日本の風力発電

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風車の地図記号

日本の風力発電(にっぽんのふうりょくはつでん)では、日本風力発電について説明する。日本では欧米諸国に比して普及が進んでいない。理由として、台風に耐えうる風車を施設すると欧米と比較してコストが上がることや、大量の風車を設置できるだけの平地の確保が困難なこと、元々日本ではクリーンエネルギーとして太陽光発電を重視してきた歴史があることなどが挙げられる。また、日本はフランス同様に原子力発電への依存度がすでに大きいために風力への依存傾向は弱く、対照的にアメリカやドイツは原子力発電所の新設を政策的に停止しているため風力発電への依存度を増している。

日本の電力会社は風力発電事業に消極的であるが、自治体による「自治体風車」や市民グループによる「市民風車」等のプロジェクトの取り組みが進んでいる。[1]

2006年1月に地図記号の1つとして風力発電所が追加された[2]。偏西風を活用するバルーン風力発電もある[3]

開発・普及状況[編集]

(動画)日本の風力発電

日本国内の風力発電(出力10kW以上)の累計導入量は2007年3月時点で約1400基、総設備容量は約168万kWであり[4]、発電量は標準的な原発(100万kW前後)の数分の1である。2007年度は前年度に比べて導入量が半分以下に落ち込んでいる。1基あたりの出力を見ると、2007年度では設備容量1MW以上の機種が大部分を占めるようになった[5]。主要な風力発電会社は、ユーラスエナジーホールディングス(旧トーメンパワーホールディングス)(東京電力豊田通商の合弁)、日本風力開発電源開発エコ・パワーコスモ石油の子会社)、ガスアンドパワー大阪ガスの子会社)、クリーンエナジーファクトリーなどである。海外機の独擅場であった2MW以上の大型機については、国産機の開発も進んでいる[6]。風力発電設備の大部分は輸入品であり、2007年度の国産機の割合は設備容量ベースで16%[7]、基数ベースでも23%である[8]

近年は日本の企業や研究機関により日本の環境に適した風車の開発も活発に行われている。2014年時点で全国に約2000基、発電能力の合計は約250万キロワットとなっている[9]

洋上風力発電[編集]

日本は領海や排他的経済水域などが広いため、洋上での風力発電に期待が向けられている。

また、水深が深い場所のために、独立行政法人海上技術安全研究所IHIMUなどにおいて、浮体式の基礎を用いる方式も研究されている。沖合いでの洋上風力発電(沖合風力発電)については、電力の陸上への送電が困難であるため、発電した電気で水素を製造し、これを圧縮したり、有機ハイドライドに吸着させる等により輸送することが研究されており、これにより電力変動の問題も解決されることが期待されている[要出典]。また、科学技術政策研究所では、2002年3月に「深海洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案[10]」を発表しており、沖ノ鳥島周辺、三陸沖太平洋、北海道北西沖日本海などを有望海域として、日本の全エネルギー需要を賄えるほどの大規模なシステムなどを提唱し、その経済性等の試算を行い、実用化が可能であるとしている。

費用対効果[編集]

日本における単純な(温暖化対策費などの費用を含めない)単位発電量あたりの費用は、2001年の時点で10〜24円/kWhとされ、国内でも条件が良ければ実用水準の9~13円/kwhに達する施設もいくつかある。但し、一般的に欧米の風車が2500-5000kwの大口径で効率がいいのに、日本の風車は業者の資金不足や長尺プレード陸上輸送の困難もあって、2013年現在においても400-1500kwの中小口径が多く効率が悪いのと、(円高のため)台風や落雷を想定してない欧州製の風車を購入して、台風や落雷による故障で赤字になった失敗ケースがイメージを悪くしている。

2013年現在、円安政策で火力に対して風力が有利になり、日本の台風や落雷を前提に設計された国産風車が輸入風車に比べて 以前より割安になることで、日本の風力発電は 欧米に対する建設や大口径化の遅れを取り戻す事が期待されている。

2015年度に、日本一の風力発電施設となる見通しの風力発電を手がける、中部電力の設備子会社シーテックと伊賀、津両市出資の第3セクター青山高原ウインドファームの発表によれば、40基で計8万kWの発電能力を有する風力発電用風車と変電所の建設総費用は、約200億円と見込まれている。

