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台風の名前

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アジア名から転送)
1979年台風20号(国際名は「チップ」である)

台風の名前(たいふうのなまえ)では、台風 (北西太平洋で発生する熱帯低気圧)における国際的な名称や、日本における台風番号など、台風の人為的な命名について述べる。

概要

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クレメント・ラグ英語版

台風において国際的に使用される名称は、一般的に国際名と言われており、終戦直後から1999年まではアメリカ軍による英名(英語名)が使用されていたが(後述[1]2000年からは日本を含むアジア各国が提案したアジア名が使用されている(後述)。これらはあらかじめ用意されたリストから名前が割り当てられる「リスト方式」であるが[2]、日本では台風番号を使用する「番号方式」が使用される(後述)。またフィリピンのように、国際的に用いられる名称とは別に、独自の名称を採用している国もある。

台風に名前を付けるという慣習を世界で最初に始めたのは、オーストラリア気象学者の祖であるクレメント・ラグ英語版だと言われている[3]。彼は1890年代ポリネシア神話に登場するや女性、嫌いな政治家などと同じ名前をサイクロンに付けていた[3]。その中にはオーストラリアの初代首相の名前も含まれていたという説がある[3]。結局彼は、これが原因で政治家の反感を買い、自分の希望していた役職に就けずに失意のままニュージーランドへと渡った[3]

英名 (アメリカ式)

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国際名「ナンシー」と命名された1961年第2室戸台風(ナンシー は英語圏の女性名である)

アメリカ合衆国では、ハリケーン(北大西洋・カリブ海・メキシコ湾・北東太平洋地域)の名称として英語圏の男女の人名リストを用いるが(詳細はハリケーンの命名を参照)、北西太平洋領域に発生する台風についても、終戦直後から1999年まではアメリカ海軍合同台風警報センター(JTWC)による英名が、国際的な名称として付けられていた[4]

かつて、第2次世界大戦後の日本アメリカ軍を主とする連合国軍の占領下にあったため、日本においても、終戦直後の1947年から1953年5月の台風2号(ジュディ台風)まではこの英名を採用していたが、当時のアメリカでは女性名のみを使っていたので、日本でも台風の命名は全てアルファベット順(ABC順)の女性名であった(カスリーン台風ジェーン台風など)[5]。女性名が使用された由来については、当時は海軍空軍飛行機で台風の中に入り、台風の中心から観測機器を投下することによって台風の観測を行なっており、台風に対して、遊び心で自分の恋人と同じ名前を付けて、親しみを込めて呼んだことが始まりといわれる[6]。熱帯低気圧を女性名で呼称する方式は、アメリカでも1950年から正式に採用されている[6]。ハリケーンを女性名で呼ぶことは、小説家ジョージ・スチュワート英語版による1941年の小説『Storm』を由来として1940年代から海軍の気象学者などによって行われており[7]、米軍は1945年に西太平洋で発生するタイフーンについて女性名のリストを採用し、アルファベット順の女性名の表が1947年から作られたが[8]アメリカ気象局(現・アメリカ国立気象局)の採用は1953年にまでずれこんでいる[7]。後にこの命名法は、男女同権に反しており性差別につながるなどとして、世界気象機関 (WMO) から改善の要求があり、1979年からは男性名・女性名を交互につける方法に改められ[7]、同年の台風1号まで女性名のみの表が使われていたものが、同年の台風2号からは男性名を含んだ表に改められた[9][10][11][12][13]。そして、同年の台風3号(セシル)は、初の男性名台風となった[9][10][11][12][13]

なお、この方式で命名を行なっていた頃は、熱帯低気圧を台風と認定する日本の気象庁が台風と認定したとしても、台風の命名を担当するアメリカのJTWCが台風と認定しなかった場合は、気象庁により台風番号は付けられても、JTWCにより国際名が付けられることはなかった[2]。台風の認定は、それぞれの国の専門家が独自に判断していることから、日本では台風でもアメリカでは台風でない、という矛盾が生じることがある[2]。このような時に、国際名のない「名無し台風」は発生していた[2]。例えば、1999年台風4号6号にも国際名はなかった。

現在も、北大西洋におけるハリケーンの名前リストは「年次リスト」と呼ばれ、頭文字のアルファベット順に21種類(Q・U・X・Y・Zの5文字は使わない)の人名のリストをあらかじめ6セット用意し、1年ごとに1セットずつAから順に使用され、6年間かけて6セットのリストを一巡すると再び1セット目に戻るループである[14][15]。リストの後半にあるVやWなどから始まる名前は、ハリケーンが多数発生した場合にのみ使用されるため、実際には使用された例がほとんどない[14]。21個を上回る数のハリケーンが発生しリスト上の名前を使い果たした場合は、「α(アルファ)」「β(ベータ)」「γ(ガンマ)」「π(パイ)」などのギリシア文字を順に続けていくことになっているが[15]2005年は初めてハリケーン発生数が21個を越えたことで、史上初めてとなるギリシア文字のハリケーン「アルファ」が登場し、これだけでも前例のない事例となったが、そればかりかその後も次々と熱帯低気圧が発生し、最終的には「ζゼータ)」まで使用されるという異例の記録が生まれた[14]。また2020年には、史上初めてハリケーンの発生数が30を越え、「ι(イオタ)」まで名前が使用された。そのためWMOは新たに予備命名リストと呼ばれるものを新設し、2021年からはギリシア文字による命名が廃止され、代わりに新設した予備命名リストから命名されることとなった。

台風の英名表

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以下は、1947年から1999年までの台風の英名のリストである[9][10][11][12][13]

