ヒマラヤスギ

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ヒマラヤスギ
Cedrus deodara JPG1a.jpg
ヒマラヤスギ
保全状況評価[1]
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
Status iucn2.3 LC.svg
分類
: 植物界 Plantae
: 球果植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: マツ科 Pinaceae
: ヒマラヤスギ属 Cedrus
: ヒマラヤスギ C. deodara
学名
Cedrus deodara (Roxb.) G.Don, 1830[1][2]
和名
ヒマラヤスギ、ヒマラヤシーダー[2]
英名
Deodar Cedar, Himalayan Cedar

ヒマラヤスギ(ヒマラヤ杉、学名Cedrus deodara)は、マツ科ヒマラヤスギ属の常緑針葉樹ヒマラヤ山脈西部の標高1500 mから3200 mの地域が原産地である。高さは40 m-50 m、時には60 mにまで成長し、幹の直径は3 mに達する。樹冠は円錐形で、地面に水平な枝と垂れ下がった小枝がある[3]

針のような形をした葉はほとんどが2.5-5 cmの長さで、時には7 cmに達することもある。細長く厚さは 1mmほどである。芽は長く単独で生えるものと、短く20から30個で集団を作るものがある。色は明るい緑から青緑に変化する。雌花の松かさは樽形で、7-13 cmの長さで5-9 cmの幅がある。成熟(12か月)すると崩壊し、翼状の種子を落とす。雄花の松かさは4-6 cmで、秋に花粉を放出する[3]

文化[編集]

ヒンドゥー教において、ヒマラヤスギは聖なる樹木として崇拝されてきた。いくつかのヒンドゥーの伝説にはこの木についての言及がある[4][5]。ヒマラヤスギの森は古代インドの賢者が好んで住み、シヴァ神に祈りを捧げ、厳しい精神修行を積んでいたという。このような森は、古代のヒンドゥー神話とシヴァ神信仰の文書においてDarukavanaと表記され、聖なる場所としてのヒマラヤスギの森を意味している。

パキスタンはヒマラヤスギを国の木としている。

栽培と利用[編集]

ヒマラヤスギは園芸植物として広く利用され、公園や大きな庭園に植樹されている。栽培できるのは厳しい冬がない地域に限られ、-25℃以下で生育することは難しい。確実に成長できるのはハーディネスゾーン8(最低気温が-6.7℃から-12.2℃)より温暖な地域である[6]西ヨーロッパスコットランドが北限)、地中海黒海沿岸、中国中南部、北米(バンクーバーが北限)などに広く分布している。日本には明治初期に導入された。

もっとも寒冷に耐えられる品種は、カシミールパクティヤー州に分布している。これらの地域から産出された品種は、Eisregen、Eiswinter、Karl Fuchs、Kashmir、Polar Winter、Shalimarなどと呼ばれる[7][8]

建築材料[編集]

ヒマラヤスギは建築材料として大きな需要がある。耐久性、難腐敗性に優れ、良質で緻密な木目は磨けば美しいつやが出る。歴史的には、寺院とその周辺の造園に使われたことがよく記録に残っている。腐りにくい性質はシュリーナガルやカシミールの水上家屋に適していることが知られている。パキスタンとインドでは、イギリス領時代にバラックや公共施設、橋、運河や鉄道車両などに広く用いられた[5]。耐久性があるにも関わらず壊れやすい性質は、椅子のような頑丈さを必要とされるデリケートな加工には向いていない。

薬品[編集]

アーユルヴェーダでは、ヒマラヤスギには病気を治す力があるとされている[5][9]

木には芳香があり、香料として用いられる。精油は防虫のために馬や牛、ラクダの足に使われる。また、カビを防ぐ効果も期待されている。樹皮と幹には収れん作用がある[10]

セダー油は芳香族性があり、特にアロマテラピーで利用される。その特徴的な木の香りは乾燥によって多少変化する。天然のオイルは黄色、あるいは黒っぽい色をしている。石鹸の香料や家庭用スプレー、床磨き剤、殺虫剤、顕微鏡用洗剤にも用いられる[10]

保全状況評価[編集]

LOWER RISK - Least Concern (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))[1]

Status iucn2.3 LC.svg

IUCNレッドリストでは、1998年版で軽度懸念に評価されたが、更新が必要とされている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Conifer Specialist Group 1998. Cedrus deodara. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 21 September 2011.
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - ヒマラヤスギ(2011年9月21日閲覧)
  3. ^ a b Farjon, A. (1990). Pinaceae. Drawings and Descriptions of the Genera. Koeltz Scientific Books ISBN 3-87429-298-3.
  4. ^ http://plainfieldtrees.blogspot.com/2007/06/cedars-gods-and-gilgamesh.html Plainfield trees.
  5. ^ a b c http://jcmcgowan.blogspot.com/2008/03/blog-post.html Edmund Hillary Foundation, World Wildlife Fund-The Deodar Tree: the Himalayan "Tree of God"
  6. ^ Odum, S. (1985). Report on frost damage to trees in Denmark after the severe 1981/82 and 1984/85 winters. Horsholm Arboretum, Denmark.
  7. ^ Welch, H., & Haddow, G. (1993). The World Checklist of Conifers. Landsman's ISBN 0-900513-09-8.
  8. ^ Krussmann, G. (1983). Handbuch der Nadelgeholze, 2nd ed. Paul Parey ISBN 3-489-62622-2 (in German).
  9. ^ http://www.herbalayurveda.com/herbdetail.asp?id=24, Herbal Ayurveda[リンク切れ]
  10. ^ a b http://www.fao.org/docrep/V5350e/V5350e12.htm Cedarwood Oils

関連項目[編集]