マツ

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マツ属
Pinus densiflora Kumgangsan.jpg
アカマツ Pinus densiflora
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: マツ科 Pinaceae
: マツ属 Pinus
学名
Pinus L.
和名
マツ属
  • 本文参照

マツ属(マツぞく、学名Pinus)は、マツ科の一つ。マツ科のタイプ属である。

分布[編集]

マツ属植物の分布範囲

マツ属の天然分布は赤道直下のインドネシアから、北はロシアカナダの北極圏に至り、ほぼ北半球に限られるといってよい。これは針葉樹としては最も広い範囲に当たる。温度の適性が広いことが一因としてあげられており、亜熱帯や熱帯に分布する種でも摂氏-10度程度の低温・組織の凍結には堪えて生存するという[1]。現在では植栽の結果南半球でも見られ、オーストラリアニュージーランド、アフリカ諸国で大規模に植栽されているラジアータマツ (P. radiata) が特に有名。

化石の研究によれば、マツ属は比較的古い時代に登場したとされ、現生種の多様性は進化してきた年月の長さによるものとされている[2]

形態[編集]

マツ属に含まれるものは、前述の通りにいずれも木本であり、草本は含まれない。樹高は10 m未満のものから、大きいものでは40ないしは50 mに達する種もある。アメリカ合衆国西部に分布するサトウマツPinus lambertiana)やポンデローサマツ(P. ponderosa) では樹高80 mを超える個体も報告されている。

樹木の樹形は環境に左右されるが、マツ属の樹形は同じマツ科に属するモミ属やトウヒ属のそれに比べるとより環境の影響を受けやすく不定である。苗木のうちは綺麗なクリスマスツリー状の円錐形だが、大きくなるにつれて先端は鈍く丸まり広葉樹の様な外観になるものも多い。高山に生育する種では上に伸びず匍匐状に横に広がるものも知られる。わが国ではマツの樹形を整えるテクニックとして春先に新芽を摘み取る「みどり摘み」や秋に行う「もみ上げ」と呼ばれる方法が知られる。

枝は同じ高さから四方八方に伸びる(輪生)、これは苗木でも成木でも変わらないが、前述のように樹形が崩れた老木の太い枝ではよくわからないことがある。主軸(幹として上に伸びる枝)、枝(横にのびる枝)共に先端に数個の冬芽を付け、夏から秋にかけて膨らんでよく目立つ。翌年の春にはこれらの内の一つが幹に他が枝になる。冬芽の大きさ、色や毛の生え具合は種を区別する上で大切な情報である。

成木の樹皮は他の針葉樹に比べて厚く発達し、亀甲状に大きく割れるものが多い。しかし、多くの種の幼木時代、また一部の種では成木でも滑らかであるか、モミやトウヒの様に薄く鱗状にはがれるに留まる。色は一般に褐色で、黒っぽいもの、赤っぽいもの、灰色っぽいものなど様々である。

マツの葉は子葉初生葉鱗片葉尋常葉(針葉)の4種類に分けることが出来る。このうち、私たちが普段目にするのは尋常葉(針葉)と鱗片葉のみであり、子葉と初生葉は発芽直後のみ見られる。鱗片葉は葉に見えず、以下、「葉」と言った場合には特に断りの無い限り、私たちが普段使うどおりの尋常葉(針葉)を指す。

  • 子葉
胚において形成されており発芽後に最初に開く葉。後述のようにマツの葉は種類によって葉中の維管束の数が違うことが知られているが、子葉においてはいずれの種でも維管束は一つだという[3]。他のマツ科植物と同じく子葉は3枚以上出てくる多子葉植物である。
  • 初生葉
子葉の次に出現する葉であり、縁には鋸歯を有する。
  • 鱗片葉
枝(長枝)を埋め尽くすように生えている三角形の鱗の様なもの、一見すると葉に見えないが葉の一種だという。マツ属を表す特徴の一つ。
  • 尋常葉
短枝と呼ばれる枝の一種に数枚が束生する。いくつかの例外を除き1本の短枝に束生する葉を全部集めると断面は円形になる。すなわち2葉のマツならば個々の葉の断面は中心角が180度の扇形、5葉のマツのそれは中心角72度の扇形になる。

葉はベトナムに分布するP. krempfiiという例外を除いて、細く針のようになっている。葉の長さにも色々あり、僅か3 - 4 cmのバンクスマツ P. banksianaから40cmを超えるようなダイオウマツP. palustris) やヒマラヤマツ(P. roxburghii)に至るまで様々なものがある。一般に温暖な地域に分布するものの方が葉の成長期間が長く、長い葉を持つ傾向にあるという[4]

マツ属の葉は短枝と呼ばれる枝の一種に数枚が束になってつく。その数は個体内での多少の差はあるものの2枚、3枚ないしは5枚が束になって生えていることが多く、種によってその数は決まっている。日本では2葉のアカマツP. densiflora)やクロマツP. thunbergii)、5葉のヒメコマツチョウセンゴヨウP. koraiensis)が知られている。3葉のマツは、アメリカ大陸を中心に分布しテーダマツP. taeda)やダイオウマツP. palustris)などが知られている。日本には3葉のマツは自生していないものの、化石の研究からオオミツバマツ(P. trifolia)と名付けられた種が分布していたことが確認されている。

葉の数による分類は直感的で非常に分かりやすい方法であり、両者には葉の数以外にも多数の違いがあること、遺伝的にも交雑出来ないことから、分類学的にも古くから認められていた方法である。

さらに、葉の断面を顕微鏡で観察すると維管束が見える。その数は2葉・3葉のマツと5葉のマツで異なるという特徴もよく知られており、一般に2葉・3葉のマツは2つの維管束を持つことから複維管束亜属(Dipxylon)、5葉のマツは1つの維管束しかないことから単維管束亜属(Hapxylon)とされてきた。しかしながら、北米やアジアに分布する一部の種は維管束は1つであるが、葉の数は2枚ないしは3枚であり、両者の中庸の形態を持つ。

マツの花は雌雄同株[注釈 1]である。雌花は枝の先端に作られて、小さな球果の形をしている。雄花は枝の根元に作られ、小さなラグビーボールが多数集まった様相を呈すものが多く、色は黄色から赤色までさまざまである。風媒花であり雄花で作られた花粉は風で、雌花に運ばれて受粉する。

雌花は球花(英語:female cone)などとも呼ばれ、概ね成熟した球果の縮小形をしている。色は赤っぽいものが多い。

マツの球果(松かさ)は鱗片状のもの(種鱗)が集まった形状である。この球果についても形や大きさ、個々の鱗片状の凹凸の状態、表面の棘の有無、熟した時の色合いなどに違いが見られる。形や硬さについても色々あり、2葉・3葉のマツの多くの球果は卵型で硬く種鱗を剥がすのは素手では困難であるが、5葉のマツの球果は細長い円筒形(カプセル型)で比較的軟らかく素手でも容易に分解できるものが多い。ただし、例外もある。

球果と枝とを結ぶ柄(果柄)についても長いものから短いものまでいろいろある。球果が樹上から落ちる際には果柄と球果実の間、もしくは枝と果柄の間に離層が形成されることが条件であるが、どちらに形成されるのかという違いもある。前者の場合、さらに一部の種では球果の種鱗数枚を果柄に残したまま落果するものもあるという。なお、種類によっては離層が形成されにくく、樹上に何年にもわたって球果が残るものもある。また、球果が開く条件は乾燥によるものが多いが、中には火災による高温や動物による摂食や球果の腐敗が条件の種もある。

