混合診療
混合診療(こんごうしんりょう)とは日本の医療における保険診療に保険外診療(自由診療)を併用すること。
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[編集] 概説
保険診療において保険外診療(自由診療)を併用することは原則として禁止されている。通常であれば、健康保険(政府管掌健康保険、組合管掌健康保険、国民健康保険)が適用される診療内容にそれ以外の保険外診療が加わった場合、保険外診療分に加えて、本来、健康保険からの給付対象分を含めた医療費支払いの全額が患者の自己負担となる。
2004年(平成16年)12月15日、厚生労働大臣と規制改革担当大臣とが合意したものが「いわゆる混合診療問題に係る基本的合意」として文書化され、「いわゆる混合診療問題について」という解説も文章化されている。そこでは、いわゆる混合診療で注目される保険外診療は次の3つに分類されている。
- 日本国内未承認薬の使用(諸外国では承認されているにもかかわらず、日本では未承認、いわゆる「ドラッグ・ラグ」)
- 高度先進医療(肝臓移植、体外衝撃波膵石破砕術など)
- 制限回数を超える医療行為(腫瘍マーカー、ピロリ菌除去など)
混合診療の禁止に法的な根拠があるのかには議論があるが、後述するように東京高裁は保険医療機関及び保険医療養担当規則で混合診療が原則禁止されていると判断した。一方、福井秀夫政策研究大学院大学教授らは、法学、政策学的な立場から疑問を呈している[1]。
[編集] 裁判
この扱いについて、東京地裁は、2007年11月7日、混合診療における保険給付を求める訴訟の判決のなかで「健康保険法などを検討しても、保険外の治療が併用されると保険診療について給付を受けられなくなるという根拠は見いだせない」とし、国による現状の法解釈と運用は誤りであるとの判断した[2]。一方で、同判決は、「法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題」とも述べ、混合診療自体の是非についての言及は避けた[3]。控訴審の東京高裁は2009年9月29日に 保険医療機関及び保険医療養担当規則第18条で「保険医は、特殊な療法又は新しい療法等については、厚生労働大臣の定めるもののほか行つてはならない」という規定が「混合診療を原則として禁止したものと解するのが相当」と判断を示し、混合診療の禁止を適法として原告患者側の請求を退ける判決を言い渡した[4][5]。2011年10月25日に最高裁は「保険外併用療養費制度は、保険医療の安全性や有効性の確保、患者の不当な負担防止を図るもので、混合診療禁止の原則が前提。混合診療を全額自己負担とする解釈は、健康保険法全体の整合性の観点から相当」として混合診療禁止を合法と初判断を下して上告を棄却した。
[編集] 禁止対象外
本項で説明された「混合診療」とは異なるが、保険診療において保険外診療(自由診療)を併用が認められているため「混合診療」と説明されることがあるので注意を要する。
[編集] 特定療養費
かつて、特定療養費制度として、保険診療との併用が認められた保険外診療として高度先進医療と選定療養があった。
これらは保険外併用療養費制度として評価療養(旧制度下の選定療養の一部と高度先進医療をまとめたもの)と選定療養に再編された。
[編集] 評価療養
健康保険法第63条第2項第3号「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの」に該当するもので、次のようなものがある[6]。
- 先進医療
- 医薬品の治験に係る診療
- 医療機器の治験に係る診療
- 薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用
- 薬事法承認後で保険収載前の医療機器の使用
- 適応外の医薬品の使用
- 適応外の医療機器の使用
2006年、健康保険法等の一部を改正する法律において、保険収載された新薬の適応外投与だけでなく未承認薬の投与も含めて保険外併用療養費制度の評価療養に組み込まれた[7]。
[編集] 選定療養
「選定療養」も参照
健康保険法第63条第2項第4号「被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養」に該当するもので、次のようなものがある[6]。