1947年 - 1950年
第1列 第2列 第3列 第4列 第5列
Anna Alice Annabell Agnes Allyn
Berneda Beatrice Bertha Beverly Betty
Carol Cathy Chris Carmen Camilla
Donna Dora Dolores Della Doris
Eileen Elnora Euniec Elaine Elsie
Faith Flora Flo Faye Flossie
Gwen Gladys Gestrude Gloria Grace
Helena Hannah Hazel Hester Helene
Inez Irene Ione Irma Ida
Joyce Jean Jackie Judith Jane
Kathleen Karen Kit Kitty Kezia
Laura Lana Libby Lise Lucretia
Mildred Mabel Martha Madeline Missatha
Nanette Nadine Norma Nelly Nancy
Olive Ophelia Olga Omelia Ossia
Pauline Pearl Pat Patricia Petie
Rosalind Rose Rita Rena Ruby
1950年 - 1979年
第1列 第2列 第3列 第4列
Alice Anita Amy Agnes
Betty Billie Babs → Babe Bess → Bonnie
Cora Clara Charlotte → Carla Carmen
Doris Delilah → Dot Dinah Della
Elsie Ellen Emma Elaine
Flossie Fran Freda Faye
Grace Georgia Gilda Gloria
Helen Hope Harriet Hester
Ida Iris Ivy Irma
June Joan Jeanne → Jean Judy
Kathy Kate Karen → Kim Kit
Lorna Louise Lois → Lucille → Lucy Lola
Marie Marge Mary Mamie
Nancy Nora Nona → Nadine Nina
Olga Ora → Opal Olive Ophelia → Ora
Pamela Pat → Patsy Polly Phyllis
Ruby Ruth Rose Rita
Sally Sarah Shirley Susan
Tilda → Therese Thelma Trix Tess
Violet Vera Vae → Virginia Viola
Wilda Wanda Wilma → Wendy Winnie
1979年 - 1989年
第1列 第2列 第3列 第4列
Andy Abby Alex Agnes
Bess → Brenda Ben Betty Bill
Cecil Carmen Cary Clara
Dot Dom Dinah Doyle
Ellis Ellen Ed Elsie
Faye Forrest Freda Fabian
Gordon Georgia Gerald Gay
Hope Herbert Holly Hazen → Hal
Irving Ida Ike → Ian Irma
Judy Joe June Jeff
Ken Kim Kelly Kit
Lola Lex Lynn Lee
Mac Marge Maury Mamie
Nancy Norris Nina Nelson
Owen Orchid Ogden Odessa
Pamela → Peggy Percy Phyllis Pat
Roger Ruth Roy → Ryan Ruby
Sarah Sperry Susan Skip
Tip Thelma Thad Tess
Vera Vernon Vanessa Val
Wayne Wynne Warren Winona
1989年 - 1995年
第1列 第2列 第3列 第4列
Angela Abe Amy Axel
Brian Becky Brendan Bobbie
Colleen Cecil Caitlin Chuck
Dan Dot Doug Deanna
Elsie Ed Ellie Eli
Forrest Flo Fred Faye
Gay Gene Gladys Gary
Hunt Hattie Harry Helen
Irma Ira Ivy Irving
Jack Jeana Joel Janis
Koryn Kyle Kinna Kent
Lewis Lola Luke Lois
Marian Mike → Manny Mireille → Melissa Mark
Nathan Nell Nat Nina
Ofelia Owen Orchid Omar → Oscar
Percy Page Pat Polly
Robyn Russ Ruth Ryan
Steve Sharon Seth Sibyl
Tasha Tim Thelma → Teresa Ted
Vernon Vanessa Verne Val
Winona Walt Wilda Ward
Yancy Yunya Yuri Yvette
Zola Zeke Zelda Zack
1996年 - 1999年
第1列 第2列 第3列 第4列
Ann Abel Amber Alex
Bart Beth Bing Babs
Cam Carlo Cass Chip
Dan Dale David Dawn
Eve Ernie Ella Elvis
Frankie Fern Fritz Faith
Gloria Greg Ginger Gil
Herb Hannah Hank Hilda
Ian Isa Ivan Iris
Joy Jimmy Joan Jacob
Kirk Kelly Keith Kate
Lisa Levi Linda Leo
Marty Marie Mort Maggie
Niki Nestor Nichole Neil
Orson Opal Otto Olga
Piper Peter Penny Paul
Rick Rosie Rex Rachel
Sally Scott Stella Sam
Tom Tina Todd Tanya
Violet Victor Vicki Virgil
Willie Winnie Waldo Wendy
Yates Yule Yanni York
Zane Zita Zeb Zia

アジア名

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アジア名「トカゲ」と命名された2004年台風23号(トカゲ は日本が提案した名前)

2000年1月1日からは、台風の国際名として、それまでの英名に代わり、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と世界気象機関(WMO)で組織する台風委員会が制定した「アジア名」を用いることとなった[16]。このリストは大西洋海洋気象研究所英語版のサイトなどで見ることができる[17]。このアジア名は、台風が襲来するアジアの地域の人々にとって馴染みの深いアジアの言葉の方が、人々の防災意識も向上するのではないかと、日本を含む加盟14か国・領域から提案された合計140個の名前からなっており(1つの国・領域につき10個提案できるため、10×14=140 で140個となっている。)、台風が発生する度に順次使用されている[18]。アジア名は「カンボジア中国北朝鮮香港 → 日本 → ラオスマカオマレーシアミクロネシア連邦フィリピン韓国タイ → アメリカ → ベトナム」の順(台風名を提案した国名のアルファベット順)に、それぞれの国や地域が提案した名前が使用され、これが繰り返される[2]

アジア名は、アメリカとアジア各国で構成された台風委員会によって定められたもので、国際的には広く使用されているが[19]、日本国内では台風番号による呼び方が一般的であり、報道機関でも台風番号で呼称している例が大多数である。ただし日本以外のアジア地域で被害が出た場合などで、台風番号とアジア名を併用して報道する場合もある[20]

国際社会への情報に、こうした台風委員会が制定した名前を付け、それを利用してもらうことによって、アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進することが期待されていることも、アジア名が制定された理由の1つである[21]

ちなみに東経180度以東で発生したハリケーン等の熱帯低気圧が東経180度以西に進んで台風となったもの(越境台風)にはアジア名は命名されず、発生地点で命名された名称がそのまま使用される。

日本からは、星座名に由来する10個のアジア名が提案されている[21]。星座名が提案された理由としては、特定の個人・法人の名称や商標地名や天気現象名でない「中立的な」名称であること、「自然」の事物であって利害関係が比較的生じにくいこと、大気現象である台風とイメージ上の関連がある天空にあり、かつ人々に親しまれているものであることが挙げられる[21]

アジア名として提案された名前を採用するにはいくつかの条件がある。1つは文字数が多過ぎないことであり、アルファベットで9文字以内と決められている。またその他、音節が多くなくて発音しやすいこと、他の加盟国・地域の言語で感情を害するような意味を持たないことなどの条件もある[21]

台風のアジア名が使用されるようになった2000年以降は、それまでとは違って台風認定機関と台風命名機関の両方を日本の気象庁が担当することとなったため、前述のような国際名(アジア名)のない台風が登場することはない[22]