種子は一般に風散布型で翼を持つが一部持たないものがある。また、翼のあるものであってもその大きさは色々である。特に種子に付く翼の付き方で分類する方法も古くから知られており、葉の維管束だけでなくこれでも2・3葉のマツと5葉のマツをほぼ綺麗に分けられることが知られている。一般に2・3葉のマツは翼と種子を綺麗に分離出来るが、5葉のマツは翼の組織が種子内部に入り込んでおり綺麗に分離出来ない。

生態[編集]

アカマツやクロマツなどといった温帯地域のマツは一般に春から初夏にかけて主軸と枝が一節ずつ伸びて(俗に「みどり」と言われる部分)、夏には成長を止める成長様式を見せるものが多い。しかしながら、特に亜熱帯や熱帯に分布する種類では1年間に多節成長するものがある[4]

バンクスマツ(P. banksiana)やリギダマツ(P. rigida)早い種類では発芽後数年で花を付け始め、特に雌花の形成が早いという[5]。マツ類は雌花において受粉した後に、胚珠が受精完了するまでの期間が長く、翌年の春から夏になって受精に至る。受精後に球果は急激に成長し同年の秋には熟すというパターンが多い。例外的にメキシコに分布するP. nelsoniiは受粉後に年内に受精し球果が成長を始める他、イタリアカサマツP. pinea)のようにさらに1年かかり、受粉後3年目の秋に球果の成熟を迎える種もある[6]。 球果が開くタイミングは種によって異なる。アカマツやクロマツは種子が成熟すると、すぐに種鱗が開くようになり湿度に応じて開閉を繰り返す。一方で成熟後数年間開かない、もしくは好適な条件下にならないと開かない(晩生球果、serotinous coneなどと呼ばれる)仕組みを持つものもあり、特に火災時に種を散らす仕組みを持つものが多い。また、チョウセンゴヨウやP. cembraなどのように樹上からは落果するものの自然には決して開かず、動物による摂食、もしくは球果が腐敗することによって種子の散布、発芽へとつながる種もある。

陽樹であり、遷移が未発達の厳しい場所に生えるというイメージが強いが、チョウセンゴヨウP. koraiensis) のように動物による種子散布を期待する種は実際に動物が生息するようなある程度遷移の進んだ森林においても苗が成長する。一方で火災によって種子を散布するような種は極めて耐陰性や耐病性が低く、遷移の進んだ状態では更新できないものが多い。厳しい環境下でも生育できるようにマツ属は自身の根に菌類の菌糸を侵入させた、特別な根である菌根を形成する。マツは菌類を通じて土壌中の栄養分や水分の吸収を助けてもらっており、逆に菌類に対しては光合成によって得られた同化産物を分け与えているという共生関係にある[7]。マツと共生して菌根を形成する菌類は多数知られている。「キノコ」として我々が利用できる種も多く、わが国ではマツタケ(松茸)、ショウロ(松露)、アミタケなどが特に有名。

マツは様々な動物に利用される。昆虫に対しては餌や隠れ家を提供する。葉は蛾の幼虫やハバチ、樹液はアブラムシカイガラムシ、木材はカミキリムシゾウムシキクイムシやキバチなどの餌として利用される。球果に侵入して中の種子を食べる昆虫もいる。これらのマツに集まる昆虫を目当てにサシガメなどの肉食性昆虫、アリや寄生蜂なども集まってくる。鳥や獣に対しては営巣場所を提供する。カートランドアメリカムシクイSetophaga kirtlandii)とバンクスマツ(P. banksiana)のように密接な関係を持つものから、何種もの木の中からマツ類を営巣場所に選ぶと言った程度のものまで様々である。また、種子は餌として利用され、特に一部のマツでは顕著である。マツの方でも動物を利用して種子の散布を計ろうとするものが知られている。

微生物や菌類にもマツを利用して生きていく種は多い。前述のように菌類には菌根を形成してマツと共生関係を築くものもある。一方でマツに一方的に被害を与える微生物も多い。何種ものサビキン類やある種の線虫、菌類であってもマツノネクチタケ類ツチクラゲナラタケ類Armillaria sp.)などは一方的にマツの生体を攻撃して時に枯死させる。

マツを利用する動物の中には菌類や微生物の中には移動能力に乏しく動物を利用するものが知られている。逆に菌類や微生物によって衰弱したマツを昆虫が利用するということも知られており、両者は共生関係にあるとも言える。例えば我が国のマツに大きな被害を与えているマツ材線虫病はマツノザイセンチュウによって引き起こされる病気である。この病原の媒介者であるマツノマダラカミキリは、健全なマツよりも衰弱しているマツに好んで産卵する。線虫の感染によって材線虫病を発症し、衰弱したマツにカミキリは産卵、センチュウはカミキリが羽化する際にカミキリと共に次のマツへと移る。カミキリは線虫の病原性によって産卵場所の増加が、線虫はカミキリによって分布の拡大が利益になる。オーストラリアニュージーランドで大きな被害を出したノクチリオキバチSirex noctilio)の場合も同様の関係があるが、共生菌はマツを衰弱させるだけでなく、キバチの幼虫の餌としても利用される。キクイムシの仲間も同様の関係を持つものが多い。、

更新は一般に実生による。萌芽更新や伏条更新[注釈 2]といった栄養繁殖は多くの種類では一般に行わない。ただし、火災が頻発するような地域に分布する一部の種は萌芽力が発達しており、火災で焼損しても枯死せずに萌芽で再生することがある。また、ハイマツ (P. pumila)のように伏条更新を行うものも知られている。

人工的に繁殖させる場合、挿し木接ぎ木による繁殖も考えられる。しかし、マツ類は接ぎ木はともかく、挿し木が困難なグループとして昔から知られている[8]。特に挿し穂を採取する母樹の樹齢が高い場合は極めて発根しにくいという報告が多い。挿し木の一種として、挿し穂として長枝ではなく、短枝を使う方法もありハタバザシ(葉束挿し)と呼ばれる。発根はするものの、地上部が成長せずに結局枯れるなどという報告もあるが、地上部の成長に成功している場合もある[9]

マツは五葉マツ類発疹さび病やマツ材線虫病といった世界的に流行している病害への対策や、他の優良形質の固定も含めて、接ぎ木よりも効率的なクローン技術である挿し木の研究が古くから研究されてきた。前述のように若い個体は発根率が良いことが知られている。しかしながら、若い個体は挿し穂に出来る枝が少ないことから優良個体を量産するには課題があった。近年、植物ホルモンの一種、サイトカイニンを投与することでマツの不定芽を活性化され、若い個体でも多数の挿し穂を確保できる技術が開発され、これを利用した挿し木量産技術が確立されつつある。わが国ではこれをマツ材線虫病の抵抗性育種に応用することが考えられており、抵抗性の親木から得られた実生苗に病原であるマツノザイセンチュウを接種、接種試験によって枯死しなかった苗にサイトカイニンを投与して、材線虫病抵抗性の挿し穂・挿し木苗を量産することが考えられている。

名前・方言名[編集]

マツ(松)の由来は、「(神を)待つ」、「(神を)祀る」や「(緑を)保つ」が転じて出来たものであるなど諸説ある。後述のように東アジア圏では神の下りてくる樹や不老不死の象徴として珍重されることを考えると「待つ」から転じたという説がいかにもそれらしい。英語ではpineと呼ばれ、これはラテン語のpinus(この属の名前としても使われている)に由来する。ラテン語のpinusの由来はタール状のものを指すと言う。さらにラテン語pinusの由来はギリシア神話に出てくる妖精ピテュス(Πιτυς、Pitys)が由来という説もある。ピテュスは牧羊神パーンから追われた時、松に変身して逃げたという。