日本の風力発電所[編集]

総出力10MW(10,000kW)以上の風力発電所
発電所名 所在地 総出力 事業主
さらきとまないウインドファーム 北海道稚内市 14,850kW 電源開発
宗谷岬ウインドファーム 57,000kW ユーラスエナジーホールディングス
オトンルイ風力発電所 北海道幌延町 21,000kW 幌延風力発電
苫前グリーンヒルウインドパーク(苫前ウインドファーム) 北海道苫前町 20,000kW ユーラスエナジーホールディングス
苫前ウィンビラ発電所 30,600kW 電源開発
JEN昆布盛ウインドファーム 北海道根室市 10,000kW エネクス電力
伊達ウインドファーム 北海道伊達市 10,000kW ユーラスエナジーホールディングス
伊達黄金ウインドファーム 34,000kW
風太風力発電所 北海道寿都町 14,550kW 寿都町
瀬棚臨海風力発電所 北海道せたな町 12,000kW 電源開発
上ノ国ウインドファーム 北海道上ノ国町 28,000kW 電源開発
江差風力発電所 北海道江差町 21,000kW 江差ウインドパワー
江差ウインドファーム 19,500kW ユーラスエナジーホールディングス
大間風力発電所 青森県大間町 19,500kW 電源開発
岩屋ウィンドパーク 青森県東通村 27,000kW エコ・パワー
岩屋ウインドファーム 32,500kW ユーラスエナジーホールディングス
尻労ウインドファーム 19,250kW ユーラスエナジーホールディングス
小田野沢ウインドファーム 13,000kW ユーラスエナジーホールディングス
ユーラスヒッツ北野沢クリフ風力発電所 12,000kW ユーラスエナジーホールディングス
むつ小川原ウィンドファーム 青森県六ヶ所村 31,500kW エコ・パワー
六ケ所村風力発電所・第二風力発電所 32,850kW 日本風力開発
六ケ所村二又風力発電所 51,000kW
睦栄風力発電所 10,000kW 青森風力開発
吹越台地風力開発所 20,000kW 日本風力開発
大豆田ウインドファーム 青森県横浜町 10,500kW ユーラスエナジーホールディングス
野辺地ウインドファーム 青森県野辺地町 50,000kW ユーラスエナジーホールディングス
市浦風力発電所 青森県五所川原市 15,440kW くろしお風力発電
深浦風力発電所 青森県深浦町 20,700kW 西つがる風力発電
グリーンパワーくずまき風力発電所 岩手県葛巻町 21,000kW 電源開発
釜石広域ウインドファーム 岩手県釜石市遠野市大槌町 42,900kW ユーラスエナジーホールディングス
能代風力発電所 秋田県能代市 14,400kW 東北電力
八竜風力発電所 秋田県三種町 25,500kW エムウインズ
男鹿風力発電所 秋田県男鹿市 28,800kW 男鹿風力発電
秋田港ウインドファーム 秋田県秋田市 18,000kW ユーラスエナジーホールディングス
西目ウインドファーム 秋田県由利本荘市 30,000kW ユーラスエナジーホールディングス
由利高原ウインドファーム 51,000kW ユーラスエナジーホールディングス
由利本荘海岸風力発電所 16,100kW 電源開発
仁賀保高原風力発電所 秋田県にかほ市 24,750kW 電源開発
遊佐風力発電所 山形県遊佐町 14,560kW 庄内風力発電
JRE酒田風力発電所 山形県酒田市 16,000kW ジャパン・リニューアブル・エナジー
郡山布引高原風力発電所 福島県郡山市 65,980kW 電源開発
桧山高原風力発電所 福島県田村市川内村 28,000kW 電源開発
滝根小白井ウインドファーム 福島県田村市いわき市 46,000kW ユーラスエナジーホールディングス
会津若松ウィンドファーム 福島県会津若松市 16,000kW エコ・パワー
里美ウインドファーム 茨城県常陸太田市 10,020kW ユーラスエナジーホールディングス
サミットウインドパワー鹿嶋発電所 茨城県鹿嶋市 20,000kW サミットウインドパワー
波崎ウインドファーム 茨城県神栖市 15,000kW エコ・パワー
神栖風力発電所 10,000kW ミツウロコグリーンエネルギー
ウインド・パワーかみす第1洋上風力発電所 14,000kW 小松崎都市開発
ウインド・パワーかみす第2洋上風力発電所 16,000kW
銚子ウィンドファーム 千葉県銚子市 10,500kW エコ・パワー
銚子風力発電所 13,500kW 日本風力開発
JEN胎内ウインドファーム 新潟県胎内市 20,000kW エネクス電力
珠洲風力発電所 石川県珠洲市 45,000kW 日本風力開発
輪島コミュニティウインドファーム 石川県輪島市 20,000kW 能登コミュニティウインドパワー
福浦風力発電所 石川県志賀町 21,600kW 日本海発電
虫ヶ峰風力発電所 石川県七尾市 15,000kW 北陸パワーステーション
