ロック (音楽)
ロック | |
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様式的起源 | ロックンロール、ブルース、R&B、フォークソング、カントリー・ミュージック |
文化的起源 |
1950年代、1960年代 アメリカ合衆国 イギリス |
使用楽器 | ボーカル、ギター、ベース、ドラムセット、シンセサイザー、キーボード |
サブジャンル | |
アート・ロック、インディー・ロック、オルタナティヴ・ロック、エモ、ガレージロック、グラムロック、グランジ、サイケデリック・ロック、シューゲイザー、シンフォニック・ロック、ソフトロック、ハードロック、パンク・ロック、パワー・ポップ、プログレッシブ・ロック、ヘヴィメタルほか | |
融合ジャンル | |
インダストリアル・ロック、カントリーロック、ストーナーロック、ノー・ウェーブ、フォークロック、フュージョン、ブルースロック、ポスト・ロック、ポップ・ロック、ミクスチャー・ロック、ラーガ・ロック、ロカビリー、Lo-Fi | |
地域的なスタイル | |
ウェストコースト・ロック、クラウト・ロック、サザン・ロック、日本のロック、ブリットポップ、ブリティッシュビート、マッドチェスター、リバプールサウンド | |
関連項目 | |
ビート、ロック・オペラ、ロックの殿堂 |
音楽ジャンルとしてのロック、もしくはロック・ミュージック、ロック音楽(ロックおんがく、英語: Rock music)は、1950年代にアメリカ合衆国の黒人音楽であるロックンロールやブルース、カントリーミュージックを起源とし、1960年代以降、特にイギリスやアメリカ合衆国で、幅広く多様な様式へと展開した[1][2][3]。
また、ロックミュージックは英国のモッズやスウィンギング・ロンドン、1960年代後半に米国のサンフランシスコからひろがったヒッピームーブメントやカウンターカルチャーなどの社会運動が高揚した時代と同時期に絶頂期を迎えた。同様に、1970年代後半のパンクは、ゴスや後年のグランジなどの新しいジャンルのルーツとなった。
フォーク(民族音楽)のプロテスト精神を継承し、ロック・ミュージックは政治行動や人種、性別、セックス、薬物使用に対する社会的態度とも結びついており、大人をふくむ主流社会の消費主義とその適応にたいする「青少年の反乱」の表現だとも言われている[4]。
概要
1950年代から1960年代初頭のラブ・ソング主体のポップスやロックンロールとは異なり、「ロック」の歌詞は、セックス、体制に対する反乱、政治・社会的問題、芸術、哲学など、幅広いテーマを扱っている。これらのテーマは、フォーク・ミュージック、ブルース、リズム・アンド・ブルース、などさまざまなソースから継承されている。
音楽ジャーナリストのロバート・クリストガウ(Robert Christgau[5])は、ロックの歌詞を簡単な言葉づかいと、リフレインが繰りかえされる、クールなメディアとしている。またクリストガウは多くの場合、白人中流階級のミュージシャンが優勢なジャンルであるとも述べているが、実際にはビートルズ、ザ・フー、アニマルズをはじめイギリスのロッカーには、「労働者階級出身者」が多かった。アメリカのブルース・スプリングスティーンも、労働者の一部のアイコンである。
「ロック」という用語が、1960年代後半から「ロックンロール」に優先して使用されて以来、ポップミュージックとは対照的に扱われてきたが、両者には共通する性質も多い。しかしそのミュージシャンシップの強調、ライブパフォーマンス、真実のイデオロギーへのシリアスな関心はロックの歴史に組み込まれており、ポップスとはへだたりがある。社会音楽学者サイモン・フリス(Simon Frith[6])は、ロックは「どこかポップ以上のもの、どこかロックンロール以上のもの」であり、それは「ミュージシャンが、スキルやテクニックに重点をおき、それをロマンチックなアート表現のコンセプトと組み合わせたからだ」とした。またロックは、ブルース・ギタリストやエレクトリック・ギタリストの強い影響を受けて発展してきた[7]。
21世紀には、ロックという言葉は、レゲエ・ミュージック、ソウル・ミュージック、ヒップホップのような表現をふくむ、包括的用語(blanket term)として使われるケースも見られるようになった。
ロックの特徴
