五蘊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

五蘊(ごうん、: pañcak-khandha, パンチャッカンダ: पञ्च स्कन्ध, pañca-skandha, パンチャ・スカンダ)とは、部派仏教における一切の分類である三科(五蘊・十二処・十八界)の中の第一。蘊とは集まりを意味し、(しき・じゅ・そう・ぎょう・しき)の5つを通して、ものごとの認識が起こるとされる。

5つの蘊[編集]

蘊(: khandha, カンダ、: स्कन्ध, skandha, スカンダ) とは、「集まり」の意味で、五蘊とは人間の肉体と精神を五つの集まりに分けて示したものである。この五蘊が集合して仮設されたものが人間であるとして、五蘊仮和合(ごうんけわごう)と説く。これによって五蘊(=人間)の無我を表そうとした。古くは阿含経の中に言及されている[1]

なお、旧訳では五陰(ごおん)五衆(ごしゅ)といい、特に煩悩(ぼんのう)に伴われた有漏(うろ)の五蘊を五取蘊(ごしゅうん、pañcopādāna skandha)ともいう。

内容[編集]

五蘊は次の5種である。 「色」は物質的存在を示し、「受」「想」「行」「識」は精神作用を示す[2]。人間の心身の機構を羅列的に挙げ、それによって人間の生存およびその環境の全てを表そうとしたものである[3]

  • 蘊(しきうん、: rūpa) - 人間の肉体を意味したが、後にはすべての物質も含んで言われるようになった。(例:桜そのもの)
  • 蘊(じゅうん、: vedanā) - 感受作用(例:桜の木をみて「美しい」と感じること)
  • 蘊(そううん、: saṃjñā) - 表象作用(例:眼をつむって「桜」というイメージを思い浮かべること)
  • 蘊(ぎょううん、: saṃskāra) - 意志作用(例:桜の枝を瓶にさしてみようと思い巡らすこと)
  • 蘊(しきうん、: vijñāna) - 認識作用(例:「桜」と認識すること)

注・出典[編集]

  1. ^ 山田巌雄 文・箕田源二郎 画「阿含の詩 詩画でふれる仏の教え」鈴木出版 1988年 P.105 ISBN 978-4790210221
  2. ^ 頼富本宏他「図解雑学 般若心経」ナツメ社 2003年 P.76 ISBN 978-4816335440
  3. ^ 櫻部建上山春平「存在の分析<アビダルマ>―仏教の思想〈2〉」 角川書店角川ソフィア文庫〉、2006年 P.60 ISBN 978-4041985021(初出:塚本善隆編『仏教の思想』第2巻  角川書店、1969年)

関連項目[編集]