あわら北潟風力発電所 福井県あわら市 20,000kW 電源開発
伊豆熱川ウインドファーム 静岡県東伊豆町 15,000kW クリーンエナジーファクトリー
東伊豆風力発電所 静岡県東伊豆町河津町 18,370kW 東京電力
河津ウインドファーム 静岡県河津町 16,700kW ユーラスエナジーホールディングス
石廊崎風力発電所 静岡県南伊豆町 34,000kW 電源開発
御前崎風力発電所 静岡県御前崎市 22,000kW 中部電力
遠州掛川風力発電所 静岡県掛川市 15,970kW くろしお風力発電
浜松風力発電所 静岡県浜松市 20,000kW ふそう風力発電
田原臨海風力発電所 愛知県田原市 22,000kW 電源開発
渥美風力発電所 10,500kW 日本風力開発
青山高原風力発電所 三重県津市伊賀市 15,000kW 青山高原ウインドファーム
新青山高原風力発電所 80,000kW
ウインドパーク笠取 38,000kW シーテック
ウインドパーク美里 三重県津市 16,000kW
度会ウィンドファーム 三重県度会町 28,000kW エコ・パワー
淡路風力発電所 兵庫県淡路市 12,000kW 関西電力
南あわじウインドファーム 兵庫県南あわじ市 37,500kW クリーンエナジーファクトリー
有田川ウインドファーム 和歌山県有田川町海南市有田市 13,000kW ユーラスエナジーホールディングス
広川・日高川ウィンドファーム 和歌山県広川町有田川町 20,000kW エコ・パワー
広川明神山風力発電所 和歌山県広川町由良町 16,000kW ガスアンドパワー
由良風力発電所 和歌山県由良町 10,000kW ガスアンドパワー
白馬ウインドファーム 和歌山県日高川町 30,000kW きんでん
北条砂丘風力発電所 鳥取県北栄町 13,500kW 北栄町
東伯風力発電所 鳥取県琴浦町 19,500kW 日本風力開発
新出雲ウインドファーム 島根県出雲市 78,000kW ユーラスエナジーホールディングス
江津東ウインドファーム風力発電所 島根県江津市 22,000kW 中国ウィンドパワー
江津高野山風力発電所 20,700kW 島根県
ウインドファーム浜田 島根県浜田市 48,430kW グリーンパワーインベストメント
白滝山ウインドファーム 山口県下関市 50,000kW きんでん
CEF豊北ウインドファーム 25,000kW クリーンエナジーファクトリー
豊浦風力発電所 20,000kW ふそう風力発電
大川原ウインドファーム 徳島県徳島市 19,500kW ユーラスエナジーホールディングス
瀬戸ウインドヒル発電所 愛媛県伊方町 11,000kW 瀬戸ウィンドヒル
三崎ウインドパーク 20,000kW 三崎ウィンド・パワー
伊方ウィンドファーム 18,000kW エコ・パワー
南愛媛風力発電所 愛媛県宇和島市 28,500kW 電源開発
葉山風力発電所 高知県津野町 20,000kW ガスアンドパワー
大月ウィンドファーム 高知県大月町 12,000kW グリーンパワーインベストメント
響灘風力発電所 福岡県北九州市 15,000kW 日本風力開発
肥前風力発電所 佐賀県唐津市 12,000kW ガスアンドパワー
肥前南風力発電所 18,000kW
的山大島風力発電所 長崎県平戸市 32,000kW ミツウロコグリーンエネルギー
長崎鹿町ウィンドファーム 長崎県佐世保市 15,000kW 電源開発
鷲尾岳風力発電所 12,000kW 鷲尾岳風力発電
新上五島ホエールズウィンドシステム 長崎県新上五島町 16,000kW シグマパワージャネックス
五島玉之浦風力発電所 長崎県五島市 14,000kW 九電工新エネルギー
阿蘇にしはらウィンドファーム 熊本県西原村 17,500kW 電源開発
JEN玖珠ウインドファーム 大分県玖珠町 11,000kW エネクス電力
中九州大仁田山風力発電所 宮崎県五ヶ瀬町諸塚村 16,000kW ジャパン・リニューアブル・エナジー
長島風力発電所 鹿児島県長島町 50,400kW 長島ウインドヒル
柳山ウインドファーム風力発電所 鹿児島県薩摩川内市 27,600kW 柳山ウインドファーム
串木野れいめい風力発電所 鹿児島県いちき串木野市 21,500kW 九電工新エネルギー
牟礼ヶ岡ウインドファーム 鹿児島県鹿児島市 10,400kW 南九州クリーンエネルギー
番屋風力発電所 鹿児島県南さつま市 17,500kW 北拓
上野・樋川原風力発電所 11,940kW 科戸の風
頴娃風力発電所 鹿児島県南九州市 16,000kW 四電エンジニアリング
輝北ウインドファームI・II 鹿児島県鹿屋市 26,800kW ユーラスエナジーホールディングス
肝付ウインドファーム 鹿児島県肝付町 30,000kW ユーラスエナジーホールディングス
南大隅ウインドファーム 鹿児島県南大隅町 24,700kW 電源開発