アジア名は全部で140個あり、140番目の「サオラー」まで使用されると最初の「ダムレイ」に戻るループである。

アジア名の一覧[23][24]
順番 命名国 表記 読み 意味・由来
1 カンボジア Damrey ダムレイ くめーる/クメール語の「ゾウ(ដំរី)」
2 中国 Haikui ハイクイ ちゅうごく/中国語の「イソギンチャク(海葵)」
3 北朝鮮 Kirogi キロギー ちょうせん/朝鮮語の「(기러기)」
4 香港 Yun-yeung インニョン かんとん/広東語の「オシドリ(鴛鴦)」または「鴛鴦茶
5 日本 Koinu コイヌ こいぬ/こいぬ座または小さな
6 ラオス Bolaven ボラヴェン こうげん/高原の名前
7 マカオ Sanba サンバ まかお/マカオの名所
8 マレーシア Jelawat ジェラワット れっど/レッドフィンジャイアントバーブ英語版とも呼ばれる淡水魚の名前
9 ミクロネシア Ewiniar イーウィニャ ちゅーく/チューク語の「
10 フィリピン Maliksi マリクシ ふぃりぴん/フィリピン語の「速い」
11 韓国 Gaemi ケーミー ちょうせん/朝鮮語の「アリ(개미)」
12 タイ Prapiroon プラピルーン たい/タイ語の「の神(พระพิรุณ)」
13 米国 Maria マリア ちゃもろ/チャモロ人女性の名前
14 ベトナム Son-Tinh ソンティン べとなむ/ベトナム神話の山の神
15 カンボジア Ampil アンピル たまりんど/タマリンド
16 中国 Wukong ウーコン ちゅうごく/中国語の「悟空
17 北朝鮮 Jongdari ジョンダリ ちょうせん/朝鮮語の「ヒバリ(종다리)」
18 香港 Shanshan サンサン しょうじょ/少女の名前
19 日本 Yagi ヤギ やぎ/やぎ座または山羊
20 ラオス Leepi リーピ らおす/ラオス南部にある、リーピの滝(ソンパミットの滝)
21 マカオ Bebinca バビンカ べびんか/ベビンカ(マカオの牛乳プディング
22 マレーシア Pulasan プラサン むくろじ/ムクロジ科に実る果物の名前英語版
23 ミクロネシア Soulik ソーリック ぽんぺい/ポンペイ島首長の称号
24 フィリピン Cimaron シマロン やせい/野生のまたは野生した家畜スペイン語版
25 韓国 Jebi チェービー ちょうせん/朝鮮語の「ツバメ(제비)」
26 タイ Krathon クラトーン せんだん/センダン科果物の名前英語版
27 米国 Barijat バリジャット まーしゃる/マーシャル語の「波と風の浜辺」
28 ベトナム Trami チャーミー ばら/バラ科の花の名前
29 カンボジア Kong-rey コンレイ でんせつ/伝説の少女の名前または山の名前
30 中国 Yinxing インシン ちゅうごく/中国語の「イチョウ(銀杏)」
31 北朝鮮 Toraji トラジー ちょうせん/朝鮮語の「キキョウ(도라지)」
32 香港 Man-yi マンイ ちょすいち/貯水池(元は海峡)の名前(万宜水庫中国語版
33 日本 Usagi ウサギ うさぎ/うさぎ座または
34 ラオス Pabuk パブーク めこん/メコン川の大型淡水魚の名前
35 マカオ Wutip ウーティップ かんとん/広東語の「チョウ(蝴蝶)」
36 マレーシア Sepat セーパット たんすいぎょ/淡水魚の名前
37 ミクロネシア Mun ムーン やっぷ/ヤップ語の「6月
38 フィリピン Danas ダナス けいけん/経験する・感じる
39 韓国 Nari ナーリー ちょうせん/朝鮮語の「ユリ(나리)」
40 タイ Wipha ウィパー じょせい/女性の名前
41 米国 Francisco フランシスコ ちゃもろ/チャモロ人の男性の名前
42 ベトナム Co-May コメイ べとなむ/ベトナム語の「オキナワミチシバ(Cỏ may)」
43 カンボジア Krosa クローサ つる/ツル
44 中国 Bailu バイルー ちゅうごく/中国語の「白い鹿(白鹿)」
45 北朝鮮 Podul ポードル ちょうせん/朝鮮語の「ヤナギ(버들)」
46 香港 Lingling レンレン しょうじょ/少女の名前
47 日本 Kajiki カジキ かじき/かじき座または魚のカジキ
48 ラオス Nongfa ノンファ みずうみ/の名前(ノンファ湖英語版
49 マカオ Peipah ペイパー まかお/マカオで多く飼われるペット用のプレコ(琵琶鼠魚)」
50 マレーシア Tapah ターファー なまず/ナマズ
51 ミクロネシア Mitag ミートク やっぷ/ヤップ語の女性の名前または「私の
52 フィリピン Ragasa ラガサ すばやい動作
53 韓国 Neoguri ノグリー ちょうせん/朝鮮語の「タヌキ(너구리)」
54 タイ Bualoi ブアローイ でざーと/デザートの名前
55 米国 Matmo マットゥモ ちゃもろ/チャモロ語の「大雨
56 ベトナム Halong ハーロン わん/湾の名前
57 カンボジア Nakri ナクリー はな/花の名前
58 中国 Fengshen フンシェン ちゅうごく/中国語の「風神
59 北朝鮮 Kalmaegi カルマエギ ちょうせん/朝鮮語の「カモメ(갈매기)」
60 香港 Fung-wong フォンウォン かんとん/広東語の鳳凰または山の名前(鳳凰山中国語版
61 日本 Koto コト こと/こと座または
62 ラオス Nokaen ノケーン とり/鳥の名前(ツバメ
63 マカオ Penha ペンニャ まかお/マカオ名所の丘の名前西望洋山中国語版
64 マレーシア Nuri ヌーリ まれー/マレー語のサトウチョウオウムの一種)
65 ミクロネシア Sinlaku シンラコウ こすらえ/コスラエ島の伝説の女神
66 フィリピン Hagupit ハグピート むちうつ/むち打つこと
67 韓国 Jangmi チャンミー ちょうせん/朝鮮語の「バラ(장미/薔薇)」
68 タイ Mekkhala メーカラー かみなり/雷の守護神(เมขลา)
69 米国 Higos ヒーゴス ちゃもろ/チャモロ語の「イチジク
70 ベトナム Bavi バービー べとなむ/ベトナム北部の山脈の名前
71 カンボジア Maysak メイサーク き/木の名前
72 中国 Haishen ハイシェン ちゅうごく/中国語の「海神
