ELEVEN (アルバム)
『ELEVEN』 | ||||
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B'z の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1999年9月 - 2000年 オーシャン・ウェイ・レコーディング | |||
ジャンル |
ハードロック[1] ポップ・ロック[1] ミクスチャー・ロック J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | Rooms RECORDS | |||
プロデュース | 松本孝弘 | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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B'z アルバム 年表 | ||||
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『ELEVEN』収録のシングル | ||||
『ELEVEN』(イレヴン)は、日本の音楽ユニット・B'zの11作目のオリジナル・アルバムである。2000年12月6日にRooms RECORDSよりリリース。
概要[編集]
オリジナル・アルバムとしては『The 7th Blues』以来メンバーが登場していないデザインとなっており、ジャケットに写っている馬は、1994年のジャパンカップで勝利したマーベラスクラウンで、ジャケットデザインも同レースの写真が基となっている。
本作はそれまでのアルバムとは異なり、発売時期を決めずに前年の『B'z LIVE-GYM '99 "Brotherhood"』終了直後から日本でレコーディングを開始された。その後、1999年11月頃に1か月半ロサンゼルス (以下L.A.略)へ渡米し、現地の有名プロデューサー兼エンジニアでMr.Big等を手がけたパット・リーガン、ガンズ・アンド・ローゼズ等を手がけたマイク・クリンク[注 1] と共同作業でレコーディングが行われ、歌詞はすべて英語詞で制作され、アレンジ等も外国人プロデューサーに全て委ねる方式がとられた。
2000年になり日本で制作が再開され、その後3月に再び渡米、現地のエンジニアのジム・シャンパンと共同作業で制作が行われた。その後、再び日本でもレコーディングが行われ、途中『B'z The "Mixture"』のレコーディングや『B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 "juice"』を挟み、ツアーの頃は歌入れが少し残す程度でほぼ完成していた。
上記のように、本作はアルバムにすることをあまり意識せずにどんどん制作が行われ、アルバムのバランスやコンセプトがないまま作業が進められた。このため本作はL.A.で制作されたヘヴィな曲やオリエンタル調のバラード等、結果としてかなりのバラつきがある内容となった。アルバムの構成も難航したらしく、メンバー曰く「シングル曲がアルバム内における給水所のような役割」と語っている。アルバムリリースも収拾がつかなくなるからアルバムとして一区切りさせる目的もあり、その後もレコーディングは継続され、次回作『GREEN』に繋がることになる。
本作のL.A.レコーディング等の中で「B'zは2人であること、自分たちは日本人・東洋人であること」を意識するようになり、翌年以降の打ち込みによる原点回帰、松本孝弘のソロ作品のような「"和"テイスト」なスタイルがみられるようになった。
アルバムタイトル『ELEVEN』はコンセプトやテーマが全くなかったため、このアルバムが「11枚目のオリジナルアルバム」だったことから付けられた。初回特典としてB'zの2001年度カレンダーが付属していた[3][注 2]。
1年間をかけて20曲程がレコーディングされたため、本作に収録されなかった曲が多く存在している。次回作『GREEN』に収録された「SIGNAL」、「美しき世界」、「SURFIN' 3000GTR」[注 3]は元々この時期に制作された曲である。また「まっかなシルク」、「New Message」、ライブでのみ披露された「Logic」等もこの時期のアウトテイクである。
香港、台湾で発売された本作は、スリーブが日本盤とは異なったデザインになっている。
2013年には松本が「B'zのNo.1アルバムは?」との問いに本作を挙げている。2014年にも伊藤政則との対談で「アルバムを通してギターの音が好き」と評している[4]。
2018年に結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナル・アルバムと共にアナログレコード化された[5]。
収録曲[編集]
曲の解説やタイアップ等はB'zで解説しているため一部簡潔に解説する。
- I (0:24)
- 曲名表記は (四角)の中に「I」の文字が入った記号。松本によると、このマークは譜面を書くときに使うリハーサル・マークだそうで、「I」は、「イントロ」あるいは「イントロダクション」の頭文字。
- 曲順を決める際、頭に何か欲しいということで急遽制作された。