ギャラリー[編集]

政策・導入目標量[編集]

2001年6月の経済産業省の調査会による「新エネルギー部会報告書」では2010年度までの導入設備容量目標を300万kWと定め、環境省も2002年3月発表の「地球温暖化推進大綱」で2010年度までの目標を300万kWとしたが共に達成が難しく、各種規制の見直しや漁業権が設置障害にならない沖合い数十キロの水深の深い場所にも設置できる浮体式洋上風力発電の技術開発を急ぐべきとの意見も出された。また、RPS法の導入目標数値の増大も検討された。

日本国内の大型風力発電機メーカーには内外での需要増加に対応して増産し、輸出も積極的に行う例が見られる[11]。業界団体では、2020年には760万kW(うち洋上は140万kW)、2030年には1180万kW(うち洋上は560万kW)が導入可能としている[12]。また、今後の技術開発をより積極的に取り入れた値としては、2030年に2000万kW(陸上700万kW、洋上1300万kW)の目標が検討されている[13]

課題[編集]

生活環境への影響[編集]

住宅に近接して設置された風車から発生して、近隣住民が苦情や健康被害を申し立て、環境省が調査に乗り出した[14]ことがある。また法制度的にも環境アセスメント対象事業への追加が2009年検討された。

2010年3月29日、環境省は愛知県田原市で風力発電設備から350m離れた住居内で160から200Hzを特徴とする騒音と低周波音が測定され、愛媛県伊方町では約210mと240m離れた2つの住居内もでそれぞれ31.5Hzと160から200Hzが測定されたと発表した[15]。また同じく2010年10月7日には「騒音・低周波音の実態把握調査」を発表し、出力20kWを越える40都道府県の186事業者からアンケート結果を得て、苦情継続25件、苦情終結39件、計64か所で騒音や低周波音の苦情があったと発表した。苦情継続25件のうち風力発電施設から至近の住宅までの距離が「300mから400m未満」で8件(32%)と最も多く、「200m超300m未満」、「500m超600m未満」、「700m超800m未満」でそれぞれ4か所(各16%)、であった[16]

生態系への影響[編集]