- 特別の療養環境(差額ベッド)
- 歯科の金合金等
- 金属床総義歯
- 予約診療
- 時間外診療
- 大病院の初診
- 小児う触の指導管理
- 大病院の再診
- 180日以上の入院
- 制限回数を超える医療行為
[編集] 適応外処方
「適応外処方」も参照
1980年9月から所謂「55年通知」により、再審査期間の終了した医薬品を薬理作用に基づいて学術上誤りなき処方を行なった場合は保険外の医薬品であっても保険適用できることとなっていた。
2004年、小泉純一郎首相(当時)が混合診療解禁を指示し、議論となった。結果的には、混合診療は解禁されなかったが、保険外併用療養費制度の前身の特定療養費制度における選定療養として、保険収載された新薬の適応外投与が追加された[8][9]。
[編集] 診療行為の分断
健康保険法第64条で保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師は保険医でなければならないとされ、保険医療機関及び保険医療養担当規則第18条で保険医が行なう保険外診療は原則禁止されているが、保険医以外の医師が行なう保険外診療は禁止する法的根拠はない。つまり、患者としては、保険医療機関で保険診療を受けながらの別の自由診療機関で保険外診療を受けることで保険外診療も受けながら保険医療機関における保険診療により健康保険からの給付を受ける形を取ることで混合診療を受ける時と同様の恩恵を受けることが可能である[10]。
[編集] 不正請求
以下のような手法で事実上の混合診療が横行しているとされる。
- 東京大学医科学研究所の上昌広特任教授は、保険診療と保険外診療のカルテを分けるなど、同じ患者の一連の治療を別々の治療に偽装するなどして、混合診療の発覚を免れようとする手段が医師の間で広く行われているとする指摘している[11]。
- 東京医科歯科大学の川渕孝一教授は、勃起不全の患者にバイアグラを処方すると混合診療になるので、糖尿病などの治療をしたことにしてバイアグラを全額自己負担で処方するなど、適応外の薬を処方するために嘘の病名を書いたりするなどの辻褄を合わせる手法が行われている[要検証]と指摘している[12]。
[編集] 主な論点
[編集] 混合診療を解禁すると、所得による医療格差が生じないか?
- 混合診療解禁側の論
- 規制改革推進会議は、「いわゆる『混合診療』を避けるため、例えば本来1回の入院・手術で済むところを保険診療部分と保険外診療部分とに分けて行う等、あえて診療行為の分断等を行うことにより、患者の身体的・経済的負担を増大させる」「『混合診療』が解禁されれば、患者がこれまで全額自己負担しなければならなかった高額な高度・先端的医療が、一定の公的保険による手当ての下で受けられるようになるため、『金持ち優遇』どころか、むしろ逆に、受診機会の裾野を拡大し、国民間の所得格差に基づく不公平感は是正される」[10]「医療保険は、国民の支払う保険料と公的負担を財源として給付されるものであり、どの範囲の医療を保険の対象とするかの問題は、保険に関する政策の在り方として混合診療の問題とは別にそれ自体独立して決定すべきである。したがって、国民が負担能力に関係なく適切な医療を受けられる『社会保障として必要十分な医療』は保険診療として従来どおり確保しつつ、いわゆる『混合診療』を解禁することは十分可能であり、『混合診療』の解禁が国民皆保険制度の崩壊につながるとの批判は的外れである。」[13]としている。
- 混合診療禁止側の論
- 日本医師会は、現在健康保険の対象となっている診療が保険外となる可能性を指摘している[14]。全国保険医団体連合会は「混合診療を推進する人たちの本当の狙いは、決して患者さんの選択肢を広げることではなく、本来公的医療保険で扱うべき医療の範囲を縮小し、その分を自由診療に移し変えようというもの」「保険給付の範囲がどんどん縮小され、公的保険では必要な医療まで受けられなくなる危険性があります。これでは、患者さんの選択肢を広げるどころか、逆に『今よりも選択の幅が狭まる』ことになります。 」「相次ぐ医療改悪で、ただでさえ日本の患者負担は先進国一高くなっており受診抑制が広がっています。」としている[15]。