北斗の拳

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北斗の拳』(ほくとのけん)は、原作・武論尊、作画・原哲夫による少年漫画作品。およびそれを原作・題材としたテレビアニメ1984年)・ゲームなどを指す。

本項では原作である漫画を中心に、その関連作品についても述べる。本作を原作とした一連のアニメ作品に関しては北斗の拳 (アニメ)を参照。

目次

[編集] 作品解説

核戦争によって文明と人々の秩序が失われ、水と食料といった残された資源をめぐって争いが繰り返されるという最終戦争後の199X年の地球が舞台。暴力が支配する弱肉強食の世界に現れた、伝説の暗殺拳"北斗神拳"の伝承者・ケンシロウの生き様を描くハードボイルドアクションである。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)1983年41号から1988年35号に連載。1980年代の『週刊少年ジャンプ』を代表する作品の一つであり、漫画家原哲夫漫画原作者武論尊の世界で一億部を売り上げた最大のヒット作にして代表作である。単行本は1984年から1989年にかけてジャンプ・コミックス全27巻が発売されたほか、愛蔵版、文庫版(それぞれ全15巻)が刊行されている。2004年には徳間書店からコンビニコミック形式で全12巻が出版されたほか、2006年には小学館より完全版全14巻が刊行された。現在本作品の「前史」を扱う作品『蒼天の拳』に関わっているコアミックスからは、2002年よりフルカラー化したマスターエディションが発売されたが、刊行は4巻までで頓挫。同社からは、付録としてフィギュアをつけた編集版全24巻も発売されている。

主人公の使う北斗神拳により人間の頭や胴体が破裂するショッキングな描写、「ひでぶ」「あべし」などといった言葉にならないような独特で異様な断末魔の悲鳴(#断末魔の叫び参照)、大時代的ともいえる宿命的な物語、ケンシロウが相手に対して「お前はもう死んでいる」と死を告げる台詞や、ラオウが死に際に「我が生涯に一片の悔いなし」と叫ぶ場面など、数々の名台詞や名場面から一大ブームを巻き起こし、日本中でまねをする子供が見られた。また、「秘孔を突く」という言葉もよく使われた。ただし上記の名台詞の流行は、アニメの特に初期での多用が強く影響したもので、漫画本編では当の台詞は1・2回程度しか使われていない。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。 [記述をスキップ]


[編集] あらすじ

分類はテレビアニメを基としたもの。原作では「第一部」や「~編」のような表記は行われていない。

[編集] 第一部

199x年の核戦争によって世界は炎に包まれたが、人類は死滅しなかった。暴力がすべてを支配する世界となった核戦争後の大地で、途中で出会ったリンバットを連れ、北斗神拳伝承者・ケンシロウ(愛称:ケン)が暴徒を相手に拳を振るう。北斗神拳を共に修行した兄たち、それぞれの宿星を持つ南斗聖拳の伝承者達が登場し、ケンシロウと激闘を繰り広げていく。