73 北朝鮮 Noul ノウル ちょうせん/朝鮮語の「夕焼け(노을)」
74 香港 Dolphin ドルフィン いるか/イルカ香港を代表する動物の1つ
75 日本 Kujira クジラ くじら/くじら座または
76 ラオス Chan-hom チャンホン き/木の名前
77 マカオ Peilou ペイロー かんとん/広東語の「ヘラサギ(琵鷺)」
78 マレーシア Nangka ナンカー まれー/マレー語の「パラミツ
79 ミクロネシア Saudel ソウデル ぽんぺい/ポンペイ島の伝説上の首長「ソウデロア」の護衛兵
80 フィリピン Narra ナーラ たがろぐ/タガログ語の「カリン
81 韓国 Gaenari ケナリ ちょうせん/朝鮮語の「レンギョウ(개나리)」
82 タイ Atsani アッサニー いなづま/稲妻(อัสนี)
83 米国 Etau アータウ ぱらお/パラオ語の「嵐
84 ベトナム Bang-Lang バンラン べとなむ/ベトナム語の「バナバ(Bằng lăng)」
85 カンボジア Krovanh クロヴァン くめーる/クメール語の「カルダモン(ក្រវាញ)」
86 中国 Dujuan ドゥージェン ちゅうごく/中国語の「ツツジ(杜鵑)」
87 北朝鮮 Surigae スリゲ ちょうせん/朝鮮語の「トビ(수리개)」
88 香港 Choi-wan チョイワン かんとん/広東語の「彩雲
89 日本 Koguma コグマ こぐま/こぐま座または小さな
90 ラオス Champi チャンパー あか/赤いジャスミンの花
91 マカオ In-fa インファ かんとん/広東語の「花火(煙花/烟花)」
92 マレーシア Cempaka チャンパカ もくれん/モクレン科のいくつかの樹種。ただし cempaka hutan〈森のチャンパカ〉というとアカネ科クチナシ属Gardenia tubifera を指す場合がある[25]
93 ミクロネシア Nepartak ニパルタック こすらえ/コスラエ島の有名な戦士の名前
94 フィリピン Lupit ルピート れいこく/冷酷な・残酷な
95 韓国 Mirinae ミリネ ちょうせん/朝鮮語の「天の川(미리내)」
96 タイ Nida ニーダ じょせい/女性の名前
97 米国 Omais オーマイス ぱらお/パラオ語の「徘徊」
98 ベトナム Luc-binh ルックビン ほていあおい/ホテイアオイ
99 カンボジア Chanthu チャンスー はな/花の名前
100 中国 Dianmu ディアンムー いなづま/稲妻の女神「電母
101 北朝鮮 Mindulle ミンドゥル ちょうせん/朝鮮語の「タンポポ(민들레)」
102 香港 Lionrock ライオンロック きゅうりゅうはんとう/九龍半島を俯瞰できる山の名前
103 日本 Tokei トケイ とけい/とけい座または時計
104 ラオス Namtheun ナムセーウン かわ/川の名前メコン川の支流の1つ)
105 マカオ Malou マーロウ かんとん/広東語の「瑪瑙
106 マレーシア Nyatoh ニヤトー あかてつ/アカテツ科のいくつかの木の名前(参照: Madhuca spp.、Palaquium spp.、Payena spp.、Planchonella malaccensis (syn. Pouteria malaccensis))[25]
107 ミクロネシア Sarbul ソロブル もんすーん/モンスーンまたは雨季
108 フィリピン Amuyao アムヤオ まうんてん/マウンテン州にある山の名前
109 韓国 Gosari コザリ ちょうせん/朝鮮語の「ワラビ(고사리)」
110 タイ Chaba チャバ たい/タイ語の「ハイビスカス(ชบา)」
111 米国 Aere アイレー まーしゃる/マーシャル語の「嵐」
112 ベトナム Songda ソングダー べとなむ/ベトナム北西部にある川の名前
113 カンボジア Trases トローセス きつつき/キツツキ
114 中国 Mulan ムーラン しょくぶつ/植物の名前(モクレン)または人物名(木蘭
115 北朝鮮 Meari メアリー ちょうせん/朝鮮語の「やまびこ (메아리) 」
116 香港 Tsing-ma チンマー ほんこんこくさいくうこう/香港国際空港と市内を結ぶ橋の名前
117 日本 Tokage トカゲ とかげ/とかげ座または蜥蜴
118 ラオス Ong-mang オーンマン たーみんじか/ターミンジカ絶滅危惧種の動物)
119 マカオ Muifa ムイファー かんとん/広東語の「の花(梅花)」
120 マレーシア Merbok マールボック とり/鳥の名前
121 ミクロネシア Nanmadol ナンマドル たいへいよう/太平洋ベネツィア」と呼ばれる遺跡の名前
122 フィリピン Talas タラス するどさ/鋭さ
123 韓国 Hodu ホードゥー ちょうせん/朝鮮語の「クルミ(호두)」
124 タイ Kulap クラー たい/タイ語の「バラ(กุหลาบ)」
125 米国 Roke ロウキー ちゃもろ/チャモロ人の男性の名前
126 ベトナム Sonca ソンカー べとなむ/ベトナム語の「ヒバリ(Chim sơn ca)」
127 カンボジア Nesat ネサット くめーる/クメール語の「漁師(អ្នកនេសាទ)」
128 中国 Haitang ハイタン ちゅうごく/中国語の「ハナカイドウ(海棠)」
129 北朝鮮 Jamjari ツァンザリー ちょうせん/朝鮮語の「トンボ(잠자리)」
130 香港 Banyan バンヤン き/木の名前(ガジュマル
131 日本 Yamaneko ヤマネコ やまねこ/やまねこ座または山猫
132 ラオス Pakhar パカー めこん/メコン川の下流部に生息する淡水魚の名前
133 マカオ Sanvu サンヴー かんとん/広東語の「珊瑚
134 マレーシア Mawar マーワー まれー/マレー語の「バラ
135 ミクロネシア Guchol グチョル やっぷ/ヤップ語の「ウコン
136 フィリピン Talim タリム するどい/鋭い刃先
137 韓国 Doksuri トクスリ ちょうせん/朝鮮語の「(독수리)」
138 タイ Khanun カーヌン たい/タイ語の「パラミツ(ขนุน)」
139 米国 Lan ラン まーしゃる/マーシャル語の「嵐」
140 ベトナム Saola サオラー さおら/サオラ