和名ではマツ属で無い樹木にも「マツ(松)」の名が充てられることがあり、以下にその例を示す。いずれも針葉樹であるが、マツ属ではない。

漢字表記は椴松。モミ属Abies)に属する。
漢字表記は蝦夷松。トウヒ属Picea)に属する。
漢字表記は落葉松で、その名の通り冬に落葉する珍しい針葉樹。カラマツ属Larix)に属する。
漢字表記は落羽松。これも冬に落葉する針葉樹。スギ科に属し、マツとは科単位で異なる。湿地でも生育できることからヌマスギ(沼杉)の別名を持つ。
漢字表記は米松。トガサワラ属Pseudotsuga)に属する。由来はアメリカ(米国)原産であることから、アメリカでもDouglas fir(ダグラスのモミ)、Oregon pine(オレゴンのマツ)などと呼ばれているが、マツでもモミでもない。

また、マツの形態的特徴(鋭い葉)に由来したマツバギク(松葉菊、Lampranthus spectabilis)やマツバボタン(松葉牡丹、Portulaca grandiflora)などの和名を持つものが、草本植物にも見られるが、もちろんこれらはマツではない。

人間との関わり[編集]

景観[編集]

種類にもよるが、他の樹木が生えないような岩や砂だらけの荒地でもよく育つ。霧に包まれた険しい岩山に生えるマツは仙人の住む世界(仙境)のような世界を演出し、特に中国の黄山華山の光景は見事である。海岸地帯においても時に優先種となり、白い砂と青々としたマツの樹冠の対比の美しさは白砂青松などと呼ばれる。これは特に日本で親しまれており松島天橋立桂浜虹ノ松原などが有名。

街路樹としても用いられ、並木道を作り出すこともある。厳しい環境でも育つために砂漠や荒地の緑化用として使われる種もある。日本の白砂青松の名所の中には元々は草本しか生えていなかった、もしくはクスノキタブノキなどの極相林が成立していたところを極相種の伐採利用と飛砂防止などでクロマツの植栽の結果成立したと見られるところも多い。

庭木や庭園樹などとしても世界的に親しまれている。後述の通りマツは種類が多く、葉が垂れる種、樹皮の色や割れ方が特徴的な種などが自然にそろっている。もちろん、葉に模様が入る改良品種なども植えられる。日本庭園のマツは害虫駆除のためのこも巻き、さらに積雪地では雪の重みによる折損防止のための雪吊された姿を秋から春にかけて見せることが多い。鉢に植えて盆栽として楽しむにも人気の樹種である。 厚い樹皮(bark)がバークチップとして用いられることがある。樹皮(バーク)を発酵させて炭素率を低くし堆肥化させたバーク堆肥は、土壌改良材として使用される。ただし、これはマツだけでなく他の樹種も用いられる。

木材[編集]

二・三葉松類と五葉松類でやや性質が異なっており、二・三葉松類の材は一般にやや黄色みを帯びており硬いことから、英語ではhard pine (硬いマツ)やyellow pine(黄色いマツ)などと称される。これに対して五葉松類は白く柔らかいことから、white pine(白いマツ)やsoft pine(軟らかいマツ)と呼ばれる。比重も二葉松類が0.55程度に対して、五葉松類は0.45程度とやや軽いことが多い。

木造建築などにも用いられるが、一般にスギやヒノキと比べて耐腐朽性に劣るとされており使いどころを選ぶ。一般に二葉松は建材として柱やに用い、より軟らかい五葉松類の材は水道用木管、木型、曲物、塗物の下地など柱と比べて高度な加工が必要なものに用いられるという[10]。樹脂が多く心材色の濃いものは肥松(こえまつ)と呼ばれて珍重され、羽目板や床の間など直接目に触れる箇所に使われるという[11]

かつては鉄道枕木としても使われていた[12]、日本の場合防腐処理をしない場合の寿命は3-5年だと言い、耐朽性のあるクリ(7-9年)などと比べると半分程度の寿命しかない[12]

木材輸入の自由化、スギ林の放棄、防腐・加工技術の進展などで外国からの輸入は増えている。英語でマツを指すpineに因んでpine材と呼ばれることも多い。これはヨーロッパからの輸入住宅のフローリングなどに使われている場合は、ヨーロッパアカマツP. sylvestris)を指していることが多い。 北米からの輸入の場合は、2×4建築の構造材やホームセンターに部材として販売されているカナダ産の白っぽい木肌のSPF材、これは特にコントルタマツ(P. contorta)が多いとされる。また、ボウリング場のレーンなどはアメリカ産の黄色っぽい木肌のSouthan Yellow Pine(SYP、一般にSYPはテーダマツ、ダイオウマツ、エキナタマツ、スラッシュマツ等複数の種を含む)を指す場合もある。他の北米産としては家具用としてポンデローサマツ(P. ponderosa)なども入ってきているようである。北米産のものは「米松(べいまつ)」、国産のものは「地松(ぢまつ)」と総称することもある。

また、ニュージーランドは北米産のマツ、特にラジアータマツP. radiata)に頼る林業を行っていることで有名で、ここから輸入される材はほぼこれに限られる。

燃料[編集]

他の木材と比べ可燃性の樹脂を多く含み、マッチ1本で着火できるため以前は焚き付けに用いられた。分離した樹脂である松脂もよく燃える燃料として使用された。第二次世界大戦中の日本では、掘り出した根から松脂を採取、松根油を採取し、航空機の燃料に用いようとしたことがある。

他の木材と比較し単位重量当りの燃焼熱量が高いことから、陶磁器を焼き上げる登り窯や金属加工の鍛冶用の炭として珍重される[10]。特にマツ材を急激に炭化させた松炭は熱量が多く鍛冶用の炭として適する[10]たいまつが漢字で「松明」と書くこともあるように明かりとしても重要であった。

また、マツを燃やした際に出る煤を集めて固めるとを作ることが出来る、これは松煙墨と呼ばれる。また、原理は不明だが、明治時代に発行された書物では油紙に墨で文字を書くとき、青い松葉を数本水に浸した水で墨をすったもので書くとよい[13]、とされている。

食用・薬用[編集]

マツの種子は一般に無害であり松の実と呼ばれ多くの種で食用となる。特にチョウセンゴヨウ(P. koraiensis)やその近縁種、イタリアカサマツ(P. pinea)、北アメリカ西部に生える英名Pinyon Pinesと呼ばれるグループの種子は大きく経済的価値が高い。

また、フランスカイガンショウP. pinstar)の樹皮から抽出されるピクノジェノールPycnogenol)を多く含むエキスは、サプリメントに利用されている。

ジンの香りづけのネズミサシ、杉樽で作る日本酒のようにマツ類も香料としての利用がされる。中国の紅茶正山小種は、タイワンアカマツなどの木材や樹皮でいぶして独特の香りを付けて作られる。韓国には「松餅(송편ソンピョン)」と呼ばれる松の香りを付けた蒸し餅が作られており、秋夕、いわゆるお盆の時期に食べる風習があるという。 マツ類の若葉を砂糖水中に浸しておくと、葉に付着している細菌が炭酸ガスを発生させサイダーになる。サイダー自体への香りづけした飲料も日本や韓国で見られる。葉を煮出してとして飲むのは洋の東西問わずに見られ、英語ではpine tea やtallstruntと呼ばれる。

樹脂である松脂も香料として使うこともあり、フランスなどではマツの香りのするが作られており、ギリシャではレッチーナ(Retsina、ギリシア文字:Ρετσίνα)と呼ばれる着香ワインが作られている。Retsinaはワインを発酵させるが発明される前からあり、松脂はアンフォラと呼ばれる壺に入れられたブドウ果汁が酸化しないようにふたの役目をしたという。

