アロマテラピー

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精油の瓶とディフューザー

アロマテラピー: aromathérapie[※ 1])は、精油を用いて、病気の予防や治療、心身の健康やリラクセーションストレスの解消などを目的とする技術である[1]。使用される精油(エッセンシャルオイル)は、や果皮、樹木など植物に由来し、揮発性の芳香化合物・薬効成分を含んでいる。ヨーロッパで昔から行われている民間療法のひとつで[2]錬金術と深く関係して発展した[3]アロマセラピー: aromatherapy[※ 2])とも称され、日本語では芳香療法、聞香療法と訳される。アロマテラピーには、精油を使った芳香浴、吸入、全身浴、部分浴、精油の塗布、精油を植物油で希釈して行うオイル・マッサージ、精油の内服などの方法がある[1]。精油を用いる療法全般を指し、嗅覚刺激によるアプローチ以外も含まれる。医療の分野では補完・代替医療のひとつとして知られ、病気の予防、治療だけでなく、介護や看護の場面で行われ、これはメディカル・アロマテラピーと呼ばれる[1]。広義では美容を目的とするエステティック・アロマテラピー、サイコ・アロマテラピー、香りを楽しむアロマテラピーなども含まれる。

アロマテラピーという言葉は、1920年代にフランスの調香師ガットフォッセが創作したとされ[2]、アロマ(芳香)とテラピー(療法)を組み合わせた造語である。本来精油を使った治療技術を指すが、その名称からお香など精油以外を使用する芳香浴も含めてアロマテラピーと呼ばれることもある。

名称[編集]

「アロマテラピー」(: aromathérapie[※ 1])という言葉は、20世紀に入ってからフランスの調香師ルネ・モーリス・ガットフォセによって作られた造語で、「アロマ」は芳香、「テラピー」は療法を意味するフランス語である。これを英語で発音すると「アロマセラピー」(: aromatherapy[※ 2])となる。

「アロマトテラピー」と「ト」が入る表記も、「芳香療法」を意味する単語として文法的語源的には正しい。

歴史[編集]

ヨーロッパの古文書に見られる蒸留装置アレンビック
日本に伝来したらんびきの断面模式図

香料植物の利用は古代にさかのぼり、香りの心身への影響も知られ、精油を用いた治療も古くからおこなわれた。ギリシャ・ローマの医学が伝わったアラビア圏では医学・錬金術が発達し、精油や芳香蒸留水が治療に使われた。12世紀にアラビアからヨーロッパに医学・錬金術が伝わり、蒸留技術が普及すると、精油が広く医療に利用され、アルコールの蒸留技術が確立し蒸留酒が広まると香水が流行した。20世紀に入ってから、精油を用いた治療がアロマテラピーと名づけられた。また、アロマテラピーの日本への紹介は1980年代以降であるが、精油を蒸留する陶器の蒸留器「らんびき」は16世紀半ば江戸時代には伝来していた[4][5]

芳香植物・精油の利用[編集]

人類は洋の東西を問わず、植物の芳香を祭祀・儀礼・治療美容に用いてきた。エジプトで乳香(フランキンセンス)などの香料植物が祭祀、美容、医療に大いに利用され、特に没薬(ミルラ)はミイラ作り用いられたことで知られる。香料植物の利用は世界の各地域で独自に発展し、近代医学が発達する以前の人間の健康を担ってきた。今でもそれらは、伝統医学民間療法として受け継がれている。

精油を用いた治療も古くからおこなわれ、古代メソポタミアの医書には、テレピンノキからとったテレピン油があり、傷薬として使われていた[6]