神奈川県保険医協会は「保険外の抗がん剤使用(月30万円)で、保険給付70万円分と合わせ100万円の自己負担となる現状が、解禁で約38万円になる」とする解禁派の主張に対して「この保険外の抗がん剤が保険に導入されれば、窓口での負担は30万円(100万円の3割分)となり、高額療養費22万円が払い戻され、8万円の負担で済む」[16]とし、「最近は6ヶ月を超える入院の差額徴収など、保険の給付を外し患者に負担させる混合診療も登場しています。全面解禁では、今、保険の効いているものが外され、保険の効かない医療がどんどん増えていきます。」[17]として保険適応拡大を求め、保険適応縮小と混合診療導入を反対している。また、東京新聞金杉貴雄記者は、一旦混合診療が解禁されてしまうと、次第にメーカーなどから薬の保険適用申請が減っていき、実質的に公的医療の縮小に繋がると医師会が言っていると主張している[要検証][18]。
- 患者団体(混合診療禁止)側の論
- 2004年12月5日、日本患者・家族団体協議会は「この混合診療の解禁は、『新たな医療技術や治療法、薬などの保険適用を遅らせ、既に保険が適用されているものまで保険から外される』内容です」「私たちは医療を受ける当事者として、混合診療解禁と特定療養費拡大に反対し、日本医師会や全国保険医団体連合会とも連携し、日本の優れた国民皆保険制度を守るために共に奮闘しましょう」とした「混合診療の解禁に反対する決議」を小泉首相や経済財政諮問会議などに送付した[19]。
- 患者団体(緊急避難的限定解禁)側の論
- NPO法人がんと共に生きる会は、厚生労働省などが懸念する有効な治療法が「保険適用外におかれ続ける」ことは「当会の懸念でもございます。」としつつも、緊急避難的な解禁で「科学的根拠のある未承認薬を試すことができる機会」が増えるとしている。また、「一定収入以下の人に対しては、救済措置を講じること」を求めている[20]。
[編集] 混合診療を解禁すると、有効性や安全性等に問題のある医療行為がはびこるのではないか?
- 混合診療解禁側の論
- 規制改革推進会議は、「自由診療が容認されている現状において、混合診療に限って患者負担の増大や有効性、安全性を問題にすることは理解に苦しむ。」[21]「厚生労働省からは、『医療については、医師法、医療法、薬事法等により国民の健康の保持、安全の確保等の観点から必要な措置が講じられているところであり、保険外診療であるからといって患者の健康・安全の観点からの審査を必要としないという趣旨ではない』として、保険外診療においても一定の安全性の確保はされているとの趣旨の回答(平成15年4月2日付)を得ている。この回答に基づくと、一定の安全性が確保されている保険外診療と安全性が確認されている保険診療を併用した場合に、何故に「安全性に欠ける」との結論が導かれるのか理解に苦しむ」「厚生労働省の主張する(混合診療を解禁した場合)『有効性や安全性の担保されていない療法が蔓延する』との点については、逆に『誰がそのような療法を行うのか』という点が問題であり、そのような裏づけのない危険かつ有害な治療を行う医師の取締りこそが、保険診療・保険外診療・混合診療のいずれかを問わず、本来求められる」[13]としている。
- 混合診療禁止側の論
- 日本医師会は「製造や輸入の承認や健康保険適用の判断基準を明確にして、審議や結果をオープンにすることが必要です。そのうえで保険適用されなかった薬は、有効性や安全性等の問題が指摘されたものと考えられます。このような薬の使用を混合診療として保険外で認めれば、結果的に使用を促進し、重大な健康被害等が全国に拡大するおそれがあります。」としている[22]。
- 神奈川県保険医協会は、混合診療を解禁すれば、患者と医師の情報の非対称性の高いため、真贋の判断が難しい患者が混乱をきたし、まがいものやまじないの類が医療現場へ侵入しやすくなるとしている[23]。
- 患者団体(緊急避難的限定解禁)側の論
- NPO法人がんと共に生きる会は「科学的根拠のない医療行為が行われることには、当会も反対しております。」とし、「アメリカでの厳しい臨床試験に合格した有効性については科学的根拠のあるもの」だけに限定した緊急避難的解禁を求めている[20]。
[編集] 混合診療を解禁するのではなく、現在、保険対象となっていない医療を保険適用させるべきでは?