日本では風力発電は環境影響評価法(環境アセスメント法)の適用外であるため、事前の調査も事業者の自主努力に頼っている状態であり、不十分な環境影響評価も多い。また、事前調査では文献や他の事例を引用した定性的な予測になりがちで、評価を正確に行うことが難しい。精度の高いデータにもとづく評価は風車設置後の事後調査でしか得られないことが多い。そのため都道府県によっては独自の条例により環境基準を設けているところもある(バードストライク#風力発電施設参照)。

景観[編集]

青山高原ウインドファーム(60基、青山高原全体で91基)やせと風の丘パークのように、建設に伴った樹木伐採や大型風車の乱立による景観の悪化から観光資源が減少する声がある。一方、大型風車が林立する雄大な光景を新たな観光資源とする動きもあり、例えば北海道幌延町の風力発電所(28基)はツーリングするライダーに人気がある。

また環境省は風力発電を積極的に推進すべきものと位置付ける一方、自然公園への立地に関しては風力発電施設設置のあり方に関する検討会[17]を設けるなどして審査基準の検討を行い、現時点では予防的立場から概して慎重な姿勢を取っている。これに関してはパブリックコメントなどで規制緩和を求める意見も多く寄せられるなど、諸外国同様、議論の余地を常に残している。公的な設置基準としては、2004年春に自然公園法施行規則が一部改正され、同年4月1日より施行されている[18]

政策的課題[編集]

再生可能エネルギーの買取制度[編集]

水力発電以外の再生可能エネルギーは、既存の火力発電原子力発電に比べて普及量が桁違いに少なく、価格的競争力で不利なことなどから、何らかの形での助成や炭素税の導入などの施策を必要とする(再生可能エネルギー#普及政策参照)。

日本の現行制度(RPS法)は、電力会社に一定比率での導入を義務付ける方式であり、固定枠(quotaまたはgreen certificate trading)制に分類される。この方式は導入初期には一定の効果を示すが、各国での実績では発電事業者側のリスクが高く、実質的な発電コストの削減効果も低いなどの欠点が指摘されている[19][20]。このため風況が良いとされるイギリスなどでも普及が進まず、コストも高止まりするなど、結果的に初期の目的を達成できていない[21]。また、日本の現行制度下では電力会社が電力調達コスト的に有利な自社既存電源を優先して風力発電電力購入に消極的な姿勢も見せたり[22]、風力発電事業者の参入機会が電力会社が設定した枠や不定期な入札によって制限されるなどの問題が指摘されてきた[23]。2008年に九州電力が導入枠の拡大を表明した[24]

これに対し、採用が増えている固定価格買い取り制度(FIT制度)では電力会社に電力の買い取りを義務付け、購入価格を法的に保証することで発電事業者の負うリスクを減らす。市場原理に従って導入量を早期に拡大する一方、遅く設置した事業者ほど購入価格を逓減させて総コストを調整し、機器製造事業者間での競争を促す。過去の実績から他方式に対して導入促進とコスト削減効果が高いとされ[25]、現在では欧州の多くの国々が採用している[26]。このため日本でもその導入や検討を求める意見が市民団体などから提出[要出典]されてきた[27][28]。各政党や行政も動き、2009年に太陽光発電に対して新たな買取制度[29]が導入されたのに続き、風力発電を含む他の再生可能エネルギーでも導入が検討されている[30]固定価格買い取り制度#日本における状況参照)。

補助金依存の問題[編集]

日本の風力発電はエネルギー対策特別会計からの補助金を元に推進されてきたが、2010年時点でその6割が赤字である[31]。直接的な原因は落雷による施設破壊や風量不足による稼働率の低さにあるが、国の補助を当てにした開発企業や自治体側のコスト意識の薄さ、国の審査の形骸化が背景にある。

こうした現状に対して政府の行政刷新会議は補助金が有効に活用されていないとの見解を示し、予算の削減を求めた[32]

事前調査と発電量予測[編集]

日本ではNEDO等による風況調査の実施や予測技術の開発、実績データの蓄積により、事前に長期間の発電量予測が可能になっている。また実際に設置するにあたっては、測定用風車を用いた実測や、周辺地形に基づいたシミュレーションも利用される。年間総発電量の年ごとのばらつきは、10〜15年間に亘る調査により±2〜10%程度と報告されており、風況調査を充分に行えば、長期間でみた風況由来のリスクは事業上問題にならないことが多い(#参考文献の清水、飯田参照)。

