レイブ (音楽)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

レイブ英語: Rave)とは、ダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベントやパーティーの事である。毎週決まった場所で行われるクラブイベント等とは異なり、屋外や特別な会場で行われる、一回限り(もしくは年一回など)のイベントであり、また規模も通常のクラブより大きい事が殆どである。レイブの語源は、ロンドンジャマイカ系移民の俗語で「自分に嘘をついて無理矢理盛り上がる会合」を意味している。

歴史[編集]

現在見られるようなレイブが生まれたのは1980年代後半の英国である。それまで若年層の夜間の娯楽は屋内を舞台とすることが多かったが、アシッド・ハウステクノという当時最新の音楽の流入と、エクスタシーなどの多幸系ドラッグの流行により大きくその志向が変化した。レイブの原型は、当時の若者たちが、それまでのナイトクラブやディスコになかったまったく新しいパーティー経験と音楽を求めて、ウェアハウス(倉庫)や郊外の廃屋や農場などを利用してフリー(無料)・パーティーを自らの手で開いたものである。

こうした「レイブ」の開催や集客は既存メディアや音楽業界に頼らず、もっぱら口コミだけで行われたが、やがて毎週末、辺鄙な場所にあるレイブ会場にレイブァー(レイバー)と呼ばれる参加者たちが集まるようになってくる。レイブは、それまでに無かった音楽性やそのフリー・パーティーの享楽性と連帯感などにより、多くの若者を惹きつけ巨大なムーブメントへと爆発的に成長した。この動きは暫く遅れて世界各国に波及する。

しかし、その大きな要素の一つであったドラッグの広範囲な使用や、社会不安の原因となるといった観点から政府や警察はレイブを危険視し、強力に取り締まることとなる。また、レイブが巨大化し参加者が増えるにつれ、商業目的として多額の参加料をとるレイブが出現し、巨額の利益を上げるようになっていく。やがてブームの沈静化とレイブを取り締まる法律の施行などに伴い、従来のような巨大な野外での違法レイブはその数を減らし、かわって警察の認可の元に巨大な会場で有名なDJやダンス系のバンドを集めて行われる合法的なレイブが主体となっていった。また、非商業・音楽志向のレイブのDJやクラバーはその活動場所をクラブへと移していくこととなる。

しかしながら規模は小さくなったものの、アンダーグラウンドのフリーパーティーやウェアハウスパーティーも未だに世界各国で開催され続けており、クラブ音楽の重要な側面として存在している。また、90年代終わりからのトランス音楽の流行に伴い、再び一部の地域でレイブが盛んになってきている。また、ドイツベルリンのように、市当局が観光振興の為に多くのスポンサーの協力をえて商業的ながらも無料の巨大なレイブ、ラブパレードを開催しているような例もある。こうした体制に取り込まれる動きや商業目的のレイブには、かつての非商業的でDIY精神に溢れていたアナーキーなレイブを知る人間からは批判も多い。

現在において、レイブ・パーティーの定義はその国や人によって多様である。いわゆる違法のフリーパーティーやウェアハウス・パーティーのみをレイブと呼ぶ人間もいれば、WIREのような大規模なコンサート形式のものもレイブと呼ぶ人間もいる。

レイブの音楽[編集]

初期のレイブの音楽は、アシッド・ハウスと呼ばれる音楽や、シカゴ・ハウス、テクノなどが主であった。当初はアメリカのそれまで知られていなかったこうした音楽(「テクノ」はレイブでヒットしていたデトロイトの新しい音楽を英国のメディアが命名した音楽ジャンルである)を輸入してDJ達がプレイしていたが、やがて英国や欧州からもその影響の下にオリジナルな音楽を作成するアーティストが多数現れた。代表的なものとしてレイブ・アンセムとなったシングル「チャーリー」などで知られるプロディジー、「GO」のモービーなどがいる(その後レイブ・ブームが去った後、この両者ともその音楽スタイルを完全に変えて世界的な大スターとなる)。

