ティーツリー

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ティーツリー
Melaleuca alternifolia (Maria Serena).jpg
ティーツリー
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フトモモ目 Myrtales
: フトモモ科 Myrtaceae
: メラルーカ属 Melaleuca
: ティーツリー M.alternifolia
学名
Melaleuca alternifolia (Maiden & Betche) Cheel
英名
Narrow-leaved Paperbark
Narrow-leaved Tea-tree
Narrow-leaved Ti-tree

ティーツリー: Tea Tree, Ti tree, Narrow-leaved Paperbark, Narrow-leaved Tea-tree, Narrow-leaved Ti-tree, Snow-in-summer)は、フトモモ科 メラルーカ属英語版常緑植物、学名はMelaleuca alternifoliaティートゥリーティートリーともいう。精油ティーツリー油: Tea tree oil、ティーツリーオイル)はこの植物から抽出される。ニュージーランドとオーストラリア南東部に生息する類似種・マヌカ(学名:Leptospermum scoparium)やカヌカ英語版(学名:Kunzea ericoides、通称・ホワイトティーツリー)もティーツリーとよばれることがある。精油の毒性試験や抗菌活性試験が行われているのはティーツリーのみであり、マヌカ、カヌカは成分組成に大きな違いがあるため、アロマテラピー(芳香療法、精油療法)で代用することはできない[1]

なお、化粧品などに用いられるティーシードオイルTea seed oil)、ティーオイルTea oil)は、英語の名称が似ているが、ツバキ科の植物から作られる精油で、全くの別物である。

分布・産地[編集]

オーストラリア東海岸の亜熱帯地域、ニュージーランド、インドネシア

特徴[編集]

日光のよく当たる場所に生育し、8メートルほどまで成長する。花期は春で、5cmほどの筒状の白色の花が密集して咲く。

精油の利用[編集]

先住民族のアボリジニの間では何千年もの間、この葉を砕いてケガや皮膚の治療などに使われてきた。19201930年代には各国で研究が行われ、第二次世界大戦ではティーツリー油(ティーツリーオイル、: Tea tree oil)がオーストラリア兵の救急箱の常備薬だったが、合成薬品が登場してから注目を奪われた。その後、伝統医学への関心の高まりと、副作用が比較的少ないことから、近代的な医療からも注目が再燃した。精油には抗炎症作用、抗ウイルス作用などが認められる反面、近年では副作用も報告されている。ティーツリー油は、アボリジニが利用した方法と比べ物にならないほど高濃度の化学物質であること、偽和精油の流通や香料使用の増加で感作性が上がっていることに注意を払う必要がある。(感作とは、生体を抗原の再刺激に対して感じやすい状態にすること。)

フトモモ科の植物は自然に化学種(ケモタイプ)が生じてしまうため、産地による成分の差が大きく、同じティーツリー油でも薬効に差がある。オーストラリアには精油の品質規格があり、成分調整が行われ質は比較的安定しているが、ニュージーランド産は製品ごとの成分の差が大きいため、アロマテラピーに利用するのは難しい[1]

アロマテラピーの書籍では、科学的研究がなされた薬効と、未検証の薬効が混在して喧伝されている。

ティーツリー油は、0.5%から1%未満の濃度に希釈した場合でも、幅広い種類の細菌真菌に対して強い殺菌力がみられ、タンパク質に直接はたらくため耐性菌も発生しにくい[2]精神安定作用があるとされ、花粉症に利くともいわれる。

補完・代替医療に精油を用いたり、石鹸や洗浄剤へ配合するなど幅広く使われている。フケを防止するためのティーツリーが配合されたシャンプーもある。歯周病消毒、傷、火傷カンジダ白癬など菌が原因とされる疾患の殺菌を目的として全身に広く用いられる。防臭効果もある。火傷や関節痛の痛みを軽減する。風邪の場合に精油を希釈して内服する例もあるが[3]、近年では世界的に精油の内服はほとんど行われない。液状ではなく香りの状態で、院内感染の原因であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を殺菌する[3]

