ミュルミドーン

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ミュルミドーン古希: Μυρμιδών, Myrmidōn)は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してミュルミドンとも表記される。テッサリアー地方のプティーアーの王で、大神ゼウスとクレイトール[1][2]あるいは河神アケローオスの娘エウリュメドゥーサの息子[3]アイオロスの娘ペイシディケーとの間にアンティポスアクトールをもうけた[4][5]。またエリュシクトーン[6][7]、娘エウポレメイア[8][9]、ヒスキュラの父であるとも言われる[10]

神話[編集]

神学者アレクサンドリアのクレメンスによると、ゼウスは(ミュルメクス)の姿になってエウリュメドゥーサと交わり、ミュルミドーンをもうけた。そのためテッサリアー地方の人々は蟻を崇拝すると述べている[1][2]

子供たちのうち、エリュシクトーンはデーメーテールに対して不敬であったために女神の怒りを買い、飽くなき食欲を送られた[11][12]。アクトールはメノイティオス[9][13][14]エウリュティオーンの父[15](あるいはエウリュティオーンの祖父[16])となった。エウポレミアーはヘルメースに愛されてアイタリデースを生んだ[9][17]。ヒスキュラはトリオプスとの間にポルバース[10]、あるいはエリュシクトーン[18]イーピメデイアを生んだ[19]

脚注[編集]

  1. ^ a b アレクサンドリアのクレメンス『ギリシア人への勧告』2巻39・6(秋山訳)。
  2. ^ a b アレクサンドリアのクレメンス『ギリシア人への勧告』2巻36”. ToposText. 2022年3月11日閲覧。
  3. ^ 『偽クレメンス文書』10巻22。”. Canadian College of English Language. 2022年3月11日閲覧。
  4. ^ ヘーシオドス断片10、99行-101行(Turner Papyrus, fr. 3-4 col. III)。
  5. ^ アポロドーロス、1巻7・3-4。
  6. ^ レスボスのヘッラーニーコス断片F7”. Barbaroi!. 2022年3月11日閲覧。
  7. ^ アイリアーノス、1巻27。
  8. ^ ロドスのアポローニオス、1巻55行。
  9. ^ a b c ヒュギーヌス、14話。
  10. ^ a b ヒュギーヌス『天文譜』2巻14”. ToposText. 2022年3月11日閲覧。
  11. ^ ヘーシオドス断片70(リュコプローン『アレクサンドラ』1393行への古註)。
  12. ^ オウィディウス『変身物語』8巻。
  13. ^ アポロドーロス、1巻9・16。
  14. ^ ロドスのアポローニオス、1巻69行-70行。
  15. ^ アポロドーロス、3巻13・1。
  16. ^ ロドスのアポローニオス、1巻71行-74行。
  17. ^ ロドスのアポローニオス、1巻53行-55行。
  18. ^ ヘーシオドス断片69、3行(Papyrus Cairensis Instituti Francogallici 322 fr. B)。
  19. ^ アポロドーロス、1巻7・4。

参考文献[編集]