トドマツ
| トドマツ | |||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トドマツの葉(北海道知床、2007年7月)
|
|||||||||||||||||||||
| 保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
| LOWER RISK - Least Concern (IUCN Red List Ver.2.3 (1994)) |
|||||||||||||||||||||
| 分類(新エングラー体系) | |||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Abies sachalinensis (Fr.Schmidt) Masters | |||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||
| Abies sachalinensis var. corticosa, Abies sachalinensis f. corticosa[2] | |||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||
| トドマツ(椴松)、オニハダトドマツ、ネムロトドマツ | |||||||||||||||||||||
| 変種 | |||||||||||||||||||||
|
本文参照 |
トドマツ(椴松、Abies sachalinensis)は、マツ科モミ属の常緑針葉樹。
目次 |
[編集] 分類
本州の山岳地帯に分布するシラビソ (Abies veitchii、アオモリトドマツともいう)にごく近縁とされる。最終氷期あるいはそれ以前の氷期に本州まで南下したトドマツが、氷期の終わりとともに隔離されて分化した集団がシラビソと考えられる。現在の東北地方には、南部を除いてトドマツもシラビソも分布しないが、最終氷期には本種が東北地方にも広範囲に分布していたことが、化石資料から知られている。
[編集] 変種
本種は以下の2つの変種に分類できる[2]。
- Abies sachalinensis var. sachalinensis
アカトドマツと呼ばれる。種鱗は球果から余り突き出ない。種鱗がまったく突きでないものを更にエゾシラビソと称する場合もある。基変種。
- Abies sachalinensis var. mayriana
アオトドマツと呼ばれる。球果から種鱗が長く突き出る。
[編集] 分布
北海道のほぼ全土と千島列島南部、サハリン、カムチャツカ半島の針広混交林から亜寒帯林にかけて分布する。
変種アカトドマツ(Abies sachalinensis var. sachalinensis)はアオトドマツ (Abies sachalinensis var. mayriana) よりも寒冷な場所で見られる。北海道においては前者は石狩・日高以北に分布している[3]。
適度に水分のある肥沃な土地を好む[3]
[編集] 形態
樹高は通常20-25 m程度だが、大きいものでは35 mに達する場合もある。樹形はトウヒ属のエゾマツ (Picea jezoensis) やアカエゾマツ (P. glehnii) と似る。葉は長さ15-20 mm程度で先端は2裂する。球果は黒褐色で5-8.5 cm程度で枝上に直立し、他のモミ属同様鱗片をばらばらに散らしながら種子を散布する。前述のトウヒ属の2種とは、葉の先端が裂けているか否か、および球果の構造(トウヒ属の球果は枝から垂れ下がり、松かさのように鱗片を開閉させるだけで種子を散布し、モミのようにバラバラに分解しない)。
[編集] 生活環
[編集] 生態
本種は耐陰性が高く、北方林における極相種の一つである[要出典]。
本種はいくつかの菌類と菌根を形成することが知られている。その中の一つにマツタケ (Tricholoma matsutake) が知られている[要出典]。
[編集] 病虫害
トドマツオオアブラムシ (Cinara todocola) は若い苗木に群がり汁を吸う。付着数が甚だ多い場合は枯死する場合もある[4]。
シラフヨツボシヒゲナガカミキリ (Monochamus urssovi) は本種の死んだものや弱っているものに産卵して、幼虫は材を食べて育つ。数が少ないうちは健全木に被害を与えないものの、伐採跡地に残された丸太や切株などで大量に増えると周囲の健全木を加害することがある。本種の他にアカエゾマツ (Picea glehnii)、エゾマツ (P. jezoensis), グイマツ (Larix gmelinii var. japonica)、カラマツ (L. kaempferi) などにも産卵する[4]。成虫は羽化後、性成熟を行うために「後食」といい枝を食害する。
若い苗木はトドマツ枝枯病が問題になりやすい。この病気は Gremmeniella abientina によって引き起こされる病気で、雪に埋もれた1年生の枝が侵されやすく、発症した場合葉が落葉し、枝や幹に病変部が形成、病変部が枝や幹を一巡するとそれより上部が枯死するという流れをたどる[5]。枝枯病と付くものの、梢の部分などの幹を侵すこともあり、若い苗木では枯死につながることもある特に重要な病害である。この菌は他の針葉樹にも広く病害を引き起こし、英語ではen:Scleroderris cankerという。
木材腐朽を起こす菌がいくつかいる。根株の心材腐朽を起こすものとしてマツノネクチタケ (Heterobasidion annosum) が知られている。この菌は様々な針葉樹を腐らせてしまうが、本種に対してはかなり強い腐朽能力を示すという報告がある[6]。他にもナラタケ (Armillaria mellea) なども腐朽を引き起こす。
[編集] 利用
[編集] 参考文献
- 林業技術ハンドブック (2001) 全国林業改良普及協会
[編集] 脚注
- ^ Conifer Specialist Group 1998. Abies sachalinensis. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b 林業技術ハンドブック p. 609
- ^ a b 林業技術ハンドブック p. 1015 - 1017
- ^ 林業技術ハンドブック p. 989
- ^ 徳田佐和子 (2004) トドマツ人工林で発生したマツノネクチタケによる根株心腐病 北海道林業試験場