- 混合診療解禁側の論
- 規制改革推進会議は、「現行の特定療養費制度による対応で十分とする見解があるが、同制度の下で医療技術及び医療機関ごとに個別に承認し、保険診療と併用した場合にその基礎的部分(初・再診料、入院医療等)に保険給付する方法では、手続も煩瑣で時間がかかり、患者の多様なニーズへの迅速な対応や医療現場の創意工夫、医療技術の向上を促すには不十分」[13]特定療養費制度における高度先進医療の「承認手続きの簡素化」は「極めて不十分」であり「その抜本的見直し(審議の迅速化、透明性の確保、利用者志向への転換等)が行われない限り是認し難い。」[10]としている。
- 混合診療禁止(保険適用拡大)側の論
- 日本医師会は「安全で有効なことが客観的に証明されている薬ならば、保険外ではなく健康保険で使えるようにすれば、すべての患者さんが公平にその恩恵を被ることができます」「時間をかけずに、速やかに保険で使えるようなルールをつくれば済む」[24]「患者さんの容態を客観的に判断し、医学的に必要な場合は保険でみるようにすればよい」[25]「高度先進医療は、有効性や普遍性が認められるものは、すべて保険適用するのが筋です。そして、より多くの患者さんが高度の医療を保険で受けられるようにすべきです。」[26]「薬の成分、作用から他の病気にも有効であり、安全性も客観的に証明されるものであれば、速やかに健康保険で他の病気にも使えるようにするのが筋。そうすれば、多くの患者さんが助かります。」[27]としている。
- 患者団体(緊急避難的限定解禁)側の論
- NPO法人がんと共に生きる会は、「当会は、基本的には、国民皆保険制度を支持しております。」「厚生労働省および日本医師会は、科学的根拠のある薬は、承認され保険収載され、国民皆が通常の保険診療で受けられるようにするのが『王道』だと仰います。当会もその考えに全く異論はございません。科学的根拠のあるがん治療薬は、いち早く承認し、保険収載することを、以下のように、これまで何度も厚生労働大臣等に要請して参りました。」と原則的には「日本の皆保険制度を支持」しつつ、「タイム・ラグが解消されるまでの『緊急避難的』措置」としての「『部分的」解禁』」を求めている[20]。
[編集] 保険財政を改善するためにも、混合診療を解禁すべきでは?
- 混合診療解禁側の論
- 内閣府総合規制改革会議の資料には「医療のムダの排除、透明化により、保険財政を効率化」と書かれており、混合診療解禁により保険外診療が増大する一方で保険診療を削減できる図が描かれている[28]。東京医科歯科大学客員教授の亀田隆明は「公的負担(保険料、税金)の増大を極力回避して、自己負担の増大で医療財源の問題解決を抜本的に講じるのであれば、やはり混合診療を原則自由化し、自己負担分に民間保険を拡充するという選択肢は避けられない」としている[29]。
- 混合診療禁止側の論
- 全国保険医団体連合会は、保険財政の悪化は「国が老人医療への国庫支出割合を45%から35%へ引き下げたこと」「それにともなう健保組合からの老人医療への拠出金割合が33%から40%へと増加したこと」「リストラと賃金据え置きにより保険料収入が大幅に減少したこと」であり「財政悪化の主な原因は、老人医療費などが支出急増ではなく、保険料収入の大幅減少である」として「財政の収支改善のためにも、拠出金割合を適正なレベルに戻すことと、老人医療への国庫負担率を元に戻すことが求められます」と主張している[30]。同連合会は「無駄な大型公共事業を見直し、過去最高益を更新し続けている大企業に応分の負担を求めれば、財源は十分に生み出せます」[31]「公共事業が社会保障を上まわっている国は、日本以外にはありません」「本当に改革しなければならないことは、まさにこの逆立ちした財政支出の構造ではないでしょうか」[32]とも主張している。神奈川県保険医協会は「基本は未承認の抗がん剤や、検査・治療」は「金額的にも医療費への影響度は0.01%もありません」とし「公費から医療費助成制度の創設で対応が財政的にも十分可能です」としている[16]。日本医師会は「財政難を理由に最新の医療が健康保険に導入されなくなり、費用が負担できる人しか必要な医療が受けられなくなる」[33]「混合診療の全面解禁によって、公的医療保険の給付範囲が縮小する懸念がある」「財政当局が、そのほうが公的医療費支出を抑制できると考えるためである」[34]としている。愛知県医師会は、日米の医療費を比較して市場原理に委ねたアメリカの方が費用的効率が悪いとしている[35]。
[編集] 本音は国民の利益のためではなく医療利権にあるのでは?