また、マツを直接食べるわけでないが、マツ林に生えるキノコは多く、中には食用になる種もある。キノコの中にはマツの根とキノコの菌糸が結び付きマツと栄養のやり取りを行う種もあり、これらのキノコを食べることは間接的にマツを食べているとも言える。我が国ではその名にもマツ(松)が入るもマツタケ(松茸)やショウロ(松露)といった種が特に有名。マツと共生関係を結ぶ種は多く複数の科に渡って知られる。

樹脂[編集]

マツの樹脂松脂(まつやに)と呼ばれる。樹木の樹脂は樹脂道という特殊な組織で生産され、昆虫や病原菌から植物を守る。マツ類は他の針葉樹に比べて樹脂道を多く持ち、枝や葉を折るだけでも多量に滲み出る。Strobus亜属の種では球果にも多量にこびり付くことが多い。生成当初は透明から淡黄色で流動性に富むが、揮発成分が減少するにつれ粘り気が増え固化し、色も酸化によって黄色や茶色に変わる。

松脂はテルペン等の揮発成分を大量に含み水には溶けない。松脂の揮発成分は特有の芳香があり前述のように香料に利用されることもある。また、松脂を蒸留するとロジンテレピン油ピッチなどの成分が得られ、燃料粘着剤生薬香料滑り止めの添加剤などに用いられる。ロジンは、マツの根などからも得ることができる。詳細はロジンテレピン油を参照。

経済的な採取は幹に切り込みを入れる方法で行われ、現在は中国などのアジアを中心に行われる。マツの他にも針葉樹を中心に多くの樹種で樹脂は利用されるが、マツ類に比べて滲出量が少なく世界的に広く利用される種は無い。

文化[編集]

象徴[編集]

東アジア圏では、冬でも青々とした葉を付ける松は不老長寿の象徴とされ、同じく冬でも青い、冬に花を咲かせると合わせて中国では「歳寒三友」、日本では「松竹梅」と呼ばれおめでたい樹とされる。また、魔除けや神が降りてくる樹としても珍重され、正月に家の門に飾る門松には神を出迎えるという意味があるという。

イタリアではマツを珍重するという。ちなみにドイツでは同じマツ科でもモミ属の木を不死や魔除けの象徴として珍重する。クリスマスツリーは一般にモミ属を使うが、これもドイツ発祥の風習だと言われる。しかし、モミ属はマツ属に比べて分布域が限られるために、入手の難しい北欧、イギリス、アメリカ南部、オセアニアなどではマツ属の樹木を使うこともあるという。ドイツ国内にはモミを町の紋章とする自治体が多いが、イタリアに近いドイツ南部の町アウクスブルク(Augsburg)の紋章はマツの球果(松かさ)である。

芸能[編集]

能舞台には背景として必ず描かれており(松羽目)、 歌舞伎でも能、狂言から取材した演目の多くでこれを使い、それらを「松羽目物」というなど、日本の文化を象徴する樹木ともなっている。松に係わる伝説も多く、羽衣伝説など様々ある。

松は日本や中国の貴族の位の一つである「大夫」と繋がりがある。これは始皇帝が雨宿りに使った松にの爵位を授けたことに因み、大夫を「松の位」とも言う。後世では貴族の位よりも遊女の最高位である大夫すなわち太夫(たゆう)を指すことで知られるようになった。遊女を太夫と称するのは、古くに猿楽能楽)を遊女が演じた時、座を率いる主だった者が本来五位の通称であった大夫(太夫)を男の能楽師に倣って称したことが始まりだという。邦楽の曲中ではしばしば「松」が松の位の遊女を連想・暗示させるような表現をとっているものがある。

苗字・地名[編集]

松の字を使った苗字や地名は日本産樹木では杉と共に比較的目にすることが多い。

遊び[編集]

日本の子供の遊びにV字型の二葉のマツの葉を2つ組み合わせ、二人で互いに引いて遊ぶ遊びがあり松葉相撲などと呼ばれる。根元部分(袴や鞘)と呼ばれる部分を引き裂かれた方が負けである。似たような遊びをする植物にスミレ類やオオバコなどが良く知られる。球果は松かさや松ぼっくりと称され工作に使われる。

松は和歌にも古来より取り上げられている。特に古くは「子の日の小松引き」(新年最初の子の日に小さいマツを根ごと引き抜いてくる)という行事にあわせて和歌を詠むことがあり、それらの和歌が残る。また高砂の松、尾上の松などが歌枕として詠まれ、特に高砂の松はのちに謡曲高砂』の題材とされ名高い。

  • ときはなる まつのみどりも はるくれば いまひとしほの いろまさりけり(『古今和歌集』巻第一・春歌上 源宗于
  • たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに(同上巻第十七・雑上 藤原興風
  • ちとせまで かぎれるまつも けふよりは きみにひかれて よろづよやへん(『拾遺和歌集』巻第一・春 大中臣能宣
  • 『高砂』(謡曲)
  • 『老松』(同上)
  • 『末の松』(箏曲
  • 『松づくし』(上方唄端唄)(地歌箏曲)作曲者不詳
  • 『松尽し』(地歌、箏曲)藤永検校作曲
  • 『松風』(地歌、箏曲)岸野次郎三作曲
  • 『新松尽し』(地歌、箏曲)松浦検校作曲
  • 『松の寿』(地歌、箏曲)在原勾当作曲
  • 松竹梅』(地歌、箏曲)三ツ橋勾当作曲
  • 『根曵の松』(地歌、箏曲)三ツ橋勾当作曲
  • 『老松』(地歌、箏曲)松浦検校作曲
  • 『尾上の松』(地歌、箏曲)作曲者不詳、宮城道雄箏手付
  • 『松の栄』(地歌、箏曲)菊塚検校作曲
  • 『松風』(山田流箏曲)山田検校作曲
  • 『松の栄』(山田流箏曲)二世山登検校作曲
  • 老松』(長唄)杵屋六三郎作曲
  • 『松の緑』(長唄)四世杵屋六三郎作曲
  • 『松襲』(一中節)初代菅野序遊作曲
  • 『松の羽衣』(一中節)
  • 『老松』(常磐津)初世常磐津文字太夫作曲
  • 『老松』(清元)富本豊前掾作曲
  • 『老松』(地歌、箏曲)菊岡検校作曲
  • 『松』(箏曲)宮城道雄作曲
  • ローマの松』(交響詩)レスピーギ作曲

世界のマツ属植物[編集]

以下、世界のマツを列挙する。なお、研究者によって分類に多少の相違がある。やや古いが書籍としてまとまっているもので特に有名なものにMirov(1967)[14]があるので興味がある方はそちらも参考にされたい。

Pinus 亜属[編集]

一般に二葉松と呼ばれるグループである。針葉は二葉ないし、アメリカ大陸には三葉のものも多い。葉断面を観察すると維管束が二つあることから複維管束亜属と呼ばれることも多い。樹皮はstorobus亜属やDucampopinus亜属に比べるとよく発達し、派手に裂けるのが一般的。火災発生後や荒れ地でいち早く成長するものが多く、先駆種としてのマツのイメージのあるグループ。

Pinus[編集]

Pinus 亜節[編集]