バラ水(芳香蒸留水)の製造、Kashan

中世ヨーロッパでは、香料植物の栽培と利用はもっぱら修道院の仕事であり、植物成分を水や植物油やワインに浸出して用いた。一方、イスラム圏ではギリシャ・ローマの医学をベースにユナニ医学が発達し、錬金術の発展で化学が進歩した。イスラム圏の錬金術師・薬剤師たちによって水蒸気蒸留法が確立されたといわれ、蒸留装置アレンビックの考案・改良者として錬金術師ジャービル・イブン=ハイヤーンの名が知られるが、この装置は「らんびき」の名で日本まで伝わっている。アラビア圏では、芳香蒸留水や精油が製造され[7]、治療に用いられた。医学の大家であるイブン・スィーナー(980年頃-1037年頃)の『医学典範』には、バラ精油を用いた治療法が記されている。当時の西洋文化圏の最先端であるユナニ医学やアラビア錬金術は、十字軍の遠征などを契機に徐々にイタリア、スペインなどヨーロッパに伝わっていった。(キリスト教における香油の利用については、病者の塗油塗油などの記事を参照のこと。)

ヒエロニムス・ブランシュヴァイク 『蒸留術の書』

アラビアの錬金術は12世紀にはヨーロッパに伝わり、13世紀になると貴金属の製造を目的とするものと、パラケルススに代表される医学的な錬金術に分かれた[3]。医学的な錬金術では、蒸留などの化学操作によって、自然物に含まれる第五精髄(第五元素、エーテル。不老不死の秘薬エリクシルと同一視された)の抽出が目指され、パラケルススは医化学の祖と呼ばれる。こうして蒸留技術は医学の面で広く求められるようになり、ルネサンス時代には多くの蒸留書が書かれた。ドイツの外科医ヒエロニムス・ブランシュヴァイク英語版『蒸留術の書』(または『蒸留小書』、Liber de arte distillandi simplicia et composita、1500年)がよく知られている。この本では、蒸留法や器具、蒸留物の保存法、原料となる植物や蒸留水の効能について説明された。第2版には理論的な背景として、マルシリオ・フィチーノが健康と長命について語った『生について』(De Vita、1489年)ドイツ語訳が収録された[3]。学術言語であったラテン語ではなく一般の読み書きに使われたドイツ語で書かれており、外科や薬剤師、薬種商など知識層以外の人々にも広く読まれ、17世紀初頭まで50版以上出版された[3]

蒸留技術の一般化で精油の生産量が増大し、地中海沿岸地域のイタリア・フランス南部では、王侯貴族や富裕層の間で香水が流行した[8]。14世紀頃にはヨーロッパ全域でハーブ栽培が一般化し、蒸留技術が一般化すると中流家庭にも簡単な蒸留器が導入され、自家製の芳香蒸留水や香水が作られるようになった[9]。18世紀の終わりには、フランスのグラースが香水の生産地として栄えた。また、幼年教育の祖フリードリッヒ・フレーベルの故郷として知られるドイツテューリンゲン地方の森にあるオーベルヴァイスバッハ英語版はハーブ薬、精油(ドイツ語:Olitäten、perfumed oils)、軟膏、チンキ剤、石けんなどのハーブ製品の産地として何世紀にもわたって知られていた[10]。原料となる植物を採取する森のエリアは各家庭に受け継がれ、ハーブ薬を販売する流通ルートも父から息子に受け継がれた。彼らは精油などのハーブ製品をヨーロッパ中に売り歩き、Buckelapotheker (Rucksack Pharmacists、リュックサックの薬屋)と呼ばれた[11]

クマリンの化学構造

19世紀にはいると合成香料が誕生し、徐々に工業生産されるようになった。1876年にウィリアム・パーキンが人工香料クマリンの合成に成功し、1882年にフランスのウビガン (Houbigant) 社がクマリンを使って香水「フジェール・ロワイヤル 」(Fougere Royale)を発表した。この香水は高く評価され、人工香料による香水の製造が始まった[12]オットー・ヴァラッハ(1847年 – 1931年。ノーベル化学賞受賞)、アウグスト・ケクレ (1829年 - 1896年)、レオポルト・ルジチカ(1887年 - 1976年、ノーベル化学賞受賞)らの研究で、多くの人工香料を安価に製造できるようになり、高級品であった香水は一般に普及した。

