル発電機から冷房装置への電力を供給する方式と異なり、編成構成の自由度が向上している。

グリーン車は2種類あり、一つは「ひだ」用に製造された中間車に組み込まれた、普通車合造の半室グリーン車であり、横4列配置でシートピッチを 116 cm とし、定員確保がなされている。もう一つは「南紀」用の先頭車として製造された全室グリーン車で、こちらはある程度定員がとれることから横3列配置でシートピッチを 125 cm としている。現在は「ひだ」に連結されているが、多客期には一部の「南紀」に連結される。

駆動系

本系列の最大の特徴は、日本製の国内向け旅客車両としては数十年ぶりに輸入ディーゼルエンジンが搭載されたことである[2]。日本国外の設計によるエンジンは、1950年代ディーゼル機関車用のエンジンが日本でライセンス生産された例があるが、気動車用としては太平洋戦争後、例のない試みである。これは、貿易摩擦により「内需拡大」が叫ばれていたバブル経済期において、気動車の高性能化のため、国鉄型内燃機関において低出力に甘んじていた日本製品にこだわることなく低コストで優良なエンジンを求め、同時に同車の先進性を新機軸によって訴求することを狙ったものである。

採用されたのは、アメリカのディーゼル機関メーカーであるカミンズ社 (Cummins Inc.) の直列6気筒・排気量 14 L の直噴式ターボディーゼル機関 NT-855 系[3]を採用する。各国のカミンズ社工場・ライセンス契約したメーカーによって種々の仕様で製造される汎用性の高い機関で、本系列のものはカミンズ・イギリス工場製の水平シリンダー形 NTA855-R1 (JR形式:C-DMF14HZ 形、350 ps / 2000 rpm )で、1両に2基を搭載する。高出力の駆動機関と自動制御化された多段式液体変速機(新潟コンバータ製C-DW14A 変速1段・直結2段 自動式)と組み合わせることで、著しい速度向上を成し遂げ、「電車に匹敵する性能の気動車」と称された。

ブレーキ装置

キハ80系の自動空気ブレーキに対して応答性に優れる電気指令式空気ブレーキが採用され、機関ブレーキ・コンバータブレーキも装備する。

台車

台車ヨーダンパ付きボルスタレス台車が採用された。

[編集] 運用の変遷

本系列は1989年2月18日に特急「ひだ」で使用を開始した。運用開始時点では1往復のみの充当であったが、翌1990年(平成2年)3月10日のダイヤ改正にてすべての「ひだ」に運用されるようになった。1991年(平成3年)3月16日ダイヤ改正で、名古屋鉄道から高山本線に乗り入れていた特急「北アルプス」がキハ85系との併結を前提とした仕様のキハ8500系に置き換えられた際、季節運転の「ひだ」と併結して運転されるようになった。その後、1999年(平成11年)からは定期運行となった「ひだ」と併結し、2001年(平成13年)9月30日の「北アルプス」(高山本線乗入れ)廃止まで続いた。

2008年11月現在、名古屋車両区に80両が配置され、以下の列車・編成で使用される。

「ひだ」用編成

高山本線内では、右側が富山駅向き。名古屋駅 - 岐阜駅間は逆向き(右側が名古屋駅向き)。*は非貫通式先頭車。

  • 3両編成(グリーン車連結)
富山駅発着の列車に使用される。名古屋駅 - 高山駅間では下記の2編成のいずれかを連結(他の車両は高山本線内での岐阜駅寄りに連結)し、高山駅 - 富山駅間ではこの3両のみで運転される。
キハ85-1100 + キハ84-300 + キロ85*
  • 3両編成(普通車のみ)
大阪駅発着の「ひだ」などで運用されている。
キハ85* + キハ84 + キハ85-1100
  • 4両編成
「ひだ」の基本編成。中間にグリーン車・普通車合造車がある。
キハ85-200 + キロハ84 + キハ84 + キハ85-1100
「南紀」用編成

右側は紀伊勝浦駅向き。*は非貫通式先頭車。

キハ85* + キロハ84 + キハ84 + キハ85-1100

上記列車の間合い運用として「ホームライナー」にも使用される。2009年現在は中央西線太多線系統の「ホームライナー太多」と関西線系統の「ホームライナー四日市」の運用がある。「ホームライナー太多」は「ひだ」用の5両編成、「ホームライナー四日市」は「南紀」用の4両編成で運行される。

1996年(平成8年)6月26日に高山本線下呂駅 - 焼石駅間で落石に衝突・脱線(ワイドビューひだ脱線事故)。1両(キハ85-107)が廃車となり、その代替車両としてキハ85-119が1997年(平成9年)に製造された。

2001年 キロ85形5両 (1 - 5) が「南紀」から「ひだ」へ転用される。

2003年 キハ85形100番台の2両 (106, 111) が車椅子対応に改造された。定員は50名に変更され、車番も1000番台 (1106, 1111) として区別する。2009年4月現在では在籍する100番台の全車と200番台のうち1両(209)が対応改造済であり、それぞれ原番号に+1000した番号 (1101~1106,1108~1119,1209) となっている。

[編集] 脚注

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  1. ^ 本系列の投入と並行し、軌道強化、両開き分岐器(Y字ポイント)の高速通過 (110 km/h) 対応など、地上設備の改良工事も実施された。
  2. ^ ディーゼル機関車においては、1982年に大井川鐵道DD20形で採用例がある。
  3. ^ 原設計こそ1960年代と古いが信頼性は高く、船舶自動車などにも広範に使用される汎用型の高速ディーゼルエンジンであった。1970年代1980年代にはアメリカのトラックメーカーから広く採用を受け、それまで主流だったGM系のデトロイト2サイクルディーゼルに代わって市場で好評を得た実績もある。

[編集] 関連項目

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