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ホンダ・NS

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホンダNS(エヌエス)は、本田技研工業がかつて製造発売したオートバイのシリーズ商標である。

概要

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1980年代半ばから製造された水冷2ストロークエンジンを搭載するロードスポーツのシリーズ商標で排気量別に50 cc・125 cc・250 cc・400 ccクラスモデルが製造販売されていたが、自動車排出ガス規制の影響により1999年のNS-1を最後に生産を終了した。

排気量別モデル解説

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いずれのモデルも上述した水冷2ストロークエンジンのほか、共通事項として6速マニュアルトランスミッション仕様。さらにサスペンション前輪がテレスコピック、後輪がプロリンク式スイングアームで、フレームは50 ccモデルがセミダブルクレードル型となるほかは、ダブルクレードル型を採用する。

50 ccクラスモデル

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排気量49 cc原動機付自転車に分類されるモデルで以下の3モデルが設定された。詳細についてはそれぞれのリンク先を参照のこと。

NS125R

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型式名TC01[注 1]イタリア現地法人のホンダ・イタリア・インダストリアーレHONDA ITALIA INDUSTRIALE S.P.A.)が製造し、ヨーロッパ内のみで販売されていたモデルで、1987年7月1日から500台限定で日本国内向け仕様を正規輸入し販売することを同年5月11日に発表された[1]

単気筒エンジンシリンダーは優れた耐摩耗性をもつジラルドーニ製としたほか、フレームはベルリッキ、キャブレターはデロルト、マフラーはソルファー、キャストホイールはグリメカ、タイヤピレリ、リヤショックアブソーバーはマルゾッキとすべてイタリアのメーカーにより供給された[1]

NS250R/F

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NS250R
ホンダコレクションホール所蔵車

1984年4月25日発表、同年5月25日発売[2]。フルカウルを装着するレーサーレプリカタイプがNS250RネイキッドNS250Fで型式名は共にMC11。

HRC製レーシングマシンRS250Rと同時開発され、搭載される排気量248 ccのMC11E型90°バンクV型2気筒エンジンはクランクケースならびに内径x行程が同一であるほか、以下の基本設計を共用する[3]

  • NSシリンダー - ポートタイミングのみ変更
  • マニュアルトランスミッション - ギア比変更
  • キャブレター・リードバルブ - 口径のみダウン
  • フレーム - 角型断面構造ならびに骨格のみ共用

このほか、NS500用に低中速域でのトルクアップを目的に開発された排気管容量可変システムATAC[注 2]や急ブレーキ時のフロントフォーク減衰力調整機構 TRAC[注 3]などを装備する[2]

またFはRより価格が10万円ほど安いが、単純にカウルを除去しただけではなく、以下に示す仕様の相違がある[2]

  • フレーム - R:アルミニウム製 F:スチール
  • ホイール - R:NSコムスター F:ブーメランコムスター
  • キャブレター型式 - R:TA06 F:TA07
  • ダブルホーン・リヤフャークスタビライザー - Fのみ装着

1986年1月21日には、1985年度ロードレース世界選手権フレディ・スペンサーの500 cc・250 cc両クラス制覇を記念したレプリカのロスマンズカラーモデルを同月22日から4,000台限定で発売されたのを最後に[5]NSR250Rにフルモデルチェンジされた。

NS400R

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1985年4月19日発表、同年5月10日発売[6]。型式名NC19。

発売が中止になったMVX400Fを全面的に設計を見直した上で1983 - 1984年度に2年連続ロードレース世界選手権500 ccクラスメーカーチャンピオンを獲得したレーシングマシンNS500に用いられた最新技術の数々を投入して開発されたモデルである[6]

排気量387 ccのNC19E型90°バンクV型3気筒エンジンは前バンク2気筒・後バンク1気筒配置とし[注 4]、前バンクシリンダーのみにATACを装備する。

車体設計はNS250Rを踏襲し、エンジン周辺のサイズを変更ならびに重量と出力の増加に対応して各部の強度を向上。車体色はホンダレーシングカラーのトリコロールと、1985年度ロードレース世界選手権500 cc・250 cc両クラスのスポンサーであったロスマンズカラーの2種類が存在した。