1804年には、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナー(Friedrich Sertürner)によって、初めて阿片から有効成分モルヒネが分離、抽出された。これによって薬用植物の有効成分が化学物質であることがわかり、以降植物から薬効成分だけを抽出する研究が進み、薬剤として用いられるようになった。

こうした化学・近代医学の発展で、天然香料を使った自然香水や、精油を用いるヨーロッパの伝統医学(医療錬金術、錬金術医学)は下火になっていった。

アロマテラピーの提唱[編集]

ルネ・モーリス・ガットフォセ

20世紀初頭、科学的な分析・検証の上で精油を心身の健康に応用しようという試みが始まった。1920年代初頭、南フランスのプロバンス地方において、香料の研究者であったルネ・モーリス・ガットフォセフランス語版(1881年-1950年)は実験中に手に火傷を負い、とっさに手近にあったラベンダー精油に手を浸したところ[13]傷の治りが目ざましく良かったことから、精油の医療方面での利用を研究し始めたとされる(しかし、このようにガットフォセ自身が述べているが、彼の孫娘によると火傷は上半身全体に及ぶ重篤なもので、ラベンダー精油を治療に用いたのは事故当時ではない。火傷の回復が思わしくなかったため、民間で火傷に効果があるといわれたラベンダー精油をのちに使用した[14])。彼は1928年に研究の成果を学会で発表し、また『芳香療法(原題Aromatherapy)』という本を出版した。

ジャン・バルネ

フランスの医学博士ジャン・バルネフランス語版(1920年-1995年)は精油を使った医療を実践して功績をあげ、1964年に『ジャン・バルネ博士の植物=芳香療法』を著し(1984年改訂版発行)、アロマテラピーの認知度を上げた。他方、マルグリット・モーリー(オーストリア生まれ、?-1963年)は、アロマテラピーを主に美容方面に活用できる技術として研究し、イギリスに伝えた。(モーリーはガットフォセの弟子であるともいわれるが、実際は2人に面識はない[15]

このように、現在のアロマテラピーには大きく分けてフランス系とイギリス系の二つの流れがあり、フランス系のアロマテラピーは医師の指導のもと精油を内服するなど、医療分野で活用されている。イギリス系のアロマテラピーはアロマセラピストと呼ばれる専門家によって施されるなど、医療とは区別され、心身のリラックスやスキンケアに活用されている。

日本のアロマテラピー[編集]

ポプリ

精油の蒸留法は江戸時代に伝わり蘭医学などで用いられていた。明治時代にはニホンハッカなどの精油を輸出していた時期もあったが、合成香料や海外の廉価品におされ、廃れてしまった。

1970年代に、小学生やその親たちの間でポプリが流行し、ドライハーブへの関心が高まった。アロマテラピーが紹介されたのは1980年代で、はじめジャン・バルネロバート・ティスランドらによる英仏の専門書が高山林太郎により邦訳され、やがて海外で技術を学んだ者たちが国内で実践を始めた。1990年代にエステブームなどに乗って広まったこともあり、日本に伝わったアロマテラピーの方法はイギリス系に近いものであるが、近年では国内でも精油への科学的アプローチが進み、代替医療としてアロマテラピーに関心を寄せる医療関係者も増えている。

アロマテラピーのしくみ[編集]

アロマテラピーの主役である精油が心身に働きかける経路は二つある。ひとつは嗅覚刺激、もうひとつは皮膚や粘膜を通して血流に乗り体内に入る経路である。しかし精油は数十から数百の揮発性有機物の混合物であり経口毒性があるなど、ひとつひとつの成分がどのように身体へ影響するのかを追跡するのは容易ではない。

精油の嗅覚刺激[編集]

蒸散した精油の芳香成分は鼻で感知され、嗅覚刺激として大脳辺縁系に到達する(嗅覚の詳しいシステムについては嗅覚の項を参照)。ここで重要なのは、嗅覚をつかさどる部位が、の中でも本能的な部分である旧皮質に存在することである。脳は嗅覚刺激を受け取ると無意識のうちに情動を引き起こし、視床下部に影響を与える。視床下部は身体機能の調整を行う中枢であるため、匂いは本能的に身体諸器官の反応を引き起こす鍵となりうる。

