エレクトロニカ
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エレクトロニカ(英語 Electronica)とは、電子音楽や電子音楽に影響を受けている音楽全般を包括的に表す言葉。ただし狭義に用いられることがある(後述)。
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[編集] 歴史
この言葉は、近代的な電子音楽を意味するものとして定義され、必ずしもクラブミュージックとしての性格を強調するものではなかった。名前の由来ははっきりしないが、言葉の使用自体は、英国のエレクトロニックロックのバンドであるリパブリカを表現するために、1990年代中ごろ、英国の音楽雑誌「メロディー・メイカー」によって造り出された。後に、当時全く新しい次世代のレイブ音楽として音楽界の主潮へと躍り出たのを契機として、その潮流を意味する言葉として、アメリカでは一般的となった。エレクトロニカという言葉がこのような新しいダンス音楽を包括する言葉として使用される以前は、エレクトロニック・リスニング・ミュージック、ブレインダンシング、IDM(インテリジェント・ダンス・ミュージック)などと呼ばれていた。1990年代中頃のMTVや主要なレコード会社は、エレクトロニカという言葉を、それほど包括的な言葉として用いているわけではなく、現在ではビッグ・ビートやケミカルブレイクなどと分類されているケミカル・ブラザーズ、他にもプロディジーといった面々によって世に送り出された主流の機械音楽を意味する言葉とて使用していた。現在では、ビョークやゴールドフラップなどの人気のアーティスト、オウテカ、エイフェックス・ツイン、ボーズ・オブ・カナダなどのグリッチ的な新たな手法を採用するアーティストから、ダブ指向の強いダウンテンポ、ダウンビート、そしてトリップホップまでを含む幅広い音楽活動や音楽様式を表す言葉として用いられている。人気を集めているアーティストの多くは、大衆向けの音楽においても、何らかのエレクトニカ的な要素を取り入れている。
[編集] 2000年以降の動向
現在エレクトロニカは大まかに2つの意味に別れている。広義のエレクトロニカはクラブミュージックなどを含む打ち込みを部分的にでも使った音楽全般であり、狭義には非クラブミュージック、非ダンスミュージックに特化したIDMとその周辺、進化系のみのことを差す。
(狭義の)エレクトロニカがもっとも注目されたのはクリック、グリッチ、カットアップといった手法が幅広く広がったときである。特にレーベルのミル・プラトーがClicks & Cutsと題した一連のコンピレーションシリーズでこの手法を集中的に取り上げた2000年前後である。それまではどちらかというとアレック・エンパイアのレーベルというイメージの強かったフォース・インクおよびそのサブレーベルであるミル・プラトーが、実験的なエレクトロニカを多数リリースする場となり、シーンを大いに盛り上げた。ただしクリックおよびグリッチはそれ以前にオヴァルが「発見」した手法である(さらに言うならカットアップもオヴァルが多用している)。このときに注目されたのがアルヴァ・ノト、Snd、フランク・ブレットシュナイダー(Komet)、トーマス・ブリンクマンと言ったアーティストである。
一方でエレクトロニカはハードウェアとソフトウェアの両面の発達から、より精緻で複雑化が進んだ。こういったアーティストは前述のクリック系アーティストと密接に連動し、必ずしも明確に分割することは出来ない。この方面のエレクトロニカが注目されたのは、レディオヘッドがエレクトロニクスを大胆に取り入れたアルバムを発表したこと、特にリーダーのトム・ヨークがオウテカを愛聴していると発言したためである。この方面の嚆矢としては前述のIDM時代からの重鎮オウテカやリチャード・ディヴァインが挙げられる。彼らは複雑なプログラミングやグリッチ、ドローンといった手法を用いる。特にリズム面が複雑化し、変拍子や拍子という概念を放棄したような曲すらある。
クリック、グリッチ、カットアップといった手法は、いわゆるダンスミュージックとしてのテクノやハウスといった電子音楽にも波及、特にテクノはその後シーン全体がクリック・テクノ/ハウス一色に染まった(シュランツはこれに反する流れとする見方もある)。有名DJもクリックハウスを多く廻し、田中フミヤの様にスタイルそのものをクリック主体に変えてしまったDJも多い。ダンスミュージックにこの手法が適応された例で注目されるのは、ミル・プラトーでクリックハウスというよりカットアップ・ハウスとでも呼ぶべき手法でDeck The Houseというスマッシュヒットを飛ばしたアクフェン、チリ出身、ベルリンでリッチー・ホウティンと共に活動をするリカルド・ヴィラロボス、ユーモラスなコラージュハウスを得意とするハーバートといったアーティストである。
[編集] 狭義のエレクトロニカの分類
(狭義の)エレクトロニカは様々な方向に向かった。
