国鉄443系電車
国鉄443系電車 | |
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クモヤ442-2+クモヤ443-2 (2017年8月27日) | |
基本情報 | |
運用者 |
日本国有鉄道 東日本旅客鉄道 西日本旅客鉄道 |
製造所 | 近畿車輛 |
製造年 | 1975年 |
製造数 | 2編成4両 |
運用終了 |
2003年(第1編成) 2021年(第2編成) |
廃車 | 2021年7月15日 |
主要諸元 | |
編成 | 2両固定 |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 |
直流1,500 V 交流20,000 V(50・60 Hz) |
設計最高速度 | 160 km/h[1] |
最高速度 | 120 km/h[1] |
車両定員 | 非営業車両(事業用) |
編成重量 |
クモヤ442形:51.1 t[2] クモヤ443形:48.6 t[2] |
全長 | 20,800 mm |
全幅 | 2,900 mm |
全高 | 3,930 mm |
車体 | 普通鋼 |
台車 |
ダイレクトマウント空気バネ台車 DT32I |
主電動機 | MT54D形直流直巻電動機 |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 3.50 |
出力 | 120 kW |
編成出力 | 960 kW |
制御装置 |
CS15F制御器 抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁 |
制動装置 | SELD発電ブレーキ・電磁直通ブレーキ・勾配抑速ブレーキ・手ブレーキ |
保安装置 |
ATS-S(登場時) ATS-P,ATS-SW(西日本車) |
備考 | 製造時のデータ |
国鉄443系電車(こくてつ443けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1975年(昭和50年)に製造した、電気検測用の事業用交流直流両用電車である。
概要
[編集]日本全国の鉄道の架線と信号の検測の精度強化や作業の省力化を目的として、旧型車両の置き換えのために1975年6月から7月にかけて2編成4両が近畿車輛で製造された[3]。
架線を検測することから、直流、交流(50・60Hz両用)のどちらにも対応できるよう交直流電車として設計され[3]、列車の特殊性と乗務員の視認性や安全性を考慮して、後述のように当時製造されていた183系や485系やキヤ191系をベースに製造された。
構造
[編集]車体
[編集]架線検測を行うクモヤ443形と、信号検測を行うクモヤ442形の2両編成で構成される[2]。建築限界の小さい身延線にも走行可能にするため、低屋根構造の車体とした[2]。
外観は同時期に製造されたキヤ191系に準じており、当時の特急形電車の前頭部・走行機器と、急行形電車並の車体を組み合わせた形態で、側窓は上下2段のユニット窓(外ハメ式)となっている。
車体塗色は当時の交直流電車の標準色であったピンク(赤13号)とクリーム(クリーム4号)の塗り分けとなっている。前面には警戒色の目的でクリーム色が配されているが、特急形の矢羽模様同様、側面まで回りこんでいる。様々な運用をこなす必要から、両端には双頭連結器が備えられている。
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クモヤ442形(クモヤ442-2)
(2015年1月27日 / 加古川駅) -
先頭車正面、双頭連結器が装備されている。
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急行形電車並の車体
(2020年12月19日 / 京都鉄道博物館) -
パンタグラフ部の低屋根構造
(2020年12月19日 / 京都鉄道博物館)
機器類
[編集]架線については、検測室内パネル上の切替スイッチにより、直流、交流(50/60 Hz)の計測が可能であり、また測定室内の天井部には速度計を備え、測定中の速度確認が可能である。クモヤ443形は架線検測を行う関係で屋根に冷房装置が取り付けておらず、屋上冷房装置は下り方のクモヤ442形のみに取り付けられ、クモヤ443形は床置き型のAU41形が設置されている。
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クモヤ443形検測用パンタグラフ
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クモヤ443-2の架線検測窓
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クモヤ443-2の架線検測窓に設置された架線検測用カメラ/1980年代前半
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架線検測窓からの眺望/1980年代前半
検測しやすいよう屋根上機器は最低限の物しかない -
クモヤ443-2の検測機器/1980年代前半
左上天井に速度計が見える -
クモヤ443-2の室内天井に取り付けられた速度計
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クモヤ442-2の車内/1980年代前半
信号検測用の各種機器が所狭しと並ぶ
運用
[編集]第1編成
[編集]第1編成(クモヤ443-1+クモヤ442-1)は勝田電車区(現:勝田車両センター)に配置され、JR東日本に継承された。2003年(平成15年)、E491系に置き換えられ廃車された[4]。
第2編成
[編集]第2編成(クモヤ443-2+クモヤ442-2)は向日町運転所(→京都総合運転所→現:吹田総合車両所京都支所)に配置され、JR西日本に継承された[4]。JR西日本管内の各電化路線のほか、JR四国・JR九州の電化路線に加えて一部の第三セクター鉄道[5](肥薩おれんじ鉄道線・IRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線・えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン・京都丹後鉄道宮福線)での検測も行った。過去には富山地方鉄道や、国鉄時代には後にJR東海に継承された路線でも検測を行っていた[6]。
2016年(平成28年)3月から4月にかけて約7年ぶりに全般検査に入り、塗装・車体・台車・車内や床下機器などが更新され、スカートに編成番号「D1」が付けられた。
2020年12月には京都鉄道博物館で特別展示が行われた[7]。
その後、2021年(令和3年)7月の九州・中国地方の検測をもって引退し、同年7月15日付で廃車となった[8]。同年8月に吹田総合車両所本所に回送され、同年内に解体された[5]。本形式に搭載されていた電気検測設備は、後継となるDEC741形に移設されている[9]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 中村新一「クモヤ443系電気検測車」『鉄道ピクトリアル』1975年9月号、電気車研究会、1975年、60頁。
- ^ a b c d 中村新一「クモヤ443系電気検測車」『鉄道ピクトリアル』1975年9月号、電気車研究会、1975年、58頁。
- ^ a b 平石大貴「新性能事業用電車のプロフィール」『鉄道ピクトリアル』2012年9月号、電気車研究会、2012年、78頁。
- ^ a b 平石大貴「新性能事業用電車車歴表」『鉄道ピクトリアル』2012年9月号、電気車研究会、2012年、84頁。
- ^ a b 伊原薫 (2021年9月10日). “姿消す国鉄時代の「検測車と配給車」最晩年の記録 JR西「443系」「クル144・クモル145」の役目とは?”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2021年9月10日閲覧。
- ^ 太田正行「こうして走る事業用車」『鉄道ファン』1980年7月号、交友社、1980年、65頁。
- ^ “架線の安全を見守る「443系」を特別展示します” (PDF). 京都鉄道博物館 (2020年12月7日). 2021年9月10日閲覧。
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2022冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2021年、p.360。ISBN 9784330065212。
- ^ “JR西日本の「DEC741」登場 屋根上に大量のカメラを搭載”. 鉄道コム (2021年10月27日). 2021年10月27日閲覧。