自然の抗真菌薬として、口角炎などに民間療法で用いられる。

口腔内のすぐれた殺菌作用や口臭予防作用があり、入れ歯の殺菌剤としても有効であった[4]。ヒトから採取した歯垢にティーツリーを混ぜ、ティーツリーを除いてから培養し10種の菌を観察した結果、ティーツリー1%濃度の液では99.9%が殺菌され、原液では全く菌の発育が観察されなかった[5]。口腔細菌の発育を抑制し、歯垢形成を抑制する[6]。ティーツリーを配合した歯磨き剤や洗口剤がある。

精油の臨床研究は、主に足白癬に関するものである[1]水虫魚の目タコなどの足の症状60例に対し、38例が顕著な効果、20例に良好な効果があった[7]にきびや口腔のカンジダ、皮膚のカンジダ、皮膚炎・湿疹、ヘルペス、爪・股・足の白癬に用いられ、被験者50名のうち1名を除き、症状の完治か顕著な効果があった[8]。また、医薬品よりも副作用も少なかった。

膣の感染症に有効であった[9]

毒性[編集]

比較的毒性は低いと言われてきたが、皮膚感作性が近年数多く報告されている。ティーツリーに含まれる1,8-cineole(シネオール)による過敏症は一般的であり、オーストラリアの精油の規格では1,8-cineoleの含有率を低く設定している。また、精油のアレルギー性過敏症は30症例以上報告されており、新鮮な精油でも弱い作用であるがアレルゲンとなりうる。光酸化作用で生じた分解産物はアレルギー性接触皮膚炎の発症原因になると考えられている。また23カ月の乳幼児で市販の精油10ml未満経口摂取した際に、30分後に錯乱状態になり歩行困難になった例がある(摂取後5時間以内に回復し、翌日退院している。)内服による蕁麻疹好中球増加症、倦怠感、眠気の報告もある[1]。1,8-cineoleの高い精油には、ユーカリ油と同様の毒性を示すものもあるが、ユーカリ油では呼吸障害、昏睡の他に死亡例も報告されているため、注意を要する。

ペット向けアロマテラピーで利用されており、動物の中毒事故も多い。ティーツリーを始めとするメラルーカ属の精油を、犬や猫といったペットに外用した際の中毒症状が、獣医師により多数報告されている。典型的な症状は、沈鬱、衰弱、協調運動失調、筋肉の震顫で、四肢の麻痺も見られる[1]

参考文献[編集]

  • マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
  • スーザン・ドゥルーリー『Tea Tree Oil―女性を輝かせる伝説の精油』 バーグ文子訳、BABジャパン出版局、2006年ISBN 978-4862201614
  • ジュリア・ローレス 『ティートリー油 精油の科学と使用法シリーズ(3)』川口 健夫、川口 香世子、フレグランスジャーナル社、1998年ISBN 978-4938344931
  • Native Plants : The Definitive guide to Australian Plants, Global Book Publishing, Chryl Campbell他、2004年ISBN 978-1740480277

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
  2. ^ 甲田雅一・本間 請子ら 「ティートリーの抗菌作用」 『日本アロマセラピー学会誌』 Vol.4, No.1(2005) pp.22-27
  3. ^ a b 今西二郎「メディカル・アロマセラピー」、『日本補完代替医療学会誌』第1巻第1号、2004年、 53-61頁、 doi:10.1625/jcam.1.53NAID 130000079430
  4. ^ 千葉栄一・新谷明喜 『オーラルケアのためのアロマサイエンス』 ISBN 9784894791237
  5. ^ 中澤太・中條和子・星野悦郎 「ヒト歯垢におけるTea Tree Oilの殺菌作用」Journal of oral biosciences Vol.46, No.5(20040901) p.486
  6. ^ 加藤哲男・高橋尚子ら 「口腔保健への天然物利用」 『日本歯科医学会誌』 No.25(20060331) pp.82-86
  7. ^ M Walker, Clinical investigation of Australian Melaleuca alternifolia oil for a variety of common foot , Current podiatry(april 1972)
  8. ^ A SHEMESH, WL MAYO. Tea tree oil--natural antiseptic and fungicide - International Journal of Alternative and Complementary(dec 1991), p12
  9. ^ Blackwell "Tea tree oil and anaerobic (bacterial) vaginosis." Lancet. 1991 Feb 2;337(8736):300. PMID 1671134