精油の香りによって得られる安心感・快感・緊張感・覚醒感・瞑想感などにともなう情動が、心身のバランスを促すことが期待される。

精油が血流に乗る経路[編集]

芳香成分が血流にいたるまでには様々なルートが考えられる。吸収された成分は、最終的にはほとんどが肝臓や腎臓で代謝され、尿とともに排泄される。

吸収ルートは大別すると次の4つである。

  • ボディトリートメントなどによって、皮膚から真皮毛細血管に至るルート。
  • 呼吸により、鼻から喉・気管支・肺にとどく間に粘膜に吸着し、粘膜下の血管に入るルート。
  • 呼吸により肺胞でのガス交換時に酸素とともに血流に乗るルート。
  • 経口で口から小腸に至る消化管から吸収されるルート(坐剤として肛門や膣の粘膜から吸収させる例もある)。

皮膚は多層構造になっており、皮膚に吸収された芳香物質の血管への到達は極めて緩慢である。呼吸器からの吸収はこれよりも早いが、空気中の芳香物質の濃度を考えれば吸収されるのは微量と思われる。皮膚や呼吸を通して吸収されるルートに比べ、消化管での吸収は非常に急激で多量である。消化管の粘膜に対する強い刺激が予想され、また異物である精油成分の血中濃度が急速に高まるため、代謝系に大きな負担がかかる恐れがある。強酸である胃酸による成分の変性の可能性も捨てきれない。このため、精油の経口もしくは坐剤による使用は、十分に知識のある医師の判断のもとで行われるべきである。

精油の体内での作用[編集]

ここでは、伝統的な植物療法から推測される精油の働きについて述べるにとどめる。

生体組織への直接的な関与
例:ローマン・カモミールの(筋肉などの)鎮痙作用、ローズマリーの血行促進作用、ラベンダーの止血作用、など
防御システムを助ける働き
例:ティートリーの抗菌作用、フランキンセンスの免疫強化作用、ユーカリの去痰作用、など
代謝を助ける働き
例:ジュニパーの利尿作用、グレープフルーツのリンパ系刺激作用、など
心身のバランスへの関与
クラリセージエストロゲン様作用、ペパーミント三半規管の調整作用、ネロリの抗不安作用、など

なおこれらの作用はそれぞれの精油の働きの一端に過ぎない。精油はそれぞれに様々な性格をもち、組み合わせることによりさらに多様な作用を見せる場合もある。また、経口毒性があるため、用法を誤ればかえって心身に害をもたらすので注意が必要である。

精油の皮膚への作用[編集]

収れん作用(アストリンゼント作用)
例:イランイランサイプレスサンダルウッド白檀)、ジュニパーフランキンセンス乳香)、ローズオットーローズマリーなど
保湿作用(モイスチャー作用)
例:
エリモント作用(皮膚をやわらかくする働き)
例:ベンゾイン安息香)など

問題[編集]

事故例[編集]

アロマテラピーを業務で行っていたエステティックサロン店で衣類やタオルが自然発火を起こす事故が続発し、問題となった[16]。これは精油中に含まれる不飽和脂肪酸などが重合を起こしたり、酸化される際に生じる熱が繊維の断熱性によって蓄積したり、乾燥機にかけて反応が加速し発火点に至ることが原因である。(→乾性油)。

精油の不正な水増し「偽和」[編集]

精油の流通量は生産量を大きく上回っており、天然の精油に、別の安価な精油や合成物質を加える「偽和」という偽装行為が広く行われている。[17][18]

精油原料の乱獲と自然破壊[編集]

