エレクトリックギター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

エレクトリックギターElectric Guitar)は、弦の振動をピックアップマイク)で音を電気信号に変え、ギターアンプに接続し任意の音量で演奏できるギターエレキギター電気ギターとも呼ばれる。

なお、すくなくとも社会から認知された世界初のエレクトリックギターはGibson社のES-150 である。 また、同じように世界初のソリッドエレクトリックギターはBigsby社のマール・トラヴィスモデルだといわれている。

エフェクターなどで音質を変化させやすいため、多彩な表現が可能である。様々なジャンル音楽に用いられる。アコースティックギターとは異なり、バンドなど他楽器と組み合わせて使用されることが多く、単体(ソロ弾き語り)で使われることは少ない。

エレクトリックギター

目次

[編集] ピックアップ

エレクトリックギターの音色を特徴づける最大の要素は、何といってもピックアップである。 ピックアップの種類を言い表す場合、その構造によって大きく以下2つに大別できる。

エレクトリックギター用のピックアップは、一般的に板状の磁石の上に並べた棒(ポールピース)の周囲にワイヤを巻いたものだが、この構造がひとつのものをシングルコイルと呼ぶ。そのサウンドはカラっとした乾いたような音色が特徴である。対してハムバッカーは、一般的にはシングルコイルを横または縦にふたつ並べる事によってノイズに強い構造になっており、太く暖かいサウンドが持ち味となる。

ギブソン系のモデルのギターはハムバッカーを搭載した機種が多いのに対し、 フェンダー系はシングルコイルを搭載したモデルが多いとも言える。

トラディショナルなモデルでは少数ではあるが、モダンなスタイルのギターではシングルコイルとハムバッカーの両方を搭載しているモデルも少なくない。なお、ひとつのギターに複数のピックアップが搭載されている場合、ネック側から以下のように呼ばれる。

  • フロント・ピックアップ(ネック、リズム)
  • センター・ピックアップ(ミドル)
  • リア・ピックアップ(ブリッジ、リード)

[編集] ストラップ

コンサートなどで演奏する際は立って演奏する場合が多いが、その場合はギターを体に固定するためのストラップを用いる。 ソリッドボディーは詰まっている分重量があり、ストラップがはずれてギターを落としやすいため、ストラップのロックをつけることが多い。

詳細はストラップを参照。

[編集] 種類

[編集] 大分類

エレクトリックギターはボディの構造で概ね以下の2種類に大別できる。

  • ホロウボディギター
  • ソリッドボディギター

ホロウボディはバイオリンのような中空構造であるのに対して、 ソリッドボディはホロウボディのような中空構造を持たない。 エレクトリックギターの原型は通常のギターにピックアップを施したものであるため、 ソリッドボディギターの方が歴史的に新しいといえる。

またヘッドの形状は、フェンダー・ストラトキャスターなどの片側にペグを並べるタイプと、ギブソン・レスポールにみられるヘッドの両サイドにペグを並べたタイプに大きく分類される。

[編集] 小分類

[編集] アーチトップギター

中空ボディで、トップ板が緩い弧を描いている形状をしており、両サイドにはヴァイオリンのようなf字孔が空いている。この構造のお陰で、コンパクトなボディにも関わらず、音の反響効率が良いため大音量がなる仕組みになっている。後述するフルアコースティックギター、セミアコースティックギターの多くが、アーチトップギターに属する。世界トップレベルのメーカー(ルシアー)としてロバート・ベネデットが挙げられ、生産量で言えばギブソン社(およびエピフォン・ブランド)が有名。

[編集] フルアコースティックギター(フルアコ)

アコースティックギターと同程度の空洞部を胴にもつ。最初期に開発されたタイプは、ピックギターのボディに弦振動を電気信号に変えるピックアップを取り付けたもので、音はかなり柔らかく厚みのある音。スウィング・ジャズの頃から用いられた。バップ形式の演奏などでは現在も主要なギターである。ただしそのボディ構造と大きな容積のため、大音量になるとアンプの音でボディが共振し、いわゆるハウリングが起きやすい。グレッチのテネシアンやギブソン社のES-175やSuper 400 CES等がこのタイプ。

[編集] セミアコースティックギター(セミアコ)

