サイケデリック・ミュージック
サイケデリック・ミュージック(Psychedelic music)またはサイケデリア(psychedelia)[1]とは、ポップミュージックの様式、ジャンル及びシーンの1種。 この中にはサイケデリック・ポップ、サイケデリック・ロック(アシッド・ロックとも)、サイケデリック・ソウル、サイケデリック・アンビエント、サイケデリック・トランス、サイケデリック・テクノなども含まれる。サイケデリック・ミュージックの要素は、クラシック音楽を含むほぼ全てのジャンルの音楽に現れる。
目次 |
[編集] 背景
詳細は「:en:History of LSD」および「サイケデリック」を参照
ウィリアム・S・バロウズやジャック・ケルアック, アレン・ギンズバーグといった1950年代から1960年代のビート・ジェネレーションの作家たちや[2] 、 ティモシー・リアリー, アラン・ワッツ 、 オルダス・ハクスリーといった意識の拡張を提唱してきた学者たちは、新しい世代の者たちの考えに深く影響を与え[3] 、LSDの使用も相まって、霊的な啓発や社会意識とも結びつけられた。すぐさまミュージシャンたちは(最初は間接的だが、のちに堂々と) ドラッグを用いて、その体験を自分の音楽にとりいれた。このような行為は、アートや文学、映画の分野でも行われた[4]。
[編集] 特徴
サイケデリック・ミュージックとは、決まったルールのある一つのジャンルというわけではなく、ある種の楽曲に見られる超現実的でありながら夢を見るような感覚を表現した音楽でもあるが、以下のような特徴を持っていることが多い。
- エキゾチックな楽器が用いられることが多く、特に シタールやタブラがよくつかわれる[5]。
- 曲の構成、調や 拍子の変化が複雑で、旋法的なメロディやドローン(持続低音)が多用される[6]。
- 歌詞の内容が シュールで奇妙で複雑なものとなっている[7]。また、文学を基にした歌詞の曲もある[7][8]。
- 長時間のソロやジャム・セッションの多用[6]。
- エレキギターが出てくるときはハウリングやワウワウ、 ディストーションが用いられることが多い[9]。
- オルガン、 ハープシコード、 メロトロン (磁気テープでサンプリングのできる装置)といった鍵盤楽器の音が強調される[10]。また、シンセサイザーや テルミンが使われることもあり[11][12]、近年ではコンピュータで作成したリズムパターンの繰り返しが用いられることもある[13]。
[編集] 歴史およびサブジャンル
[編集] サイケデリックフォーク
詳細は「:en:Psychedelic folk」を参照
最初にサイケデリックという言葉が音楽の方面で用いられたのは、ニューヨークを拠点に活動するフォークグループen:The Holy Modal Roundersが1964年に発表した レッドベリーの『ためらいのブルース』(en:Hesitation Blues)のカバーが発表されたときだった[15]。 1960年代半ばの時点でサイケデリック・ミュージックは急速にアメリカ西海岸と東海岸のビート・フォークシーンに広まった。[16]。 サンフランシスコからはKaleidoscope, en:It's a Beautiful Day, en:Peanut Butter Conspiracy、H・P・ラブクラフトといったミュージシャンやバンドが登場し[16] 、ニューヨーク市の グリニッジ・ヴィレッジからは Jake and the Family Jewelsや en:Cat Mother & the All Night Newsboys[16] が、そしてフロリダからはPearls Before Swineが登場した。1965年にバーズがフォークロックに転向したのをきっかけに、多くのサイケデリックバンドがそれに続き、その結果グレイトフル・デッド, ジェファーソン・エアプレイン, キャプテン・ビーフハート, en:Country Joe and the Fish, The Great Society、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスといったバンドが生まれた[17]。
