ネット銀行

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ネット銀行(ねっとぎんこう)とは、営業上最小限必要な店舗のみを有し、インターネット電話等の通信端末を介した取り引きを中心とする銀行である。

概要[編集]

従来型の銀行にくらべ、店舗や自前のATMが少なく、預金通帳も発行しないため、人件費や店舗運営コストがかからない分、預金金利が高く、手数料は安いところが多い。

従来の銀行と同じように、商品に定期預金があり金利は従来の銀行より高めである。他に外貨預金投資信託ローンなどを取り扱うところや、金融商品仲介(証券保険)までおこなうところがある。また振込においては従来の銀行とは異なるサービスを提供しているところもある。

金融庁の分類では新たな形態の銀行に入る。新たな形態といっても、それまでの分類に当てはまらない新たな形態ということで、預金口座までが新たな形態になっているわけではない。

現在のネット銀行[編集]

2011年11月現在、営業している銀行は以下のとおりである。

無通帳取引[編集]

取り引きにおいては、振込や振替などはネットバンキングやテレフォンサービスを利用し、現金の取り扱いにはキャッシュカードと提携のATMを使う。また、設立当初から預金通帳を発行せず、インターネット(ウェブサイト)での「ウェブ上の入出金明細」や紙による「ステートメント」(取引明細書)に代えている。ステートメントの送付は基本的に有料である。

ウェブサイトでの取引照会では、取り引きの流れがサイト画面に表示されるだけのところもあれば、Microsoft Moneyにデータをダウンロードできるところ、またCSVファイルやPDFファイルのような電子媒体で提供するところがある。ごく一部の銀行ではネット通帳やWeb通帳と呼んでいるが、サービス名として固有名詞的に呼んでいるだけで、冊子式ではないので一般的に通帳とは呼ばない。ステートメントも通帳とは呼ばない。

インターネットが普及する前から、旧郵政省時代の郵便振替口座シティバンクN.A.では通帳を発行しておらず、都銀や地銀の法人取引においても、企業側はファームバンキングと呼ばれるシステムでの取り引きでは通帳が発行されず入出金明細を出力するケースがあったので、無通帳取引自体が新たな形態の取り引きというわけではない。

入出金とATM[編集]

店舗がなく(あっても極わずか)自前のATMが少ないため、他の銀行のATMやコンビニATMでの入出金となる。基本的に出金だけでなく入金にも手数料がかかるが、一定の条件を満たせば回数限定で無料になる。

キャッシュカードの発行のない大和ネクスト銀行を除く各ネット銀行はセブン銀行ゆうちょ銀行などと提携している。他には、楽天銀行は、イーネット、ローソンATMイオン銀行と、住信SBIネット銀行は、イーネット、ローソンATMと提携している。じぶん銀行はイーネット、ローソンATMの他に、同社の約過半数を出資する三菱東京UFJ銀行とも提携している。

ジャパンネット銀行は、主要出資者である三井住友銀行のATMのほか、三井住友銀行がコンビニam/pm(現:ファミリーマート)と提携して展開するアットバンク[1]、およびイーネットと提携している。

ソニー銀行は、イーネット、ローソンATM、アットバンク、三菱東京UFJ銀行[2]、三井住友銀行の各ATMと提携している[3]

キャッシュカードを発行していない銀行の場合、入金は他行口座からの振り込みとなる。出金は一旦自分名義の他の銀行口座に振り込み、その他行口座のATMまたは提携ATMで引き出す方法で出金する。

提携ATM機器の不具合により、ATM内にキャッシュカードが閉じこめられてしまった場合は、使用者の過失がない場合でも「提携先ATMで拾得された場合」とされ、再発行手数料が必要なネット銀行もある。[4]

振込[編集]

従来の銀行にはない振込サービスを提供している銀行がある(提供していないネット銀行もある)。

同じ銀行間の振り込みにおいては、日中の午後3時以降や土日祝日に振込んでも、振込んだお金がその日のうちに同じ銀行の振込相手の口座に入金(着金)になる銀行がある。これは日にち・時間限定稼動の全銀システムを通さず、自行システム内だけで処理するためである。

