ホンダ・ドリーム50

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DREAM50(ドリーム50) は、かつて本田技研工業が製造販売したオートバイである。本項では競技専用仕様であるDREAM50R(ドリーム50R)についても解説を行う。

Dream50[編集]

ドリーム50
基本情報
排気量クラス 原動機付自転車
車体型式 A-AC15
エンジン AC15E型 49 cm3 4ストローク
空冷DOHC4バルブ単気筒
内径×行程 / 圧縮比 40.0 mm × 39.6 mm / 10.0:1
最高出力 4.1kW(5.6ps)/10,500rpm
最大トルク 4.1Nm(0.42kgf・m)/8,500rpm
乾燥重量 81 kg
車両重量 88 kg
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1997年1月21日発表、同年2月28日発売[1]。型式名A-AC15。50cc(原動機付自転車)クラスのロードスポーツモデルで、1962年に製造されたCR110カブレーシングの中期型・後期型をモチーフにし、現代風にアレンジしたものである。

搭載される排気量49㏄のAC15E型空冷4ストローク4バルブDOHC単気筒エンジンもCR110を意識したメカニズムで最高出力5.6ps/10,500rpmという高回転型ユニットである[注 1]

細めのシリンダーからに対して左右に大きく張り出したCR110を意識させるカムカバー造形が特徴的で「ミッキーマウス」というあだ名が付いており、広告にシリンダー部分のシルエットを掲載した。

また左右2本出しマフラーや前後油圧ディスクブレーキなど本モデルが設計時の水準で装備された機構も少なくない。

レトロデザインによるスタイリングが特に注目され、自宅に観賞用として置くいわゆる「床の間バイク」としての購入も多いとされた。しかし価格が32万9000円と高価であったことや50ccバイクは日本の道路交通法で最高速度が30km/hまでに限定されてしまうことなどから販売面ではヒットとならず、強化される自動車排出ガス規制に対応できず2000年までに一般向けの販売は終了した。

遍歴[編集]

1997年1月21日発表 同年2月28日発売[1]
1997年12月22日発表 1998年1月28日発売[2]
  • 1,000台限定の'ドリーム50 スペシャルエディション追加し以下の変更を実施
    • 燃料タンク・シートストッパーをモンツァレッドに塗装
    • フロントフォーク・ボトムケース・サイドカバー・ヘッドライトケースをブラック塗装
2000年
  • 生産終了

DREAM50R[編集]

Dream50R
1997年仕様[3]
基本情報
車体型式 AR02
エンジン AR02E型 49 cm3 4ストローク
空冷DOHC4バルブ単気筒
内径×行程 / 圧縮比 40.0 mm × 39.6 mm / 11.7:1
最高出力 5.14kW(7.0ps)/13,500rpm
最大トルク 4.41Nm(0.45kgf・m)/10,500rpm
乾燥重量 71 kg
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DREAM50はレース嗜好者からの評価は高くレース用需要は衰えずワンメイクレースも行われた。このためHRCからレース専用のキットパーツのほか競技専用としてキットパーツをあらかじめ組み込んだコンプリートマシンとした型式名AR02の本モデルが販売された。

公道用車両からは以下の変更点がある。

  • 保安部品省略・ステー類カット・前後アルミフェンダー装着等により車両重量を81kgから71kgに軽量化。
  • マニュアルトランスミッションを5速から6速クロスレシオへ変更。
  • エンジンはHRC製「Dream50用レース専用キット」による専用ヘッド・カムシャフト・バルブスプリング・ピストン・低フリクションカムチェーン・クランクシャフト・軽量ACジェネレーター・ケーヒンPC20キャブレター・エアファンネルを組み込み。
  • エキゾーストパイプは構造二重管から単管とし排気効率を向上。
  • 最高出力を7.0PS/13,500rpmにアップ。

本モデルはDREAM50生産中止の2000年以降も継続生産されたが、2009年をもって生産販売共に終了となった。

DREAM50TT[編集]

2004年にHRC製キットパーツをすべて組み込み[注 2]、DREAM50Rに以下の仕様変更を実施し50台限定で注文生産ならびに販売されたモデルである。

  • シリンダーヘッドをシングルポート化
  • レーシングマフラーを装着
  • 燃料タンクをアルミニウム製へ変更
  • チェーンサイズを415へ変更
  • ケーヒンCRキャブレターを組み込み
  • 小径フライホイール・ACジェネレータを組み込み

なお2005年以降にも台数限定で数度の生産販売を実施した。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただしスペック的にはCB50シリーズに搭載されていた2バルブSOHCエンジンの6.3PS/10500rpmと比較して特に高回転高出力型ではない。
  2. ^ キットパーツを単独で購入し組み込むよりも廉価な価格設定がされた。

出典[編集]

外部リンク[編集]