近年では大規模なレイブでは音楽のジャンルとしてはトランスハードハウスガバなどが主流ではあるが、欧州を中心にハウスやテクノをメインとしたレイブも存在している。

レイブのファッション[編集]

イギリスでの当初のレイブでは、それまでのドレスアップして赴くナイトクラブやディスコと異なり、ドレスダウンしたカジュアルな服装が中心となった。このドレスダウンの流れは現在のテクノやハウスのクラブのファッションにも引き継がれている。

レイブの種類[編集]

フリー・パーティー[編集]

もっとも原型のレイブに近いもので、その多くはいわゆるイリーガル(違法)・パーティーと呼ばれるものである。人里離れた場所などでDJやサウンド・システムを設置してゲリラ的に行われるもので、口コミやチラシやインターネットなどによって集客を行う。屋内で行われる場合、ウェアハウス・パーティーなどとも呼ばれる。音楽の種類はその国により様々であるが、日本においてはトランス音楽などが主流である。無料であるか、もしくは必要経費だけを参加者からカンパの形で募るものである。何をもってこうしたパーティーを違法とするかの根拠は各国によって異なるが、当局によって摘発・中止を命じられることはしばしばあり、このために開催当日までは開催場所を伏せておくなどの手法が用いられることもある。また、当局に申請する際のイベントの目的を「集会」などとすることによって、都市の公園などで合法的に小規模なフリーパーティーなどが開かれることもあるが、こうした形式のものはレイブとは呼ばれないことが多い。

ダンス・フェスティバル[編集]

田舎や郊外の野外などで合法的に行われる商業的で大規模なダンス音楽を中心としたフェスティバル。国や人によってはこれをレイブの範疇に入れないところもある。海外で有名なものとしてはバーニングマン、Dance Valley Festival、Creamfields、Homelandsが、日本においては、Mt.FUJI FESTIVAL、メタモルフォーゼ、渚音楽祭などがある。警察や開催地当局の許可の下にプロのプロモーターの会社が開催するものが殆どである。入場料は高額であるが、有名なDJやバンドが多数プレイする事が多い。また、合法的に行われており、多数の警察・セキュリティも会場内にいる。多くの場合、数日間にわたって開催されるものが多く、参加者はキャンプをして過ごすこととなる。従来から英国などで盛んであったグラストンベリー・フェスティバルなどのロックを中心とした野外フェスティバルの流れと一体化したものとも言える。また、ロックを中心とした野外フェスティバルでも会場の一部をこうしたダンス音楽中心のものとするケースが多い。

商業レイブ[編集]

上記のレイブ・フェスティバルと類似しているが、都市内の大会場で有名なスターDJを集めて一晩限りで行われるもの。その為に参加が容易であり、初心者向けである。英国やドイツなどの欧州で盛ん。日本では、WIREMETAMORPHOSESOLSTICE MUSIC FESTIVALS.O.S festival、The Gathering、エレクトラグライドRAINBOW2000、アルカディアなどが有名。

麻薬汚染[編集]

最近ではレイブパーティーで薬物汚染が深刻になっており社会問題化している。2008年、群馬県で催された複数のレイブパーティーで大麻所持で多くの逮捕者を出した。また2008年6月に行われた同じレイブパーティの参加者の1人がパーティー翌日に会場近くで倒れ、その2日後に死亡したが、体内から薬物が検出されたという[1]。また2009年2月には山梨県の鳴沢村で行われたレイブの参加者6人[1]が、2009年8月には滋賀県高島市朽木地区でも参加者6人[2]が麻薬所持容疑で逮捕されている。2010年8月には山梨県甲府市でも複数の逮捕者が出ている。警察もこういった状況を把握しておりレイブへの出席者を目的とした検問を行っている。

脚注[編集]

  1. ^ 「レイブ」で薬物 6人逮捕
  2. ^ 「「レイブ」に向かう6人、大麻所持容疑で逮捕

関連項目[編集]