歴史的にみて香料植物の多くは高額で取引され、王侯貴族などの富裕層に愛好されてきたが、そもそも香料植物の多くは潤沢にあるわけではなく、稀少なものである。その上、精油は植物を蒸留するなどして作られるため、原料として大量の香料植物を必要とする。アロマテラピーが世界的に普及し、大量の精油が求められることで、精油の原料となる香料植物の乱獲や、大規模栽培による自然破壊が問題となっている。特にローズウッド (クスノキ科)サンダルウッドフランキンセンスなど、樹木から採取する精油は、乱獲や森林伐採の影響を大きく受ける。樹木の成長には時間がかかり、植林などの対応がとられても結果が出るのはかなり先のことになるためである[19]。サンダルウッドのように成長が遅い品種では、精油を採取するまで最低30年かかり、採取対象としては60 - 80年を経たものが望ましいとされる[20]。ローズウッドは乱獲により絶滅に瀕しており、ワシントン条約レッドリストに登録されている[21][22][23]

また、精油が大規模栽培されることで、自然が破壊される問題もある、例えば、ティートゥリーは抗菌力に定評があり、過去何度も流行して急速に生産が拡大し、ブームの度合いによって値段が乱高下した。オーストラリアに自生するティートゥリーが乱獲されて森が奥地まで切り開かれた。そして、知識のあるなしにかかわらず、大勢の人間がティーツリーの栽培に乗り出してプランテーションが作られ、自然が大規模に破壊された[24]。現在ではプランテーションの管理者も育ち、蒸留や収穫の技術も進化し、持続可能な栽培に取り組む農家もあるが、自然破壊の問題が解決されたわけではない。日本でもアロマテラピーは普及し、精油の消費量は急速に増えているが、環境面の問題はあまり認識されていない。そのため、精油を購入する際に、環境に配慮して作られた製品か、フェアな取引がなされているかといった情報を提示するメーカーはごく一部である。適正価格とは言えないような安価な精油も流通しており、偽和によって水増しされた精油が100パーセント天然と偽って販売されるケースも懸念されている。

アロマテラピーと法律との関係[編集]

薬事法[編集]

日本では、精油による人体の治療・改善効果をうたう場合には当該精油商品が医薬品の承認を得ている必要があり、承認がないものについては一切治療・改善効果などをうたうことができない。仮にこうした効果を標榜し広告・販売すれば、未承認医薬品の広告・販売として薬事法違反になる。

また、入浴剤としての使用や皮膚への塗布による使用によって肌の保湿などをうたう場合や、基礎化粧品としての使用を意図している場合は、当該製品が化粧品として届出済みとなっている必要がある。

医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造業の許可を受けたものでなければ、それぞれ業として医薬品、医薬部外品、化粧品または医療用具の製造(小分けを含む)をしてはならない。

薬事法第四章第二十二条(製造業の許可)

医師法[編集]

医師以外の者が診断をし、治療をすることはできない。それに伴って上記薬事法にも関連するが精油をその効果をうたい薬のように使ってはならない。

医師でなければ、医業をしてはならない。

医師法第一七条

獣医師法[編集]

飼育動物の診療行為にあたらない限りペットなどの動物へのアロマテラピーを行うことは違反行為にならない。

獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が行う必要があるものとして政令で定めるものに限る)の診療を業務としてはならない。

獣医師法第十七条(昭和24年法律第186号)

その他[編集]

製造物責任法(PL法)
一般に個人が精油を使った石鹸などを業として(反復継続してもしくは亜反復継続する意図をもって)行う場合は、薬事法に抵触する。また、製造物について事故等が起こった場合、票として製造・譲渡等をした者の製造物責任が生じる。
消防法など
精油は揮発性物質で引火性があるため、大量に保管する場合には「危険物の規制に関する政令」にかかることになる。
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為を限局する趣旨」という最高裁大法廷昭和35年1月27日判決の一部分を「人体に危害を与えず、保健衛生上何ら影響もあたえないような医業類似行為(アロママッサージなど)はサービス行為として認められる」と解釈する向きもあるが、同判決には「単に治療に使用する器具の物理的効果のみに着眼し、その有効無害であることを理由として、これを利用する医業類似の行為を業とすることを放置すべしとする見解には組し得ない」という解釈の記載があるので注意が必要である。そして最高裁判決は医業類似行為のみについて判断したものであり、無免許であん摩を業として行えば処罰対象になると厚生労働省は通知している(昭和三五年三月三〇日 医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)。また、厚生労働省ではあん摩マッサージ指圧の定義を「法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。」(昭和三八年一月九日 医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)と回答しているため、今後も、あん摩マッサージ指圧師以外の者のアロママッサージなどの施術には、法的に慎重な判断が求められる。(→手技療法参照)