サザンクロス編
ケンシロウの胸に七つの傷を付けた上、婚約者・ユリアを強奪した北斗神拳と表裏をなす南斗聖拳のシンは、彼女のために巨大な街サザンクロスを築き、関東平野を支配し"KING"を名乗っていた。ケンシロウはシンと雌雄を決し勝利するが、シンからユリアの自殺が伝えられる。
風雲龍虎編
リンやバットと旅を続けるケンシロウは、マミヤの率いる村にたどり着き、そこで知り合った南斗水鳥拳"義星"のレイと共に、村を狙っていた牙一族を倒す。
さらにケンシロウの名を騙り暴虐を働いていた北斗三男ジャギ、次兄トキに成りすましていたアミバ、トキを幽閉していたカサンドラ獄長ウイグルを倒し、トキと再会。北斗の長兄ラオウは"拳王"と名乗り、世紀末覇王を目指していた。
ケンシロウはラオウと対決するが、お互い死力を尽くした闘いは相打ちの引き分けに終わった。だが、先にラオウに挑んだレイは、死の秘孔を突かれて敗北し、南斗六聖拳の崩壊をまねいた"妖星"のユダとの闘いを経て壮絶な死を遂げる。
乱世覇道編
南斗乱れる時、北斗現れる。"聖帝"を名乗り、愛を否定して覇道を突き進む南斗六聖拳"将星"のサウザー、それに抵抗する"仁星"のシュウとの争いに巻き込まれる。これに終止符を打つべく、ケンシロウは、少年時代に命を救われた恩人シュウに味方してサウザーと対決。一度は完全に敗れたものの、再戦で南斗聖拳最強のサウザーを倒し、野望を阻止する。
サウザーの死により、覇王として天を掴もうとする者は、もはや"拳王"ことラオウただ一人。やがてラオウはトキの実兄であることが分かり、トキは病の身を押して、兄ラオウの拳を封じるべく再び拳士として立ち上る。死力を尽くして二人は戦うが、トキは敗北して残り少ない余生を送ることとなる。
一方、天の平定を望みラオウの元に下っていた"天狼星"のリュウガは、ケンシロウの力を覚醒させて、その力を見究める為、トキを殺害したようにみせかけケンシロウと戦う。しかしリュウガはすでに割腹しており、トキと共に事切れる。そして死の間際、彼がユリアの実兄であることが明かされる。
最終章
ラオウの勢力下の町は荒廃していた。"南斗聖拳最後の将"を守護する南斗五車星たちは、ラオウ軍に立ち向かう。やがて"最後の将"の正体が存命していたユリアであることが判明する。
ケンシロウは北斗神拳伝承者の誇りとユリアをかけて、覇道を完成させんとするラオウと拳を交わす。互いに究極奥義を身につけ、北斗神拳の奥義が全く通じない凄絶な闘いとなったが、一片の狂いもないケンシロウの無想の拳に対し、ラオウの闘気に乱れが生じ、その隙をついた必殺の拳がラオウの胸に突き刺さって決着した。
敗れたラオウは自ら秘孔を突き、残った気を天に放出、「わが生涯に一片の悔いなし!!」と最期に発した言葉ともに天に帰り、ケンシロウは、ラオウの処置によって延命したユリアと共に去っていく。

[編集] 第二部

天帝編
激闘の末、ケンシロウはラオウを破ったが、平安の時代は短く、世は"天帝"による圧政の時代になっていた。ユリアと死別したケンシロウは再び立ち上がり、成長し「北斗の軍」を率いるリンやバットとともに、天帝による支配に立ち向かう。
天帝側の人物が使う拳法として、北斗南斗に匹敵する元斗皇拳が登場する。伝承者ファルコは、かつてラオウに互角の力量と認められながらも、村の安全と引き換えに自身の足一本を差し出したほどの漢だった。ケンシロウは、元斗の拳士との闘いを経て、天帝の威光を笠に着て悪政を繰り広げる元凶、総督ジャコウを倒す。ここからはあえて画風を変えて掲載されている。
修羅の国編
リンは、ジャコウの息子ジャスクにより、海を超えた"修羅の国"に連れ去られた。ケンシロウは天帝の血を引くリンを追って単身修羅の国へと渡り、そこで新たな敵、修羅の存在を知る。修羅は、手負いとはいえ元斗皇拳最強の男・ファルコを瀕死に追い込むほどの強さを誇った。
修羅の国とは何か? かの国で流れるラオウ伝説の正体は? ケンシロウと北斗神拳の来歴が明らかとなり、もう一つの北斗である北斗琉拳の伝承者達との死闘が繰り広げられる。自身の実兄ヒョウと、ラオウの実兄であり北斗琉拳最強の男カイオウを倒したケンシロウは、リンをバットに託して再び旅立っていく。(TVアニメではここまでが放送された)
最終章
「ケンシロウは、一体誰を北斗神拳の後継者にするつもりなのか?」その答えとして、彼はラオウの実子リュウを後継者に選んだ。リュウとの旅の途上、ケンシロウはサヴァ王家を和解させるなどの活躍を見せる。
リュウを元拳王軍の良将バルガに預けたケンシロウは、再び旅を続けるが、マミヤからバットとリンの顛末を聞く。バットはリンの記憶を消し、ケンシロウを思い出させようとしていた。立ち去ろうとしたケンシロウもまた、ユリアの導きによって記憶を失い、二人と再会する。バットは身を引き、ケンシロウの身代わりとして彼を執拗に狙うボルゲと戦うが、凄惨な拷問を受ける。戦いの中で、ケンシロウ・リンともに記憶を取り戻す。