アカマツやクロマツなどの日本でなじみの深いマツを含むグループ。針葉は2葉。大半がユーラシア地域に分布し、アメリカ大陸に分布するものは僅かである

  • P. densata
中国南西部の雲南省青海省の山岳地帯に分布。樹高は10-15m程と小型で針葉は2葉、中国名は「高山松」
朝鮮半島と日本に分布。樹高30m程度の中型種。名前の通り樹皮は赤茶色で針葉は2葉で軟らかい。主に防災機能を重視されるクロマツに対して、木材生産を目的とした植栽も多い種。アメリカからの侵入病害であるマツ材線虫病(松くい虫)に弱い[15]。マツタケの採れるマツとしても有名。種小名densifloraは「密集した花」の意味。
  • P. fragilissima
  • P. heldreichii
ヨーロッパのバルカン半島の標高1500 -2000mの山岳地帯に分布。樹高は30mを超えることもある。若い球果は青紫色を呈する。樹皮はうろこ状に細かく割れ、ドイツ語名Schlangenhaut-Kieferは「蛇革のような松」の意味、種小名はドイツ人植物学者にちなむ。
  • P. henryi
中国西部の山岳地帯に分布。
  • P. hwangshanensis
  • カシヤマツ[16] P. kesiya
 インドシナ半島一帯を原産とする。樹高は30mに達する大型種で針葉は3葉、幹はやや赤みを帯びておりうろこ状に大きく割れる。本種だけの純林を作ることは少なく、広葉樹に混じって生えることが多いという。林業用樹種として優秀で南米やアフリカにも移入されている。
南西諸島、いわゆる沖縄地区原産。沖縄ではマーチ、マチなどと呼ばれる。樹高25mに達する。樹皮の色はクロマツに、葉の軟らかさなどはアカマツに似る。葉の長さは最大20cmに達し、日本産種では長め。マツ材線虫病に弱い。種小名は沖縄の古い呼び名「琉球」に由来。球果は受粉2年後の秋に熟す[17]珍しい種。
 秦嶺山脈以南の中国各地からベトナム、台湾にかけて分布。樹高40mに達する大型種で針葉は2葉。漢字では馬尾松と書き、その名の通り生枝の先が馬の尾を思わせる形。中国のマツ類の中では大型になるため治山だけではなく木材採取などの経済目的での植林も盛ん。
ムゴマツと呼ばれることもある。日本で言うハイマツに相当する地位を占める種でヨーロッパの高山に分布。
  • P. nigra
 種小名nigraは黒色を意味するnigerに由来。
アメリカ合衆国東部・カナダ原産。針葉は2葉でアメリカ大陸のマツとしては非常に珍しく、他にP. tropicalisが知られるのみ。英名はRed Pine(赤いマツ)でその名の通り、樹皮の赤みが強い。種小名resinosaは樹脂のあるの意味[18]
オウシュウアカマツ(欧州赤松)とも呼ばれる。学名のsylvestrisは森林に分布を意味する。ヨーロッパからシベリアにかけての広い範囲に分布し地方名も多い。
中国原産で中国語では「油松」と呼ぶことから、和名でもこの名前で呼ぶことがある。他にマンシュウクロマツ、マンシュウアカマツなどの表記もあるがはっきりとしない。乾燥地での緑化等に使われる。種小名は「テーブルの様な形の」の意味[18]
  • ニイタカアカマツ[16] P. taiwanensis
台湾の標高600 -3000mの山岳地帯に分布。
日本原産。樹高30m程度の中型種。樹皮はアカマツよりも赤みの無い茶色。針葉は2葉でアカマツよりも太く長く硬い。沿岸部の防風・防砂のために江戸時代から植栽された記録が残る。アカマツに比べて耐塩生は高いという報告が多い[19]。このため海岸のマツと言うイメージがあるが、三陸海岸のようにアカマツの方が優勢な地域や北海道の海岸のようにマツ類ではなく、広葉樹のカシワ(Quercus dentata)を用いる地域もある。マツ材線虫病(松喰い虫)には非常に弱く[15]、アカマツ以上に弱いという報告が多い。
  • P. tropicalis
カリブ海に浮かぶキューバ島に分布。アメリカ大陸ではpinus亜節は珍しく、本種のほかにはP. resinosaが知られるのみ。分布域は広葉樹が優勢な熱帯ではあるが、酸性貧栄養の土壌では本種が優占種となり独自の生態系を形成するという。
  • P. yunnanensis
中国西部に分布、種小名は中国の地名である雲南に由来。樹高30mに達するという、針葉は三葉。中国名は雲南松や長毛松。

Pinea[編集]

いずれも地中海沿岸に分布

Pineae 亜節[編集]
カサマツとも呼ばれ、傘を広げたような石を掲げたような独特の樹形になる。球果は受粉の翌年から成長を始めるものの、その年には熟さずに受粉から3年目に熟す。大きな種子は翼を持たず、食用でイタリアではパスタのソースなどに使う。種小名pineaはマツの意味。
Pinaster亜節[編集]
  • P. brutia
  • P. canariensis
北アフリカのモロッコ沖に浮かぶカナリア諸島に分布し、種小名もここから来ている。現地は降水量が年間300mm以下と非常に乾燥しており、霧から水分を補給するという。樹高は40m以上、直径1mに達する大型種で針葉は3葉。成木は萌芽力に富み、火災で幹や葉が焼損しても幹から芽を出して再生する。成長が遅く樹脂に富むために木材は重く、比重が1を超えることもしばしばあるという[11]
地中海地域原産。球果は緑色から赤く染まり、最終的に赤茶色になる。
  • P. latteri
インドシナ半島の標高400-1000m程度の丘陵地帯に分布。樹高は最大40m、直径1.5mを超える大型種で、針葉は二葉。
  • メルクシマツ P. merkusii
インドシナ半島、およびフィリピンインドネシアに分布。分布域は赤道を僅かに越え、南半球に天然分布する唯一のマツとされる。樹高は40m以上になることもあり、大きい部類に入る。
地中海西部地域、特にフランスからイタリアにかけての一帯と、対岸のアルジェリアからモロッコを原産とする。フランス語名Pin maritimeは海岸のマツの意味で和名もここから来てるが、海岸だけでなく分布南限では標高2000 mの山岳地にも生える。。樹皮は赤く、針葉は2葉で非常に太く長さも20cm以上になる。原産地では有用な林業用樹種で製材用として広い範囲で植栽されている。また、樹皮に含まれるポリフェノールの一種は健康食品の原料として利用される。南アフリカオーストラリアにも移入され、移入先で生態系の破壊を起こしており、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されている一方で、原産地ではアメリカからの侵入病害であるマツ材線虫病(松喰い虫)による枯死が問題となっている。
  • ヒマラヤマツ[16] P. roxburghii
中国南西部からネパール・インド北部、パキスタンにかけてのヒマラヤ山脈の山岳地帯に分布。樹高50m、直径2mになる大型種で赤みの強い樹皮は派手に割れる。針葉は三葉で40cm近くにもなり、アメリカのP. palustrisに匹敵する長さを持つ。種小名はインドの植物を研究したウィリアム・ロクスバラ(William Roxburgh)に由来。

Trifoliae[編集]

いずれもアメリカ大陸に分布Trifoliaeは3つの葉を意味し、その名の通り3葉のマツが多いものの例外もある。

Leiophyllae亜節[編集]

いずれもメキシコを中心に分布。

  • P. leiophylla
  • P. lumholtzii
メキシコ西部の山岳地帯に沿って南北に分布。樹高30m程度の中型種で、樹皮は灰白色。北方系と南方系で葉の形態が異なり、北方系は葉が太く三葉、南方系は葉が細く五葉だという。厚い樹皮と旺盛な萌芽力がを持ち、火災で幹葉を焼損しても再生するという。
Australes亜節[編集]

亜節名Australesは「南方の」の意味、含まれる種はその名の通りアメリカ南東部(大半がアパラチア山脈以南)からカリブ海の島々にかけて分布。このグループは各種ともに比較的分布域が重なること、交雑可能である組み合わせが多いことなどからOocarpaePonderosaeの各グループと共に比較的最近分化したグループと見られている[20]