- シーンとして大きいのは生楽器を取り入れたスタイルである。初期にはフォークトロニカと呼ばれていたが、現在エレクトロニカ自体この手法が主流となったため、そう呼ばれることは少ない。彼らの中にはポスト・ロックとほとんど聞き分けが付かないようなサウンドを展開する者もいる。ムーム、ミノタウロ・ショック、テレフォン・テル・アヴィヴのセカンドアルバムなどがこれにあたり、この手法は世界中に広がっている。一般的にはポップな物が多いが、中にはミッチェル・アキヤマやエッケハルト・エーラーズのように実験的・アンビエント・ミュージック的な方向性を示すアーティストもいる。比較的ポップなアーティストの中には明確にジャンル分けされていないが、「可愛らしい系」とでも呼ぶべきキュートでトイポップなサウンドを作るアーティストが、一定の人気を保っている(「トイトロニカ」などとも呼ばれる)。この方向ではルラトーンやメロディウムといったアーティストが知られており、草分け的存在としてClicks & Cutsにも参加したダット・ポリティクスが挙げられる。
- エレクトロニカにジャズ的要素を臭わせたニュージャズ、電子音響ジャズと呼ばれるアーティスト達も存在する。これらはどちらかというとポスト・ロックやクラブ・ジャズ、トリップ・ホップと関連性が深く、基本的にバンド編成であるが、中には初期ラディアンの様によりエレクトロニカに接近したアプローチも存在する。
- もちろん現在も王道的な電子音のみでサウンドを形成するエレクトロニカも多く存在する。重鎮オウテカやパンソニック、同じく古参のマウス・オン・マーズ、ボラといったアーティストや、n5MDやU-Cover、Skamといったレーベルが挙げられる。日本人の人気アーティストツジコノリコもボーカルは使用しているが、この範疇に入ると考えられる。一時期異常に複雑化したプログラミングへの反動か、クラークのように逆にシンプルでダンサブルな方向性を示すアーティストもいる。
- 同じくクリック全盛時代と同じようなアプローチを続けるアーティストも多い。この方面のアーティストにはノイズ・ミュージックやアンビエント・ミュージックとも取れるようなサウンドも存在する。池田亮司やピタといったアーティストやTouch、エディションズ・メゴといったレーベルが挙げられる。池田亮司やピタはClicks & Cuts以前からこの様なアプローチをしており、シーンに大きな影響を与えた。ただしクリックを発見したオヴァルは、2004年以降活動を停止している。
- 狭義のエレクトロニカと同時期~やや後に注目されたのはマイクロスコピック・サウンドあるいはロウワーケース・サウンドという手法である。クリックやグリッチ、サイン波のドローンを分散的に配し限りなく少数の音で空間を形成するサウンドは、必ずしも大きなシーンにはならなかったが、一定の影響力を保ちつつある。この方向ではリチャード・シャルティエ、キム・カスコーン、Sachiko Mといったアーティストや12k、そのサブレーベルのLineといったレーベルが有名である。アンビエント・ミュージックのアーティストとして知られるウィリアム・バシンスキーやテイラー・デュプリーもこのシーンと密接な関係にある。
- 他方ではヒップホップとの融合である。これは既にエレクトロニカでは重鎮と見なされていたオウテカがアメリカツアーの際にマイアミにも訪れ、その時に生まれた交友関係が元だと言われ、「マイアミシーン」と称されることもある。オウテカ自体はヒップホップの影響を受けていると言ったり、それを否定したりと言動が一定しないが、ヒップホップを取り入れたエレクトロニカは一大勢力を築いた。また、元よりトリップ・ホップというテクノとヒップホップの派生系のようなシーンがあったり、プロディジーやボム・ザ・ベースといったアーティストがデトロイト・テクノと前後して活動していたこともあり、比較的この方面へのエレクトロニカの導入はスムーズだった(更に言うなら、デトロイト・テクノ自体がエレクトロの派生とも言える)。レーベルとしてはメアク・レコーズ、スキマティックが有名であり、注目されるアーティストはマシーンドラム、ファンクステルング、ダブリー、プレフューズ73といったところである。ただしメアク・レコーズ自体は純粋なIDM(プロエム)からポストロック(チキ・オブマー)までリリースする幅広いレーベルであった。またヒップホップレーベルアンチコンは後述するモール・ミュージックと関係があることでも知られる。
- もう一方ではインディー・ロックとの融合が計られた。この方面ではモール・ミュージックが有名であり、手法としてはフォークトロニカとある程度重なり、ボーカルや生楽器を大幅に取り入れるサウンドである(インディートロニカとも呼ばれることがある)。この手法はインディー・ロックのファンにも大いに受け、人気となった。
- もう一方、人気のある手法としてシューゲイザーとの融合である「エレクトロ・シューゲイザー」とでも呼べる手法がある。代表的なレーベルがあるわけではないのでシーンとしては確立していないが、ウルリッヒ・シュナウス、マニュアル、ギターといった人気アーティストを輩出した。これは一般的にはリズムを打ち込みにして、上物を様々なギターサウンドで飾るというスタイルが主流である。元々シューゲイザーはリズムの比重が弱かったことから、この手法は多くのロックファンにもすんなり受け入れられ、人気になっている。
- その他ではヨハン・ヨハンソンのようにクラシック音楽にエレクトロニカを導入した例や、chiharu mkのようにINA-GRMでミュージックコンクレートの現在形アクースマティックの影響を受けたエレクトロニカの例などがある。