ユニークなサービス例として、銀行名や口座番号を入力せず、携帯電話番号やメールアドレスURLと相手の口座名義だけで同じ銀行の受取人に送金できるサービスがある(一部他行宛振込可)。なお受取人は一定のPC・ケータイ操作が必要。

振込手数料は全体的に安めである。中には自行間のみならず、他行宛てでも手数料無料(一部回数限定)としているところがある。

口座振替[編集]

※すべてのネット銀行で扱っているわけではない。

設立当初は口座振替(自動引落)はできなかったが、近年は公共料金以外はできるようになってきている。ネット銀行のなかには印鑑届出不要の銀行口座があるが、その場合は口座振替依頼書には任意の印鑑を捺印し、銀行と預金者の間でメールやURL、パスワードなどで本人申込確認をおこない、引落設定手続きをおこなう。また、口座振替依頼書を使わずオンラインだけの手続きで完結するものもある。

上記の他に口座振替のシステムを利用した即時決済サービスがある。ネット通販の支払いや証券口座などへの資金移動に使うことができる。24時間対応しており、利用には銀行口座のパスワードが必要になるので、勝手に引き落とされることはない。

金融商品・サービス[編集]

※すべてのネット銀行で扱っているわけではない。

  • 外貨預金を取り扱っている銀行があり、都銀地銀にくらべ為替手数料は割安で金利は高めである。なお、FXを扱っているネット銀行もある。
  • 仕組預金を扱っている銀行があるが、リスクのある商品でもある。
  • 投資信託については、ネット銀行が直接販売する場合と、金融商品仲介として証券会社に取り次ぐ場合がある。銀行で直接販売しているものにはノーロードファンドが少ない。
  • 保険については、保険代理店となって生命保険損害保険を販売しているネット銀行がある。なお、保険の見積もりにとどめている銀行もある。
  • ローンについては、法人融資が弱いため個人向けローンに力を入れているネット銀行がある。カードローンのみならず、目的ローン、おまとめローン住宅ローンまで取り扱っている銀行もある。
  • スポーツ振興くじ(サッカーくじ、toto)の販売や、競馬競輪など公営競技への投票、振込・入金処理を取り扱っているネット銀行がある。

その他[編集]

  • ネット銀行のなかには実店舗(窓口)を有する銀行もあり、かならずしも電話やネットのみというわけではない。従来型の銀行の多くも、インターネットを介した銀行取引サービスをおこなっているが、既存店舗の取引の延長線上にあるものが多い。それに対しネット銀行はネットが取引の主体である。
  • 手数料に関しては、登場時は無料または安いものだったが、近年は有料化や値上げしたところがある。また、都銀や地銀の手数料値下げ(あるいは一部無料化)やネットバンキング機能が追加された結果、都銀の方が手数料が安いという逆転現象も起きている。さらに提携ATMが地域によって著しく偏りが生じていることも含め、結果的に手数料が掛かり増しになるケースもある。
  • 営業面では、インターネットを通じた少人数による営業活動のため融資などの場面では弱く、またシステムの脆弱性やインターネットそのものの信頼性に由来するリスクは事業運営に大きな影響を及ぼす。ジャパンネット銀行のシステムにおいて、複数回にわたり長時間の停止が発生し、2003年6月12日に金融庁から業務改善命令が出されたことがあり、その後10月にもシステムの停止が発生している。
  • 年金税金の還付金など、公的機関からの受取口座には使えない。

脚注[編集]

  1. ^ 現在は、am/pmから転換したファミリーマートやSMBC日興証券プロミスのそれぞれの一部拠点が設置の中心。元からファミリーマートであった店舗は、イーネットのままとなっている。
  2. ^ 旧東京三菱銀行についてはエイティエム統括支店管轄のATMの利用と全ATMでの振込不可、旧UFJ銀行の一部店舗外ATMの利用と全ATMでの振込不可、旧UFJ銀行については、2005年10月3日以降は対応しているATMに識別ステッカーが貼られる。
  3. ^ ゆうちょ銀行・セブン銀行を除き、店舗内であれば硬貨入金などにも対応。
  4. ^ https://contents.netbk.co.jp/pc/help/help_account_11_2_card.html#C02

関連項目[編集]