  • P. caribaea
カリブ海沿岸諸国原産。東南アジア等でも移植栽培されている。東南アジアの栽培地では、横枝が出ないまま主軸ばかりが数年間にわたって伸び続ける現象が報告されており、まるでキツネの尾のように見えることからFoxtailingなどと呼ばれている[4]
  • P. cubensis
キューバ島東部の山岳地帯に分布。P. occidentalisと近縁で、別種ではなく変種程度の関係なのではないかとする意見もある。
フロリダ半島を除くアメリカの南東部に広く分布。低温にも比較的強くニューヨーク付近までは分布する。針葉は三葉で長さは8-10cm程度とアカマツ・クロマツとほぼ同じだが、このグループ内では短い方であり、英名Shortleaf pine(短い葉のマツ)と呼ばれる。
和名は英名slash pineの直訳。アメリカ合衆国南東部原産。雄花は鮮やかな赤色、熟した球果は細長くテーダマツによく似るが、より光沢がある。
  • モミハダマツ P. glabra
フロリダ半島の付け根からミシシッピ川下流にかけて分布。英名Spruce Pine(トウヒの様なマツ)。学名のglabraは一般に無毛・平滑を表わす単語。針葉は2葉で5 cm程度とかなり短いこと、樹皮は近縁種ほど派手に割れずにトウヒやモミのように細かく割れるため、和名・英名ともにここからきていると思われる。生態面ではかなり耐陰性が強く、荒れ地に純林を形成するというより広葉樹林の中に転々と生えるという。
  • P. occidentalis
 西インド諸島イスパニョーラ島に分布。種小名は「西方の」を意味するoccidentalに由来。
アメリカ合衆国南東部原産。漢字では大王松と書き、ダイオウショウと呼ばれることもある。名前の通り非常に大きくなり、樹高は50mを超えることも。針葉は3葉でこれまた40cm以上になり垂れさがることから英名はLongleaf Pine(長い葉のマツ)と呼ばれる。極めて耐陰性が低く、火災の発生が次世代更新の条件となる。種小名のpalustrisは「沼に住む」の意味がある。
  • P. pungens
アパラチア山脈沿いに分布。樹高15m未満のことが多い小型種で針葉は二葉稀に三葉。種小名のpungensは「尖った、針のような」の意味で名前の通り球果の棘は大きく非常に鋭い。
このグループでは最も北方まで分布する種で合衆国北東部のカナダとの国境付近まで分布。厚い樹皮、幹の不定芽が発達しており幹から直接葉を出す、球果は卵型で樹上に永く残るなど火災に適応したと見られる形態を見せる。ただし、後述のP. serotinaと異なり、球果は成熟後すぐに開いて種子を散布してしまうという。英名Pitch pineは樹脂の多さに由来。ミツバマツ、アメリカミツバマツなどとも呼ばれることもあり、その名の通り三つ葉である。
  • ヌママツ[21] P. serotina
和名は英名Pond pineの直訳。アメリカ合衆国南東部原産でリギダマツより南に分布する。リギダマツに酷似しており、別種ではなく亜種と考える学者もいる。球果はリギダマツ同様樹上に永くとどまるが、開く条件がリギダマツよりも厳しく、晩生(serotiny)であり火災などに乗じて開くという。種小名もこれに由来。
比較的水辺を好むマツといわれ、英名Loblolly PineのLoblollyは湿地を指すという。樹高50 m以上まで非常に大きくなる種で、製材やパルプを目的とした林業用の樹種としてもよく用いられる。球果は細長く種鱗には鋭い刺を持つ。日本で流行しているマツ材線虫病に強く[15]、一時期わが国での導入も検討された。和名は種小名に由来し、そのtaeda松明の意味[18]
Contortae亜節[編集]

以下の4種を含む[22]。いずれも北米大陸に分布。球果は晩生の性質を持ち、火災時に開くものが多く、成長時も極めて耐陰性が低い。

主にカナダ東部と中央部に分布。分布の一部は北極圏にかかり、アメリカ大陸のマツとしては最も北に分布する種類である。樹高は10m程度と低め、針葉は2葉で5cm未満と非常に短い。球果もマツ属の中で最も小さい。球果は晩生で成熟後も樹上から落ちず、また開かずに残り、山火事の強熱で開く特性がある。マツ材線虫病に強い[15]
  • スナチマツ[21] P. clausa
 和名は英名Sand Pine の直訳、学名由来のクラウサマツの表記も見られる[23]。学名の clausa はclosedと同義で[18]、晩生球果を表している。このグループの中では最も南方に分布する種で、フロリダ半島を中心に分布。
主にカナダ西部に分布。針葉は2葉。葉や球果の大きさなどはバンクスマツとよく似ている。球果はバンクスマツよりも凹凸が目立つ。球果は一般に晩生だが、亜種によっては山火事が無くとも開く。英名のLodgepole Pineはインディアンがロッジを作る際に用いたことに由来。種小名contortaは捻じれの意味[18]
  • バージニアマツ P. virginiana
アメリカ合衆国東部に分布。球果は成熟後早期に開くが、成熟後1年程度してから開くものもあるという。天然分布は重ならないものの、スナチマツと雑種を形成することが報告されている[23]
Oocarpae 亜節[編集]

英名California closed cone pines(カリフォルニアの晩生球果のマツ)と呼ばれるグループ。名前の通りアメリカ西部のカリフォルニア州を中心に一部はオレゴン州、メキシコに分布。現地はケッペンでいう地中海性気候の地域であり、乾燥した夏と湿った冬を特徴とし山火事も多い。いずれの種も分布は局地的、寿命は数十年から百年程度と比較的短く、球果は枝に強く固着して自然には落ちず、山火事の強熱で開いて種を飛ばすという晩生球果の性質を持つ物が多い。分布域が局所的でこのグループ内での交雑も容易であることなどから、比較的最近分化して出来たグループだとみられている[20]

  • P. attenuata
 カリフォルニアとオレゴンの州境を中心に局地的に分布。英名Knobcone Pine、樹高は最大25mに達するが条件が悪いと10mに満たないこともある。針葉は3葉。種小名は英語のattenuateと同義で漸先形の意味だという[18]
  • †P. foisyi
  • P. greggii
たがいに300㎞以上離れたメキシコ北東部の2地点、標高1500 -2500mの乾燥した山岳地帯に分布する。後述のP. patulaと近縁で交雑可能で見た目もよく似ているが、patulaに特徴的な葉の垂れ下がりはない。種小名はアメリカ南部からメキシコにかけて活躍した探検家Josia Gregg(1806-1850)に由来。
  • P. herrerae
  • P. jaliscana
  • P. lawsonii
  • P. muricata
カリフォルニアとメキシコ北部の海岸から比較的近い地域に点々と分布域を持つ。樹高25-30mの中型種で針葉は二葉。
  • P. oocarpa
メキシコからグアテマラの標高1000 -2500mの山岳地帯に分布。球果は長い柄を持つ
  • P. patula
メキシコ南部の標高1800m以上の山岳地帯に分布。樹高40m、直径1mに達する大型種で高地での林業用樹種として南米やアフリカでも栽培される。シダレヤナギのように垂れ下がった葉が特徴的で園芸種としても用いられる。種小名patulaは「僅かに開いた」の意味[18]
  • P. praetermissa
  • P. pringlei
 カリフォルニアからメキシコにかけて局所的に分布。英語名Monterey PineのMontereyは原産地の地名。原産地では林業用樹種としては用いられていないが、移入先のニュージーランドオーストラリアでは徹底した品種改良の上で、製材利用も可能な有用品種を大規模に植栽しており、特にNZは本種に全面的に頼る林業を行っていることで有名。木材の一部は日本にも輸出されている。一方でこれらの地域では外来種である本種の野生化問題も表面化している。
  • P. tecunumanii
  • P. teocote
Ponderosae 亜節[編集]