[編集] 『少年ジャンプ』での連載の経緯

デビュー作である『鉄のドンキホーテ』が短期で打ち切りとなり、ジャンプ編集部から相手にされなくなった際、唯一堀江信彦が原のもとに通い漫画家を続けることを勧める。堀江は原の作風に合わせて格闘技漫画のアイディアを出し、堀江に言われるまま原は『北斗の拳』の原型となる読み切り版「北斗の拳」を執筆。霞拳四郎という主人公が北斗神拳を使用して恋人ユキを殺した悪と闘うというもので、時代設定は現代である。「お前はもう死んでいる」の台詞も原は堀江の発案としている。堀江は原稿を『フレッシュジャンプ1983年4月号に掲載させる。これが、読者アンケート1位となり、さらに『フレッシュジャンプ』1983年6月号に続編の読みきり「北斗の拳II」を掲載。これがまたも人気トップを獲得したため、堀江は編集長の西村繁男に『週刊少年ジャンプ』での連載を掛け合い西村がこれを認めたため連載が決定した。この読み切り版「北斗の拳」は『鉄のドンキホーテ』単行本巻末に収録されている。

『週刊少年ジャンプ』での連載にあたり、時代設定は核戦争後となり、奪われた恋人を探す設定となった。週刊ペースで連載するには作画に専念したいという原の意向から、堀江はジャンプでは『ドーベルマン刑事』以来ヒットに恵まれなかった武論尊に原作を依頼し、両者で担当する分業形式になった。また堀江は一貫して連載を担当した。

連載開始間もない頃から大ヒット作品となり、落ち込み傾向にあった『ジャンプ』を救う看板作品となった。ラブコメ路線で30万部差までに追撃していた『週刊少年サンデー』を突き放し、1984年末に『ジャンプ』が400万部を達成。後の600万部体制の足がかりとなった。これについては書籍『さらば、わが青春の『少年ジャンプ』』において、西村は「サンデーのラブコメ路線を北斗の一撃が粉砕した。これにより、他誌の人気ジャンルには正反対のジャンルの作品をぶつけるというパターンができた」と語っている。常に人気もトップクラスで、武論尊と原哲夫ともに、この作品の印税収入で「北斗御殿」を建てたといわれる。

武論尊と原哲夫は後述するケンシロウとラオウとの闘いの決着をもって物語を完結させる意向だったが、当時の『ジャンプ』の方針(編集部の業務命令:ちなみにこの時点の編集長は後藤広喜)により連載は延長される。それ以降のストーリーは、矛盾が多く辻褄が合わないものと化し、カイオウ、ヒョウ、リュウの設定に至っては、それまでの物語を根本から覆してしまう程だった。

もっとも上記のような状況に陥った原因は、再三続いた編集部の連載延長処置によるものである。武論尊はラオウの死後、新展開の構想のため2ヶ月間は休載出来ると思っていたが、実際には翌週から開始せねばならなかった。極めて短期間の間に物語と設定作りを同時に行うことになって混乱状態に陥ったためか、連載終了後も「ラオウ編以降はあまり覚えていない」と発言している。

なお、堀江は本作の最終回に原哲夫や武論尊と同等の扱いで名前がクレジットされ、原哲夫らとは以後もコアミックスを立ち上げるなど良好な関係を続けている。

[編集] 本作のギャグ性

作品の一部がギャグとして捉えられることがあるが、これについて原哲夫は必然的に表現していると語り、また原作者の武論尊もスプラッタ描写をカラッと表現するように求めたと語っている事から、偶然に笑いの要素を含んでいるのではない。アニメ版の芦田豊雄監督も、ほぼ同様の意図で制作していたと言う。