アロマテラピーに使われる主な精油[編集]

(作用する効能については民間療法ベースに作られているため、科学的根拠がないものがほとんどである。中には毒性の強いものもあるため、直接皮膚などに使用する場合には注意が必要である。)

精油名(五十音順) 英名 学名 抽出部位 一般的な抽出方法 主な作用(薬効が科学的に証明されたものに限らない)
イランイラン ylang ylang Cananga odorata バンレイシ科 水蒸気蒸留法 鎮静作用、収れん作用、催淫作用など
オレンジスイート orange Citrus sinensis ミカン科 果皮 圧搾法 食欲増進作用など
カモミール・ローマン roman chamomile Anthemis nobillis キク科 水蒸気蒸留法 鎮静作用、鎮痛作用、通経作用など
クラリセージ clary sage Salvia sclarea シソ科 葉と花 水蒸気蒸留法 抗うつ作用、緩和作用、ホルモン調整作用など
グレープフルーツ grapefruit Citrus paradisi ミカン科 果皮 圧搾法 食欲増進作用など
ビャクダン(白檀・サンダルウッド) sandalwood Santalum album ビャクダン科 心材 水蒸気蒸留法 鎮静作用、収れん作用、強壮作用、消毒作用、抗炎症作用など
セイヨウネズ(ジュニパー) juniper Jumiperus communis ヒノキ科 果実 水蒸気蒸留法 浄化作用、収れん作用、利尿作用など
スイートマージョラム sweet marjoram Origanum majorana シソ科 水蒸気蒸留法 鎮静作用、血圧降下作用など
ゼラニウム geranium Pelargonium graveolens フウロソウ科 水蒸気蒸留法 ホルモン調整作用、抗うつ作用など
ティートリー tea tree Melaleuca aleternifolia フトモモ科 水蒸気蒸留法 免疫賦活作用、殺菌作用、坑真菌作用、消毒作用など
ネロリ neroli Citrus aurantium var.amara ミカン科 水蒸気蒸留法 鎮静作用など
乳香(フランキンセンス・オリバナム) frankincense, olibanum Boswellia carteri カンラン科 樹脂 水蒸気蒸留法 細胞成長促進作用、収れん作用、鎮静作用、抗菌作用など
ペパーミント peppermint Mentha piperita シソ科 水蒸気蒸留法 殺菌・抗菌作用、健胃作用など
ベルガモット bergamot Citrus bergamia ミカン科 果皮 圧搾法 食欲増進作用、抗うつ作用など
ユーカリ eucalyptus Eucalyptus globulus フトモモ科 水蒸気蒸留法 殺菌作用、消炎作用、鎮痛作用、去痰作用、抗ウイルス作用など
ラベンダー lavender Lavandula angustifolia シソ科 花と葉 水蒸気蒸留法 鎮静作用、免疫賦活作用、殺菌作用、消毒作用、鎮痛作用、細胞成長促進作用など
レモン lemon Citrus limon ミカン科 果皮 圧搾法 消毒作用、殺菌作用など
レモングラス lemongrass Cymbopogon citratus
(西インド型)
Cymbopogon flexuosus
(東インド型)
イネ科 水蒸気蒸留法 抗うつ作用、食欲増進作用、消炎作用など
ローズオットー(ダマスク・ローズ) rose otto Rosa damascena バラ科 水蒸気蒸留法 収れん作用、子宮強壮作用など
ローズマリー rosemary Rosmarinus officinalis シソ科 水蒸気蒸留法 収れん作用、利尿作用、刺激作用、頭脳明晰作用、発汗作用など