アジア名と同様の命名方式は、2004年からインド洋におけるサイクロンでも使用されるようになった[2]インド気象局(IMD)がサイクロンの命名を担当し、名前はバングラデシュインドモルディブミャンマーオマーンパキスタン・タイ・スリランカの7か国が提案し、アジア名と同様に国名のアルファベット順に名前が使用される[2]。例えば、2007年サイクロン・シドル(Sidr)はオマーンが提案した名前で、2008年サイクロン・ナルギス(Nargis)はパキスタンが提案した名前である[2]。また、2020年サイクロン・アンファン(Amphan)はタイが提案した名前で、「」(そら、sky)を意味する[26]

国際名の変更 (引退)

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アジア名「ハイエン」と命名された2013年の台風30号(この台風は甚大なる被害を与えたことから、ハイエン はこの台風限りで引退した)

アジア名などの国際名は繰り返しの使用を原則とするが、大きな災害をもたらした台風などについては以後は同じ名前を使用しないよう変更することがある[27]。大西洋北部などの他海域、また1999年までのアメリカ式の命名において、顕著な影響を与えたものの国際名を名前リストから削除して、次回以降から別の国際名が使用される「引退」という慣例があり、この慣例は2000年に導入されたアジア名にも受け継がれている。この慣例の目的は、大きな影響や被害を与えたために将来にわたって言及されるであろう台風が、同じ国際名となってしまうと混同の恐れがあるためである。逆に顕著な影響を与えなかった名前については繰り返し使われる。例えば Arlene というハリケーン名は1959年から2017年までに11回も使用されている。

アジア名の変更は台風委員会加盟国からの変更要請を受けて、台風委員会が行う[27]。例えば、2013年にフィリピンに甚大な被害を与えた台風30号のアジア名「ハイエン (Haiyan)」は、以後「バイルー(Bailu)」と改称された。ただし、顕著な影響を与えても変更の手続がなければ変更されない。アジア名導入以前の例であるが、1959年伊勢湾台風(昭和34年台風第15号)の国際名「ヴェラVera)」は「引退」扱いとならず、以降も何度か使用されている。また、台風による甚大な被害以外の理由で、アジア名が変更された事例もある[28]

アジア名変更の流れ

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毎年、台風委員会が2月から3月に開催される。この台風委員会の会議が終わってから24-36時間後には、台風委員会のアジア名リストに更新が入る。例えば台風委員会が、2019年2月25日に終わった場合は、2019年2月26日ないし2019年2月27日の朝までには新しいアジア名が公開されている。次に、日本気象庁のアジア名の変更が行われる。しかし、2020年の第52回台風委員会以降は、新型コロナウイルスによるパンデミックが収束しなかった影響もあり、会議の開催方法がビデオミーティングに変更となり、アジア名の変更内容が正式に公開されるのは、5月下旬頃となった。

また、第55回台風委員会では正式に委員会が2月か3月の間にビデオミーティングで開催されることが決定され、名前の変更もその際に行われることが確定した。

台風の名前の変更の際は、3つの名前から選ばれる。たとえば、日本が提案した「コップ(Koppu)」の変更の際には、「コグマ(Koguma)」「ハクチョウ(Hakucho)」「コイヌ(Koinu)」の3つが候補に挙がっていた。なお、3つの名前候補の情報は、台風委員会が行われる1週間ないし2週間前に公開される[注 1]

引退した国際名

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引退した英名 (1999年以前)

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引退した英名 最後の使用 変更後の英名
Lucille 昭和35年台風第2号 Lucy
Ophelia 昭和35年台風第26号 Ora
Karen 昭和37年台風第28号 Kim
Bess 昭和49年台風第23号 Bonnie
Bess 昭和57年台風第10号 Brenda
Ike 昭和59年台風第11号 Ian
Roy 昭和63年台風第1号 Ryan
Mike 平成2年台風第25号 Manny
Mireille 平成3年台風第19号 Melissa
Thelma 平成3年台風第25号 Teresa
Omar 平成4年台風第15号 Oscar

引退したアジア名 (2000年以降)

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台風による被害が甚大であったとして変更されたアジア名は以下の通り[29]

