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'''ヒュペリーオーン'''({{翻字併記|grc|'''Ὑπερίων'''|''Hyperīōn''|n}})は、[[ギリシア神話]]に登場する[[神]]である。その名は「高みを行く者」の意味。[[ティーターン]]神の1人で、[[太陽神]]・光明神と考えられる。
'''ヒュペリーオーン'''({{翻字併記|grc|'''Ὑπερίων'''|Hyperīōn|n}})は、[[ギリシア神話]]に登場する[[神]]である。その名は「高みを行く者」の意味。[[ティーターン]]神の1人で、[[太陽神]]・光明神と考えられる。


[[日本語]]では[[長母音]]を省略して'''ヒュペリオン'''、または'''ハイペリオン'''とも呼ぶ
[[英語]]読みでは'''ハイペリオン'''。[[日本語]]では[[長母音]]を省略して'''ヒュペリオン'''と表記される


== 概説 ==
== 概説 ==
[[ヘーシオドス]]の『[[神統記]]』によるとヒュペリーオーンは[[ウーラノス]]と[[ガイア]]の息子で、[[オーケアノス]]、[[コイオス]]、[[クレイオス]]、[[イーアペトス]]、[[クロノス]]、[[テイアー]]、[[レアー]]、[[テミス]]、[[ムネーモシュネー]]、[[ポイベー]]、[[テーテュース]]と兄弟<ref>ヘーシオドス、133~138。アポロドーロス、1巻1・3。</ref>。またテイアーの夫で、[[ヘーリオス]]、[[セレーネー]]、[[エーオース]]の父でもある<ref>ヘーシオドス、371~372。アポロドーロス、1巻2・2。</ref>。一説にヒュペリーオーンの妻はアイトラーとも<ref>[[ヒュギーヌス]]、序文。</ref>、バシレイアともいわれる<ref>シケリアのディオドロス、3巻57・3。</ref>。
[[ヘーシオドス]]の『[[神統記]]』によるとヒュペリーオーンは[[ウーラノス]]と[[ガイア]]の息子で、[[オーケアノス]]、[[コイオス]]、[[クレイオス]]、[[イーアペトス]]、[[クロノス]]、[[テイアー]]、[[レアー]]、[[テミス]]、[[ムネーモシュネー]]、[[ポイベー]]、[[テーテュース]]と兄弟<ref>ヘーシオドス、133行-138行</ref><ref>アポロドーロス、1巻1・3。</ref>。またテイアーの夫で、[[ヘーリオス]]、[[セレーネー]]、[[エーオース]]の父でもある<ref>ヘーシオドス、371行-372行</ref><ref>アポロドーロス、1巻2・2。</ref>。一説にヒュペリーオーンの妻はアイトラーとも<ref>[[ヒュギーヌス]]、序文。</ref>、バシレイアともいわれる<ref>シケリアのディオドロス、3巻57・3。</ref>。


[[シケリアのディオドロス]]によると、ヒュペリーオーンは初めて[[天体]]の運行と[[季節]]の変化の関係を人々に教えたとされる<ref>シケリアのディオドロス、5巻67・1。</ref>。
[[シケリアのディオドロス]]によると、ヒュペリーオーンは初めて[[天体]]の運行と[[季節]]の変化の関係を人々に教えたとされる<ref>シケリアのディオドロス、5巻67・1。</ref>。


なお[[ホメーロス]]の『[[オデュッセイア]]』では、ヒュペリーオーンという名は太陽神ヘーリオスの呼称としても用いられ<ref>『オデュッセイア』1巻、12巻。</ref>、このためヒュペリーオーンとは元来ヘーリオスの別名にすぎなかったのではないかとも考えられている<ref>『オデュッセイア』松平訳による訳注、p.333、371。</ref>。
なお[[ホメーロス]]の『[[オデュッセイア]]』では、ヒュペリーオーンという名は太陽神ヘーリオスの呼称としても用いられ<ref>『オデュッセイア』1巻、12巻。</ref>、このためヒュペリーオーンとは元来ヘーリオスの別名にすぎなかったのではないかとも考えられている<ref>『オデュッセイア』松平訳による訳注、p.333。</ref><ref>『オデュッセイア』松平訳による訳注p.371。</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
*[[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
*ディオドロス『神代地誌』飯尾都人訳、龍書舎(1999年)
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍書舎(1999年)
*ヘシオドス『神統記』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* [[ヒュギーヌ]]ギリシャ話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年)
*ホメロス『オデュッセイア(上)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1994年)
* [[ヘシオド]]神統記』[[廣川洋一]]訳、岩波文庫(1984年)
* [[ホメロス]]『オデュッセイア(上)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1994年)
*高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)


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2017年10月23日 (月) 06:52時点における版

ヒュペリーオーン古代ギリシャ語: Ὑπερίων, Hyperīōn)は、ギリシア神話に登場するである。その名は「高みを行く者」の意味。ティーターン神の1人で、太陽神・光明神と考えられる。

英語読みではハイペリオン日本語では長母音を省略してヒュペリオンと表記される。

概説

ヘーシオドスの『神統記』によるとヒュペリーオーンはウーラノスガイアの息子で、オーケアノスコイオスクレイオスイーアペトスクロノステイアーレアーテミスムネーモシュネーポイベーテーテュースと兄弟[1][2]。またテイアーの夫で、ヘーリオスセレーネーエーオースの父でもある[3][4]。一説にヒュペリーオーンの妻はアイトラーとも[5]、バシレイアともいわれる[6]

シケリアのディオドロスによると、ヒュペリーオーンは初めて天体の運行と季節の変化の関係を人々に教えたとされる[7]

なおホメーロスの『オデュッセイア』では、ヒュペリーオーンという名は太陽神ヘーリオスの呼称としても用いられ[8]、このためヒュペリーオーンとは元来ヘーリオスの別名にすぎなかったのではないかとも考えられている[9][10]

脚注

  1. ^ ヘーシオドス、133行-138行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻1・3。
  3. ^ ヘーシオドス、371行-372行。
  4. ^ アポロドーロス、1巻2・2。
  5. ^ ヒュギーヌス、序文。
  6. ^ シケリアのディオドロス、3巻57・3。
  7. ^ シケリアのディオドロス、5巻67・1。
  8. ^ 『オデュッセイア』1巻、12巻。
  9. ^ 『オデュッセイア』松平訳による訳注、p.333。
  10. ^ 『オデュッセイア』松平訳による訳注、p.371。

参考文献