相応部

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相応部(そうおうぶ、: Saṃyutta Nikāya, SN, サンユッタ・ニカーヤ)とは、仏教パーリ語経典経蔵を構成する「五部」(: Pañca Nikāya, パンチャ・ニカーヤ)の内の、第3番目の「部」(nikāya, ニカーヤ)のこと。テーマ別の短編経典集である。「相応」(saṃyutta, サンユッタ)とは、「テーマ別のまとまり」のことを指す。

漢訳仏典における『阿含経』の内の『雑阿含経』(ぞうあごんぎょう)に相当するが、漢訳の方は「雑」の名からも分かるように、元々の主題別のまとまりが崩れてしまっている[1]

マーラ(漢訳:魔羅天魔悪魔)は相応部の「悪魔相応」Māra samyuttaに見いだされる[2][3]

構成[編集]

以下の5つの「篇」(vagga, ヴァッガ)、計56の「相応」(saṃyutta, サンユッタ)、約3000経[1]から成る。

  • 1. 有偈篇(うげへん、Sagātha-vagga, サガータ・ヴァッガ
    • 1. 諸天相応(しょてんそうおう、Devatā-saṃyutta, デーヴァター・サンユッタ
    • 2. 天子相応(てんしそうおう、Devaputta-saṃyutta, デーヴァプッタ・サンユッタ
    • 3. 拘薩羅相応(くさつらそうおう、Kosala-saṃyutta, コーサラ・サンユッタ
    • 4. 悪魔相応(あくまそうおう、Māra-saṃyutta, マーラ・サンユッタ
    • 5. 比丘尼相応(びくにそうおう、Bhikkhunī-saṃyutta, ビックニー・サンユッタ
    • 6. 梵天相応(ぼんてんそうおう、Brahma-saṃyutta, ブラフマ・サンユッタ
    • 7. 婆羅門相応(ばらもんそうおう、Brāhmaṇa-saṃyutta, ブラーフマナ・サンユッタ
    • 8. 婆耆沙長老相応(ばぎしゃちょうろうそうおう、Vaṅgīsa-saṃyutta, ヴァンギーサ・サンユッタ
    • 9. 森相応(しんそうおう、Vana-saṃyutta, ヴァナ・サンユッタ
    • 10. 夜叉相応(やしゃそうおう、Yakkha-saṃyutta, ヤッカ・サンユッタ
    • 11. 帝釈相応(たいしゃくそうおう、Sakka-saṃyutta, サッカ・サンユッタ
  • 2. 因縁篇(いんねんへん、Nidāna-vagga, ニダーナ・ヴァッガ
    • 12. 因縁相応(いんねんそうおう、Nidāna-saṃyutta, ニダーナ・サンユッタ
    • 13. 現観相応(げんかんそうおう、Abhisamaya-saṃyutta, アビサマヤ・サンユッタ
    • 14. 界相応(かいそうおう、Dhātu-saṃyutta, ダートゥ・サンユッタ
    • 15. 無始相応(むしそうおう、Anamatagga-saṃyutta, アナマタッガ・サンユッタ
    • 16. 迦葉相応(かしょうそうおう、 Kassapa-saṃyutta, カッサパ・サンユッタ
    • 17. 利得供養相応(りとくくようそうおう、Lābhasakkāra-saṃyutta, ラーバサッカーラ・サンユッタ
    • 18. 羅睺羅相応(らごらそうおう、Rāhula-saṃyutta, ラーフラ・サンユッタ
    • 19. 勒叉那相応(ろくしゃなそうおう、Lakkhaṇa-saṃyutta, ラッカナ・サンユッタ
    • 20. 譬喩相応(ひゆそうおう、Opamma-saṃyutta, オパンマ・サンユッタ
    • 21. 比丘相応(びくそうおう、Bhikkhu-saṃyutta, ビック・サンユッタ
  • 3. 蘊篇(うんへん、Khandha-vagga, カンダ・ヴァッガ
    • 22. 蘊相応(うんそうおう、Khandha-saṃyutta, カンダ・サンユッタ
    • 23. 羅陀相応(らだそうおう、Rādha-saṃyutta, ラーダ・サンユッタ
    • 24. 見相応(けんそうおう、 Diṭṭhi-saṃyutta, ディッティ・サンユッタ
    • 25. 入相応(にゅうそうおう、Okkanta-saṃyutta, オッカンタ・サンユッタ
    • 26. 生相応(しょうそうおう、Uppāda-saṃyutta, ウッパーダ・サンユッタ
    • 27. 煩悩相応(ぼんのうそうおう、Kilesa-saṃyutta, キレーサ・サンユッタ
    • 28. 舎利弗相応(しゃりほつそうおう、Sāriputta-saṃyutta, サーリプッタ・サンユッタ
    • 29. 龍相応(りゅうそうおう、Nāga-saṃyutta, ナーガ・サンユッタ
    • 30. 金翅鳥相応(こんじちょうそうおう、Supaṇṇa-saṃyutta, スパンナ・サンユッタ
    • 31. 乾達婆相応(けんだつばそうおう、Gandhabbakāya-saṃyutta, ガンダッバカーヤ・サンユッタ
    • 32. 雲相応(うんそうおう、Valāhaka-saṃyutta, ヴァラーハカ・サンユッタ
    • 33. 婆蹉種相応(ばさしゅそうおう、Vacchagotta-saṃyutta, ヴァッチャゴッタ・サンユッタ
    • 34. 禅定相応(ぜんじょうそうおう、Jhāna-saṃyutta, ジャーナ・サンユッタ
  • 4. 六処篇(ろくしょへん、Saḷāyatana-vagga, サラーヤタナ・ヴァッガ
    • 35. 六処相応(ろくしょそうおう、Saḷāyatana-saṃyutta, サラーヤタナ・サンユッタ
    • 36. 受相応(じゅそうおう、Vedanā-saṃyutta, ヴェーダナー・サンユッタ
    • 37. 女人相応(にょにんそうおう、Mātugāma-saṃyutta, マートゥガーマ・サンユッタ
    • 38. 閻浮車相応(えんふしゃそうおう、Jambukhādaka-saṃyutta, ジャンブカーダカ・サンユッタ
    • 39. 沙門出家相応(しゃもんしゅっけそうおう、Sāmaṇḍaka-saṃyutta, サーマンダカ・サンユッタ
    • 40. 目犍連相応(もっけんれんそうおう、Moggallāna-saṃyutta, モッガッラーナ・サンユッタ
    • 41. 質多相応(しつたそうおう、Citta-saṃyutta, チッタ・サンユッタ
    • 42. 聚落主相応(しゅうらくしゅそうおう、Gāmaṇi-saṃyutta, ガーマニ・サンユッタ
    • 43. 無為相応(むいそうおう、Asaṅkhata-saṃyutta, アサンカタ・サンユッタ
    • 44. 無記説相応(むきせつそうおう、 Avyākata-saṃyutta, アヴィヤーカタ・サンユッタ
  • 5. 大篇(だいへん、Mahā-vagga, マハー・ヴァッガ
    • 45. 道相応(どうそうおう、Magga-saṃyutta, マッガ・サンユッタ
    • 46. 覚支相応(かくしそうおう、Bojjhaṅga-saṃyutta, ボッジャンガ・サンユッタ
    • 47. 念処相応(ねんしょそうおう、Satipaṭṭhāna-saṃyutta, サティパッターナ・サンユッタ
    • 48. 根相応(こんそうおう、Indriya-saṃyutta, インドリヤ・サンユッタ
    • 49. 正勤相応(しょうごんそうおう、Sammappadhāna-saṃyutta, サンマッパダーナ・サンユッタ
    • 50. 力相応(りきそうおう、Bala-saṃyutta, バラ・サンユッタ
    • 51. 神足相応(しんそくそうおう、Iddhipāda-saṃyutta, イッディパーダ・サンユッタ
    • 52. 阿那律相応(あなりつそうおう、Anuruddha-saṃyutta, アヌルッダ・サンユッタ
    • 53. 静慮相応(じょうりょそうおう、Jhāna-saṃyutta, ジャーナ・サンユッタ
    • 54. 入出息相応(にゅうしゅつそくそうおう、Ānāpāna-saṃyutta, アーナーパーナ・サンユッタ
    • 55. 預流相応(よるそうおう、Sotāpatti-saṃyutta, ソーターパッティ・サンユッタ
    • 56. 諦相応(たいそうおう、Sacca-saṃyutta, サッチャ・サンユッタ