悪党達のあの手この手の悪事と、それに対するサディスティックなまでのケンシロウの拷問・制裁というパターンは、「絶妙のボケツッコミ」の一種のギャグ漫画とも解釈出来る事が、評論家の夏目房之介岡田斗司夫らによって指摘されている[1]

[編集] 断末魔の叫び

本作の特色及びギャグ性を現す要素の一つとして、作中で敵が断末魔に上げる異様な悲鳴が挙げられる。特にハートが遺した断末魔の叫び「ひでぶ」は「あべし」「たわば」とともに『北斗の拳』の代表的な悲鳴である。これらはアニメでは多用されたが、原作では1回しか使用されていない。なお、「ひでぶ」の由来は「ひで=痛て(ハートの「いてぇよお〜!」という台詞)」+体の破裂する音「ぶ」の合成である、と作者の原哲夫が文庫版『北斗の拳』最終巻で解説している。それまでは、手書きのネームの段階では「ひでえ」だったものが、原哲夫が悪筆のために写植の段階で「ひでぶ」と誤植されたという説が有力で、武論尊自身も信じていたようだ。また、レイの有名な「てめえらの血は何色だ~!!」と叫ぶシーンの前のページには「なにわ」という断末魔があり、VOWに紹介されている。

アニメ版においては、千葉繁などのいわゆる「やられ役」要員の番組レギュラー出演者らにより、アフレコ現場で様々な断末魔演技が開発され続け、声優の言葉遊びの中から生じた叫び声もあるほどである。さらに、物語が進むにつれて、とても断末魔とは思えない所までエスカレートした。以下に例を挙げる。

  • 「うわぁ! かめぇ!」(わかめ
  • 「ひ、ひ、ひらめ!」(ひらめ
  • 「にら」「れば」「いため」「いちょっ」(ニラレバ炒め一丁)[2]
  • 「金が、無いほ〜っ!」「おおお俺もだぁ〜!」
  • 「こぶちゃ」(昆布茶)
  • 「れ、冷静な人、なんちゃって〜〜!」
  • 「がちょ〜〜〜ん!」
  • 「どすっ!」「けべっ!」(どすけべ

また、千葉が「ちぃ〜ぶわぁ〜!」と自らの名前の断末魔を叫ぼうとしたがNGとなった一方で、渡部猛が演じた牙大王の断末魔「うわぁ〜、た〜、べ〜!」[2]は何故かOKが出たという話もある。しかし、渡部が他のキャラで、また自らの名前の断末魔を叫んだ時にはNGになっている。

[編集] 諸設定

[編集] 世界観

『北斗の拳』の世界は、全面核戦争が勃発した199X年から始まる。冒頭の「199X年、世界は核の炎に包まれた」というその199X年は1999年を意識して描かれたと、後に原哲夫は語っている[3]

核戦争後の世界では、地上は荒土と化し、国家機構も崩壊している。これに伴い、通貨や貨幣も無価値[4]となっている。また、電気を始め近代文明の所産の大半が失われている[5]が、遺産として拳銃自動小銃火炎放射器バイク自動車などは残っており、アニメ・新劇場版ではヘリコプター戦車も登場する(武器については後述)。また、は飲料水や農業用水としての需要の高さが影響して、あまり存在しないのに対し、バイクや車の燃料となるガソリン軽油などの石油製品は燃料としての用途しかないためか、大量に存在している。その一方、水や食糧の生産・流通システムは崩壊し、独力での農耕や狩猟、あるいは物々交換や果ては略奪といった形で確保しなければならない。ただし、河川や湖や井戸といった物は存在しており、そこを拠点に水や魚を確保することは出来る。また、集落や町を基点に食料その他の物品を扱う商人もいる。

核戦争を生き延びた人類は、各地で集落を築いて細々と暮らす人々とそういった村々を襲撃する暴徒の両極端に分かれており、暴力がすべてを支配する世の中になっている。北斗神拳伝承者であるケンシロウは、そういった暴徒を必殺の拳で次々と葬っていき、ラオウやトキら他の伝承者、そしてレイやシュウを始めとする「強敵(とも)」と拳を交していく。