ロックのサウンドは、伝統的にエレクトリックギターが中心となるが、現代的な形態のエレクトリックギターは1950年代にロックンロールの人気とともに登場したものであった[8]。ロックにおけるエレクトリックギターのサウンドは、典型的な場合、同時期にジャズにいち早く導入されたエレクトリックベース[9]と、ドラムとシンバルを組み合わせたドラムセットによるパーカッションによって支えられる[10]。この3つの楽器によるトリオに加えて、他の楽器が追加されることも多く、特にピアノ、ハモンドオルガン、シンセサイザーといったキーボード類が加えられることがよくある[11]。ロック音楽を演奏するミュージシャンのグループは、「ロックバンド」「ロックグループ」と呼ばれることが多く、典型的には2人から5人のメンバーから構成される。ロックバンドの古典的な形は、ボーカル、リードギター、リズムギター、ベース、ドラムス、また時にはキーボードその他の楽器から、ひとつ以上の役割を引き受けるメンバー4人によって編成される[12]。
ブリティッシュ・インヴェイジョンとフォーク・ロックほか
1960年代後半の時期は、ロックの「黄金時代 (golden age)[1]」「ルネッサンス」、後にクラシック・ロック(classic rock)[2]」とも呼ばれた。
1964年、ビートルズはロックンロールが誕生した国、アメリカへの上陸を果たし、全米チャートでヒットを連発することになった。ビートルズ以外にも、エリック・バードン率いるアニマルズやローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクス、ゾンビーズ、デイヴ・クラーク5といったイギリスのロック・バンドなどがこの時期にアメリカでヒットを出したことから、これはブリティッシュ・インヴェイジョン [15](British Invasion: イギリスの侵略)と呼ばれる。アメリカでもブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を受けて、後にガレージロックと呼ばれるグループが次々と登場し、一部のバンドは成功を収めた。
また、時を同じくしてブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を受けたフォーク・グループも次々と登場した。これらのグループの多くは元々はフォークを演奏していた若者たちによって結成されたものであり、彼らの音楽性もフォークからの影響を受けたものであったため、この動きはフォーク・ロック[16]と呼ばれた。フォーク・ロックの代表的アーティストには、ボブ・ディラン、バーズ、タートルズ、ママス&パパス、ボー・ブラメルズ、グラスルーツ、バッファロー・スプリングフィールドなどがいた。また1960年代末にはサンタナのラテン・ロックも登場した[17]。
ハードロックとグラム・ロック
1960年代末にレッド・ツェッペリン、クリームなどが登場し、ブルースをよりロック的に演奏することに重点を置くようになった。エレクトリックギターのエフェクター類の発展や、大音量の出せるPA等も、これらの新しいサウンドを支えた。そしてビートルズ(曲「ヘルタースケルター」)、ジミ・ヘンドリクス、クリーム、キンクスなどをルーツしたハードロック[19]が登場した。ディープ・パープル、レッド・ツェッペリンは1970年代前半に商業的成功を収めたハード・ロックとなった。グランド・ファンク・レイルロード、フリー、ブラック・サバス、マウンテン、ユーライア・ヒープらが後に続き、1970年代にはその影響を受けたクイーン、キッス、エアロスミスがデビューした。1970年代前半には、派手なメイクのTレックス、デヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージック、モット・ザ・フープルやアリス・クーパーらのグラム・ロック[20]も人気を博した。
プログレッシヴ・ロック
1960年代末には実験的サウンドへの志向が強まり、長尺の曲や、難解な歌詞、楽器の演奏技術を極限まで極める傾向も出てきた。この傾向はヨーロッパ、特にイギリスにおいて強かった。シンセサイザーやメロトロンなど最新の楽器を使用し、クラシックを背景に高度な技術を駆使したロックはプログレッシブ・ロック[21]と呼ばれた。代表的なバンドにはピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ジェネシス、ムーディー・ブルースなどがいた。
パンク/ニューウェイヴ
1970年代前半のプログレッシブ・ロックやハードロックが隆盛だったが、75年以降は産業ロックがチャートに目立つようになってきた。それに対して「ロックは死んだ」と宣言しストレートでシンプルなロックに回帰したのが、1970年代後半に生まれたパンク・ロック[23]だった。
1973年デビューのニューヨーク・ドールズや、1970年代半ばに登場したパティ・スミス、ラモーンズ、ディクテイターズなどにより1975年ごろ誕生したといわれるパンク・ロック(いわゆるニューヨーク・パンク)は、ラモーンズのロンドン公演などを機にロンドンでも存在が知られるようになる。