何れもアメリカ西部の山岳地帯に分布。分布域が局所的でこのグループ内での交雑も容易であることから比較的近年に分化したグループだとみられている[20]

  • P. apulcensis
  • P. arizonica
  • P. cooperi
  • P. coulteri
カリフォルニアからメキシコにかけて局地的に分布。樹高は最大30mに達する。球果は40cm程度と長さこそサトウマツに劣るものの重量は4-5kgに達し最も重く、当たり所が悪いと死ぬ可能性もあることからwidowmakers(未亡人製造機)などというあだ名がある。種小名はアイルランドの植物学者Thomas Coulterに由来。
  • P. devoniana
  • P. durangensis
  • P. engelmannii
  • P. hartwegii
メキシコ中部から南部の山岳地帯に点々と分布、時に標高4000mを超えるところに分布し森林限界の指標になる。樹高は20-30mの中型種で針葉は五葉時に四葉、他の高山種と違い高山でも匍匐型の樹形にはならないという。P. montezumaeとはよく似ており、葉の長さや球果の大きさに違いが見られる。一般には本種の方がより高地に分布し、混生地では両者の雑種も見られるという。種小名はドイツ人植物学者Karl Theodor Hartwegに因む。
  • ジェフリーマツ P. jeffreyi
和名は英名Jeffrey pineの直訳。カリフォルニア州の山岳地帯を中心に隣接するオレゴン州南部とメキシコ北部にも分布。樹高は最大40m稀に50mを超すこともある大型種で針葉は三葉。見た目はP. ponderosaによく似るが、バニラ・レモン・パイナップル・バタースコッチなどに例えられる樹脂の芳香が特徴。種小名は植物学者John Jeffreyに由来。
  • P. johndayensis
  • P. maximinoi
  • P. montezumae
メキシコ中部から南部の山岳地帯に点々と分布。樹高35mに達する大型種で青味の強い垂れさがった葉を付ける。
  • ポンデローサマツ[16] P. ponderosa
和名は英名Ponderosa pineの直訳。グループの中心となる種でアメリカ西部山岳地帯に広く分布し分布域はこのグループでは最大。地域差が大きくいくつかの亜種が認められている。サトウマツと並び最大樹高80mを超えるものが記録されている巨大種。種小名ponderosaは「重量のある」の意味[18]
  • P. pseudostrobus
  • P. sabiniana
カリフォルニアの乾燥した山岳地帯に広く分布。樹高15m程度の小型種、樹形は枝が細く葉の付き方も粗雑、葉の色も灰色味を帯び艶のない色なためか荒れた印象を受ける。英名Ghost Pine(幽霊の松)やGray Pine(灰色の松、活気のない松)、foothill pine(小さい丘の松)など、 種小名はイギリス人Joseph Sabineに因む。小柄な外見に似合わず球果は最大30cm以上になる巨大で種も大きく、先住民達の間でも古くから食用として認識されてきた。このため多数の現地名を持つ。
  • P. torreyana

Strobus 亜属[編集]

一般に五葉松と呼ばれる仲間であり針葉は5葉、葉の付け根の鞘は落ちやすいのが特徴。葉内の維管束は一本であるから単維管束亜属とも呼ばれる。一般にその材は白く柔らかく英語ではWhite Pine(白いマツ)やSoft Pine(軟らかいマツ)類と呼ばれることもある。一般に2葉、3葉のマツ類より耐陰性は高いとされ、種子の散布も風だけでなく動物によって行うものもある。成長も2葉、3葉のものに比べると遅い。

Strobi[編集]

日本原産。屋久島種子島に分布。ただし下記のタカネゴヨウ(カザンマツ)の変種とも扱われることもある。絶滅危惧種。種小名は奄美という地名に由来
中国原産で山西省から雲南省に分布。台湾に変種が分布する。カザンは火山ではなく華山で、中国にある険しい山に由来。
  • P. ayacahuite
メキシコ南部から中米西部の海抜2200-3500 mに分布
  • P. bhutanica
ブータン・インド北東部・中国南西部に分布
  • P. chiapensis
  • P. dabeshanensis
  • P. dalatensis
  • P. fenzeliana
  • P. flexilis
アメリカ西部のロッキー山脈沿いを中心に分布する五葉松の一種で森林限界の指標になることも多い高山種。樹高は低地で条件が良ければ20mに達するが、10m以下の灌木状のことも多い。葉は短くコントルタマツ(P. contora)に似るが、contortaは2葉。同じくロッキー山脈沿いで分布域の重なる高山性の五葉松であるP. albicaulisP. monticolaに比べてやや南まで分布しニューメキシコ州までが範囲。種子は翼を持たない。アメリカ産strobus亜属共通でアジアからの侵入した五葉マツ類発疹さび病に弱い
  • P. reflexa
北米アリゾナ・ニューメキシコに分布。上記P. flexilisと同種または変種ともみなされる場合もある。
カリフォルニアに分布 。和名は英名Sugar Pineの直訳。P. ponderosaと共に最大樹高は80mを超すものが記録されている巨大種。球果も最大60 cmにもなる非常に大きく細長いもので別名ナガミマツ(長実松)とも呼ばれる。アジアからの侵入病害である五葉マツ類発疹さび病[注釈 3](White Pine Blister Rust)に弱い
  • タイワンゴヨウマツ[16] P. morrisonicola
台湾に分布。現地名は台湾五針松。樹高は25m程度になる中型種。
北米西部山岳地帯に分布。英名はWestern White Pine(西の白いマツ)、高山種でありながら条件次第で樹高50mに達する巨大種で林業用樹種として有用であったが、五葉マツ類発疹さび病によって壊滅的な被害を受けた。種小名のmonticolaは「山に住む」の意味[18]
日本原産。名は針葉が5枚になることから。北方系の個体と南方系の個体では形態的に異なり、一般に変種として認められている。この2変種の和名については混乱しており、南方系をヒメコマツ、北方系をゴヨウマツとするものや、その逆などはっきりとしていない[3]、分かりやすく南方種をゴヨウマツ、北方種をキタゴヨウマツと呼ぼうという提案などもされているようである[3]。種小名parvifloraは「小さい葉」の意味。
  • P. peuce
ヨーロッパのバルカン半島の山岳地帯に分布。種小名peuceはギリシア語で松の意味[18]
シベリアから朝鮮半島、日本にかけて分布。寒冷地を好み、日本では北海道から本州中部の山岳地帯にかけて分布する。和名は地表を這うように生える樹形からの命名。学名のpumilaも小さいことを指す。ただし、北方の分布地ではこの通りの樹形にはならないこともあるという。種子は動物散布型であり、また、マツとしては珍しく伏条更新と呼ばれる取り木的な方法で増えることが知られている。本州中央部の個体と北海道産個体を比較した場合、形態的な特徴、特に針葉の長さや針葉内の樹脂道の配置に明らかな違いがあるという[3]
  • P. strobiformis
北米大陸北東部、五大湖周辺の広い地域に分布し東部では唯一の五葉松である。樹高60m、直径5m近くに成長することもある大型種。英名Eastern White Pine(東の白いマツ)。現地では有用な林業用樹種であり、欧米や日本(特に北海道)にも移入されて造林された。アジアからの侵入病害五葉マツ類発疹さび病に弱く壊滅的な被害を受けた。
  • ヒマラヤゴヨウ P. wallichiana
ヒマラヤ地域原産で時に森林限界まで分布する。針葉は長さ10-20cmと中程度だが、軟らかく垂れさがる。
  • P. wangii