1960年代半ば、ブリティッシュ・インヴェイジョンの結果の一つとして、この流行はアメリカとイギリスのフォークロックシーンやロックシーンの一環として広まった。1964年から、デイヴィ・グレアム and バート・ヤンシュの作品にはブルースやジャズやドラッグ、東洋思想が織り込まれた[18] 。 フォークミュージシャンの中には、ボブ・ディランといったアメリカのアーティストとフラワーパワー(en:flower power)を結びつけたスコットランドのドノヴァンのように目立った人物がいた。そして1967年から、en:Incredible String Bandは西洋の楽器と東洋の思想を組み合わせ、様々な要素を取り入れたアコースティック音楽を展開した[19][20]。
[編集] サイケデリック・ロック
詳細は「サイケデリック・ロック」を参照
サイケデリック・ロックは1960年代にロック・ミュージックと電子音楽と東洋からの影響などが合わさったロック・アンド・ロールムーヴメントの余波として成長した。大麻やメスカリン、LSDなどの幻覚剤といったドラッグを服用してえられたひらめきによって、サイケデリック・ロックは伝統的なロック・ミュージックを打ち壊し、サイケデリック・メタルや実験的なロックのジャンルの根源になった。 アメリカ合衆国では13thフロア・エレベーターズという、グレイトフル・デッドやジェファーソン・エアプレイン等に代表されるジャンルとつながりを持つ『サイケデリック』という言葉が使われた最初のバンドが現れた。 1965年から1967年にかけて、ビートルズも『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』や『トゥモロー・ネバー・ノウズ』等といったサイケデリック・ロックの楽曲を制作したが、厳密にサイケデリック・ロックとして分類されなかった。クリームと、ピンク・フロイドとその創設者シド・バレットはサイケデリック・ミュージックを受け入れ、初めて真のサイケデリック・バンドになった。 ひとつの歌を制作することだけに集中し、’サイケデリックな’影響の元、実験的なレコーディングを行い、超現実的な音楽を作り上げるミュージシャンもいる。この過程を示す作品としてCountry Joe and the Fishが1966年に制作した"Bass Strings"は、荒削りなジャグ・バンドに影響された様式への対抗作として、陽気でテンポの速い攻撃的なものとなった。1967年、商業的なヒットを狙いそうなものから、LSDの影響を受けてつくられた実験的な音楽に生まれ変わった。"Bass Strings"において、より遅いテンポに遅らせたヴォーカル、反響の追加、逆再生した状態で収録したシンバル、電子オルガン、砂漠を旅する内容の歌詞、延々と続くようなブルース・ギターのソロを合わせた結果サイケデリックな曲が生まれ、Country Joe and the Fishのファースト・アルバム "Electric Music for the Mind and Body"もそのようになった。 ジェファーソン・エアプレインのウェブサイトには「(アルバム) After Bathing at Baxter's はサイケデリックな実験がどのような音楽を生み出し、どのように内側から感じさせるのか、その感覚を掴みたくて作った。」とある。ジミ・ヘンドリックスもまた、自分のギターと才能でサイケデリックで実験的な音楽を生み出してきた。
[編集] アシッド・ハウス
詳細は「アシッド・ハウス」を参照
[編集] 代表的なアーティスト
[編集] 関連ジャンル
- アシッド・ブレイク
- アシッド・ハウス
- アシッド・ジャズ
- アシッド・ラップ
- アシッド・ロック
- アシッド・テクノ
- アシッド・トランス
- エレクトロニカ
- クラウト・ロック
- ネオ・サイケデリア
- ペーズリー・アンダーグラウンド
- プログレッシブ・ロック
- サイケデリック・ロック
- サイケデリックトランス
- スペース・ロック
- ストーナーロック
- トリップ・ホップ
- en:Chopped and screwed
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ C. Heylin, The Act You've Known For All These Years: the Life, and Afterlife, of Sgt. Pepper (London: Canongate Books, 2007), ISBN 1841959553, p. 85
- ^ J. Campbell, This is the Beat Generation: New York, San Francisco, Paris (Berkeley, CA: University of California Press, 2001), ISBN 0-52023-033-7.