- 混合診療解禁側の論
- 混合診療禁止側の論
- 神奈川県保険医協会は混合診療解禁を求める規制改革・民間開放推進会議の事務局に「セコム、第一生命、三井住友海上、東京海上火災など保険会社」が名を連ねていること、「宮内議長が会長を務めるオリックスは医療のあらゆる分野に進出」していること等を指摘[16]し、特定療養費の拡大で不十分とするのは「自費料金の目安の提示や、取り扱い医療機関の限定など厚労省の監督下の解禁では、民間医療保険の商品開発に制約がかかることや、その他の事業がやりにくい」からだとしている[36]。
[編集] 世論
2008年1月、日本医療政策機構が「日本の医療に関する2008年世論調査」を行った[1]。その結果、全体の78.2%が混合診療解禁に賛成(賛成33.5%、どちらかといえば賛成44.7%)した。同機構は、この調査について「質問によるバイアス(偏り)を極力排除するため、混合診療の概要に加えて、解禁を求める意見と、これまでどおり禁止を求める双方の意見をバランスよく記載するよう特に配慮した」としている。
一方、日本福祉大学社会福祉学部の二木立教授は、従来の同種調査[37]では混合診療解禁に賛成は2割に満たないとしている。また、二木立は、日本医療政策機構の調査概要を調べ、「国内で保険対象外の抗がん剤など、生命に関わる治療に関しては混合診療」が保険外併用療養費で既に認められている事実について説明せず、あたかも禁止されているかのように見える質問で特定の結論に誘導する誘導的質問は社会調査では禁じ手、誘導的質問で調査結果が大きく変わることは福田内閣の支持率調査で明らかになっていると激しく非難している[38]。
[編集] TPP
日本医師会などが、2010年末から米州太平洋アジア10か国近くで提唱されている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉において、日本の医療自由化が議題となる可能性を指摘している[39]。 2011年9月12日、外務省は日米通商代表部から「医薬品へのアクセスの拡大のためのTPP貿易目標」とするTPP交渉における9項目の重点項目を記載した文書を受け取っていた[40]が、それは以下の9項目であって国民皆保険制度の民間開放や混合診療解禁を意味する文言が書かれているわけではない。
- 革新的医薬品・ジェネリック医薬品へのアクセスの、「TPPアクセス・ウ ィンドウ」を通じた迅速化
- ジェネリック医薬品の製造業者にとっての法的予見性の強化
- 医薬品に対する関税撤廃
- 税関における障壁の低減
- 模倣医薬品の貿易阻止
- 各国内における医薬品の流通障壁の低減
- 透明性と手続きの公平性の強化
- 不要な規制障壁の最小化
- TRIPS及び公衆衛生に関するドーハ宣言[2]の再確認
2011年11月7日、外務省は民主党プロジェクトチーム(PT)総会にて文書で「議論される可能性は排除されない」との見解を表明した[41]。 小宮山洋子厚生労働相は2011年11月8日の閣議後会見で「排除されない」としたのは「絶対に入らないとは言えない」と言っただけで「TPPで議論の対象となっていない」とする以前の見解を変えていないとしている[42]。 日本医師会は、TPPから公的医療保険制度を除外することと混合診療の全面解禁を行わないことを約束するよう政府に求めている[43]。 西村康稔衆議院議員は、アメリカ通商代表部(USTR)日本担当のカトラー代表補が日本の皆保険制度については何も要求しないと明言したとしている[44]。
[編集] 脚注
- ^ 歯科医院経営・総合情報誌『アポロニア21』2007年12月号より。
- ^ 健康保険受給権確認請求事件東京地方裁判所判決
2007年11月7日 判決
平成18(行ウ)124
