女神

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女神(めがみ)とは、女性の姿を持つのこと。

解説[編集]

多神教においては、往々にして神にも性別が存在し、そのうち女性の神を女神と称する。対して男性の神を男神(おがみ)と呼ぶ。

美しい若い女性や、ふくよかな体格の母を思わせる姿のものが多い。中にはモイライの様な年老いた女神や、カーリーの様な恐ろしい姿の者もいる。大地や美や性愛を司る神は、各地においてたいてい女神である。それらは往々にして母性と結びつけられ、まとめて地母神と呼ばれる。

神に人間のような性別があるかどうかは議論や研究の対象であり、神には性別が無いとする立場からは、単に外見が人間の女性に酷似する神とされる。

当然ながらアブラハムの宗教のような一神教においては、唯一の存在である神には性別は存在せず、従って女神も存在しない。

一方、フランス革命以降のフランスにおいては、キリスト教から脱する考えにおいて、信仰の対象ではなく単なる象徴として、女神が奉られた(自由の女神)。またヨーロッパの多神教時代の民話などを、近代以降に翻案するにあたっても、具体的な神から単なる女神へと置き換えられる場合が多い(金の斧など)。

日本神話(高天原神話)における役割[編集]

性差が存在することによって、一神教のような男性優位の社会を主張する流れとは異なる物語の形成に繋がっている。例として、イザナギ・イザナミの婚姻譚において、男から先に声をかけなかったために失敗したといった流れがあり、一見すると男性優位の物語として語られているように見えるが、その後、産まれた男神であるヒルコを廃し(流し)、女神たるヒルメを立てているところは女性優遇といえるものであり、河合隼雄は著書『中空構造日本の深層』において、男性優位と女性優位の物語を交互に語らせることで、カウンターバランスを成立させ、男女が互いに欠点を補い合うことで安定化を図っているとした社会思想を神話によって語らせているとしている(アマテラスとスサノオの「清い心を示す勝負」では、スサノオ=男神を勝たせている)。一種、女神の存在は、一方の性を優遇するといった一辺倒な社会の否定に繋がっている。

神皇正統記』に「陽神(おかみ)陰神(めがみ)」と表記されているように、陰陽思想の下では女神は「陰」に比定される(『神統記』内では陰神の表記が度々用いられている)。また、日本では女神の呼称の他に「姫神(ひめがみ)」という言葉を用い、これに対して男神を「彦神(ひこがみ)」と呼称する(『広辞苑 第六版』岩波書店より)。

関連項目[編集]