Cembra[編集]

球果は成熟後に自然に落果するものの、自然には開かず種子を撒き散らさない。球果は柔らかく、素手でも分解することは容易で種子には翼が無く大きい。種子の発芽には球果の腐敗か動物による散布が必要になるグループで一般に耐陰性は高い。

  • P. albicaulis
アメリカ北西部の山岳地帯に分布する五葉松の一種。樹皮は灰白色で細かくうろこ状に割れることから、英名はWhitebark pine(樹皮の白い松)、種小名albicaulisも同じく「白い幹」を表すラテン語である[18]。幹が直立した場合の樹高は20mに達するが、森林限界付近の厳しい条件下では日本のハイマツ同様の匍匐型の樹形になる。本種の分布域ではモンチコラマツ (P. monticola)やP. flexilisなどの高山性strobus属が複数見られるが、樹皮の色、葉の長さと触り心地、球果の特性などで見分けることができる。
  • シモフリマツ[24] P. cembra
ウクライナからフランス・イタリアにかけて分布する五葉松、球果の大きさや葉内の樹脂道の数を除いてP. sibricaと酷似しており本種とは別種ではなく亜種や変種にあたるのではないかと考える学者もいる。
シベリア・中国東北部、朝鮮半島にかけてと日本に分布。樹高30mに達する。シベリアではカラマツ属やトウヒ属の樹木とともに森林の主要な構成種であるが、日本では比較的まれな種である。木材採取を目当てに伐採される他、種子は食料として利用される。種小名koraiensisは朝鮮半島周辺を示す「高麗」に由来。シベリアでは違法伐採が後を絶たないことなどから、2010年(平成22年)10月付でロシア産の本種がワシントン条約附属書に記載され取引の監視が強化された。マツ属としては初である。
  • シベリアマツ P. sibirica
シベリアに分布。

Ducampopinus 亜属[編集]

北米大陸を中心に一部がアジアに分布する。葉断面の維管束は一つなのでStrobus 亜属に含まれることもあるが、葉の数・葉の付け根の鞘の取れやすさ・球果の形や硬さなどに違いがみられるので別亜属として認めることが多い。

Parrya[編集]

Nelsonianae 亜節[編集]
  • P. nelsonii
メキシコ原産。樹高10 m程度の小型のマツ。針葉は3葉であるが基部では、癒着しておりまるで1葉のように見える。球果はカプセル型の独特の形で、長い柄を持つ。他のマツに比べると受粉後極めて速く受精に至り、球果は受粉同年に成長を開始し翌年に熟す。種子は食用。
Krempfianae 亜節[編集]
  • P. krempfii
ベトナム原産。マツ属の中で唯一、扁平の葉を持つ。
Gerardianae 亜節[編集]
中国原産。漢字表記は白松で、音読みからハクショウと呼ばれることも多い。針葉は3葉。樹皮は滑らかでマツとは思えない装いである。成木の樹皮は名の通り、白色になる。種小名bungeanaは中国やシベリアの植物を調べたAlexander Bungeに由来。
  • P. gerardiana
  • P. squamata
Rzedowskianae 亜節[編集]

いずれもメキシコに分布。種子が大きく食用とされ、英語でPinyon pineと呼ばれるグループで特にこのグループは大きな球果を付ける。

  • P. maximartinezii
西シエラマドレ山脈に極めて局地的に分布。絶滅が危惧されている。
  • P. pinceana
  • P. rzedowskii
Cembroides 亜節[編集]

何れの種もアメリカ南西部からメキシコにかけて分布。この地域はロッキー山脈の南端、さらにそれに続く東西のシエラマドレ山脈からなる山岳地帯であり、乾燥した気候である。種子が大きく食用とされ英語でPinyon pineと呼ばれるグループ。

  • P. cembroides
メキシコの中部から北部にかけての山岳地帯、特に西シエラマドレ山脈に沿って広く分布する。樹高は10-20m程度の小型種で針葉は二葉と三葉がよく混ざる。気孔は葉の両面にある。球果は3cm程度と小ぶりなものの、中の種子は大きく自然界では鳥が好み、我々人間の食用としても広く用いられる。英名はMexican Pinyon。
  • P. culminicola
メキシコ東部の標高3000mを超す高山地帯に極めて局地的に分布。匍匐性を示し樹高は1-5mの小型種。針葉は五葉で青っぽく短い葉を付ける。絶滅が危惧されている。
  • P. discolor
種小名discolorは「色が違う」の意味[18]
  • P. edulis
 ロッキー山脈南部の標高2000m前後の山岳地帯に分布。樹高10-20mの小型種。英名はColorado Pinyonでその名の通り、コロラド州を代表する樹種であり同州の森林面積の1/5を本種が占めるという。種小名edulisは「可食の」の意味[18]
  • P. johannis
  • P. monophylla
アメリカ南西部のシエラネバダ山脈一帯に分布する。樹高10m程度の小型種で針葉は一葉で5cm程度と短い。種小名monophyallaは「一葉の」の意味[18]
  • P. orizabensis
  • P. quadrifolia
カリフォルニア州とメキシコの国境付近を中心に分布。樹高10-15m程度の小型種で針葉は四葉又は五葉。P. monophyllaとよく交雑するという。種小名quadrifoliaは「四つ葉」の意味[18]
  • P. remota
Balfourianae 亜節[編集]

3種が含まれ、いずれもアメリカ合衆国西部の山岳地帯に局地的に分布する。現地では厳しい気候ゆえに樹体のほとんどが白骨化した独特の様相を呈することが多い。天然では分布域は重ならないものの、交雑可能であることが確認されている。針葉はいずれも5葉、その他の多くの特徴も共通する。球果(cone)に棘(bristle)を持つことから、この3種はまとめてBristlecone Pineと称される(ただし、P. balfourianaはFoxtail Pineという名称も普及している)。

  • P. aristata
Bristlecone Pineの仲間は長寿として知られており、本種は現在知られている寿命は2500年ほどである。しかしながら、後述のP. longaevaには及ばない。和名としてイガゴヨウが充てられるが、非常に長寿なマツであると紹介されるためにP. longaevaと混同していると思われる。
  • P. balfouriana
  • P. longaeva
非常に長寿のマツとして知られており、1964年に伐採された個体の年輪を数えたところ4800を超えていた。本種の形態はP. aristataと酷似しており、当初は同種と考えられていた。和名には現在も混同が見られる。

関連項目[編集]

上賀茂(京都市)・白浜(和歌山県)の各試験地に外国産マツを多数植栽。日本におけるマツ属研究の中心の一つで、ここから報告される論文は多い。

注釈[編集]

  1. ^ 1つの株に雄蕊のみを持つ雄花、雌蕊のみを持つ雌花という2種類の花を付けること
  2. ^ 地面に近い枝が接地することで発根し、それが新しい個体へと成長する更新様式
  3. ^ 病名和名は「林業技術ハンドブック(2001)全国林業改良普及協会」を参考にした

出典[編集]

  1. ^ 酒井昭・倉橋昭夫(1975)日本に自生している針葉樹の耐凍度とそれらの分布との関係. 日本生態学会誌25(4), 192 -200.
  2. ^ 大畠誠一(1995)マツ属における適応と種分化(2)―地理分布圏と分布の様相―. 生物科学47(2).
  3. ^ a b c d 石井盛次(1968)マツ属の基礎造林学的研究 特にその分類学的ならびに地理学的考察. 高知大学農学部紀要19号
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外部リンク[編集]