“判決全文 (PDF)”. 判例検索システム. 最高裁判所. 2009年9月30日閲覧。
“判決情報”. 判例検索システム. 最高裁判所. 2009年9月30日閲覧。 - ^ 『読売新聞』2007年11月7日。
- ^ 小嶋麻友美 (2009年9月30日). “『混合診療』禁止は適法 東京高裁判決 原告側が逆転敗訴”. 東京新聞 2009年9月30日閲覧。
- ^ 平成19(行コ)405 健康保険受給権確認請求控訴事件 平成21年09月29日 東京高等裁判所判例検索システム
- ^ a b 先進医療の概要について厚生労働省
- ^ 医療保険における革新的な医療技術の取扱いに関する考え方について厚生労働省
- ^ 京臨技会報No.10京都府臨床検査技師会
- ^ 高度先進医療Internet Archiveに残されたかつて厚生労働省のサイトにあったもの
- ^ a b c 中間とりまとめ本文規制改革推進会議
- ^ “【ドラッグ・ラグ】(3)混合診療「なぜ自己負担」”. 産経新聞. (2010年3月15日) 2010年11月12日閲覧。
- ^ “混合診療を考える(下)”. 日本経済新聞. (2004年10月21日)
- ^ a b c 第1次答申本文規制改革推進会議
- ^ 混合診療って何?Q3日本医師会
- ^ 混合診療で医療の選択肢は狭くなる全国保険医団体連合会
- ^ a b c 混合診療問題ニュース12神奈川県保険医協会
- ^ 混合診療問題ニュース5神奈川県保険医協会
- ^ 「交渉参加 TPP<3> 医療制度は守れるのか」『東京新聞』2011年11月17日
- ^ 日本患者団体が「混合診療の解禁」に反対する決議全国保険医団体連合会
- ^ a b c 「混合診療」解禁についての当会の考えNPO法人がんと共に生きる会
- ^ 中間とりまとめ別紙規制改革推進会議
- ^ 混合診療って何?Q5日本医師会
- ^ 政策部長談話「保険外併用療養費の拡大は、混合診療の解禁ということ 皆保険を崩し、医療の安全を損なう規制改革の撤回を求む」神奈川県保険医協会
- ^ 混合診療って何?Q4日本医師会
- ^ 混合診療って何?Q6日本医師会
- ^ 混合診療って何?Q7日本医師会
- ^ 混合診療って何?こんなケースはどうすべき日本医師会
- ^ 「混合診療」の解禁の意義(総合規制改革会議作成)首相官邸
- ^ 病院経営が抱える諸問題財務省
- ^ 医療保険財政の赤字の主因は?全国保険医団体連合会
- ^ 間違っている財源の使い方全国保険医団体連合会
- ^ 突出した日本の公共事業への支出全国保険医団体連合会
- ^ 混合診療について首相官邸
- ^ 国民皆保険の崩壊につながりかねない最近の諸問題について厚生労働省
- ^ 市場原理と医療制度愛知県医師会
- ^ 混合診療問題ニュース9神奈川県保険医協会
- ^ 日本医師会総合研究機構「第1回医療に関する国民意識調査」等
- ^ 二木教授の医療時評(60)「混合診療賛成が8割!?誘導的質問の恐ろしさ」文化連情報2008年10月号(No.367)P.26
- ^ 「交渉参加 TPP<3> 医療制度は守れるのか」『東京新聞』2011年11月17日
- ^ 医薬品へのアクセスの拡大のためのTPP貿易目標外務省
- ^ “混合診療の全面解禁「議論の可能性排除できず」”. 産経新聞. (2011年11月7日) 2011年12月6日閲覧。
- ^ “【TTP交渉参加】「現在は検討材料に入っていない」 混合診療めぐり小宮山厚労相が強調”. サンケイビズ. (2011年11月8日) 2011年12月6日閲覧。
- ^ 日医NEWS第1205号
- ^ 米、TPPで「皆保険不介入」の意向 事前協議前に駆け引き 焦点は自動車SankeiBiz