※ 最初の車検時に騒音対策のためマフラーをリコール。表向きにはそうアナウンスされたが、自主規値59馬力を大幅に上回る出力を出していたためである。関係者の話として、輸出用をそのまま付けていた、と言うのもあった。


諸元

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※本項では125・250・400モデルについて記載する。
車名 NS125R[1] NS250F[2] NS250R[2] NS400R[6]
型式 TC01 MC11 NC19
全長(m) 2.000 2.005 2.025
全幅(m) 0.720
全高(m) 1.140 1.040 1.125
最低地上高(m) 0.160 0.145 0.135
ホイールベース(m) 1.350 1.375 1.385
シート高(m) 0.780
車両重量(kg) 130.5 161 183
最低回転半径(m) 2.6 2.8 2.9
50 km/h定地走行燃費 43.0 km/L 36.0 km/L  
60 km/h定地走行燃費   27.0 km/L
原動機型式名 TC01E MC11E NC19E
冷却・行程 水冷2ストロークピストンリードバルブ
シリンダー配置 単気筒 90°バンクV型2気筒 90°バンクV型3気筒
総排気量 124 cc 248 cc 387 cc
内径 × 行程(mm) 56.0 × 50.6 57.0 × 50.6
圧縮比 6.5 7.0 6.7
キャブレター デロルト製 TA07 TA06 TA09
最高出力 22 PS / 10,500 rpm 45 PS / 9,500 rpm 59 PS / 8,500 rpm[注 5]
最大トルク 1.7 kg-m
/ 8,500 rpm
3.6 kg-m
/ 8,500 rpm
5.1 kg-m
/ 8,000 rpm
始動方式 キックスターター
点火装置 CDI CDI式マグネット
潤滑方式 強制ウエットサンプ 分離潤滑
潤滑油容量 1.2 L 1.7 L 2.0 L
燃料タンク容量 14.5 L 19.0 L
クラッチ 湿式多板
変速方式 左足動式リターン
変速機 常時噛合6段
1速 2.833 2.800 2.500
2速 1.764 1.800 1.714
3速 1.300 1.375 1.333
4速 1.090 1.153 1.111
5速 0.958 1.000 0.965
6速 0.864 0.900 0.866
1次減速比 3.722 2.481
2次減速比 2.692 2.800 2.500
フレーム形式 ダブルグレードル
フロントサスペンション テレスコピック テレスコピック(円筒空気ばね併用)
リヤサスペンション プロリンク式スイングアーム
キャスター 26°30′ 27°15′ 27°05′
トレール(mm) 87.0 100.0
タイヤ(前) 3.25-16R 100/90-16 54S 100/90-16 54H
タイヤ(後) 3.50-18R 110/90-17 60S 110/90-17 60H
前輪ブレーキ 油圧式ダブルディスク
後輪ブレーキ 機械式ドラム 油圧式シングルディスク
標準現金価格 379,000円 429.000円 539,000円 629,000円

脚注

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注釈

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  1. ^ 本田技研工業本来の型式分類では、125 ccクラスのロードスポーツモデルはJCとなるが、本モデルのプレスリリースにはTCと記載[1]
  2. ^ Auto controlled Torque Amplification Chamber(オートコントロールド・トルク・アンプリフィケーション・チャンバー)の略[4]
  3. ^ Torque Reactive Anti-dive Control(トルク・リアクティブ・アンチダイブ・コントロール) の略。
  4. ^ このレイアウトはMVX250F・MVX400Fと同様であるが[7]、搭載方式がラバーマウントへ変更された[8]
  5. ^ 日本国内向け仕様は自動車馬力規制のため当時の上限であった59PSに設定されたが、海外向け輸出仕様は72PS/9,500rpmである。なお、日本国内向けロスマンズカラーの一部は当初手違いにより海外向け輸出仕様のマフラーが装着されたため輸出仕様と同等の72PSを発生させたが、リコールにより最初の車検時に国内仕様マフラーへ交換となり、59PSに戻された。

出典

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関連項目

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外部リンク

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本田技研工業公式HP
BBB The History