1周目での変更(使用されるのは2周目)
変更前のアジア名 変更後のアジア名
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
49 マカオ Vamei ヴァーメイ 広東語の「ガビチョウ(画眉)」 平成13年台風第26号 ペイパー
55 アメリカ Chataan ツァターン チャモロ語の「 平成14年台風第6号 マットゥモ
64 マレーシア Rusa ルーサー マレー語の「シカ 平成14年台風第15号 ヌーリ
73 北朝鮮 Pongsona ポンソナ 朝鮮語の「ホウセンカ(봉선화/鳳仙花)」 平成14年台風第26号 ノウル
80 フィリピン Imbudo インブードー 漏斗 平成15年台風第7号 モラヴェ
87 北朝鮮 Maemi マエミー 朝鮮語の「セミ(매미)」 平成15年台風第14号 ムジゲ
95 韓国 Sudal スーダエ 朝鮮語の「カワウソ(수달/水獺)」 平成16年台風第1号 ミリネ
107 ミクロネシア Rananim ラナニム チューク語の「こんにちは」 平成16年台風第13号 ファナピ
132 ラオス Matsa マッツァ 人魚(もしくは魚)の名前 平成17年台風第9号 パカー
2周目での変更(使用されるのは3周目)
変更前のアジア名 変更後のアジア名
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
2 中国 Longwang ロンワン 中国語の「龍王 平成17年台風第19号 ハイクイ
7 マカオ Chanchu チャンチー 広東語の「真珠(珍珠)」 平成18年台風第1号 サンバ
10 フィリピン Bilis ビリス タガログ語の「速さ 平成18年台風第4号 マリクシ
14 ベトナム Saomai サオマイ 明けの明星 平成18年台風第8号 ソンティン
20 ラオス Xangsane シャンセン ゾウ 平成18年台風第15号 リーピ
26 タイ Durian ドリアン ドリアン 平成18年台風第21号 マンクット
82 タイ Morakot モーラコット タイ語の「エメラルド(มรกต)」 平成21年台風第8号 アッサニー
90 ラオス Ketsana ケッツァーナ 木の名前(沈香 平成21年台風第16号 チャンパー
91 マカオ Parma パーマァ マカオ料理の食材の名前(パルマハム 平成21年台風第17号 インファ
107 ミクロネシア Fanapi ファナピ 環礁群(サンゴ礁を形成する小さな島々) 平成22年台風第11号 ライ
131 日本 Washi ワシ わし座または 平成23年台風第21号 ハト
3周目での変更(使用されるのは4周目)
変更前のアジア名 変更後のアジア名
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
15 カンボジア Bopha ボーファ 少女の名前 平成24年台風第24号 アンピル
27 アメリカ Utor ウトア マーシャル語の「スコールライン 平成25年台風第11号 バリジャット
37 ミクロネシア Fitow フィートウ ヤップ島の花の名前 平成25年台風第23号 ムーン
44 中国 Haiyan ハイエン 中国語の「ウミツバメ(海燕)」 平成25年台風第30号 バイルー
54 タイ Rammasun ラマスーン 雷神 平成26年台風第9号 ブアローイ
79 ミクロネシア Soudelor ソウデロア ポンペイ島の伝説上の首長 平成27年台風第13号 ソウデル
87 北朝鮮 Mujigae ムジゲ 朝鮮語の「(무지개)」 平成27年台風第22号 スリゲ
89 日本 Koppu コップ コップ座またはコップ 平成27年台風第24号 コグマ 
92 マレーシア Melor メーロー ジャスミン 平成27年台風第27号 チャンパカ
106 マレーシア Meranti ムーランティ 木の名前(フタバガキ科のいくつかの樹種) 平成28年台風第14号 ニヤトー
113 カンボジア Sarika サリカー 鳥の名前(ジャワハッカ 平成28年台風第21号 トローセス
114 中国 Haima ハイマー 中国語の「タツノオトシゴ(海馬)」 平成28年台風第22号 ムーラン
118 ラオス Nock-ten ノックテン 踊る鳥 平成28年台風第26号 ヒンナムノー
131 日本 Hato ハト はと座または 平成29年台風第13号 ヤマネコ
4周目での変更(使用されるのは5周目)[30][31]
変更前のアジア名 変更後のアジア名
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
4 香港 Kai-tak カイタク 啓徳空港 平成29年台風第26号 インニョン
5 日本 Tembin テンビン てんびん座または天秤 平成29年台風第27号 コイヌ
22 マレーシア Rumbia ルンビア サゴヤシ 平成30年台風第18号 プラサン
26 タイ Mangkhut マンクット タイ語の「マンゴスチン(มังคุด)」 平成30年台風第22号 クラトーン
30 中国 Yutu イートゥー 中国語の「月の兎玉兎)」 平成30年台風第26号 インシン
42 ベトナム Lekima レキマー カニステル 令和元年台風第9号 コメイ
48 ラオス Faxai ファクサイ 女性の名前 令和元年房総半島台風(令和元年台風第15号) ノンファ
52 フィリピン Hagibis ハギビス タガログ語の「素早い」 令和元年東日本台風(令和元年台風第19号) ラガサ
61 日本 Kammuri カンムリ かんむり座または 令和元年台風第28号 コト
62 ラオス Phanfone ファンフォン ホエジカ 令和元年台風第29号 ノケーン
63 マカオ Vongfong ヴォンフォン 広東語の「スズメバチ(黄蜂)」 令和2年台風第1号 ペンハ
77 マカオ Linfa リンファ 広東語の「ハスの花(蓮花)」 令和2年台風第15号 ペイロー
80 フィリピン Molave モラヴェ 木の名前(学名: Vitex parviflora[25] 令和2年台風第18号 ナーラ
81 韓国 Goni コーニー 朝鮮語の「ハクチョウ(고니)」 令和2年台風第19号 ゲナリ
84 ベトナム Vamco ヴァムコー ベトナム南部の川の名前 令和2年台風第22号 バンラン
98 ベトナム Conson コンソン れきし/歴史的な観光地の名前島の名前でもある) 令和3年台風第13号 ルックビン
103 日本 Kompasu コンパス コンパス座または道具のコンパス 令和3年台風第18号 トケイ
107 ミクロネシア Rai ライ ヤップ語の「ヤップ島石貨 令和3年台風第22号 ソロブル
109 韓国 Megi メーギー 朝鮮語の「ナマズ(메기)」 令和4年台風第2号 コザリ
116 香港 Ma-on マーゴン または山の名前(馬鞍山中国語版 令和4年台風第9号 チンマー
118 ラオス Hinnamnor ヒンナムノー ヒン・ナムノー自然保護区英語版 令和4年台風第11号 オーンマン
123 韓国 Noru ノルー 朝鮮語の「ノロジカ(노루)」 令和4年台風第16号 ホードゥー
129 北朝鮮 Nalgae ナルガエ 朝鮮語の「(날개)」 令和4年台風第22号 ツァンザリー
137 韓国 Doksuri トクスリ 朝鮮語の「(독수리)」 令和5年台風第5号
140 ベトナム Saola サオラー サオラ 令和5年台風第9号
5周目での変更(使用されるのは6周目)[31]
変更前のアジア名 変更後のアジア名
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
2 中国 Haikui ハイクイ 中国語の「イソギンチャク(海葵)」 令和5年台風第11号

また、以下の名前は、台風による甚大な被害以外の理由によって変更された[31]

変更前のアジア名 変更後のアジア名 変更年 変更理由
順番 命名国 表記 読み 意味・由来 最後の使用
111 アメリカ Kodo コドー 不明 未使用 アイレー 2002年 ミクロネシア語の下品な言葉と似ているため 発音が誤解を生む可能性があるため
17 北朝鮮 Sonamu ソナムー 朝鮮語の「マツ(소나무)」 平成25年台風第1号 ジョンダリ 2014年 「Sonamu」の発音が「Tsunami(津波)」に似ているため
108 フィリピン Malakas マラカス タガログ語の「強い・力強い」 令和4年台風第1号 アムヤオ 2024年 ギリシャ語で軽蔑的な意味を含む単語(μαλάκας)に似ているため[32]
82 タイ Hanuman ハヌマン 不明 未使用 モーラコット 2002年 インドの神・ハヌマーンと同音であるため 宗教上の問題で反対する国があったため
137 韓国 Nabi ナービー 朝鮮語の「チョウ(나비)」 平成17年台風第14号 トクスリ 2007年 ナビー(イスラム教の預言者)と同音であるため
74 香港 Yanyan ヤンヤン 女性の名前 平成15年台風第1号 ドルフィン 2006年 地域の代表性がないため 再提出[33]
102 香港 Tingting テンテン 女性の名前 平成16年台風第8号 ライオンロック
139 アメリカ Vicente ヴェセンティ チャモロ人の男性の名前 平成24年台風第8号 ラン 2015年 北東太平洋のハリケーンの命名と一致であるため その他の地域の熱帯低気圧の命名と重複

名前(音や意味など)そのものは変更されていないが、以下のように表記(綴り)が変更された事例もある。これらはいずれも韓国が提出した名前で、英字の綴りを文化観光部2000年式表記へ変更された。

順番 読み 変更前の表記 変更後の表記
11 ケーミー Kaemi Gaemi
25 チェービー Chebi Jebi
53 ノグリー Noguri Neoguri
67 チャンミー Changmi Jangmi
81 コーニー Koni Goni

日本における台風の呼称

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台風番号

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前述の通り、終戦後のアメリカ軍占領下では、アメリカ式の女性名を用いていたが、サンフランシスコ講和条約発効後の1953年の台風2号(ジュディ台風)以降、日本国内では台風番号が導入された[34]