- 打ち込みで作られた約24秒のインストゥルメンタルで、今まで発表されたB'zの楽曲の中で最も演奏時間が短い。
- 歌詞カードに歌詞は一切記載されていないが、何度か「B'z ELEVEN」と言っているのが聞こえる。曲の終了と同時に次の曲へと繋ぐ。
- 稲葉浩志が床から這い出てくるPVも制作されている。
- 翌年に行われたアルバムツアー『B'z LIVE-GYM 2001 "ELEVEN"』では、佐世保公演からロングバージョンでオープニングSEに使用された。
- Seventh Heaven (4:10)
- ジム・シャンパンとの共同作業で制作された曲。
- 元々はホーンのないファンキーな雰囲気の曲だった。
- ベースは「FIREBALL」以来、松本が演奏している[6]。
- 曲名は「第7天国」「最上天」という意味の他に「最高の気分」「至福のとき」という意味がある。
- ショートバージョンのPVが製作されており、当時放送されていた『笑う犬の冒険』のコント「テリーとドリー」の一部をパロディとして取り入れている。
- 2000年の『ミュージックステーションスペシャル スーパーライブ2000』で「今夜月の見える丘に」と共に披露された[7]。
- 2014年の伊藤政則との対談で「B'zの楽曲で一曲選ぶなら?」という問いに松本はこの曲を挙げている。今の自分にはない勢いが感じられるとのこと[4]。
- 信じるくらいいいだろう (3:39)
- RING (3:59)
- 30thシングル。
- 愛のprisoner (4:09)
- パット・リーガンとの共同作業で制作された曲。
- 本作の収録曲が発表された当初は1曲目の予定だった。
- 翌年のアルバムツアーではオープニングを飾った。
- 煌めく人 (2:57)
- ラップを用いたミクスチャー・ロックを意識した楽曲。
- L.A.でリフが出来ており、メンバー曰く「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンみたいなのがやりたかった」という。稲葉は「こういうのもやっといたほうが勉強だと思って、松本さんに練習させてもらった曲」と語っている。
- May (4:19)
- 28thシングル。
- juice (PM mix) (4:02)
- 29thシングルのアルバムバージョン。
- シングルバージョンよりギターリフが少し強調され、原曲よりヘヴィになっている他、ボーカルのレベルを少し上げたという。
- サブタイトルの「PM」はポキートマス(Poquito Mas)という安いメキシコ料理屋の名前であり、L.Aレコーディングでよく通っていたという。ちなみにポキートマスは、スペイン語で「もうちょっと!」「もっともっと!」という意味。
- Raging River (7:32)
- マイク・クリンクとの共同作業で制作された曲。
- ロックとストリングスを交えた7分32秒に及ぶバラードで、リメイク版を除くB'zのオリジナル楽曲では最も演奏時間が長い[注 4]。
- 初めはピアノによるイントロの後、稲葉のボーカルと松本のアコースティック・ギターの伴奏のみで演奏されるが、中盤から他の楽器も参加して激しくなってくる。
- 歌詞は外国人プロデューサーの元で何をやってもOKテイクが出ず八方塞がりだった心境が反映されていると稲葉は語っている。
- この曲のデモ音源が、マストアルバム『B'z The "Mixture"』にシークレット・トラックに収録されている(現在は視聴不可)。その際はアコースティック・ギターを用いた全編英語詞によるバージョンだった。
- TOKYO DEVIL (3:26)
- パット・リーガンとの共同作業で制作された曲。
- 打ち込み音から始まり、チャイニーズゴングで終わる楽曲。このチャイニーズゴングは、「身体が大きいと音も大きくなるのでは?」という判断からギター・テクニシャンの畠山“hakkai”勝紀が担当[8]。
- 松本が演奏したギターのフレーズをシンセサイザーに取り込み、それを貼り付けるといったデジタル処理が施されている[8]。
- 別バージョンとして、2002年発売の『日韓サッカーワールドカップ公式コンピレーション盤』、ミニ・アルバム『DEVIL』、ベスト・アルバム『B'z The Best "ULTRA Treasure"』に収録された全英詞バージョンの「DEVIL」がある。こちらは、外国人プロデューサーと作業したデモが基となっている。
- コブシヲニギレ (4:32)
- 「信じるくらいいいだろう」同様、リフ先行で作曲が行われた曲。
- メンバー曰く、今回やりたかったことの理想形。
- 間奏のブルースハープは稲葉が担当。松本はこの曲をシングルにしたかったとか。前曲や次曲と曲間がない。
- 翌年に行われた『B'z SHOWCASE "コブシヲニギレ"』のサブタイトルにもなった。
- Thinking of you (4:30)
- L.Aレコーディングの合間に松本がデモを作成し、その後日本で制作が進められた曲。
- イントロがなく、前曲終了直後に稲葉の歌い出しから始まる。
- 同年に行われた『B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 "juice"』の客出し曲に使用され、未発表の原曲が客出し曲に使われたのはこの曲が初めてである。