核戦争から時間が経過するにつれ、国家や文明崩壊による混乱の収拾が見られ、国家や秩序といったものが復活していく。しかし、国家や地域間において治安や生活レベルでは大幅に格差が存在する。また、農業などの食糧生産システムも時間をかけて回復していく。

[編集] 地理

物語の開始時点での舞台は日本ということにされており、KINGが「関東一円を支配する暴力組織」であると解説されるほか、冒頭で聖徳太子の描かれた1万円札が登場している。また、KING編では日本語で書かれた文章が登場する(終章でも時間軸上冒頭の時点で書かれた、日本語の文章が登場)。ただし、その後は、地名や著名な建造物など日本を連想させる要素は登場していない。その他、後に登場した修羅の国は中国(ユーラシア大陸で中国が存在した陸地)にあるものと推測されるが[6]、修羅の国に渡航した海を「唯一残された海」と呼んでいるため、仮に修羅の国が中国にあるとすると、日本から中国への海上航路になると考えられる東シナ海黄海日本海(いずれも付属海など太平洋の海域の一部)以外の海が、核戦争による超高温の核爆発で全て干上がってしまったことになる。しかし、新劇場版では「死の海」と呼ばれている海が、美しいままに残っていることが窺われ、案外に海が民衆の身近に存在してはいるようだ。

その一方、サヴァの国のような新興国や勢力が誕生したり、ブランカのような長い歴史と伝統をもつ国が存続している場合もある。

[編集] 北斗神拳

作中では一子相伝の暗殺拳であり、中国拳法(中国武術)の一派とされる。北斗神拳は、人間の中に眠っている潜在能力を全て活用すること、人間の体に数多く存在するといわれる「経絡秘孔(単に秘孔と呼ばれる事が多い)」を突くことで、人体を内部から破壊することを基本とする一撃必殺の拳法である。

詳細は「北斗神拳」を参照

巨漢が体のあちこちの"秘孔"を指で突かれただけで、筋肉の異常な収縮により自分の体をコントロールできなくなったり、体が内部から破壊されて破裂する描写が斬新だった。ただし、人間破裂のシーンは、映画『スキャナーズ』の影響とおもわれ、また『北斗の拳』以前にも、風忍『地上最強の男 竜』という先駆作がある。

また北斗神拳の設定等に、呪術や占術の影響が見られるという説もある[7]

[編集] 身長

『北斗の拳』世界の人々は、子供を除き、核戦争後の食糧難という時代にも拘らず老いも若きも男女共に平均身長がかなり高い。

女性では170cm台〜180cm台程と思しき者がしばしば登場しており(例:ユリア、マミヤ、その他一般女性等)、男性では180cm台〜200cm台程と思しき者、さらに3m〜7m程はあると思しき大男(主に悪党)等もザラに登場し、作中では180cm台のケンシロウでも「チビヤロウ」呼ばわりされている。中には10m以上の者(例:デビル・リバース等)が登場する事もある。その一方で、130cm台〜140cm台程と思われる小男(主に悪党)が登場したりもする(例:ハブ、コマク、ヘグ、ウサ等)。

現実の成人男性よりもかなり大きな体格や、逆に小さな体格として描写される人物たちに関しては、作画担当の原哲夫は、「体のサイズを誇張して描く事で、人物の勢いや印象がわかるように調節しているだけであり、フィクションとはいえ身長5mや10mの人間が作中で生活しているような想定は特にしてない」という趣旨のコメントをしている[8]

なお、作中に登場する巨大な馬である黒王号も作者はこの類の単なる誇張として大きく描いたと証言しているが、黒王号くらいの体躯の馬であれば、シャイヤーペルシュロンなど重種の系統として現実に存在する。重種馬は、重作業や甲冑を身に着けた騎士のための品種で、非常に体躯が大きく力が強いことで知られる。記録が残っている中で最大の馬であるサンプソンは体高216cmである。

[編集] 死兆星

死の運命を背負った者には、北斗七星の脇に輝く小さな星「死兆星」が視認可能となる設定がある。 なお、この星は実在の天体であり、アマチュア天文学の方面では二重星の好例としてよく取り上げられる恒星である(北斗七星の項目を参照)。