風況調査に不備のある場合、当初見込みよりも発電量が少なく、赤字となる場合がある。有名な例ではつくば市早稲田大学に委託して小学校などに3億円をかけて設置した風車の発電量が事前の風況予測が甘かったのが原因で予想より大幅に少なかった問題があり訴訟に発展した[33]

発電量が予測を下回ったなどの事情で稼働継続に値しない状況になった場合やより高性能な機種に置き換える場合などは、地中に打ち込んだ[34]部分の移動は難しいが、上部の風力原動機は基本的に移設や転売が可能である。近年は欧州などで風力発電機の中古市場も拡大している[35]

脚注[編集]

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  1. ^ 長谷川公一『脱原子力社会へ-電力をグリーン化する-』岩波書店 岩波新書<新赤版>1328 ISBN 978-4-00-431328-1 p157
  2. ^ 国土地理院のプレスリリース
  3. ^ バルーン風力発電構想
  4. ^ NEDO、日本における風力発電設備・導入実績
  5. ^ NEDO、日本における風力発電設備・導入実績(出力階層別導入基数の推移)
  6. ^ (PDF)
  7. ^ NEDO、日本における風力発電設備・導入実績(海外機・国産機の導入量の推移)
  8. ^ NEDO、日本における風力発電設備・導入実績(海外機・国産機の導入基数の推移)
  9. ^ 小林豪 (2014年12月21日). “風力発電、部品の落下事故相次ぐ 定期検査義務づけへ”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASGDM5HZ7GDMULFA02C.html 2014年12月21日閲覧。 
  10. ^ 深海洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案 (PDF) 科学技術政策研究所
  11. ^
  12. ^ 日本風力発電協会によるまとめ
  13. ^ NEDO、風力発電利用率向上調査委員会の風力発電ロードマップ検討結果報告書、H17年3月
  14. ^ 風力発電、近所で頭痛・不眠 環境省 風車の騒音調査 朝日新聞2009年1月18日
  15. ^ 風力発電施設から発生する騒音・低周波音の調査結果(平成21年度)について(お知らせ)”. 環境省 (2010年3月29日). 2010年10月10日閲覧。
  16. ^ 「風力発電施設に係る騒音・低周波音の実態把握調査」について(お知らせ)”. 環境省 (2010年10月7日). 2010年10月10日閲覧。
  17. ^ 風力発電施設設置のあり方に関する検討会
  18. ^ 環境省の報道資料
  19. ^ ドイツ風力協会によるまとめ
  20. ^ ケンブリッジ大による分析結果
  21. ^ [1] (PDF)
  22. ^ 委員会の議事録例
  23. ^ 新エネ導入促進の課題-RPS制度への対処-、武石礼司
  24. ^ ビジネス情報:九電、風力発電出力枠を拡大、2008年11月19日、毎日新聞の記事(九州電力が風力発電の導入枠を70万kWpから100万kWpへ拡大することを表明)
  25. ^ [2]
  26. ^ [3] (PDF)
  27. ^ 経産省RPS案の問題点とあるべき政策手段の提案、飯田哲也
  28. ^ 総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会緊急提言(案)に対する意見
  29. ^ アーカイブされたコピー”. 2009年9月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年9月16日閲覧。
  30. ^ [4]
  31. ^ エコで赤字!?~特別会計の実態~-NHKクローズアップ現代”. NHK (2010年11月18日). 2011年12月23日閲覧。
  32. ^ 第2会場評価結果・議事概要 11月27日 省・新エネルギー導入促進のための補助(事業者向け)(経済産業省)”. 行政刷新会議 (2011年4月22日). 2011年12月23日閲覧。
  33. ^ “「回らない風車」訴訟、早大への賠償命令確定 最高裁”. 朝日新聞. (2011年6月10日). http://www.asahi.com/eco/TKY201106100472.html 2014年7月26日閲覧。 
  34. ^ 基礎
  35. ^ NBonline、2008年7月4日 9時5分の記事(欧州で中古市場が急拡大)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]