日本では、気象庁が毎年1月1日を区切りとして、台風が発生した順にこの台風番号を付けており、日本国内では通常はこの台風番号で呼ばれ[35]、マスメディアにおいては「台風○号」のような表現が一般的には使用される。例えば、「台風1号」はその年に発生した最初の台風を意味し、「台風10号」はその年の10番目に発生した台風を指す。ただし、このような人為的な区切りを考えずに気温海水温の推移から見ると、1月は季節的に前年の台風シーズンの延長上にあり、新たな台風シーズンの始まりは2月頃からであるといえる[6]。そのため、台風1号が1月に発生することは珍しくないが、これは前年の延長上とも見ることができるため、実質上は2月以降に発生した最初の台風が、その年の1番目に発生した台風ともいえる。例えば、前年の12月31日までの台風の発生数が29個で、翌年の1月に台風第1号が発生したと仮定すると、この台風1号は厳密には「前年の台風30号」ともいえることになり、2月以降に発生した最初の台風(この場合であれば第2号以降の番号の台風)が、実質的には「この年の台風1号」とも言い換えられる。とはいえ、現実的な使い道を考えれば、西暦年と台風シーズンとが一致していた方が便利であるため、台風シーズンは1月から12月までとなっている[6]。当年12月31日までに発生した台風は、発生した順番に番号を付けるが、翌年1月1日以降に発生した台風については、前年の12月31日までに発生した台風がまだ残っている場合であっても(越年台風)、リセットして1号から番号を付けることになっている。

気象庁では、台風番号について、情報文等においては元号年と組み合わせて表記し、天気図等においては西暦年の下2桁と組み合わせて表記している[36]。例えば、2015年の台風5号については、情報文等においては「平成27年台風第5号」のように表記するが、天気図等においては「台風1505号」「T1505」などのように表記される[34]。このように天気図等で使用される「西暦(2桁)+ 番号(2桁)」の4桁方式は簡潔であるため、世間でもよく使用されているが、この場合、周期性の問題が存在する[2]。例えば、「5915」は1959年の伊勢湾台風(台風15号)のことを指すが、これが将来的に、2059年に台風15号が発生した場合のことを考えると、混同が生じる。このような問題を避けるために、「西暦(4桁)+ 番号(2桁)」の6桁方式が使用される場合もある[2]。伊勢湾台風を6桁方式で表すと「195915」となり、2059年の台風15号が発生した場合の表記を「205915」とすれば区別ができる[2]。なお、民間では「台風第○号」の「第」を省略するとともに、特定する必要がない場合には年号も省略して「台風30号」のように2桁方式で呼ぶことも多い。

台風番号は、台風が発生すると直ちに割り振られるため、基本的に速報値による発生順に基づいている。そのため、事後解析により2つ以上の台風の台風番号と発生日時が逆転することがある。例えば、速報値では台風Bよりも早く発生したとされた台風Aが、事後解析により台風Bの方が先に発生していたと判明するケースがある。この場合、速報段階では台風Aの方が先に発生したことになっているため台風Bよりも小さい番号が付けられるが、実際にこのような逆転現象が起きたとしても、速報段階で割り振られた番号が後から変更されることはなく、最初に付けられた番号がそのまま使用される。このような逆転現象の実例として、2016年台風10号11号がある。この時、速報値では10号が8月19日21時に発生したとされていたが、事後解析で10号の発生日時が8月21日21時に修正され、速報値よりも2日後に変更されたため、20日9時に発生した11号の方が先に発生したことになった。しかし当然、逆転後もどちらの台風番号も変更されていない。

台風番号と発生日時が逆転した台風一覧[37]
台風A 台風B
台風 国際名 発生日時 台風 国際名 発生日時
1952 7号 Ivy 1952/08/05 09:00 8号 Jeanne 1952/08/05 03:00
1954 12号 June 1954/09/05 15:00 13号 Kathy 1954/09/01 09:00
1963 11号 Della 1963/08/25 21:00 12号 Elaine 1963/08/24 15:00
1965 17号 Lucy 1965/08/15 15:00 18号 Mary 1965/08/14 15:00
21号 Polly 1965/09/01 15:00 22号 Rose 1965/09/01 03:00
1969 12号 Flossie 1969/09/30 09:00 13号 Grace 1969/09/30 03:00
1990 12号 Yancy 1990/08/14 09:00 13号 Aka 1990/08/13 21:00
1992 13号 Nina 1992/08/19 21:00 14号 Lois 1992/08/19 15:00
1994 21号 Kinna 1994/09/06 09:00 22号 Joel 1994/09/06 03:00
1997 11号 Tina 1997/07/31 15:00 12号 Victor 1997/07/31 09:00
2000 15号 Bopha 2000/09/07 03:00 16号 Wukong 2000/09/06 09:00
2006 7号 Maria 2006/08/06 03:00 8号 Saomai 2006/08/05 21:00
2009 7号 Goni 2009/08/03 21:00 8号 Morakot 2009/08/03 09:00
2016 10号 Lionrock 2016/08/21 21:00 11号 Kompasu 2016/08/20 09:00
2021 10号 Mirinae 2021/08/05 15:00 11号 Nida 2021/08/04 09:00

発生した順番であるため、基本的に台風番号は整数で表されるが、過去には台風番号が小数になったこともある。終戦直後までは気象衛星観測がなかったため、次の台風が発生して命名した後から、事後解析により実は台風であったと判明する熱帯低気圧が存在したためである。例として、統計開始以前の1950年には、台風41号と42号の間において、42号より先に発生していた熱帯低気圧が、その後台風と判定されて「台風41.1号、41.2号」となった[38][39]。しかしこのような事例は、1951年に台風の統計が開始されてからは実例がない[40]

固有名

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特に災害の大きかった台風については、台風の上陸地点名や災害を起こした地名・湾名・川名・船名などをつけて呼ばれることがあり[5]、「室戸台風」や「伊勢湾台風」などがその典型例である。戦後、気象庁によって公式に命名された台風は以下の10個である。

気象庁命名台風
気象庁命名 名称 国際名
洞爺丸台風 昭和29年台風第15号 Marie 1954年
狩野川台風 昭和33年台風第22号 Ida 1958年
宮古島台風 昭和34年台風第14号 Sarah 1959年
伊勢湾台風 昭和34年台風第15号 Vera
第2室戸台風 昭和36年台風第18号 Nancy 1961年
第2宮古島台風 昭和41年台風第18号 Cora 1966年
第3宮古島台風 昭和43年台風第16号 Della 1968年
沖永良部台風 昭和52年台風第9号 Babe 1977年
令和元年房総半島台風 令和元年台風第15号 Faxai 2019年
令和元年東日本台風 令和元年台風第19号 Hagibis

このほか、気象庁が公式に命名したものではないが、以下のような台風は顕著な災害を引き起こしたため、著名な固有名で呼ばれる。

俗称

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気象庁が台風について命名していなくとも、マスメディアによる報道などで台風に俗称が用いられることがある。あくまで俗称であるため、正式な名称ではない。

著名なものとしては1960年の「五輪台風」がある。同年の8月23日15時から24日3時にかけて、台風14号15号16号17号・18号の5つの台風が同時に存在し、天気図上にまさに五輪マークのように並んだ(ただし実際の五輪マークとは上下逆である)。東京オリンピックを4年後にひかえ、さらに偶然にも、同年のローマオリンピック開催の直前(8月25日が開会式)というタイミングであったため[41]マスコミはこれを「五輪台風」と名付けて大きく報道した[42][41][43][44][45]