人によって見えたり見えなかったりする(視力が悪いと一つの星にしか見えない)ため、「見えると死ぬ」「見えないと死ぬ」といった伝説が各地にあり、古代ギリシャ・ローマでは、徴兵合格基準として死兆星が視力検査に使われていて、死兆星が見える視力の良い者=戦争で大怪我や死に繋がるとされた。

[編集] 武器

核戦争後の混沌とした世界が舞台であるため、村々を襲撃する野盗や暴徒の類は様々な武器を使用している。拳法を極めた類の人間であっても、こうした武器を使う必要がある場面も多く、重要度は高い。

核戦争で文明が崩壊している為、ミサイルや原子力潜水艦のようなハイテク兵器は残っていない。主要な武器は、剣や槍、斧や棍棒のような接近戦用の武器である。また、ウイグルの鞭といった何らかの仕掛けを備えた武器も存在する。この他、毒を仕込んだ武器も使われている。また、火薬を使用しない単純構造の飛び道具として弓やボウガン、ニードルガンが活用されている。

銃、ダイナマイトなどの爆弾の類は、多少は残っているものの数は極めて少ない。銃が登場するシーンでは、登場人物が弾丸の残量について言及している。

ハイテク兵器皆無、銃器は稀少という世界設定は、拳法家を活躍させるための都合上によるものであると原作者の武論尊のコメントがある。

[編集] 影響を受けた作品

最終戦争後の世界の設定、登場人物のファッション、主人公ケンシロウの性格設定などは、映画『マッドマックス2』(1981年、オーストラリア)とその主人公マックス(メル・ギブソン)の多大な影響を受けていた。また、ケンシロウの容姿面では、初期においては松田優作ブルース・リーの影響が強く、ヌンチャクを操るシーンも何度かある。

特定の作品ではないが、武論尊が連載前にカンボジア旅行で目撃した、ポル・ポト虐殺によって荒廃した街の風景も、本作の世界観に影響を与えた。

人物の隆々とした筋肉の描写は、原いわくフランク・フラゼッタの影響が強い[9]。全体の劇画的センスは、原がかって通っていた小池一夫主催の劇画村塾の影響も無視できないところである。

[編集] 後への影響

『北斗の拳』の大ヒットを受けて、以後のコミックやB級アクション映画等に本作の亜流が雨後の竹の子のように出現した。筋肉隆々の主人公が超人的な格闘能力で悪党をバッタバッタとなぎ倒し、その後ボスを苦戦しつつ倒し大団円になるという基本的筋書きが共通している場合が多い。更に、その『北斗の拳』の大ヒットは掲載していた「週刊少年ジャンプ」の編集方針にも大きく影響し、ポスト『北斗の拳』を目指すべく様々な展開を行っていくこととなる。

『北斗の拳』の世界観から転じて、際立って治安が悪い場所(廃墟)に対する比喩的誇張表現として、特定の都市や地域(ソマリア南アフリカ共和国ヨハネスブルグ等)が「リアル北斗の拳」「北斗の拳状態」と呼ばれることがしばしばある。

[編集] 著名人のファン

格闘家のファンには、プロレスラー橋本真也佐々木健介ジョシュ・バーネット、空手家の佐竹雅昭、柔道家の谷本歩実などがおり、彼らはラオウに対しリスペクトを表明している。また、角田信朗は、自分の息子と娘にケンシロウ、ユリアと名づけている。

このほか、サッカー選手大黒将志KinKi Kids堂本剛も本作のファンで、それぞれ愛犬にラオウ(チワワ)、ケンシロウ(ミニチュア・ダックスフント)と名付けている。

[編集] 登場人物

北斗の拳の登場人物一覧」を参照

[編集] 主な技

北斗の拳の技一覧」を参照

[編集] アニメ

その人気から1984年にTVアニメ化され、放送終了後も劇場版やOVAなどが製作された。

北斗の拳 (アニメ)」を参照

[編集] 実写映画

Fist of the North Star 北斗の拳』というタイトルで1995年4月22日公開。ハリウッドで実現した実写版。ただし日本の東映ビデオ東北新社の共同製作であり、いわゆる「ハリウッド映画」ではなく東映Vシネマのアメリカ版である「Vアメリカ」として作られた。