1976年末にはダムドが活動をはじめ、翌年にはセックス・ピストルズ[24]が結成され、ジャム、ザ・クラッシュ、ストラングラーズらが続きロンドン・パンクが興隆、社会現象となった。当時のロンドン・パンクは、1960年代のシンプルなロックンロールの原点に戻った。パンクは、テクニックを気にしないアグレッシヴな演奏、右翼からの襲撃対象となる程、権力や体制に反抗的で過激なロックだった。パンクが短期間で終息した後は、スティッフ、2トーンらのインディー・レーベルによるニュー・ウェイヴが登場した。
脚注
- ^ a b P. Scaruffi, A History of Rock Music: 1951–2000 (iUniverse, 2003), ISBN 0-595-29565-7
- ^ a b W. E. Studwell and D. F. Lonergan, The Classic Rock and Roll Reader: Rock Music from its Beginnings to the mid-1970s (Abingdon: Routledge, 1999), ISBN 0-7890-0151-9
- ^ Pop/Rock - オールミュージック
- ^ “Rock music” (英語). Wikipedia. (2018-09-17) .
- ^ “Robert Christgau”. Wikipedia. (2018-09-17) .
- ^ “Simon Frith” (英語). Wikipedia. (2017-12-14) .
- ^ Michael Campbell & James Brody, Rock and Roll: An Introduction, pp. 80–81
- ^ J. M. Curtis, Rock Eras: Interpretations of Music and Society, 1954-1984 (Madison, WI: Popular Press, 1987), ISBN 0-87972-369-6, pp. 68-73.
- ^ R. C. Brewer, "Bass Guitar" in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 56.
- ^ R. Mattingly, "Drum Set", in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 361.
- ^ P. Théberge, Any Sound you can Imagine: Making Music/Consuming Technology (Middletown, CT, Wesleyan University Press, 1997), ISBN 0-8195-6309-9, pp. 69-70.
- ^ D. Laing, "Quartet", in J. Shepherd, ed., Continuum Encyclopedia of Popular Music of the World: Volume II: Performance and Production (New York, NY: Continuum, 2003), ISBN 0-8264-6322-3, p. 56.
- ^ エルヴィス・プレスリーCDJournal
- ^ ザ・ビートルズCDJournal
- ^ http://www.rollingstone.com/.../the-british-invasion-from-the-...
- ^ http://www.allmusic.com/subgenre/folk-rock-ma0000002593
- ^ “The Spirituality of Carlos Santana”. 2020年3月9日閲覧。
- ^ レッド・ツェッペリンCDJournal
- ^ http://www.allmusic.com/subgenre/hard-rock-ma0000002636
- ^ Tレックスの「メタル・グゥルー」、デヴィッド・ボウイの「スター・マン」などがグラム・ロックの有名曲である
- ^ http://www.progarchives.com/Progressive-rock.asp
- ^ セックス・ピストルズCDJournal
- ^ http://www.allmusic.com/style/punk-ma0000002806
- ^ 代表曲は「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」「アナーキー・イン・ザ・UK」など
- ^ ニルヴァーナCDJournal