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b フランス語発音: [aʁɔmateʁapi] アロマテラピ
  2. ^ a b 英語発音: [əˌroʊməˈθerəpi] アロウマラピ

出典[編集]

  1. ^ a b c 今西二郎 編集 『医療従事者のための補完・代替医療 改訂2版』 金芳堂、2009年
  2. ^ a b ラベンダーの香りと神経機能に関する文献的研究 由留木裕子 鈴木俊明 関西医療大学紀要6, 2012年
  3. ^ a b c d ヒロ・ヒライ『エリクシルから第五精髄、そしてアルカナへ: 蒸留術とルネサンス錬金術』
  4. ^ らんびき -陶製の蒸留器- 内藤記念くすり博物館
  5. ^ 『図解 錬金術』 草野巧 著 新紀元社(、2008年)
  6. ^ 酒井シヅ (編集)『薬と人間』 スズケン、1982年
  7. ^ ヒロ・ヒライ『蒸留術とイスラム錬金術』 雑誌「アロマトピア第48号 イスラム文化の香りとハーブ」 フレグランスジャーナル社、2001年収録
  8. ^ Parfum~香水のメッカを訪れる~ 西南学院大学
  9. ^ 永岡治 著『クレオパトラも愛したハーブの物語 魅惑の香草と人間の5000年』 PHP研究所、1988年
  10. ^ Herbal Oils Trade in the Froebel City, Oberweissbach friedrichfroebel.com
  11. ^ Oberweissbach Church is the largest village church of Thuringia
  12. ^ フレグランスのABC 日本フレグランス教会
  13. ^ 佐々木薫 『最新版アロマテラピー図鑑』 主婦の友社、2009年、6頁。
  14. ^ 髙山林太郎が語るアロマテラピー ヒストリー 高山林太郎
  15. ^ マルグリット・モーリーのこと R林太郎語録 高山林太郎
  16. ^ 産経ニュース エステ店でマッサージオイルが発火
  17. ^ 消費量が生産量の2倍以上?(偽和について) Tea-treeの森
  18. ^ オークモスアブソリュートのキャラクタリゼーション 古賀 哲,樫村 英昭,秋枝 毅
  19. ^ 天然香料について ステラ・ラボラトリー株式会社
  20. ^ 香りのミニ知識 植物 長谷川香料株式会社
  21. ^ ワシントン条約の対象種(附属書)一覧表 (2014/6/24 現在) 経済産業省作成 トラフィックイーストアジアジャパン
  22. ^ Aniba rosaeodora The IUCN Red List of Threatened Species
  23. ^ Conservation Policy Update 2007 Aromatherapy Trade Council
  24. ^ 精油の由来とその行方 ティートゥリーオイルの変遷と将来 山本芳邦 山本香料株式会社

参考文献[編集]

  • ロバート・ティスランド/トニー・バラシュ 『精油の安全性ガイド(上・下巻)』 フレグランスジャーナル社
  • カート・シュナウベルト 『アドバンスト・アロマテラピー』 フレグランスジャーナル社
  • スーザン・カーティス 『エッセンシャルオイルブック』 双葉社
  • 吉田隆子 『お部屋でできるアロマテラピー40』 同文書院
  • ロジェ・ジァロア編 『フランスアロマテラピー大全』 高山林太郎訳 フレグランスジャーナル社
  • サイモン・シン著『代替医療のトリック』新潮社
  • 日下部知世子著『アロマティックライフ』 グラフ社 ISBN 978-4-7662-1167-2
  • 「アロマトピア第48号 イスラム文化の香りとハーブ」 フレグランスジャーナル社、2001年
  • 諸江辰男 著『香りの来た道』 光風社出版、1986年
  • 永岡治 著『クレオパトラも愛したハーブの物語 魅惑の香草と人間の5000年』 PHP研究所、1988年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]