主演はゲイリー・ダニエルズ。原作初期におけるケンシロウ対シンの物語を描いているが、南斗六聖拳や拳王の設定は一切登場しないため、シンは純粋な悪党に終始している。基本的に北斗神拳の描写は少なく、マッドマックス風の世紀末描写に通常の格闘アクションを加えた印象の作品になった。人体破裂描写は特撮で再現されている。鷲尾いさ子がユリア役、マルコム・マクダウェル時計じかけのオレンジの主人公)がリュウケン役で出演している他、ジャギ風の敵役でショーン・ペンの弟のクリス・ペンが出演している。

なお日本で発売された吹替版ビデオでは、テレビアニメ版と同一のキャストによって吹替が行われている。

[編集] ゲーム

[編集] ボードゲーム 及び カードゲーム

2作品ともに、ツクダホビーより発売。

[編集] コンピューターゲーム

[編集] パチスロ・パチンコ

2003年にケンシロウをメインキャラクターにしたパチスロ機『北斗の拳』がパチスロメーカーサミーから発売され大人気となった。このパチスロ機は史上最高の60万台を超える出荷台数を記録している。2006年に後継機『北斗の拳SE』が発売され、2007年にはラオウをメインキャラクターに据えて『北斗の拳2 乱世覇王伝 天覇の章』を発売となっているなど、パチスロの分野でも人気は衰えていない。2002年・2005年にはパチンコ機『CR北斗の拳』も登場したが、こちらはパチスロ機ほどの人気は得られなかった。 しかし2008年9月に登場した『ぱちんこCR北斗の拳ケンシロウ』『ぱちんこCR北斗の拳ラオウ』は、登場人物の3D表現が巧みになり、原作と遜色なく楽しめる派手な演出が人気を集め、2008年から2009年にかけて、ほぼ全てのパチンコ店で看板機種となる記録的な大ヒットとなった。

[編集] 関連作品

本作の完結後も以下の作品群が発表されている。

蒼天の拳
作/原哲夫 監修/武論尊 週刊コミックバンチ
本作の前日談で兄弟作にあたり、2001年より連載開始。1935年の上海を舞台に、ケンシロウの二代前の伝承者、霞拳志郎の活躍を描く。
『小説 北斗の拳 -呪縛の街-』
『北斗の拳』の時系列では今のところ、最も新しい話。ラストランドでのケンシロウの活躍を描く。これを原作としてOVA『新・北斗の拳』が制作された。
天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝
原案/武論尊・原哲夫 作画/長田悠幸 週刊コミックバンチ
世紀末覇王として乱世を平定しようとする北斗の長兄ラオウの激闘を描く。その生きざまは世紀末救世主として語られるケンシロウと対極する。オリジナルキャラクターの登場の他、既知の登場人物とラオウとの『 北斗の拳 』の原作にはない戦い(VSユダ、VSサウザー)やトキ、アミバ、リュウガなどとの関わり合いが描かれている。又、原作では後付け設定だった箇所の補足や矛盾点の整合も読める。
『北斗の拳ユリア外伝 慈母の星』
原案/武論尊・原哲夫 作画/笠井晶水 ビッグコミックスペリオール
原作とは180度違う絵柄となっており、女性登場人物の画力は高い。物語には、『北斗の拳』特有のアクションや暴力的な場面はユリアが主人公だけにない。ユリアに人の運命を予知できる能力があることが描かれている。
『北斗の拳レイ外伝 華麗なる復讐者』
原案/武論尊・原哲夫 作画/猫井ヤスユキ 週刊コミックバンチ増刊 読み切り
蒼黒の餓狼 -北斗の拳 レイ外伝-
原案/武論尊・原哲夫 作画/猫井ヤスユキ 週刊コミックバンチ
原作では描かれていない、知られざる南斗水鳥拳レイの闘いを読むことができる。上記の読切を経て、2007年に連載された。
『北斗の拳リュウケン外伝 -JUDGEMENT DAY-』
原案/武論尊・原哲夫 作画/ヒロモト森一 週刊コミックバンチ増刊 読み切り
ワイルドな画風で、原作の絵のギャグ的な部分も含めている。設定は、世界が全面核戦争に突入するさなかの日本。北斗神拳伝承者の決定を巡って、リュウケンとラオウとの間に交わされた密約を描いている。
銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝
原案/武論尊・原哲夫 作画/ながてゆか 週刊コミックバンチ
トキを主人公とした漫画で「奇跡の村」が舞台となっている。
極悪ノ華 北斗の拳ジャギ外伝
原案/武論尊・原哲夫 作画/ヒロモト森一 週刊コミックバンチ
ジャギを主人公とした漫画作品。2009年より連載開始。