日本語訳[編集]

全訳[編集]

  • 『南伝大蔵経・経蔵・相応部1-6』(12-16巻) 大蔵出版
  • 『原始仏典II 相応部経典』(第6巻)中村元監修 春秋社
  • 『パーリ仏典 相応部(サンユッタニカーヤ)』(全10巻)片山一良訳 大蔵出版

部分訳[編集]

有偈篇 全訳

  • 『ブッダ神々との対話―サンユッタ・ニカーヤ1 』中村元訳 岩波文庫
  • 『ブッダ悪魔との対話――サンユッタ・ニカーヤ2 』中村元訳 岩波文庫

デーヴァター相応(諸天相応)

  • 『世界の名著1 バラモン教典, 原始仏典 』「サミッディの出家」中央公論社

ブラフマ相応(梵天相応)

  • 『世界の名著1 バラモン教典, 原始仏典 』「説法の要請(梵天勧請)」中央公論社

サッチャ相応(諦相応)

  • 『世界の名著1 バラモン教典, 原始仏典 』「はじめての説法(初転法輪)」中央公論社

脚注[編集]

  1. ^ a b 原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究 - 中央学術研究所
  2. ^ 『新佛教辞典』
  3. ^ 『仏教解題事典』

関連項目[編集]

外部リンク[編集]