- アルバムツアーで未演奏となり、現在もライブ未演奏。
- 扉 (2:51)
- 本作では最後に制作された曲で、当時のツアーサポートメンバーとのセッションにより制作された。
- セクションによってテンポが揺れており、エンディングではギターをパンニング処理で左右に振っている。
- アルバムツアーで未演奏となり、現在もライブ未演奏。
- 今夜月の見える丘に (Alternative Guitar Solo ver.) (4:10)
- 27thシングルのアルバムバージョン。
- シングルバージョンとは異なるギターソロとなっている。なお、"Alternative"はここではただ単に「別の」や「代わりの」と言う意味であり、オルタナ調であるという意味ではない。2002年に発売されたバラード・ベスト・アルバム『The Ballads 〜Love & B'z〜』に収録されたものは、このバージョンやシングルバージョンとも違うギターソロになっている。
- アルバムの最後に収録されたのはメンバー曰く「ドラマの印象が強いから中盤には収まらず、ここに入れるしかなかった。ボーナストラックのような感じかも」とのこと。
- ライブではこのバージョンが披露されることが多く、2000年の『B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 "juice"』で初披露された。
参加ミュージシャン[編集]
- 松本孝弘:ギター、全曲作曲・編曲、ベース (#2)
- 稲葉浩志:ボーカル、全曲作詞・編曲、ブルースハープ (#11)
- 大島康祐:編曲 (#7)
- 池田大介:ストリングスアレンジ (#4)、ストリングス&コーラスアレンジ (#9)
- 明石昌夫:ベース (#3.6.10.11)
- バカボン鈴木:ベース (#7.9)
- 満園庄太郎:ベース (#13)
- 中村“キタロー”幸司:ベース (#4.12.14)
- Fingers:ベース (#5.8)
- ブライアン・ティッシー:ドラム (#2.5.8)
- 黒瀬蛙一:ドラム (#3.6.10.11.13)
- 山木秀夫:ドラム (#4.9.12.14)
- 小野塚晃(from DIMENSION):ピアノ(#4.7.9.14)
- 篠崎Strings:ストリングス(#4.9)
- TAMA MUSIC:コーラス (#9)
- 畠山“hakkai”勝紀:チャイニーズゴング (#10)
- 徳永暁人:クラビネット (#2)
- 佐々木史郎(オルケスタ・デ・ラ・ルス):トランペット (#2)
- 小林太(オルケスタ・デ・ラ・ルス):トランペット (#2)
- 河合わかば(オルケスタ・デ・ラ・ルス):トロンボーン (#2)
- 勝田かず樹(from DIMENSION):サックス (#2)
ライブ映像作品[編集]
シングル曲については各作品の項目を参照
Seventh Heaven
愛のprisoner
煌めく人
Raging River
TOKYO DEVIL
コブシヲニギレ
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ a b “B'z - Eleven (2000, CD)”. Discogs. Zink Media, Inc.. 2019年11月23日閲覧。
- ^ “第15回日本ゴールドディスク大賞 / Gold Disc Hall of Fame 15th|THE GOLD DISC”. 日本レコード協会. 2019年11月23日閲覧。
- ^ “MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「限定」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
- ^ a b ラジオ番組「bayfm 25th Anniversary POWER OF RADIO SPIRITS」での発言
- ^ “B'z、アルバム全20作品をアナログ化。大型エキシビションで販売”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2018年3月22日) 2018年11月10日閲覧。
- ^ “MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「ベース」「bass」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
- ^ “出演者ラインナップ|ミュージックステーション”. テレビ朝日 (2000年12月29日). 2019年11月23日閲覧。
- ^ a b “MUSIC FREAK MAGAZINE - B'z Dictionary(「TOKYO DEVIL」の項)”. エムアールエム. 2019年11月23日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- B'z DISCOGRAPHY 『ELEVEN』 ※楽曲の試聴が可能
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