また、1991年の「りんご台風」も、台風の俗称としては有名である。これは、同年9月に日本列島に大きな被害を出した台風19号のことを指し、青森県ではこの台風によるりんごへの被害が大きかったことからこう呼ばれる。

フィリピン名

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PAGASAの熱帯低気圧監視エリア(このエリアに熱帯低気圧が発生もしくは進入した場合にフィリピン名が付けられる)

フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は、北太平洋で発生した熱帯低気圧(台風を含む)に対して、国際的に命名・使用される国際名(現アジア名)とは別に、独自のリストにある名称「フィリピン名」を命名しており、フィリピン国内では、このフィリピン名の方が、アジア名などの国際名よりも一般的に使用されている。例えば、2008年にフィリピンに大きな被害をもたらした台風6号については、現地ではアジア名の「フンシェン (Fengshen)」よりフィリピン名「フランク (Frank)」の方が広く使用された。

このフィリピン名は、各年ごとに使用される4つのリスト(AからZまでの頭文字を持つ26の名前)と、数が足りなくなった場合に使用する補助リスト(AUXILLIARY LIST)からなる。

フィリピン名は、PAGASAの監視エリア内で熱帯低気圧が発生した場合と、そのエリアに熱帯低気圧が進入した場合にのみ命名される。例えば、2016年台風14号は、アジア名は「ムーランティ(Meranti)」であるが、PAGASAにより「フェルディー(Ferdie)」というフィリピン名が付けられている。しかし、このようにフィリピン名が付けられる熱帯低気圧が、必ずしも「台風」の勢力に達しているとは限らない。そのため、「台風」に分類されておらずアジア名なども付けられていない熱帯低気圧が、フィリピン名だけは付けられるということも少なくない。例えば、2020年7月11日に発生した熱帯低気圧は、気象庁より「台風」と分類されずアジア名が付けられなかったと同時に、JTWCにより熱帯低気圧番号も付番されなかったが、PAGASAによって「カリーナ(Carina)」というフィリピン名が付けられている。

なお、アジア名など国際名と同様に、被害の規模が大きかった熱帯低気圧(台風)のフィリピン名は置き換えられる。例えば、2017年台風26号(フィリピン名:ウルドゥヤ / Urduja)と台風27号(フィリピン名:ヴィンタ / Vinta)は[46]、同じリストが次に使用される2021年には、「ウワン(Uwan)」と「ヴァービナ(Verbena)」にそれぞれ変更された[47]。また、2013年にフィリピンに甚大な被害をもたらした台風30号のフィリピン名「ヨランダ(Yolanda)」も、その後「ヤスミン(Yasmin)」というフィリピン名に置き換えられている。

フィリピン名のリスト

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PAGASAによる熱帯低気圧のフィリピン名[48]
1 2 3 4
2020

2024

2028

2032

2021

2025

2029

2033

2022

2026

2030

2034

2023

2027

2031

2035

AMBO (アンボ)

BUTCHOY (ブッチョイ)

CARINA (カリナ)

DINDO (ディンド)

ENTENG (エンテン)

FERDIE (フェルディー)

GENER (ヘネア)

HELEN(ヘレン)

IGME (イグメ)

JULIAN (ジュリアン)

KRISTINE (クリスチン)

LEON (レオン)

MARCE (マース)

NIKA (二カ)

OFEL (オフェル)

PEPITO (ペピト)

QUINTA (キーンタ)

ROLLY (ロリー)

SIONY (ジョニー)

TONYO (トニョー)

ULYSSES (ユリシース)

VICKY (ヴィキー)

WARREN (ワッレン)

YOYONG (ヨヨン)

ZOSIMO (ゾシモ)

AURING

BISING

CRISING

DANTE

EMONG

FABIAN

GORIO

HUANING

ISANG

JOLINA

KIKO

LANNIE

MARING

NANDO

ODETTE

PAOLO

QUEDAN

RAMIL

SALOME

TINO

UWAN

VERBENA

WILMA

YASMIN

ZORAIDA

AGATON

BASYANG

CALOY

DOMENG

ESTER

FLORITA

GARDO

HENRY

INDAY

JOSIE

KARDING

LUIS

MAYMAY

NENENG

OBET

PAENG

QUEENIE

ROSAL

SAMUEL

TIOMAS

UMBERTO

VENUS

WILMA

YAYANG

ZENY

AMANG

BETTY

CHEDENG

DODONG

EGAY

FALCON

GORING

HANNA

INENG

JENNY

KABAYAN

LIWAYWAY

MARILYN

NIMFA

ONYOK

PERLA

QUIEL

RAMON

SARAH

TAMARAW

UGONG

VIRING

WENG

YOYOY

ZIGZAG

補助リスト (AUXILLIARY LIST) [49]
1 2 3 4
ALAMID

BRUNO

CONCHING

DOLOR

ERNIE

FLORANTE

GERARDO

HERNAN

ISKO

JEROME

ALAKDAN

BALDO

CLARA

DENCIO

ESTONG

FELIPE

GOMER

HELING

ISMAEL

JULIO

AGILA

BAGWIS

CHITO

DIEGO

ELENA

FELINO

GUNDING

HARRIET

INDANG

JESSA

ABE

BERTO

CHARO

DADO

ESTOY

FELION

GENING

HERMAN

IRMA

JAIME

各国の台風の呼称方法

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方法
日本の旗 日本 番号方式(台風番号)のみ [40]
フィリピンの旗 フィリピン フィリピン国内のみで通用する独自のリスト方式(フィリピン名)
中華人民共和国の旗 中国 番号方式からリスト方式に移行中とも言われるが詳細不明
大韓民国の旗 韓国 リスト方式が主
中華民国の旗 台湾 リスト方式のみ
 ベトナム ベトナム周辺のみで数える独自の番号方式とリスト方式を併用
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 リスト方式のみ

関連項目

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外部リンク

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注釈

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  1. ^ ただし、第52回台風委員会は新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で委員会が一時中断され、7月10日に行われた第二回ビデオミーティングにて、新しい名前がその場で公開された。また、この臨時で開催されたビデオミーティングで新たに「イートゥー(Yutu)」が引退リストに加えられた。

出典

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  2. ^ a b c d e f g h i j k デジタル台風:台風の名前(アジア名)”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年7月9日閲覧。
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  6. ^ a b c d バイオウェザー・お天気豆知識”. www.bioweather.net. 2020年8月2日閲覧。
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  13. ^ a b c 「台風物語」(日本気象協会)
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