[編集] その他

  • 死刑制度は人民が本来持っていた「復讐権」を国家が奪っているとし、仇討ち制度の復活を唱えている呉智英は、本作の面白さは登場人物が復讐権を自在に行使出来る点にあると評している。
  • 日清の即席ラーメン「ラ王」は、ラーメンの王様という意味である(公式ホームページ参照)。北斗の拳とは無関係だったが、パチスロ北斗の拳の大ヒットとそれに伴う北斗のリバイバルヒットの波に乗り、タイアップ商品「ラオウのラ王」(黒麻油豚骨味)および「ケンシロウのラ王」(醤油豚骨味)が発売された。
  • テレビ番組『いただきマッスル!』で原哲夫が本作風の出演者のイラストを提供している。なお、この番組のナレーションはケンシロウ役の神谷明が担当している。
  • 中国版『北斗神拳』では、冒頭で秘孔を突かれた男が断末魔に言った「ほ、ほくと」(つまり「北斗」)が誤って「我、我和…」になっている。「ほくと」が「ぼくと」と誤認された可能性がある。「ケンシロウ(拳四郎)」は中国版で「健次郎」になっている。

[編集] 参考資料

  • 西村繁男『さらばわが青春の『少年ジャンプ』』 1994年飛鳥新社
  • 大下英治 『日本ヒーローは世界を制す』(1995年角川書店
  • 西村繁男『まんが編集術』 1999年白夜書房
  • 『マンガ夜話 vol.6 井上雄彦「SLAM DUNK」冨樫義博「幽★遊★白書」武論尊/原哲夫「北斗の拳」』(1999年キネマ旬報社)
  • 宇都宮滋一『「ダメ!」と言われてメガヒット 名作マンガの知られざる制作現場』 2004年、東邦出版
  • 『こんなマンガがあったのか! 名作マンガの知られざる続編・外伝』1999年、メディアファクトリー - 堀江信彦インタビュー。
  • 大塚英志『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』(2005年、角川書店)
  • 『オトナファミ 2006.Autumn』 2006年、エンターブレイン - 武論尊インタビュー。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ 『マンガ夜話VOL.6』キネマ旬報社、1999年、p237
  2. ^ a b c 「CS JACK from SkyPortTV 『キン肉マン』『北斗の拳』――ユニークな制作秘話を声優の神谷明さんが語る!」『テレパル』25号、小学館、1996年、p.153。
  3. ^ 2000年以後に登場したアーケードゲーム「パンチマニア」やパチスロ機「北斗の拳」では、199X年ではなく200X年とされている。「北斗の拳SE」では199X年に戻されている。
  4. ^ 序盤で紙幣を手に入れたモヒカンが「今じゃケツを拭く紙(アニメでは「鼻紙」)にもなりゃしねえ」と言って放り捨てる。
  5. ^ TV版、原作・天帝編、外伝『天の覇王』等では風力、あるいは人力発電が行なわれているが、その規模はあくまで小さい。
  6. ^ 本作の半世紀ほど前を描いた『蒼天の拳』では、ジュウケイならびに北斗琉拳伝承者が中国におり、修羅の国が中国大陸にあることがほぼ確定した。一方で、第一話冒頭のケンシロウ誕生シーンが日本となっているため、ケンシロウの出身地が修羅の国という設定には矛盾が生じている。
  7. ^ 参考:北斗の拳と占い[1]
  8. ^ 雑誌R25のインタビュー
  9. ^ NHK『マンガノゲンバ』原哲夫インタビュー

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