- ^ L. R. Veysey, The Communal Experience: Anarchist and Mystical Communities in Twentieth-Century America (Chicago IL, University of Chicago Press, 1978), ISBN 0-22685-458-2, p. 437.
- ^ M. Campbell, Popular Music in America: And the Beat Goes on (Boston, MA: Cengage Learning, 3rd edn., 2008), ISBN 0495505307, pp. 212-3.
- ^ R. Rubin and J. P. Melnick, Immigration and American Popular Culture: an Introduction (New York, NY: New York University Press, 2007), ISBN 0-814-77552-7, pp. 162-4.
- ^ a b M. Hicks, Sixties Rock: Garage, Psychedelic, and Other Satisfactions Music in American Life (Chicago, IL: University of Illinois Press, 2000), ISBN 0-252-06915-3, pp. 64-6.
- ^ a b G. Thompson, Please Please Me: Sixties British Pop, Inside Out (Oxford: Oxford University Press, 2008), ISBN 0-19533-318-7, p. 197.
- ^ V. Bogdanov, C. Woodstra and S. T. Erlewine, All Music Guide to Rock: the Definitive Guide to Rock, Pop, and Soul (Milwaukee, WI: Backbeat Books, 3rd edn., 2002), ISBN 0-87930-653-X, pp. 1322-3.
- ^ P. Prown, H. P. Newquist and J. F. Eiche, Legends of Rock Guitar: the Essential Reference of Rock's Greatest Guitarists (London: Hal Leonard Corporation, 1997), ISBN 0-793-54042-9, p. 48.
- ^ D. W. Marshall, Mass Market Medieval: Essays on the Middle Ages in Popular Culture (Jefferson NC: McFarland, 2007), ISBN 0-786-42922-4, p. 32.
- ^ J. DeRogatis, Turn On Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock (Milwaukie, Michigan: Hal Leonard, 2003), ISBN 0634055488, p. 230.
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- ^ G. St. John, Rave Culture and Religion (Abingdon: Routledge, 2004), ISBN 0415314496, p. 52.
- ^ S. Borthwick and R. Moy, Popular Music Genres: an Introduction (Edinburgh: Edinburgh University Press, 2004), ISBN 0748617450, pp. 52-4.
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- ^ R. Unterberger, Turn! Turn! Turn!: The '60s Folk-rock Revolution (San Francisco, CA: Backbeat Books, 2002), ISBN 978-0-87930-703-5, pp. 183?230.
- ^ C. Grunenberg and J. Harris, Summer of Love: Psychedelic Art, Social Crisis and Counterculture in the 1960s (Liverpool: Liverpool University Press, 2005), ISBN 0853239193, p. 137.
- ^ P. Scaruffi, A History of Rock Music, 1951-2000 (iUniverse, 2003) ISBN 978-0-595-29565-4, pp. 54.
- ^ J. DeRogatis, Turn On Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock (Milwaukee, WI: Hal Leonard, 2003), ISBN 978-0-634-05548-5, pp. 120.
[編集] 参考図書
- Joynson, Vernon (December 1984). The Acid Trip: A Complete Guide to Psychedelic Music. Babylon Books, pp.. ISBN 0-9071-8824-9.
- Sculatti, Gene; Davin Seay (April 1985). San Francisco Nights: The Psychedelic Music Trip, 1965-1968. St Martins Pr, pp. 192. ISBN 0-3126-9903-4.
- Eye Mind:The Saga of The 13th Floor Elevators, Pioneers of the Psychedelic Sound by Paul Drummond Process Media 2007 isbn0-978-0-9760822-6-2 |424 pages
[編集] 外部リンク
- Lysergia reviews, inverviews, and psychedelic history and information
- Psychedelic 100 Top 100 albums list and short reviews
