Mi-8 (航空機)
Mi-8
Mi-8(ミル8;ロシア語: Ми-8ミー・ヴォースィェミ)は、ソビエト連邦のミル設計局で開発されたヘリコプターである。北大西洋条約機構(NATO)の使用したNATOコードネームでは「ヒップ」(Hip)と呼ばれた。
概要
単純で頑丈な構造と汎用性の高さが特徴で、軍用、民間含めて12,000機以上が生産されている。現在も製造、販売が行われており、旧東側諸国、アフリカ諸国だけでなくドイツの警察、アメリカの航空会社でも使用され、コミューター機としての使用や個人、企業の所有機も存在する。
軍用型は特に旧共産圏やアフリカ諸国に輸出され、第一線機として使用されている。
日本では、朝日航洋が特注の改装仕様であるMi-8PAを一機(登録番号:JA9549)、重量物の空輸のために使用したが、設計基準の違いで旅客輸送は認可されていなかった(機内に座席は設置されていた)。朝日航洋の機体は引退して所沢航空発祥記念館に寄贈されるまで、1980年-1993年にわたり、およそ3,000時間飛行したが、不具合はほとんどなく、整備費は1時間あたりに換算して500円とされていた。
派生型
- Mi-8PS ヒップD
- 空中指揮管制機。ヒップCにアンテナなどを追加したもの。
- Mi-8T
- 民間向け。貨物・旅客輸送用。最大座席24席。
- Mi-8PS
- 旅客、VIP輸送用。
- Mi-8TPS
- 空中通信型。
- Mi-8MT/TV
- エンジンをクリーモフTV-3-117-MT ターボシャフトエンジンに転換した機体。輸出用はMi-17(NATOコードネーム:ヒップH)と呼ばれる。
- Mi-8MTV
- 基本的には上記の機体と同じ。与圧式客室を採用。輸出用はMi-17M/Vと呼ばれる。
- Mi-8TB/TV ヒップE
- 軍用支援型機体。機首に12.7mm機銃を装備。AT-2搭載可能。
- Mi-8TBK ヒップF
- 9M14 マリュートカ対戦車ミサイルを搭載可能。基本的にTBと同じ。輸出用。
- Mi-8TL
- 航空事故調査機。
- Mi-8R/K
- 砲兵観測支援機。
- Mi-8MPS
- 救難機。
- Mi-8VZPU/VPK
- 空中指揮通信機。
- Mi-8TS
- 砂漠仕様機。
- Mi-9(Mi-8IV) ヒップG
- 空中指揮通信機。アンテナが戦闘室後部から突出している。
- Mi-8SMV ヒップJ
- 電子戦機。胴体両側面に大型アンテナを搭載。センサー類も追加装備している。
- Mi-8PPA ヒップK
- 電子戦機。SMVの輸出用。
- Mi-8PD
- 空中指揮管制機。ポーランドが運用。
- Mi-8MA
- 極地調査機
- Mi-8MB
- 救急救難仕様機。負傷者の輸送可能。
- Mi-8TG
- LPGを燃料とする機体。
- Mi-8-8AMTSh
- 夜間攻撃機。9M120 アターカV(en)を装備している。
など。
使用国
使用企業
- アゼルバイジャン:アゼルバイジャン航空
- アメリカ:ブラックウォーターUSA
- キューバ:(Aerogaviota)
- シエラレオネ:パラマウント航空
- スロヴァキア:(Air Transport Europe)
- 中国
- トルクメニスタン:トルクメニスタン航空
- ブルガリア:バルカンブルガリア航空(Balkan Bulgarian Airlines)
- ベトナム:ベトナムエアサービス(VASCO - Vietnam Air Services)
- ポーランド:LOTポーランド航空
- 日本:朝日航洋
- 南アフリカ共和国:(UTair South Africa)
- ロシア
- 北朝鮮:高麗航空
- モンゴル:MIAT モンゴル国営航空
性能・主要諸元
- 初飛行:1961年
- 主回転翼直径:21.29m
- 全長:18.17m
- 全幅:5.65m
- 全高:5.65m
- 自重:7,260kg
- 通常離陸重量:9,800kg
- 最大離陸重量:10,800kg
- 発動機:クリーモフTV2-117A(ru) ターボシャフト×2
- 出力:1,700hp×2
- 超過禁止速度:260km/h
- 巡航速度:180km/h
- 航続距離:445-500km
- 上昇率:549m/min
- 実用上昇限度:4,500m
- 乗員:2名
- 武装:(軍用型のみ)
- S-5 57mmロケット弾ポッド×4
- S-8 80mmロケット弾ポッド×2
- AT-2(en)対戦車ミサイル×4
- AT-3 対戦車ミサイル×6
- 250kg爆弾×4
- 500kg爆弾×2
- 12.7mmガンポッド×2 など
登場作品
映画
- 『007 ダイ・アナザー・デイ』
- 朝鮮人民軍のヘリコプターとして登場。青と白を基調としたカラーリングが施され、その一角に「Mi-8」と表記されている。
- 『グッバイ、レーニン!』
- 解体された東ベルリンのレーニン像を空輸するヘリとして登場。
- 『ステルス』
- 朝鮮人民軍のヘリコプターとして登場。ロケット弾ポッドで武装しており、主人公たちを追い詰める。
漫画・アニメ
- 『ヨルムンガンド』
ゲーム
- 『Operation Flashpoint: Dragon Rising』
- 中国人民解放軍の兵器として登場。輸送型とロケット弾ポッドを搭載した攻撃型がある。プレイヤーも操縦可能。
- 『オペレーションゴースト』
- 第4ステージ第1エリア終盤で敵機として4機現れる。プレイヤーはスティンガーミサイルでこれを撃墜する。また、テロ組織のリーダーが乗って逃げる際にも登場する。
- 『凱歌の号砲 エアランドフォース』
- 日本を占拠したロシア連邦軍の機体として登場。プレイヤーも購入して使用できる。
- 『コール オブ デューティシリーズ』