布施

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

布施(ふせ)は、梵語では「檀那(旦那)(ダーナ、दान、dāna)」といい、他人に財物などを施したり、相手の利益になるよう教えを説くことなど、「与えること」を指す。すべての仏教における主要な実践項目のひとつである。六波羅蜜のひとつでもある。

概要[編集]

布施には「財施」「法施」「無畏施」の三種がある(大智度論)。布施をする人をダーナパティ(dānapati)といい、施主(せしゅ)、檀越(だんおつ、だんえつ)、檀徒(だんと)などと訳される。なお、菩提寺にお布施をする家を檀家(だんか)という言葉も、檀那、檀越から来たものである。また、古くは皇族などが自らの領地(荘園)などを寺院に寄せる(寄付する)ことを施入(せにゅう)(する)ということがある。

布施の種類[編集]

大智度論など、伝統的には、次のような種類が挙げられている。

  • 財施とは、金銭や衣服食料などの財を施すこと。
  • 法施とは、の教えを説くこと。
  • 無畏施とは、災難などに遭っている者を慰めてその恐怖心を除くこと。

その他に、雑宝蔵経に説かれる財物を損なわない七つの布施として、次の行いが説かれる。

  1. 眼施:好ましい眼差しで見る。
  2. 和顔施(和顏悦色施):笑顔を見せること。
  3. 言辞施:粗暴でない、柔らかい言葉遣いをすること。
  4. 身施:立って迎えて礼拝する。
  5. 心施:和と善の心で、深い供養を行うこと。
  6. 床座施:座る場所を譲ること
  7. 房舍施:家屋の中で自由に、行・来・座・臥を得させること。

現代の風潮[編集]

日本[編集]

  • イオン布施目安提示事件 - 2010年5月に大手流通のイオンが、自社カード会員向けの葬儀紹介サービスにてお坊さん紹介サービスとして僧侶を紹介する一方で「布施の価格目安」全国統一価格を表示した。これには浄土真宗(西、東)、浄土宗曹洞宗臨済宗天台宗日蓮宗と主だった宗派には全て対応する8宗派から約600の寺院の協力が得られた一方で、伝統仏教のほとんどの宗派が結集する仏教界最大の団体全日本仏教会は「布施に定価はない」「企業による宗教行為への介入だ」と反発し、第29期事務総長戸松義晴の名で料金表示の削除を求めた。イオンの商法については「消費者の立場からすれば明瞭な布施価格の明示はありがたい」との評価と「今後これが『定価』として一人歩きしてしまう」との懸念意見がある[1]。その後2010年9月10日にイオンは「布施の考え方にはさまざまなものがある」として、この布施の価格目安をサイトから削除した[2][3][4]

:イオンは2009年9月からすでに、イオンカード会員を対象に葬儀紹介サービス「イオンのお葬式」を展開、すでに「」が商品化されいたにもかかわらずこれまで不透明だった葬儀費用や布施・戒名料金の全国統一価格を示すことで、商品として料金を明確化する姿勢を示した形だ。こうした問題の背後にあるのは、直接的には社会構造の変化による人口の流動化で江戸時代以降続いてきた檀家制度の完全な崩壊と、それに伴う多くの寺院の拝金主義的傾向だが、底流にあるのは日本人の仏教に対する意識の希薄さであることが改めて示された。全日本仏教会は、「本来布施とは、慈しみの心にもとづいて行われる極めて宗教的な行為で、人々の苦しみや悲しみに寄り添い(無畏施)、人々と共に考え法を説く(法施)」と位置づけ、布施の額に関しては、布施をする人が決めるべきものとという立場を示した[3][4][独自研究?]

脚注[編集]

[ヘルプ]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]