フルアコースティックギターに比べると空洞部分が狭い。多くはボディ中心部に胴木(センターブロック)と呼ばれる木材ブロックがネックからボディ後部まで入っている。弦振動を拾うピックアップはこの上に固定されていて、そのためフルアコースティックギターにありがちなハウリングが起きにくくなっている。音はフルアコースティックギターとソリッドギターの中間といったところ。ギブソン社のES-335エピフォンのシェラトンおよびリヴィエラ、リッケンバッカー社の360・360/12などがこのタイプ。

[編集] ソリッドギター

通常はエレクトリックギターというとこのタイプを指す。ソリッド(中身の詰まった)という言葉通りフルアコなどとは違い、木材の板をそのまま胴としている。比較的、胴は薄い。弦が細い特性を生かした独特の奏法が多数ある。また、胴に共鳴部をもたないために器具の追加、交換が極めて柔軟であり、そのため多くのバリエーションを生んだ。形状も多様である。ギブソン社のレスポールSGフェンダー社のテレキャスターストラトキャスターなどが特に有名。

[編集] セミソリッドギター

大きく分類するとソリッドギターに分類される事もある。ソリッドギターのボディの一部がくり抜かれて空洞状になっている。そのため音もソリッドギターよりは若干柔らかい。セミホロウギターとも呼ばれる。フェンダー社のテレキャスター・シンライン等がこのタイプ。

[編集] エレクトリックアコースティックギター(マイク付きギター・エレアコ)

アコースティックギターにピックアップを内蔵したもの。合奏時、生演奏でアコースティックギターの音を安定して伝えるのはしばしば困難なのでステージ用として開発された。

アコースティックギターの音を完全に再現する事は難しいが近年かなり近い音を出力できるようになってきた。アンプに通さずそのまま生音で演奏すればアコースティックギターとして使用出来る。

[編集] エレクトリックガットギター(エレクトリッククラシックギター)

ガットギターにピックアップを内蔵したもの。主にジャズやボサノヴァのような音楽で使用される。

[編集] スティール・ギター

ハワイアン、カントリーアンドウエスタンに用いられている横置きの電気ギター。普通は指で押えるフレットがなく、左手のバーでフレットに相当する位置の弦を押え、右手の親指、人差し指、中指につけたフィンガーピックで弾く。弦は6弦、8弦などがあり、演奏者により様々なチューニングがある。2006年6月に亡くなった大橋節夫のチューニングはC-E-G-A-C-EのAm7th、バッキー白片はAm、大塚竜男はE7thなど。マヒナスターズの和田弘はマイナー系とメジャー系の二つのチューニングをセットしたダブルネックのタイプで、ハワイアンと歌謡曲など曲目によって使い分けていた。カントリー音楽ではこのチューニングを変えて多彩な和音を出すことが出来るペダルをつけた10弦や12弦のペダルスチールギターなどもある。電気を使わないタイプでは、リゾネーター・ギターと呼ばれる物もあり、もともとは、これが横置きギターの原型という説もある。

[編集] シタールギター

シタールギター(エレクトリックシタール)は、エレクトリックギターの構造でシタールに似た音色を出すが、シタールのBUZZ音を出すのは独特の形状をしたブリッジによるもので共鳴弦はあまり関係しない。巷間言われるように、共鳴弦が鳴ってあの音を出すというのは誤りである。  シタールのブリッジ(ジャワーリと呼称する)の構造は、弦が振動する際、弦の振動域がブリッジの幅広い面に微妙に接触し、あの独特のバズトーンを生み出す。エレクトリックシタールにおいてもこの構造は同じである。

 主なメーカーはダンエレクトロ(主に日本製の木部を使用したコーラル)がオリジナル。レプリカモデルがジェリー・ジョーンズ、Star'sなどから発売されている。いずれも独特の音が重宝され、様々なアーティストに使用されているが、現在はオリジナルの物を含め、レプリカ共に流通量が比較的少なくなっている。

 また角松敏生は、東京都内のギター工房である松下工房にエレクトリックシタールを特注して所有している。ブリッジがアルミで作られている事と、スルーネック構造が特徴である。

[編集] 特有の奏法

[編集] 主なメーカー

[編集] 脚注


[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
ウィキメディア・コモンズ