[編集] エレクトロニカ以前の影響が強いもの
以下に挙げるサウンドはどちらかというと(狭義の)エレクトロニカ以前のダンスミュージックであるテクノやドラムンベース、トリップ・ホップなどとの関連性が高い。しかしエレクトロニカと同時期に発展したこともあって、同列に挙げられることが多く、アーティストやレーベル間でも交流があったり、同じアーティストでも非ダンス/ダンスミュージック両面のアプローチをすることもある。
- ブレイクコアはドラムンベースやドリルンベース及びガバの派生系と見られており、μ-Ziqのレーベルプラネット・ミューが有名。ヴェネチアン・スネアズが主要アーティストとして挙げられる。ブレイクコアの中には一部のガバ(アタリ・ティーンエイジ・ライオットなど)やグラインドコアの影響を受けて、インダストリアルに近い方向性を示すアーティストもいる。
- ダブを取り入れたテクノとしてベーシック・チャンネル一派のミニマル・ダブがあり、~Scapeといったレーベルやポール、ヴラディスラヴ・ディレイ、ヤン・イェリネック、モノレイク、デッドビートといったアーティストが挙げられる。基本的にはエレクトロニカ以前より勃興しておりテクノやハウスの直系であるが、彼らが多用するレコードノイズがグリッチの一種とされたり、非ダンスのアプローチが多いこともあって、狭義のエレクトロニカとの関連も深い。またこのシーンより影響を受けて、アロヴェインのように「ベーシック・チャンネル・ミーツ・オウテカ」と呼ばれるようなサウンドを展開するエレクトロニカアーティストもいる。
- また、ダブ、グライム、エレクトロニカ、トリップ・ホップ、ドラムンベースなどに幅広い影響を受けた、フロア向けサウンドの総決算とも言えるダブステップと呼ばれるジャンルも誕生した。これはトリップ・ホップと同じくブリストルが震源地と思われ、サウンド的には共通点が多い。
[編集] 現在のエレクトロニカ
その後もエレクトロニカはフェネスのような才人を輩出した。しかしミル・プラトーは紆余曲折の末に活動を停止し、メアク・レコーズなど大手レーベルも2005年辺りから閉鎖することが相次いだ。他方ではコアなエレクトロニカを中心にリリースしていたn5MDがロックバンドのリリースをしたり、テクノ全盛期から布石のようにロックバンドのリリースもしていた古参ワープ・レコーズがそちら方面のリリースを本格化させるなど、シーン全体としては縮小傾向にある。一方では少々のエレクトロニクスのみを取り入れたロックバンドがエレクトロニカと称されるなど、意味の拡大もある。また、クラフトワークやいわゆるエレクトロ・ファンクとも違うエレクトロやニューレイヴと呼ばれるダンスロックがメディアを通じて流行している。
[編集] アーティスト
海外のアーティスト
- Aphex Twin
- Autechre
- The Black Dog
- Boards of Canada
- BT
- The Crystal Method
- Hybrid
- Mum
- Nathan Fake
- Plaid
- The Prodigy
- Telefon Tel Aviv
- Twerk
日本国内のアーティスト
- fourcolor
- Chib
- Maju
- Neina
- no.9
- portable[k]ommunity
- Sketch Show
- オルガノラウンジ (organ-o-rounge)
- Tetsu Inoue
- World's End Girlfriend
- COM.A
- transquillo
- Kyosuke Koizumi
- Joseph Nothing
- D.T.Construction
- evala (江原寛人)
- ツジコノリコ
- NUMB
- リョウ・アライ (Riow Arai)
- レイ・ハラカミ (Rei Harakami)
- 青木孝允
- 高木正勝
- 澤井妙治
- 竹村延和
- 田中フミヤ (KARAFUTO名義時)
- 徳井直生
- 半野喜弘
- 杉本卓也
- 渋谷慶一郎
- SUPERCAR
- chiharu mk
- 細海魚(hosomi)
[編集] レーベル
海外に拠点があるもの
- 12k
- Active Suspension
- Betabodega
- City Centre Offices
- Chocolate Industries
- Crosstown Rebels
- FatCat Records
- Get Physical Music
- Hefty
- Karaoke Kalk
- Leaf Label
- Merck
- Mille Plateaux
- Morr Music
- Neo-Ouija
- Rephlex
- ~scape
- Schematic
- Skam
- Thrill Jockey
- Tigerbeat6
- Toytronic
- Type Records
- U-Cover
- Warp
日本国内に拠点があるもの
- Amenomuraqumo
- ATAK
- FLOORLIMIT
- Flyrec
- op.disc
- port
- PROGRESSIVE FOrM
- ROMZ Records
- SAAG Records
- U.S.B.
- cubicmusic

